CPDとは?概要やメリットを解説
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CPDとは?概要やメリットを解説

2021年6月1日

公共工事で実施されている落札方式の中に「総合評価落札方式」という落札方式があり、その方式の「施工能力評価型」の評価方法の中の項目として「配置予定技術者」があります。
「配置予定技術者」においてCPD制度の配点が設定されているため、公共工事の落札に影響を与える一因となっており、CPD制度を活用する有資格者・技術者が増加しているのです。
しかし、「そもそもCPDとは何なのか?」と、よくご存じでない方も多いと思われます。

そこで当記事では、CPDの概要や企業としてのメリット、個人としてのメリット、CPDとCPDSの違いを解説します。
CPDの重要性を理解することができ、セミナーや講習を受講する必要性を実感することができるでしょう。

 


 

CPDとは

CPDは、技術士や建築士・建築施工管理技士・土木施工管理技士などを対象にした継続教育制度です。有資格者である技術者がセミナーや講習を受講することにより、「CPD単位」が受講者に与えられる制度となります。
プログラム(セミナー、講習会)を受講することにより以下を図ることで、自己研鑽を促し客観的評価を可能にします。
・継続的に能力開発を促進
・「CPD単位」として見える化


資格によっては更新制度のないものもあるため、自己研鑽を怠る技術者も中にはいます。そのためCPD制度は、継続的に自己研鑽を行っている技術者とそうでない技術者とを区別する制度ともいえ、現在多数の行政機関が、建設工事の入札などでCPD単位を加点等評価の対象にしているのが現状です。

業務の国際化・業際化の進展や雇用情勢の変化などにより、技術者の継続教育(CPD:Continuing Professional Development)の必要性が、益々一般的に認識されるようになっています。
高度化・多様化した社会において、新たな問題や課題に対して的確に応えるためには、専門分野以外にも幅広い領域において深い技術の習得が必要になります。それらに対応するために、多数の継続教育プログラムの中から自身が必要とするプログラムを選択し、社会のニーズに合った技術力の向上が望まれます。

建設系CPD協議会

CPDは、建設系CPD協議会によりまとめられています。主な加盟団体を列記すると以下になります。
・公益社団法人 土木学会
・公益社団法人 日本建築士会連合会
・公益社団法人 技術士会
・公益社団法人 日本都市計画学会
・公益社団法人 日本造園学会
・一般社団法人 全国土木施工管理技士会連合会
・一般社団法人 建設コンサルタンツ協会
・一般財団法人 建設業振興基金

各加盟団体が認定するセミナーや講習会の受講実績が「CPD単位」として認定され、受講者の技術向上に対する実績を対外的に証明可能にする仕組みで、技術士や建築士・建築施工管理技士・土木施工管理技士などの資格取得者であれば、誰でも参加できます。
また、「CPD単位」の取得は、受講者以外にも、受講者が所属する建設会社・設備会社などにもメリットをもたらします。

 

CPD制度の最新動向

加盟団体のひとつである一般財団法人建設業振興基金は、CPD制度の拡大をとくに図っています。
「電気工事施工管理技士」と「管工事施工管理技士」を新たな対象として加え、「建築・設備施工管理CPD制度」として2018年4月より開始しました。
今後は、土木・建築・電気工事・管工事の施工管理に関わる技術者が「CPD制度」を活用できることとなったため、建設業界に携わる幅広い技術者の専門知識や技術力の向上が図られ、地位向上に貢献できる制度となるでしょう。

 

企業としてのメリット

建設会社や設備会社などが公共工事の入札(総合評価落札方式)をする場合、企業が公共工事を落札するためには持ち点が重要になるため、「CPD単位」の取得は大きな力を発揮すると言えるでしょう。
会社の持ち点は、技術士や建築士・建築施工管理技士・土木施工管理技士などの有資格者の人数だけでなく「CPD単位」も対象となり、技術力を計る指標として評価されます。会社の持ち点が上がることで公共工事の落札率を高めることになり、会社に大きな利益をもたらします。
したがって、「CPD単位」の多い取得者は、会社に対して多大なる貢献をすることができるのです。

 

個人としてのメリット

次に、CPD制度における個人としての主なメリットは以下になります。

個人のスキルアップ

個人のスキルアップを図る場として、主に施工5大管理といわれる工程管理・品質管理・安全管理・原価管理・環境管理に関する最新情報や最新技術・工法などを学習する機会は重要です。
特に中小企業や零細企業の社員にとっては企業内研修が整っていないことが多いため、CPD制度は有効な学習の場となり得るでしょう。
また、経営者側としても社内教育に重点を置きたい要望がある際、人材不足などで教育できる社員がいない場合にCPD制度の活用は良策と言えます。

 

他社との違いを認識

所属する会社での日々の業務において、自社の方法に精通できたとしても他社の方法はどうなのかを知る機会は一般的にありません。そのような際にCPD制度を活用することで他社の技術者との交流をもつ機会ができ、他社の方法や技術レベルなどを把握することができるとともに、自社や自身の技術レベルを相対的に把握することができます。
場合によっては自社や自身の技術レベルの低さに気づくことができ、自己研鑽の必要性を痛感し、モチベーションアップにつながることもあります。したがって、自身の技術レベルを相対的に把握することは今後の将来設計にも影響を与えるため、大変重要と言えるでしょう。

 

個人のキャリアアップ

建設業界においては、慢性的な人手不足や高齢化が進行しています。それらの世代間ギャップなどに伴い、専門技術の継承という点では恵まれない若手技術者も多く、業務が滞る事態にもなり兼ねない状況です。とくに中小企業や零細企業になるほどその傾向は強く、将来に不安を感じる技術者も少なくありません。
そこでCPD制度を活用することにより、建設業界におけるキャリア形成の内容を知ることができ、将来を具体的にイメージすることが可能となります。
上記のことから、CPD制度は将来設計を立案することができ、キャリア形成に貢献できる制度と言えるでしょう。

 

CPDとCPDSの違い

CPDの他にCPDS(Continuing Professional Development System)という似た用語があります。
CPDとCPDSの違いは運営団体の違いになり、それぞれの運営団体は以下になります。
・CPD:建設系CPD協議会
・CPDS:一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会(以下、全国技士会)


全国技士会とは、都道府県にある土木施工管理技士会や橋梁建設・塗装・現場技術を専門とした技士会など、合計50の技士会から成る連合体を指します。
ただし、全国技士会は建設系CPD協議会に加盟している団体であるため、他の加盟団体の登録者であっても、全国技士会のセミナーや講習受講証明書の発行により加盟団体のユニット登録申請が可能となっています。
CPDとCPDSの内容の違いはほぼありませんが、CPDSは土木施工管理技士の専門知識や技術力・倫理観の向上を図る目的の教育システムとなっています。

 

まとめ

以上、CPDの概要や企業としてのメリット、個人としてのメリット、CPDとCPDSの違いを解説しました。
CPDは技術者の継続教育のことで、CPD単位を取得することにより自身のスキルアップを図ることができるということがご理解いただけたのではないでしょうか。
また、勤務先企業の持ち点にも加算され、公共工事の落札に対して有利にはたらくとともに自身のキャリアアップや他社との相対的な技術力の把握にも役立つ制度であるため、今後益々ニーズは高まるものと想定できますので、積極的にCPD制度の活用をしていくことをオススメします。

 

 


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