2021年3月17日
建設業界は好景気を維持していますが、建設現場で働く現場監督の年収はいくらになるのか気になるところではないでしょうか。実は、勤務する建設会社の規模により、年収は大きく異なります。
本記事では、現場監督の業務内容や年収、業種別の年収、年収を上げる方法について解説します。さまざまな切り口で、現場監督の年収を分析しています。現場監督として活躍中の方や現場監督を目指している方自身の年収と比較することができるでしょう。
現場監督の業務内容は、建設現場において、職人などの作業者に対して指示・命令する立場の仕事となります。
現場監督には、「施工管理の5大管理」といわれる「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」「環境管理」といった施工管理業務が求められます。
5大施工管理 | 管理内容 |
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工程管理 | 建設工事の決められた工期を守るために、スケジュール管理を行う業務です。 数多くの職人などの作業員が建設工事に関わるため、効率よく工事を進捗させるべく各工事の作業ごとに日程調整を行う能力が現場監督に求められています。 |
品質管理 |
建設対象物が設計図書や仕様書通りに造られているかの管理を行う業務です。
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安全管理 |
建設現場において安全な環境で工事作業を行えるように整備し、事故を起こさないように管理する業務です。
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原価管理 | 施工計画などに基づき算出した「実行予算」と、建設現場での実際の工事において発生する「原価」を管理して、利益を計上できるように管理を行う業務です。 |
環境管理 |
工事現場周辺の環境や労働環境に悪い影響を与えないよう対策する業務です。
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尚、現場監督が担当する建設工事の種類や規模は、所属する建設会社により異なります。
現場監督は、必要な資質として「高い応用力」「リーダーシップ」「新たな技術の習得」などを身に付けることが大切です。
必要な資質 | 資質の内容 |
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高い応用力 | 建設現場において様々な障壁にぶつかった際、高い応用力で問題解決できる能力が必要です。 |
リーダーシップ | 建設現場において工事を円滑に進めるためには、多くの作業員に対して指示・命令を出せる統率力が必要です。 |
新たな技術の習得 | 建設現場において業務効率化や生産性向上を図るためにも、新たしい技術を導入して習得することが必要です。 |
建設業界では、今後も人材需要が増加する見込みであり、このため新卒や未経験者を積極的に採用する企業が増加しています。国土交通省によると、建設投資額は年々増加していますが、一方で建設業者数はピーク時の2015年に比べて約22%減少し、建設業の就業者数も約27%減少していると報告されています。
現在、建設業界は深刻な人手不足に直面しており、特に現場監督を含む建設現場の従事者は高齢化が進んでいる状況です。このため、若手人材の確保に力を入れる企業が増えています。多くの企業が新卒や未経験者でも自社独自の教育プログラムによって育成する取り組みを行っており、そのため経験がない方でも十分に活躍できる場面が多く存在しています。
現場監督の平均年収は約660万円になるため、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。また現場監督の仕事は夜間工事を担当したり、遠方の現場に長期出張になったりすることもあるので、企業によっては上記対応に伴う手当が発生することもあるでしょう。とはいうものの、この数値はあくまで平均的な年収であるため、経験年数や保有資格、所属する企業の給与水準によって異なります。
例えば、同じ現場監督の仕事であっても、企業規模によって年収は変化します。中堅ゼネコンと比較すると、スーパーゼネコン(売り上げが1兆円を超える建設企業大手5社)の場合は年収1,000万円を超えるケースもあります。現場監督として平均年収を上げたい場合は、実績を重ねた上で資格取得に励み、これらを元に転職活動を行うことが重要です。また、大幅な年収アップを行う場合は、転職エージェントを活用して自身のスキルとマッチする企業を紹介してもらうのも有効な手段のひとつです。
上記でも触れた通り、同じ現場監督といっても働く条件によって年収は異なります。以下では、地域別に見た現場監督の平均年収を紹介します。
地域 | 平均年収 |
---|---|
北海道・東北 | 415万円 |
関東 | 454万円 |
甲信越・北陸 | 420万円 |
東海 | 444万円 |
関西 | 449万円 |
中国 | 403万円 |
四国 | 413万円 |
九州・沖縄 | 416万円 |
※参照元:「求人ボックス 給与ナビ 現場監督の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
上記の表をみると、関東や関西などの都市部と地方では年収の差が大きいことが分かります。実際に地方で現場監督の仕事をしていた人が、年収をアップさせるために東京の建設会社に転職するというケースも少なくありません。
