【建設業】未経験でも需要あり!現場監督の仕事内容や資格について解説
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【建設業】未経験でも需要あり!現場監督の仕事内容や資格について解説

2021年3月12日

政府主導により、多発する災害対策などへの抜本的強化の影響で公共建設工事予算が増加し、最近のコロナ渦においても建設業界の好景気は維持されています。そのような状況下において、建設業界における現場監督の仕事が、にわかに注目を集めています。本記事では、現場監督の概要や現場監督になる方法、仕事内容、1日のスケジュールについて解説します。

 


 

現場監督の役割とは?

現場監督は、建設現場において、工程・品質・安全などの管理を担当する役割を担います。仕事の内容は多岐に渡りますが、主に「工程管理」「品質管理」 「安全管理」などを行います。
まず「工程管理」とは、工程表に従って作業を進め、遅れや問題が生じた場合は即座に対処し、進行をスムーズに行う業務です。現場監督は作業員に指示を出し円滑に現場を進める重要な役割なので、全体を見通す力が重要になります。次に「品質管理」とは、建築基準や設計図に従い施工を進め、適切なタイミングで品質チェックや検査を実施する業務です。問題があれば、適切な対策を考える必要があるため、対応力が問われます。そして「安全管理」は、作業員の安全な労働環境を確保するため、安全対策の実施・監督、事故防止の取り組みを行います。現場の危険事項を洗い出し、未然に対策を行うことが重要です。

 

現場監督では未経験でもなれる!

現場監督はプロジェクトの成功に大きな影響を与える重要なポジションであり、工程管理や品質管理、安全管理など業務内容も多岐に渡ります。とはいうものの、建設業界は深刻な人手不足を抱えていることから、未経験者を積極的に採用して自社で育てるという動きが増えてきており、未経験者でも現場監督になることができます。
このような企業の多くは教育体制を設けており、入社後に建設業界に関する知識を学ぶ環境が整っているため、研修で基礎知識を学んだり、先輩社員と一緒に実務経験から学びを得ることができます。このような時間を経て、建設プロセスや施工管理に関する知識やスキルを身に付け、現場アシスタントや現場監督として更なる経験を積むことが可能です。
未経験から現場監督になるには努力と学習が必要ですが、適切な教育や経験を積むことで、キャリアを築いていくことはできます。

 

現場監督は求職時に資格があると有利

現場監督の仕事は知識や経験が問われる仕事なので、求職時に資格があると条件交渉などに有利に働きます。例えば、現場監督の経験を積んでいる方であれば「建築施工管理技士」「土木施工管理技士」「建築士」などの建設系の資格を持っていると優遇されることも多いでしょう。しかし、これらの資格は一定数の経験年数が必要になるため、未経験者や経験年数が浅い方にとっては取得することが難しい資格になります。
求職時にこれらの資格があると優遇されることが多いですが、必ずしも建設系の資格がないと不利になるというわけではありません。未経験者の方は、今までの経験をもとに「どんな強みが現場監督の仕事に役立つか」を掘り下げて考えておくようにしましょう。

 

現場監督に求められる3つのこと

現場監督には主に以下3つのスキルが求められますので、それぞれ解説していきます。

①高い応用力
高い応用力は、現場監督において最も重要な要素のひとつと言えるでしょう。建設現場では、どんなに似ているデザインでも面積や施工条件などが全く同じになる物件はありません。オリジナルのデザインをカタチにするためには、現場の状況を把握して適切な指示を出すことが重要です。
また、予期せぬハプニングが発生した時でもスケジュールを意識し、冷静に対応できるような力も重要になります。現場監督にとって臨機応変に対応することは求められる要素であり、計画を実現するためにどのように行動するかを検討することが常に必要になります。

 

②コミュニケーション能力
現場監督は仕事上、クライアントとの打ち合わせが多く、職人や現場のスタッフとの会話も頻繁に行います。相手の意見や気持ちを理解し、自分の考えを明確に伝えることが必要です。とくに、クライアントは建設に関する知識が限られている場合もあるため、相手の立場や目線に合わせた対応が必要になります。
一方で、職人や職長などの専門家ともコミュニケーションを図りながら、適切な判断を下すことが求められます。プロジェクトメンバーと良好な関係を築くことができると、現場を円滑に進めることができるでしょう。

 

③リーダーシップ
現場のリーダーとしては、その場を取り仕切り、必要に応じて指示を出すリーダーシップ能力が求められます。特に安全管理では、誤った判断が作業員のケガや仕事復帰の難しさにつながる可能性があります。そのため、広範な知識と経験を基に現場に適した判断を行うことが重要です。
未経験の場合は判断材料が限られるため、最初は先輩社員や職長さんの指示に従い、正しい判断の観察を行うことが大切です。現時点ですぐに完璧な判断を求められる必要はありませんが、将来必要となるスキルとして意識しておくことが重要です。

 

現場監督の具体的な仕事内容

現場監督の仕事内容には、「施工管理の5大管理」といわれる工程管理、品質管理、安全管理、原価管理、環境管理があります。

工程管理

工程管理は、建設工事の決められた工期を守るためにスケジュール管理を行う業務を指します。
建設工事には、「工期」と呼ばれる建造物完成期限が設けられており、発注者との間で工期内に建造物を完成させる契約が交わされます。各工事の工期を調整しながら全体の工期を守り、工事を完成させる必要があります。数多くの職人などの作業員が建設工事に関わるため、効率良く工事を進捗させるために、各工事の作業ごとに日程調整を行う能力が現場監督に求められます。
また、工程管理は工程管理表を作成して行われます。工程管理表には、「全体工程表」や「月間工程表」、「週間工程表」などがあり、一定期間ごとに作成されます。
他にも、工事業者(下請業者)を管理する「横線式工程表」や作業を管理する「ネットワーク工程表」などさまざまな工程管理表があります。

