技能労働者とは?技術者との違いを解説
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技能労働者とは?技術者との違いを解説

2021年6月1日

現場でよく耳にする、技能労働者。とくに施工管理者であれば一度は聞いたことのある言葉でしょう。しかしその定義を聞かれると、理解不足の方も多いはずです。
そこで本記事では「技能労働者」に着目して、技能労働者の説明やつい混同してしまう「技術者」との違いについて説明します。

 

技能労働者とは

そもそも技能労働者とは、建築物の一部の専門工事を行う技術者です。主に建設現場において実際に建築作業を行う作業員を指します。つまり、技能労働者は設計図を実際の建築物として建てるために専門分野の工事を行う人であるため、大工さんやとび職も技能労働者に含まれています。

技能労働者とよく混同してしまうのが「技術者」です。技術者とは監理技術者や主任技術者といった現場監督者のことであり、今回紹介する技能労働者とは異なる役職です。

■技術者の職務について(建設業法第26条第3項より)
当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の 技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督

 
あくまで技術者は施工管理を行う者であり、技術者自体は作業を行いません。その代わり現場の実働は技能労働者が作業し、現場を推進していくのです。
ただし、技能労働者のなかで豊富な実務経験がある場合は、技術者としての職務を兼任することもあります。

技能労働者に関しては上記のような定義はないため、このように現場の状況に合わせて役割が変化する場合があることを覚えておくとよいでしょう。

 

技能労働者と技術労働者の違い

続いて「技能労働者」と「技術者」の違いについて解説します。

技能労働者の位置付け

技能労働者は先ほど申し上げた通り、実際の作業を行う職人さんです。現場管理などの全体指揮ではなく、自らが作業を担当する作業員の位置付けになります。そのため現場では一次下請け業者や二次下請け業者として現場入場することが多いです。

技能労働者を定義づける法律は現状ありませんが、以下法律では技能労働者に対し規定が設けられています。

建設業法第24条の6において、元請で請けた特定建設業者に対し、下請が、建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定に違反しないよう指導する努力義務が課せられている。
また、建設業法第26条の3第2項は、「建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理 技術者がその職務として行う指導に従わなければならない」旨規定している。
※参考元:「技能労働者」国土交通省

 
これによると技能労働者は、労働基準法や職業安定法、さらには労働安全衛生法に準じた作業や技術者の指導に従う義務があります。あくまでも現場監督者は元請けである技術者であるため、これらの意見に準じて行動する必要があります。

 

技術者の位置付け

技術者は先ほども述べた通り、監理技術者や主任技術者といった現場管理者を指します。監理技術者や主任技術者は技能労働者を管理する役割であり、先ほどの法律の通り下請け業者や技能労働者への指導も義務付けられています。
実際に手を動かす技能労働者とは異なり、技術者の役割は品質・安全・工程・原価・環境の管理であるため、細かな作業は技能労働者へ任せて、技術者はチェック役を担います。実際の作業員とチェック役を分けることにより、工事の出来栄えを正確に判断できるようになるのです。
建設業法第26条の3第2項にもある通り、技術者が下した是正指示は技能労働者が対応する必要があります。技術者と技能労働者の関係性は、建設業界の元請け下請けの関係と同じく「上下の構造」であると言えるでしょう。

 

技能労働者の工事種類

技能労働者の工事種類は様々です。そこで以下では技能労働者の工事種類を簡単にご紹介します。

鳶工(とび)・ボーリング工・測量技師・山留め工・基礎工・堀削工・型枠大工・型枠解体工・鉄筋工・土工・コンクリート圧送工・左官工・溶接工・鉄骨検査工・耐火被覆工・防水工・シーリング工・カーテンウォール工・石工・タイル工・サッシ工・ガラス工・塗装工・軽量鉄骨工・ボード工・造作大工・床シート工・ALC工・舗装工・電気工・空調ダクト工・配管工・エレベーター工

 
これらの技能労働者がそれぞれの技術で工事を行っていくため、一つの工事を完了するには様々な技能労働者が関わります。そのため工種は数多く、様々な技能労働者が従事しているのです。

 

登録基幹技能者

技能労働者の中でも特別な存在が「登録基幹技能者」です。以下では登録基幹技能者の概要を説明します。

登録基幹技能者とは

登録基幹技能者とは、国土交通大臣が登録した専門工鉱業事業団体の資格認定を受けた技能者を指し、技能労働者の中でも経験が豊富で、幅広い知識を有している方が登録されます。
この登録基幹技能者になると、熟達した作業能力と豊富な知識、さらには高いマネジメント能力を有した人材であることが認知されます。現場では職長などの役割を担い、元請の計画・管理業務に参画し、補佐することが期待されるでしょう。
専門工事業団体の認定を受ける必要のある資格なので、技能労働者としてキャリアアップを目指す方にもオススメの資格です。

 

技能労働者と登録基幹技能者の関係

現場での双方の関係性は、登録基幹技能者がリーダーとして、技能労働者への指示出しや現場指導を行います。上記でも触れた通り、登録基幹技能者はその職種において高いスキルを有する職人であるため、自身が作業をしながら同じ工種の職人の指導も担います。
また、技術指導だけではなく安全な作業体制を築くことも重要であるため、作業員の体調管理に気を配り、危険作業の防止に努めるなど様々な配慮も必要になります。
そのため登録基幹技能者はあらゆる角度から技能労働者を育成しなければならないのです。

 

まとめ

技能労働者と技術者は、現場においてどちらも重要な存在です。それぞれの役割が異なるため、ご自身の理想とする働き方を考えて選択するとよいでしょう。

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