【業種紹介】建設業の全29業種について!業務内容を詳しく解説
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【業種紹介】建設業の全29業種について!業務内容を詳しく解説

2021年4月1日

建設業界は高い専門性が問われる業界です。そのため建築業を行う会社は、ある条件に満たない場合を除き「建設業許可」の申請が義務付けられています。この建設業許可で定められている工事業種は全29業種あり、それぞれ特徴が大きく異なるため、建設業に携わる方は押さえておくべき情報です。
そこで当記事では「建設業の全29業種」について、業務内容や特徴を詳しく紹介します。建設業に従事している方や建設業界へ転職をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 


 

建設業の特徴

そもそも建設業者の決まりとして、都道府県知事または国土交通省大臣のいずれかより「建設業許可」を受ける必要があります。建設業許可のない工事者は、企画から施工を行う「一式工事」や「500万円以上の大規模工事」が受注できない仕組みになっており、これらの事業を行う際には建設業許可が必須となっています。
ただし、総合的な工事を行う「建築一式工事業」でない場合、かつ1件の請負金額が500万円(税込)未満の場合は、建設業許可がなくても建設業者として事業が可能です。国が定める建設業法施行令によると、500万円未満の工事は「軽微」として解釈されており、建設業許可がない工事者でも問題ないとされています。

 

建設業は全29業種!求められる人材もさまざま

建設業許可には、2種類の「一式工事業」と27種類の「専門工事業」の計29業種に分類されています。一式工事業とは、総合的な企画や設計・計画し建築物を建設する工事で、元請業者として、複数の下請業者を管理し施工する工事などが該当します。
一方で、専門工事業は、各工事を単独で請け負う場合に必要な許可を持っている業者を指します。業種の種類は、電気工事や内装仕上げ工事など27種類にも及びます。建設企業といっても取得している建設業許可によっては、請け負うことのできる業種が大きく異なり、必要とされる人材も様々です。一式工事では幅広い知識や経験が求められることが多く、専門工事ではその工種に関する技術や詳しい知識が必要になります。

 

一式工事業に分類される業種

一式工事に分類される業種は、「土木一式工事業」と「建築一式工事業」の2つです。どちらも工事のプランニングや設計、施工など幅広い業務を行うことのできる建設業許可になります。

土木一式工事業

土木一式工事業は、橋梁工事やダム工事、道路工事などの様々なインフラ整備を行う業者であり、土木一式工事業の許可は大手ゼネコンやゼネコンの一次下請け会社などが有しています。

 

建築一式工事業

建築一式工事業は、ビルやマンションなどの様々な建物を手がける業者で、主に発注者から事業を行う元請業者に必要となる事業許可であり、土木一式工事と同じく大手ゼネコンや一次下請け会社が取得するケースが多いです。

 

専門工事に分類される業種

専門工事に分類される業種は、27業種あります。以下では、27業種の特徴をそれぞれ説明していきます。

大工工事業

大工工事業は「木材の加工又は取付けによる工作物の築造、又は工作物に木製設備を取り付ける工事」を行う事業者を指します。事業内容は、構造体となる柱や壁など工作物を取付ける「大工工事」、仕上げ材や建具、据付什器などを取り付ける「造作工事」が挙げられます。また、造作を生成するための木型などの「型枠工事」も大工工事業のひとつです。

 

左官工事業

左官工事業は「工作物における壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等のコテ塗りや吹付け、又は貼り付け工事」を行う事業者を指します。左官工事業では、コンクリートの土間うちや仕上げ前の下地工事が多いものの、漆喰などの塗り材仕上げの際は仕上げ工事を担当します。また、厨房床などに多い防水モルタルを用いた防水工事は、左管工事と防水工事のどちらでも施工が可能です。

 

とび・土木工事業

とび・土木工事業者は、以下5つの工事を行う業者です。事業範囲が広いため、様々な知識を要する業者として位置付けられています。

  1. 足場の組立て、機械器具や建設資材などの重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て
  2. 基礎工事での杭打ちや杭抜き、および場所打杭を行う工事
  3. 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
    (土工事・堀削工事・根切り工事・発破工事・盛土工事)
  4. コンクリートによって工作物を築造する工事
    (コンクリート工事・コンクリート打設工事・コンクリート圧送工事・プレストレストコンクリート工事)
  5. その他基礎的ないしは準備的工事
    (地すべり防止工事・地盤改良工事・ボーリンググラウト工事・土留め工事・道路付属物設置工事・屋外広告物設置工事・はつり工事・切断穿孔工事・アンカー工事)

 

石工事業

石工事業者は「石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造、又は工作物に 石材を取付ける工事」を行う事業者を指します。主な工事内容は、石積み工事、石張り工事、コンクリートブロック積み工事、コンクリートブロック張り工事です。

 

屋根工事業

屋根工事業は「瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事」を行う事業者を指します。金属薄板にはステンレスやガリバリウム鋼板、トタンなどといった様々な種類があり、屋根工事業では上記だけでなく屋根の断熱工事なども行います。

 

電気工事業

電気工事業は「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」を行う事業者を指します。電気工事業では主に、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、非常用電気設備を含む構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事などを行います。

 

管工事業

管工事業は「冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備の設置、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」を行う事業者を指します。管工事業では主に、冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事を行います。

 

タイル・れんが・ブロック工事業

タイル・れんが・ブロック工事業は「れんが、コンクリートブロック等により 工作物を築造、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事」を行う事業者を指します。タイル・れんが・ブロック工事業では主に、コンクリートブロック積み工事やコンクリートブロック張り工事、レンガ積み工事ヤレンガ張り工事、タイル張り工事、スレート張り工事、サイディング工事を行います。

 

