土木工事に資格は必要?資格の種類や難易度を解説
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土木工事に資格は必要?資格の種類や難易度を解説

2021年6月1日

土木工事の現場では、様々な法律に基づいて複数の専門工事が進行し、多種多様な技術者や建設機械が稼働しており、ひとつひとつが一糸乱れることなく工程通りに品質良く利益を出しながら安全に行われる必要があります。それらの業務遂行力を、客観的に専門知識や技能で計るのが資格となります。

そこで今回は、当社の独自基準により「土木工事のおすすめ資格10選」を挙げ、それぞれ解説していきます。
資格の概要や受験資格、難易度なども把握することができるため、ぜひ最後までご覧ください。

 


 

土木工事の仕事内容

土木工事は、インフラ整備に伴う工事が大半となり、具体的には下記になります。
・交通インフラである道路・鉄道・港湾・空港などに伴う、橋梁・トンネル・擁壁・舗装・上下水道
・災害対策などとして山林・河川・海岸などに伴う水門・護岸・ダム工事(貯水・利水・砂防)

また、それらの工事現場においては、下記のような作業が発生します。
・山や河川・海岸などの掘削・埋立て・発破
・大型運搬車による建設資材の搬入・搬出
・クレーンによる工事現場敷地内での建設資材の水平・上下移動
・工事現場内での加工(鉄筋の配筋・溶接、コンクリート打設など)

そのため、工程管理・品質管理・原価管理・安全管理・環境管理などの管理業務が必要になるため、作業従事者には熟練技術や専門知識などが要求されます。

 

資格を取得するメリット

土木工事の仕事内容は広範囲にわたり、専門性が高く危険な作業が多くなります。そのため、多くの工事において、法律による資格保有者の配置が決められています。
自身が従事する業務において相応しい資格を取得することにより、現場経験と相まってスキルアップやキャリアアップにつなげることができます。
スキルやキャリアを積み上げておくことで、将来的にはそれらを高く評価する建設会社などが現れ、転職する際にも有利にはたらくでしょう。

 

土木工事のおすすめ資格10選

ここでは、当社の独自基準で選定した「土木工事のおすすめ資格10選」を挙げていきます。それぞれの資格について、概要・おすすめ理由・受験資格・受験費用・難易度を解説します。
なお、難易度については五つ星で評価します。

資格①「1級土木施工管理技士」

下表に「1級土木施工管理技士」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 国土交通大臣指定機関が実施する国家資格です。1級資格取得者は、土木工事のあらゆる分野において主任技術者・監理技術者になることができます。
施工5大管理といわれる工程管理・品質管理・安全管理・原価管理・環境管理を中心に業務を行います。
おすすめ理由 土木施工管理技士の需要は高止まり状態です。資格保有者がいることで公共工事などの受注だけでなく、自身のキャリアや収入アップにもつなげることができます。
受験資格
  • 大学の指定学科卒業後3年以上の実務経験(指定以外4年6か月以上)
  • 短期大学もしくは高等専門学校の指定学科卒業後5年以上の実務経験(指定外7年6か月以上)
  • 高等学校の指定学科卒業後10年以上の実務経験(指定外11年6か月以上)
  • その他の学歴で15年以上の実務経験
  • 2級合格者で5年以上の実務経験 ほか
受験費用 学科試験:8,200円、実地試験:8,200円
難易度 ★★★ 難易度は普通
学科試験合格率:54.7%、実施試験合格率:45.3%(令和元年度)

 

資格②「2級土木施工管理技士」

下表に「2級土木施工管理技士」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 国土交通大臣指定機関が実施する国家資格です。2級資格の試験内容は、「土木」「薬液注入」「鋼構造物塗装」に分類され、各試験で合格した分類内容の主任技術者になることができます。
おすすめ理由 土木施工管理技士の需要は高止まり状態です。資格保有者がいることで公共工事などの受注だけでなく、自身のキャリアや収入アップにもつなげることができます。
受験資格
  • 大学の指定学科卒業後1年以上の実務経験(指定外1年6か月以上)
  • 短期大学もしくは高等専門学校の指定学科卒業後2年以上の実務経験(指定外3年以上)
  • 高等学校の指定学科卒業後3年以上の実務経験(指定外4年6か月以上)
  • その他の学歴で8年以上の実務経験
受験費用 学科・実地:8,200円、学科のみ:4,100円、実地のみ:4,100円
難易度 ★★ 難易度は簡単
学科試験合格率:67.1%、実施試験合格率:39.7%(令和元年度)

