ゼネコンの離職率は高い?ゼネコンで働くメリットデメリットを解説
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ゼネコンの離職率は高い?ゼネコンで働くメリットデメリットを解説

2021年5月11日

ゼネコンは建設業界を牽引し、建設業に関わる総合的な業務を行うリーダー的企業であるため、建設業界に幅広く関わりたい方には最適な仕事と言えるでしょう。
その一方で転職の際に気になるのが、従業員の「離職率」。やはりハードな一面が多い業界だからこそ、長期的に働けるかどうかを離職率で判断する方も少なくないはずです。

そこで当記事では「ゼネコンの離職率」をテーマに、ゼネコンで働くメリットとデメリットについて解説します。建設業界に興味のある方やゼネコンに転職を希望している方は必見です。

 


 

ゼネコンとは

そもそもゼネコンとは、General Contractor(ゼネラルコントラクター)の略称で、総合建設業者のことを指します。主にビルや公共施設、マンションなどの建設に携わる大型建設業者の総称です。
建設業界では主に営業・設計・施工の3つの職種が合わさり、一つのプロジェクトを行うため、この3職種の人材を抱えて、大型物件に総合的に取り組む企業がゼネコンなのです。

ゼネコンの特徴は、企画・設計から施工までを一貫して行える総合性と、幅広いコネクションです。やはり大型物件になると長期案件が多いため、プロジェクトを統括する立場が必要になるでしょう。ゼネコンの場合、プロジェクトすべてを総合的に行えるため、クライアントの負担を減らしながら総合的な推進が可能になります。
また、物件規模によっては、ゼネコン同士でJV(※共同企業体)を組織し、連携してプロジェクトに挑むことも多いです。
このように幅広いネットワークを駆使すると、物件の難易度に合わせた効率的な取り組みを実現することができます。
とくに都市開発やインフラ整備などの大型案件の場合は他企業と積極的にJVを組み、より建設現場に従事する人々の負担を削減しています。

※JV(共同企業体):複数の異なる企業等が共同で事業を行う組織のこと

 

ゼネコンの離職率(新卒3年以内)

建設業界の中でも、ゼネコンの場合は離職率が低下していると言われています。
日刊建設工業新聞社の調査に回答した31社のデータによると、2013年度新卒社員の3年以内の離職率は「10%以上20%未満が4割」に対し、2015年度新卒社員の離職率は「10%未満が全体の4割」と、新卒3年以内の離職率が改善していることがわかりました。

また、スーパーゼネコン(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店)の新卒離職率は5%以内であり、ゼネコンの中でも離職率が低い傾向にあります。
その理由として考えられるのは、やはり「業界の安定性」と「働き方改善の積極的な運動」と言えるのではないでしょうか。
ゼネコンは人々の暮らしを支える重要な企業であるため仕事が長期に渡り計画されており、将来設計がしやすい業界であることが考えられます。
また、近年では働き方改革によって従来のような重労働が見直されており、仕事とプライベートの両立がしやすくなっています。

上記の理由から、新卒3年以内の若手従業員の離職率が低下していると想定できるでしょう。

※参考:日刊建設工業新聞 [2019年3月29日2面]

 

ゼネコンの離職率は高いのか

ゼネコンの新卒3年以内の社員の離職率は低い傾向にありますが、建設業界全体として見ると離職率が高い傾向にあります。
とくに高卒入職者で3年以内に離職する割合は47%を超えており、全産業平均よりも7%も高いことがわかりました。その中でも若手の現場作業員は建設業界で不足しており、今後この状況が続くと職人の高齢化が加速すると言えるでしょう。
この問題を改善するためには、建設業界のハードな一面を緩和し、経験の少ない若手が働きやすい環境を作る必要があるのです。

※参考:厚生労働省「建設業における若年労働者確保の課題について」

 

ゼネコンで離職する理由

近年では離職率が改善されているものの、業界的には人手不足の状態が続いています。以下では「ゼネコン離れが起こる理由」について考えてみましょう。

労働時間の拘束が長い

まず1つ目は「労働時間の拘束が長い」点が挙げられます。大半のゼネコン現場は8時〜17時(9時間拘束)が多く、現場管理に直接関係のない事務仕事は上記時間以外に行う場合が多々あります。そのため仕事をこなすスピードが遅いと残業が増えてしまい、どうしても労働時間が長くなってしまうのです。
これらの要因があり、残業の少ない業界や職種に転職を希望する若手が後を絶たないのかもしれません。