鋼構造物工事業

鋼構造物工事業は「形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事」を行う事業者を指します。鋼構造物工事業では主に、鉄骨工事や橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガスなどの貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、水門などの門扉設置工事を行い、鉄骨の製作から加工・組み立てまでの流れを一貫して請け負う事業者になります。

 

鉄筋工事業

鉄筋工事業は「棒鋼等の鋼材を加工、接合し、又は組立てる工事」を行う事業者を指します。鉄筋工事業では主に、鉄筋加工組立て工事と鉄筋継手工事を行います。

 

舗装工事業

舗装工事業は「道路等の地盤面をアスファルト、コン クリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事」を行う事業者を指します。舗装工事業者は主に、アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事を行います。また、人工芝取り付け工事なども一部、舗装工事に含まれています。

 

しゆんせつ工事業

しゆんせつ(浚渫)工事業は「河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事」を行う事業者を指します。しゆんせつとは、水底面にある土砂などを取り去る土木工事で、通常の土木工事よりも水辺に特化している点が特徴です。

 

板金工事業

板金工事業は「金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事」を行う事業者を指します。板金工事業者は主に、板金加工取付け工事、建築板金工事を行いますが、金属板を屋根に施工する場合など、屋根に関する板金工事は先ほどご紹介した「屋根工事業」に割り当てられます。

 

ガラス工事業

ガラス工事業は「工作物にガラスを加工して取り付ける工事」を行う事業者を指します。ガラス工事業者は主に、内外装におけるガラスの取り付け工事を行いますが、ガラスサッシなど建具として利用されるガラス施工は、後ほどご紹介する「建具工事業」に含まれます。

 

塗装工事業

塗装工事業は「塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗り付け、又ははり付ける工事」を行う事業者を指します。塗装工事業者は主に、塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事を行います。内外装の仕上げ前下地処理や最終仕上げ、さらには塗料を使ったコーティングなどがメインの仕事です。

 

防水工事業

防水工事業は「アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事」を担当する事業者を指します。防水工事業者は主に、アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事を行います。ただし、ここで指す防水工事はあくまで建築系(屋上や厨房床など)の防水工事であり、土木系(トンネルなど)の防水工事は含まれません。

 

内装仕上工事業

内装仕上工事業は「木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事」を担当する事業者を指します。内装仕上工事業者では主に、インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、 内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事を行います。

 

機械器具設置工事業

機械器具設置工事業は「機械器具の組立て等により工作物を建設、又は工作物に機械器具を取付ける工事」を行う事業者を指します。機械器具設置工事業者は主に、プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事などを行います。ただし機械器具設置に伴い、電気工事、電気通信工事、消防施設工事に触れる場合は、それぞれの許可を有する事業者へ依頼が必要になります。

 

熱絶縁工事業

熱絶縁工事業は「工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事」を行う事業者を指します。熱絶縁工事業者は主に、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事を行います。また、ウレタンを使った吹付け断熱工事も熱絶縁工事のひとつです。

 

電気通信工事業

電気通信工事業は「有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事」を行う事業者を指します。電気通信工事業者は主に、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、TV電波障害防除設備などの工事を行います。

 

造園工事業

造園工事業は「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化、又は植生を復元する工事」を行う事業者を指します。造園工事業者は主に、植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事を行っており、町やビルの緑化工事は造園工事業の仕事になります。

 

さく井工事業

さく井(せい)工事業は「さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事」を行う事業者を指します。「さく井」とは井戸を掘ることで、さく井工事業は主に、さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事を行います。

 

建具工事業

建具工事業は「サッシやシャッターの取り付けなど、建具を設置する工事」を行う事業者を指します。建具工事業者は主に、金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、 金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア-取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事を行います。

 

水道施設工事業

水道施設工事業は「上水道、工業用水道などのための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を設置する工事」を行う事業者を指します。水道施設工事業者は主に、取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事を行いますが、上下水に関する工事は、土木一式工事や清掃施設工事と関係があるので区分を確認する必要があります。

 

消防施設工事業

消防施設工事業は「火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置、又は工作物に取付ける工事」を行う事業者を指します。消防施設工事業は主に、屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事を行います。

 

清掃施設工事業

清掃施設工事業は「し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事」を行う事業者を指します。清掃施設工事業者は主に、ごみ処理施設工事やし尿処理施設工事を行います。

 

解体工事業

解体工事業は「工作物を解体する工事」を行う事業者を指します。これは2016年6月1日に建設業法の改正によって、とび・土木工事から分離して新設された業種であり、現在ではひとつの専門工事として認定されています。

 

建設業で活用できる主な資格

最後に、建設業で活用できる主な資格について解説します。

一級建築士/二級建築士

建築士は、建築物の設計および工事監理を行う職業の免許を指します。建設業の資格の中でも難易度が高いため、企業内外からの評価が高い傾向にあります。設計者としてスキルアップを目指す方はもちろん、施工管理職に従事している方からも人気の高い資格です。

 

一級施工管理技士/二級施工管理技士

施工管理技士も、建築士と同じく国家資格のひとつで評価が高く、昇進や昇給につながることも多々あります。施工管理技士には複数の種類があり、土木や建築、電気など様々なので、自身の業種にあわせて適切なものを受験しましょう。

 

監理技術者

監理技術者は、日本の建設業において現場の技術水準を確保すべく配置される技術者であることを証明する資格です。大規模の現場に携わりたいと考えている方は、必須資格であることを覚えておきましょう。

 

まとめ

「建設業」と一言でいっても、今回ご紹介した通り実は数多くの業種が存在します。それぞれの業種によって仕事の特色が異なるので、上記を参考に「どんな仕事がしたいか」転職イメージを膨らませてみましょう。

 


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