2021年6月2日
現在、都市部を中心に街の「再開発」が進んでいます。再開発はこれからの日本を支えていく重要な計画であり、この計画の中心人物となるのが「再開発プランナー」です。再開発プランナーになると、街づくりの専門家として様々な業務を担うことができます。
そこで今回は、「再開発プランナー」に着目して業務内容や必要なスキルに関してご紹介します。都市開発系の仕事を検討されている方や、建設系の業界に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
再開発プランナーとは、一般社団法人再開発コーディネーター協会が毎年1回行う再開発プランナー試験に合格した専門技術者を指します。主にマンションや密集市街地の共同建替え、市街地の再開発事業などの都市開発事業において、街づくりの専門家として業務を行います。
仕事内容は主に、都市再開発の資金計画、権利変換計画、管理運営計画等の作成などで、まちづくりを推進する中心人物として様々な業務を担います。
市街地設備など都市の基盤設備を活かして都市機能を再構築するには、都市や土地の再開発に富む知識や技能が必要になります。そのため、再開発プランナーが中心人物となり、企画・実行していくのです。
また、再開発プランナーの資格は日本で唯一の「再開発専門技術者」の資格になるため、再開発プランナーの称号があれば再開発分野の専門家として活躍することができます。
建築士や施工管理技士のような国家資格ではありませんが、再開発関連の仕事に携わりたい方はぜひ取得することをオススメします。
再開発プランナーになるためには、一般社団法人再開発コーディネーター協会が毎年1回行う「再開発プランナー試験」に合格した上で、再開発プランナーとしての登録が必要です。まずは、再開発プランナー試験について解説します。
再開発プランナー試験は年1回行われます。試験形式は主に筆記(学科・実地)で、学科・実地試験の合格者は実務経験審査に進みます。
以下ではより詳細の内容を説明します。
試験方法は四肢択一のマークシート方式で、試験時間は2時間です。
市街地再開発事業及びマンション建替え事業に係る法律等、都市計画法等関連法規、不動産関連法規、評価・補償、都市再開発に関連する基礎知識が問われます。
学科の得点は100点満点中50点を科目基準点とし、他筆記試験(実地)と合わせて125点以上で合格となります。
試験方法は記述式で、試験時間は3時間です。
市街地再開発事業及びマンション建替え事業の手続き、事業計画及び権利変換計画の作成並びにその他の都市再開発の事業の企画、事業計画及び権利調整に関する知識が問われます。
実地の得点は100点満点中60点を科目基準点とし、他筆記試験(学科)と合わせて125点以上で合格となります。
筆記試験の合格者のみ、実務経験審査に進むことができます。この審査では、筆記合格者が再開発プランナーの資格を与える人材に相応しいかを判断します。
審査内容は筆記と面接で、実務経験3年以上の筆記合格者が申し込み可能となっています。
実務経験審査に合格し、登録することでようやく「再開発プランナー」として称号が付与されます。
この試験が誕生した背景には、既成市街地の再開発の多様化が関係しています。
「再開発」といっても、その実態は都市部の再開発事業やマンションの建替え、中心市街地の活性化、密集市街地の整備など多様化しています。
さらに現在では防災性や都市機能の向上が求められており、従来よりも高い専門知識が必要になりました。
再開発プランナー試験は筆記と実務経験審査に分かれており、筆記試験は満20歳以上の方であればどなたでも受験可能です。
その一方で実務経験審査は、3年以上の実務経験が必要になります。そのため再開発事業に関して未経験の方が「再開発プランナー」になることはできませんが、筆記試験合格後に実務経験を積むことは可能です。
まだ実務経験のない方でも筆記試験は受験可能ですので、まずは筆記試験から挑戦することをオススメします。
再開発プランナーは街づくりの専門家として、様々なスキルが求められます。以下では再開発プランナーとして必要なスキルを3つご紹介します。
一つ目は「街づくり全体に関する知識」です。再開発プランナーになると、マンションから市街地など様々なシーンの再開発案件を担当しなければならないため、街づくり全体に関する幅広い知識が必要になります。
関わりのある分野以外の知識も必要になるため、実務とは別に勉強することをオススメします。
二つ目は「防災に関する知識」です。災害の多い日本では、都市開発や既成市街地の再開発の際に災害対策は欠かせません。万が一の災害時に備えて、インフラに支障が出ないよう整備する必要があります。そのため防災に関する知識を有し、プランに対して的確なアドバイスをすることが重要となります。
三つ目は「経験に基づく物件推進能力」です。街づくりはその土地の特徴や人口に合わせて多様化しています。そのため型にはめるやり方ではなく、その物件に合わせてアレンジを加える必要があります。
再開発プランナーは、3年以上の実務経験のある者が担える仕事ですので、自身の経験を踏まえて最適解を提案するようにしましょう。
続いて再開発プランナーの就職先や年収についてご紹介します。再開発プランナーについて更に理解を深めましょう。
再開発プランナーになると、都市開発やマンションや密集市街地の共同建替えなど様々な分野の再開発を担当するため、再開発プランナーは下記のような企業で活躍する方が多いです。
– ゼネコン
– 不動産会社
– 地方公共団体
– 都市再生機構
– 都市開発事業を有する会社
– マンションの建て替えを手がけるコンサルタント会社
民間企業だけでなく地方公共団体や都市再生機構といった公的団体でも活躍が期待できます。それぞれの企業や団体で取り組むジャンルが異なるため、どのような分野で働きたいかを考えるとよいでしょう。
また、再開発プランナーの資格保有者は少ないため、転職時にも有利に働きます。ぜひ興味のあるジャンルに挑戦してみてはいかがでしょうか。
再開発プランナーの年収について平均的な数値は発表されていませんが、求人情報によると450万円〜730万円の企業(都内)が多くあります。転職時に再開発プランナーのスキルを有していると条件交渉で有利に働くでしょう。
また、ゼネコンや不動産会社などの募集を確認すると、再開発プランナーの資格は「歓迎スキル」となっており、保有していなければならないスキルではないようです。都市開発事業に関して未経験の場合も採用している企業は多くあるため、まずは転職サイトで検索することをオススメします。
再開発プランナーは数多くの知識と経験が必要な職種です。そこで、再開発プランナーに向いている人の特徴についてご紹介します。
都市開発は長い時間をかけて取り組みます。ひとつのプロジェクトが完了するまで、少なくとも5年〜10年の歳月は必要になるでしょう。長い年月をかけて完成させるので、根気強く仕事が行える人は向いている人材と言えるでしょう。
都市開発はその街のあり方を変えるほどの影響力をもっています。だからこそ細かな部分にも気を配り、着実に成功させなければいけません。つい見落としがちな小さな問題に目を向けられる方は、再開発プランナーに向いている人材です。
再開発プランナーは街の問題点を洗い出し、解決する業務を担っています。そのため街そのものに強い関心のある方や、人々の住む街をよりよくしたいと考えている方は再開発プランナーにぴったりの人材と言えるでしょう。
以上、再開発プランナーの業務内容や必要なスキル、資格についてご紹介しました。
再開発プランナーはまちづくりの専門家として様々な業務を担っています。また、再開発プランナーの資格は再開発専門技術者として日本で唯一の資格であり、取得をすることで街づくりに関する様々なスキルを有する専門家として認識されますので、街づくりに興味のある方はぜひ取得資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。