2021年3月5日
家庭で排出される汚水を処理する、浄化槽。これは各家庭の敷地内に設けられており、最も身近な汚水処理方法として利用されています。浄化槽を設置するためには、「浄化槽設備士」の管理のもと、浄化槽の設置工事を行わなければなりません。
そこで当記事では「浄化槽設備士とは?」と題して、浄化槽設備士の仕事内容や資格の取得方法などを詳しく解説していきます。
そもそも浄化槽設備士とは、浄化槽設置工事の現場監督として立ち合う権限を持った国家資格者を指します。
浄化槽は家庭から出る汚水をきれいな水に変えて、公共の水域へ流す重要な装置です。だからこそ浄化槽を設置する際には専門的な知識と高度な技術を有する必要があり、それらを監督する立場の人材は国家資格が必要となるのです。
浄化槽設備士の主な仕事内容は下記の通りです。
まずは工事に必要な施工図を作成します。自身で作成もしくは下請け業者が作成した図面を確認して、施工概要の指示を出します。
浄化槽工事が適切に行われなければ、汚水が公共水域に流出してしまう恐れがあるため、まずは図面上で検証し、適切な施工方法を検討しなければなりません。
実際の工事では浄化槽設備士が立会いのもと工事が行われます。実際に工事をする職人の管理はもちろん、埋設する部分は写真を撮るなど施工記録を作成する必要があります。
埋設する部分で欠陥があると、事態が悪化するまで気づかずに大事となる可能性があります。国家資格者として、責任をもって管理しましょう。
工事を担当した下請け業者との工事金額の調整や支払いなども、多くの企業では現場監督者の仕事の一つになります。
施工方法などを検討した上で、適切な工事費用を調整することが重要です。
浄化槽設備士の資格は、公益財団法人日本環境整備教育センターが年に一度開催する「浄化槽設備士資格試験」を合格することで取得できます。ただし、管工事施工管理技士(1級・2級)の有資格者の場合は、公益社団法人日本環境整備教育センターが実施する「浄化槽設備士講習」の受講でも取得可能です。
浄化槽設備士は施工管理技士と同様国家資格であるため、浄化槽の施工に携わる方は目指すべき資格と言えるでしょう。
以下では浄化槽設備士の資格取得方法について、詳しく解説します。
浄化槽設備士には以下の受験資格があります。まずはご自身が受験資格を有しているかを確認しましょう。
学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
大学 専門学校「高度専門士」 |
1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
2年以上 | 3年以上 |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
その他 | 8年以上 |
浄化槽設備士の受験資格は「最終学歴」と「実務経験」が大きく関係します。最終学歴が指定学科※の大学卒業者の場合、実務経験1年以上で受験資格が得られますが、その他のものに該当する場合は実務経験が8年以上必要になります。
まずはご自身の実務経験が何年以上必要なのか確認しましょう。
※指定学科:土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園、都市工学、衛生工学、電気工学、機械工学又は建築学に関する学科
試験科目は「学科試験」と「実地試験」の2種類に分かれています。この2つの試験を合格することで、「浄化槽設備士」の資格を取得することができます。
以下では各試験内容についてお伝えします。
学科試験はマークシート方式です。内容は、機械工学・衛生工学等、汚水処理法等、施工管理法、法規から出題されます。四択の中から回答を選択するため、試験対策をきちんと行っていれば突破率は比較的高い試験と言えますが、実務経験があっても普段の業務であまり使用しない技法や知識が問われるため、実務経験が長い方もしっかり試験対策を行うと良いでしょう。
実地試験は記述式です。作図などの試験はなく、文章での回答となります。出題内容は施工管理法について問われるため、ご自身の経験などを交えて答えると良いでしょう。
実地試験では現場概要などを答える必要があるため、事前に答えを準備しておくことをおすすめします。その要点を暗記しておくと、スムーズに解答できるため合格率アップに繋がります。
以下では試験対策としてすべき2つのことをお伝えします。
・試験対策問題集を解く
・実地試験の解答を事前に添削してもらう
まず一つ目は「試験対策問題集」を使った学科試験の対策です。学科試験は四捨択一なので完璧に暗記する必要はありません。そのため、いかに問題慣れをしておくかが鍵となるため、何度も反復して試験問題に慣れるようにしておきましょう。
二つ目は「実地試験の解答を添削してもらう」ことです。会社内の有資格者の方や試験対策を行っているセンターでご自身の回答を見てもらいましょう。
実地試験では限られた時間で記述しなければならないため「いかに早く正確な文章が書けるか」が重要になります。事前に添削してもらうと、試験の際に安心して記述できるでしょう。
浄化槽設備士は、浄化槽を設置する業務を行う会社で必要な人材です。ご自身のスキルアップや年収アップにも繋がるため、浄化槽に関する仕事を行う方は是非受験してみてはいかがでしょうか。