 

資格③「技術士」

下表に「技術士」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 公益社団法人日本技術士会が認定する国家資格です。土木工事における技術調査・設計・工事監理など、監理業務を担当する役割を担います。従事する企業としては主に下記になります。
– 建設会社
– 建設コンサルタント
おすすめ理由 技術士1人につき評価点5点がプラスされ、公共工事を入札する上で有利になります。キャリアアップや転職などにも有利にはたらきます。
受験資格
  • 第1次試験:不問、第2次試験:実務経験7年以上
  • 技術士補:実務経験4年以上
受験費用 技術士第2次試験:14,000円
難易度 ★★★★★ 難易度は超難関
第二次試験合格率:9.4%(令和元年度)

 

資格④「技術士補」

下表に「技術士補」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 公益社団法人日本技術士会が認定する国家資格です。技術士の補助担当の役割です。
下記の情報を国家登録することで技術士補になります。国家登録しない場合は技術士補にはなれませんので注意が必要です。
– 技術士第1次試験の合格者
– 指定された教育課程の修了者
おすすめ理由 キャリアアップや転職などにも有利にはたらきます。
受験資格 不問
受験費用 技術士第1次試験:11,000円
難易度 ★★★ 難易度は普通
第一次試験合格率:47.6%(令和元年度)

 

資格⑤「測量士」

下表に「測量士」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 公益社団法人日本測量協会が認定する国家資格です。測量士は、その測量計画を作成・実施する最高責任者となり、街や道路などを計画する際、その基になる土地の位置・長さ・面積・高低差などの正確なデータを取得する役割となります。
おすすめ理由 土木工事を進めていく上で、計画・設計・施工・竣工まで一貫して必要となる業務です。
特に工事現場では、掘削・埋立て・配筋・コンクリート打設などの寸法が建造物の品質に直接影響するため、なくてはならない技能となります。
受験資格 不問
測量士補から測量士になる場合、実務経験は求められません。
受験費用 4,250円
難易度 ★★★ 難易度は普通
合格率:14.8%(令和元年度)

 

資格⑥「測量士補」

下表に「測量士補」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 公益社団法人日本測量協会が認定する国家資格です。上記測量士の概要に加え、測量士補は主として現場において実際の測量を行い、土木構造物の建設に不可欠となる建設予定地の基礎データを収集します。
おすすめ理由 土木工事を進めていく上で、計画・設計・施工・竣工まで一貫して必要となる業務です。
特に工事現場では、掘削・埋立て・配筋・コンクリート打設などの寸法が建造物の品質に直接影響するため、なくてはならない技能となります。
受験資格 不問
特定の教育機関で測量に関する専門教育を修了することで取得できますが、一定期間の実務経験を求められます。
受験費用 2,850円
難易度 ★★★ 難易度は普通
合格率:35.8%(令和元年度)
ただし国家試験で取得する場合、合格率は低くかなりの難関です。

 

資格⑦「コンクリート診断士」

下表に「コンクリート診断士」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 公益社団法人日本コンクリート工学会が認定する民間資格です。コンクリート構造物の健全性を診断して問題個所を早期に発見し、必要な維持管理を実施できる一定水準以上の知識と技術を有する技能者として認定されます。
おすすめ理由 活躍できる企業としては、主に下記になります。
– 建設会社、建設コンサルタント
– コンクリート構造物の調査・診断会社
– コンクリート製品の製造会社