工程表の種類 工程表の内容
横線式工程表
  • 左列に工事業者を縦に列記し、工事業者欄の右横側に日付ごとの工程が記載された表
  • 工事業者がいつからいつまで担当工事を担うのかを一目で把握できる
ネットワーク工程表
  • 各工事の作業の繋がりを記載した表(丸印と矢印で記載)

 
現場監督は数多くの作業員に対し陣頭指揮を執り工事を円滑に進行させる必要があるため、コミュニケーション能力が求められます。コミュニケーションが不足していると、作業員からの信頼を得られなくなり、工程表通りに作業が進行しなくなる恐れがあります。また、安全管理にも影響を及ぼし、事故を発生させる要因ともなりかねません。

 

品質管理

品質管理は、建設対象物が設計図書や仕様書通りに造られているかの管理を行う業務を指します。具体的には、以下などを点検・確認します。

  • 設計図書に記載されている寸法通りに建設物が造られているか
  • 仕様書に記載されている強度や機能・材質通りに建設物が造られているか

 
点検・確認する手段として、評価対象ごとに決められた試験方法や点検方法などで確認を行い、品質を確保します。また、品質保持を証明するために、施工写真を撮影して記録に残すなどの施工記録を作成することも業務のひとつです。

 

安全管理

安全管理は、建設現場において安全な環境で工事作業を行えるように整備し、事故を起こさないように管理する業務を指します。
その対策として、以下などを進めます。

  • KYK:危険予知活動
  • 5S運動:整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)
  • ヒヤリハット運動

 
また、下請業者や職人などの作業員を集め、安全対策としての知識や意識向上のために、毎日下表のような準備・点検・確認を行います。

安全確認時期 安全管理の実施内容
作業開始前 準備体操、朝礼、作業開始前の点検・確認 など
作業中 作業の指導・監督・注意、工事現場の巡回・点検 など
作業終了後 工事現場の整理整頓・清掃、就業時の会議 など

 

原価管理

原価管理は、施工計画などに基づき算出した「実行予算」と、建設現場での実際の工事において発生する「原価」を管理して、利益を計上できるように管理を行う業務を指します。
実行予算よりも原価が増える傾向にある場合、利益を計上することができなくなります。現場監督は施工計画の見直しや下請工事業者の変更などを行い、実行予算と原価を調整しながら、利益を計上できるように管理を行います。

 

環境管理

環境管理とは、建設現場に関わる下記3つの環境を管理して整える業務を指します。

  • 自然環境:空気や水、土壌、地盤などに影響が起こらないように考慮すること
  • 周辺環境:騒音や振動、粉塵の被害が現場の周辺住民に起きないように対策すること
  • 職場環境:工事現場で働く人の環境を守り、働きやすい環境を整えること

 
作業環境が頻繁に変化する建設業は、周囲や現場で働く人に与える影響が非常に大きいため、双方に悪い影響が出ないように現場内外の状況についても十分な管理が必要となります。

 

現場監督のスケジュール

現場監督の1日の標準的なスケジュールを下表にまとめます。

作業時間帯 作業内容
7:00 ~ 7:30 現場事務所に出勤、当日の作業日程・工事業者などの確認
8:00 全員集合、準備体操、朝礼(作業員全員の作業日程・工程などの確認)
8:30 作業開始
8:30 ~ 12:00 工事現場の巡回・点検・確認、作業員への指示・命令、工事写真撮影
12:00 作業終了
12:00 ~ 13:00 昼休み、作業員とのコミュニケーション
13:00 作業開始
13:00 ~ 15:00 現場所長や他の現場監督との打ち合わせ(作業工程などの確認)
15:00 ~ 17:30 工事現場の巡回・点検・確認、作業員への指示・命令、工事写真撮影、整理整頓・清掃
17:30 作業終了
18:00 現場事務所にて、作業報告書作成・工事写真整理・作業工程表作成、翌日の建材搬入・搬出、下請業者・作業員などの出入りの確認
19:00 ~ 20:00 帰宅

 
上表の場合、建設現場での作業員の作業時間は8:00~17:00です。現場監督は、その前後の時間帯で点検・確認作業を行う必要があります。したがって、7:00~20:00の時間帯は、監督業務・事務作業などに拘束されることが一般的です。

 

まとめ

以上、現場監督の概要や現場監督になる方法・仕事内容・1日のスケジュールについて解説しました。これまで現場監督といえば、「長時間労働・休み無し」というイメージがつきまとっていました。しかし、政府主導による「働き方改革」の推進により徐々に改善され、残業無し・週休2日の確保が試行錯誤されています。今後は、技術革新などにより、業務の改善が加速すると言えるでしょう。
建設業界は、慢性的に人出不足となっており、指導・監督できる現場監督は、さらに人材不足となっているのが現状です。現場監督を検討される方にとっては建設業界のエキスパートになれる可能性がありますので、是非チャレンジされることをおすすめいたします。

 


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