 

体力が必要

2つ目は「体力に対する悩み」が挙げられます。やはりゼネコンの現場は資材搬入などの力仕事も多く「10年後も同じ働き方はできない」と感じる方が多いのです。
しかし近年では、営業職やバックオフィスにジョブチェンジする方も増えてきており、企業に対する関わり方は多様化しています。
体力で離職を検討している方は、他部署への異動も検討してみてはいかがでしょうか。

 

出世しにくい業界構図

3つ目は「出世しにくい業界構図」である点が挙げられます。ゼネコンをはじめとした建設業界の給与方針は、経験年数や知識によって給与が決まる「年功序列」の構図です。そのため、企業規模によっては入社してから3年経っても若手扱いを受ける場合があり、やりがいを感じられない方も少なくないでしょう。
とくに出世欲の強い方にとっては、他業界の方が魅力的に感じるのかもしれません。

 

成長するまで時間がかかる

そして四つ目は「成長するまで時間がかかる」点が挙げられます。ゼネコンの業務は担当物件によって大きく異なります。多くの企業では新卒〜3年目までは修行期間として様々な物件の雑用をすることも多いでしょう。
ゼネコンの業務は成長するまでに多くの時間が必要であるため、その途中でモチベーションが下がってしまう方が少なくないのです。

 

ゼネコンで働くメリット

ここでは、ゼネコンで働くメリットについて考えてみましょう。今回は以下3つのポイントに絞って解説します。

安定した業界

まず1つ目は「安定した業界」であることです。建設業は人々の暮らしを整備する重要な仕事であり、その中でもゼネコンは大型案件を対応するトップ企業です。そのため業界は長期的に安定しており、今後もさらなる需要が期待されています。
また業界の構図も年功序列なので、長く在籍するほど給与面などの待遇もよくなるでしょう。

 

様々なスキルが身に付く

2つ目は「様々なスキルが身に付く」ことです。ゼネコンは総合的なプロジェクト推進が求められる企業なので、建設の専門知識だけでなくプロジェクトの推進方法や金銭的マネジメントなど幅広い経験ができます。
また最近ではジョブチェンジを認めている企業も多いので、転職せずとも他部署で様々なスキルを磨くことができるでしょう。

 

労働環境が整備されつつある

そして3つ目は「労働環境が整備されつつある」ことです。以前まで建設業界は残業が多く、従業員の負担が大きいイメージがありました。しかし働き方改革により、業界全体の課題を解決するために様々な取り組みが行われています。
この整備は今後も継続的に行われるため、より働きやすい環境が作られていくでしょう。

 

ゼネコンで働くデメリット

その一方で「ゼネコンで働くデメリット」についても考える必要があります。今回は以下2つのポイントについて解説します。

怪我のリスクがある

まず1つ目は「怪我のリスク」です。現場作業を担当する部署の場合、怪我のリスクがあります。やはり現場は刃物や火気、さらには塗料などの危険物を使用するため、ご自身の注意不足から怪我を負ってしまうこともあるでしょう。そのため、現場を担当する方は十分に気をつける必要があります。

 

危険が伴う仕事もある

そして二つ目は「危険が伴う仕事もある」ことです。ゼネコンの業務では、高所作業や大物の搬入など危険が伴う仕事が多々発生します。その際は自分だけでなく他作業員にも気を配りながら作業をしなければなりません。
そのため施工管理者を志望する方は危険を予測して対策をたてる能力が重要になります。

これらのデメリットは、従業員や職人の命に関わる大きな問題でもあるため、企業側で積極的な取り組みを行っています。具体的には危険撲滅のために定期的に安全指導を開催したり、施工管理者や職人の勉強会を設けています。
これらの問題が起こらぬよう、企業の指導下で正しい知識を身につけるようにしましょう。

 

まとめ

多くのゼネコンでは、従業員が働きやすい環境を実現するために様々な取り組みを行っています。
また従業員の声を真摯に受け止める企業も多く、自由な風土が好きな方には最適の業界と言えるでしょう。

 

 


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