地域別の年収に差がある原因を考えると、地方では地理的な理由などにより人が集まりにくく都会ほど現場が多くない点が挙げられます。そのため、都市部と比較すると地方の方が、給与水準が低くなる傾向にあります。もちろん、上記は平均的な数値であるため、企業によっても差があります。企業別の年収については下記にて解説します。
地域別で平均年収が異なるのと同じく、企業の規模によっても異なります。以下では、企業の規模別に見た現場監督の平均年収を紹介します。
ゼネコンの種類 | 平均年収 |
---|---|
スーパーゼネコン | 802万円 |
準大手ゼネコン | 625万円 |
中堅ゼネコン | 562万円 |
※参照元:「enライトハウス 建設業界の企業・会社一覧(2023年9月時点)」
上記はゼネコンに勤める現場監督の平均年収ですが、会社規模によって平均年収が大きく異なります。例えば、「スーパーゼネコン」と呼ばれる直近の売上高(完成工事高)が1兆円を超えている企業は平均年収が802万円に対し、年間の売上高が約1,000億円の規模である「中堅ゼネコン」は、562万円と差があります。これは、会社の売上高や利益高の差が大きな要因であると考えられます。そのため、現状よりも年収を上げたいと考えている方は、大手企業に転職を検討するのも良いでしょう。
上記はゼネコンに勤める現場監督の平均年収ですが、会社規模によって平均年収が大きく異なります。例えば、「スーパーゼネコン」と呼ばれる直近の売上高(完成工事高)が1兆円を超えている企業は平均年収が802万円に対し、年間の売上高が約1,000億円の規模である「中堅ゼネコン」は、562万円と差があります。これは、会社の売上高や利益高の差が大きな要因であると考えられます。そのため、現状よりも年収を上げたいと考えている方は、大手企業に転職を検討するのも良いでしょう。
現場監督として年収を上げるには、主に以下のような方法があります。
年収アップのために取得したい資格として、「施工管理技士」や「建築士」があります。
施工管理技士は、建設業法第27条に基づく国家資格です。資格の性質上、受験資格として実務経験を有していることが不可欠の要件となります。
施工管理技士には、土木施工管理技士・建築施工管理技士・電気工事施工管理技士・電気通信工事施工管理技士・管工事施工管理技士・造園施工管理技士・建設機械施工技士の7種類があります。
それぞれの施工管理技士において1級と2級とに区分され、施工管理技術検定試験が毎年1回実施されます。
▽資格所有の効果▽
資格を取得することにより、公的に一定水準以上の施工技術を有することが認定されます。
建設業法において下記の措置が取られます。
①各施工管理技士は、建設業法に定められる許可の要件として、
・営業所に配置される専任技術者(1級・2級)
・工事現場に配置される主任技術者(1級・2級)
・工事現場に配置される監理技術者(1級のみ)
の資格を満たす者として扱われます。
②経営事項審査において
・1級施工管理技士:5点
・2級施工管理技士:2点
として評価されます。
建築士は、建築士法に基づく国家資格です。建築士の名称を使用して、建築物に関する設計、工事監理、その他業務を行うことができます。
建築士には、扱える建築物の構造・規模などに応じて、一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類があります。
▽資格所有の効果▽
資格を取得することにより、公的に一定水準以上の施工技術を有することが認定されます。
建設業法において下記の措置が取られます。
①各建築士は、建設業法に定められる許可の要件として、
・営業所に配置される専任技術者(一級建築士・二級建築士・木造建築士)
・工事現場に配置される主任技術者(一級建築士・二級建築士・木造建築士)
・工事現場に配置される監理技術者(一級建築士のみ)
の資格を満たす者として扱われます。
②経営事項審査において
・一級建築士:5点
・二級建築士・木造建築士:2点
として評価されます。
建設会社としても、施工管理技士や建築士などの資格を有する現場監督が在籍していると公共工事などの受注も見込みやすくなるため、資格手当を厚くするなどを実施しての年収アップが期待できます。
その他の方法としては、実務経験を積み、魅力ある現場監督経歴を形成して転職することが挙げられます。建設業界は慢性的な人材不足の状態ですので、魅力ある現場監督経歴を有し、必要な資格も取得していれば引く手あまたの状況です。
自身の現場監督経歴や技術力と年収とのバランスが悪いと感じた場合、思い切って転職を検討してみるのも良策と言えるでしょう。
現在は、簡単に転職の可能性を診断するWEBサイトがありますので、それらを利用するところから始めてみるのも良いのではないでしょうか。
以上、現場監督の業務内容や年収、業種別の年収、年収を上げる方法について解説しました。
現場監督は、高い施工管理能力(工程管理・原価管理・品質管理・安全管理)や資質(応用力・リーダーシップ・新たな技術の習得)を求められます。それだけに、建設現場において培われた施工管理能力と資質を備えた現場監督の市場価値は、非常に高くなります。
また、現場監督として必要な資格を取得し、魅力ある現場監督経歴を形成して転職を図ることにより、年収アップに繋げることもおすすめですので、現場監督として年収アップをお考えの方は是非検討してみてはいかがでしょうか。