現状有資格者数は少ないため昇給・昇格に有利にはたらき、転職にも有利となります。
受験資格 コンクリート診断士講習会の修了者で、以下のいずれかの条件を満たす者

  • コンクリート主任技士、コンクリート技士、一級建築士などの資格保有者
  • 大学もしくは高等専門学校(専攻科)でコンクリート技術に関する科目を履修して卒業後、4年以上の実務経験を有する者
  • 短期大学もしくは高等専門学校でコンクリート技術に関する科目を履修して卒業後、6年以上の実務経験を有する者
  • 高等学校でコンクリート技術に関する科目を履修して卒業後、8年以上の実務経験を有する者
受験費用 受講料:21,600円、受験料:10,800円
難易度 ★★★★ 難易度は難関
合格率は非公開

 

資格⑧「コンクリート技士/主任技士」

下表に「コンクリート技士/主任技士」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 公益社団法人日本コンクリート工学会が認定する民間資格です。
コンクリート技士は、コンクリートの製造や施工、検査、管理に携わる技術者です。
コンクリート主任技士は、コンクリートの製造や工事、研究において、計画や施工、管理、指導を行う技能を認定された技術者です。
おすすめ理由 コンクリート構造物はいたるところに存在するため、需要が多くなります。
受験資格 【コンクリート技士】

  • 実務経験3年以上
  • 大学・短大・高等専門学校・高校のコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者で実務経験2年以上

【コンクリート主任技士】

  • コンクリート技士合格後2年以上
  • 大学・短大・高等専門学校のコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者で実務経験4年以上
  • 高校のコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者で実務経験5年以上
受験費用 コンクリート主任技士:11,000円、コンクリート技士:8,800円
難易度 ★★★ 難易度は普通
コンクリート技士合格率は29.5%(令和元年度)

 

資格⑨「下水道技術検定」

下表に「下水道技術検定」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 日本下水道事業団が認定する公的資格です。
下水道技術検定は、下水道の計画設計から設置・改築工事・維持管理に至るまで、総合的な下水道技術を問う資格検定試験です。
おすすめ理由 下水道は、市街化区域内においてほぼ張りめぐらされており、改築工事・維持管理工事は常に発生するため需要の高い資格となります。
受験資格 不問
受験費用 9,200円
第1種技術のみ:12,300円
難易度 第1種技術:★★★★ 難易度は難関
第2種技術:★★★ 難易度は普通
第3種技術:★★★ 難易度は普通
管理技術:★★★ 難易度は普通

 

資格⑩「1級・2級舗装施工管理技術者」

下表に「1級・2級舗装施工管理技術者」の基本情報をまとめます。

項目 内容
概要 一般社団法人日本道路建設業協会が認定する民間資格です。
道路における多様化・高度化したニーズに対して、応えることのできる技術者の育成のために実施される資格です。
おすすめ理由 道路は全国に張りめぐらされているため、新設・維持管理を必要とする道路はいたるところにあり、それだけ需要は高くなります。
受験資格 【1級】

  • 大学の指定学科卒業者で実務経験3年以上、指定以外で4年6か月以上
  • 短大もしくは高等専門学校の指定学科卒業者で実務経験5年以上、指定以外で7年6か月以上
  • 高校の指定学科卒業者で実務経験10年以上、指定以外で11年6か月以上
  • その他の者で実務経験15年以上 ほか

【2級】

  • 大学の指定学科卒業者で実務経験1年以上、指定以外で1年6か月以上
  • 短大もしくは高等専門学校の指定学科卒業者で実務経験2年以上、指定以外で3年以上
  • 高校の指定学科卒業者で実務経験3年以上、指定以外で4年6か月以上
  • その他の者で実務経験8年以上 ほか
受験費用 1級:15,000円、2級:8,000円
難易度 1級:★★★ 難易度は普通
2級:★★ 難易度は簡単

 

まとめ

以上、土木工事の仕事内容や資格を取得するメリット、「土木工事のおすすめ資格10選」について解説しました。
資格によっては受験資格を満たさないと受験できないものや、受験資格を不問とし誰でも受験できる資格があり、いずれも自身のスキルアップやキャリアアップを見据えて必要な資格を順次取得していく必要があります。
また、資格を取得するほど資格手当・技能手当などが加算され給与に反映し、年収アップにもつながる可能性が高くなります。
自身のライフプランの幅を広げる意味でも、資格取得に向けて前向きに取り組まれることをおすすめいたします。

 

 


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