2級土木施工管理技術検定での不正は絶対NG!合格取消や受験資格の剥奪も
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2級土木施工管理技術検定での不正は絶対NG!合格取消や受験資格の剥奪も

2021年6月2日

多くの施工管理者は「施工管理技士」の資格取得を目指しています。少しでも早く合格したいと考えている方も少なくないでしょう。とはいうものの施工管理技士の試験には受験資格があり、その要件を満たしていない方は残念ながら受験することができません。しかし近年では、実務経験の基準を満たしていないにも関わらず、経験をごまかして受験したケースが発生しました。
そこで今回は、施工管理技士の資格の中でも「2級土木施工管理技士」に着目し、実務経験をごまかして受験するリスクの高さや不正発覚時の処置などをお伝えします。他にも2級土木施工管理技士の試験についても紹介しているので、受験予定の方はぜひ最後までご覧ください。

 


 

2級土木施工管理技士とは

そもそも土木施工管理技士とは、土木工事の総監督として施工計画の作成や品質管理、安全管理などを担う監督者を指します。そしてこの際に必要となるのが、1級もしくは2級の「土木施工管理技士」になります。土木施工管理技士は国家資格の一つであり、知識と経験を兼ね備えた管理者を証明するための重要な資格のひとつです。この資格を有していると、中規模以上の現場監督など重要な業務を担当できるため、多くの土木施工管理者は目指している資格と言えるでしょう。

土木施工管理技士の資格を所得するためには、一般財団法人全国建設研修センターが主催する「土木施工管理技士」の試験に合格しなければなりません。試験内容は学科と実地の2種類で、試験では知識や経験を試されます。とくに2級は若手管理者でも受験しやすいため、積極的に社員へ受験を勧める企業も多いでしょう。
資格保有者が社内で増えるとその分中規模以上の業務が受注できるため、資格取得の勉強費を負担して、受験をあっせんする企業も多いのが現状です。

 

2級土木施工管理技術検定で不正が行われたケース

施工管理技士の資格試験は、単なる知識だけでなく実務経験も求められるため、受験資格には「実務経験」が指定されています。言い換えれば、どれだけ勉強を積んでいても、実務経験の基準をクリアしなければ試験を受けることは許されない仕組みとなっています。
しかし、最近ではその実務経験を偽って試験を受験する不正行為が浮上しました。具体的には、まだ現場経験の浅い者が実務経験を装い、不正に施工管理技士の資格を獲得する事件が発生したという内容です。この不正行為は企業側の黙認もあった事例であり、総勢60件以上の不正受験が明るみに出ました。その結果、不正に合格した者の資格は無効とされ、更には受験資格が3年間剥奪されるという厳しい処分が下されました。

施工管理技士の資格を持つことは、異なる現場の役割を果たすだけでなく、大規模な案件を担当する能力を示すものですが、今回のような経験の不足が土木施工管理技士としての資格を偽装する事例では、インフラの品質低下の懸念が生じます。
土木工事や建築工事は社会にとって極めて重要な役割を担っています。そのため、適切なスキルと経験を持つ者が施工管理技士としての資格を獲得し、安全かつ高品質な施工を保障することが求められます。ルールを守り、正当な受験を行うことは、業界全体の信頼性を維持するためにも不可欠なポイントです。

不正受験の実例と発覚後の処遇

残念ながら、実際に不正受験が行われたケースは過去に存在しており、過去に多かったのが「実務経験年数」を偽って受験した事例です。施工管理技術検定の受験資格には「実務経験」が必要で、最終学歴に応じて必要な経験年数が異なります。しかし、複数の企業において、社員が所定の実務経験を満たしていない状況で試験を受験し、施工管理技士の資格を不正に取得したケースが発覚しました。さらに、不正に取得した社員を監理(主任)技術者として現場配置していたことが分かり、大きな問題となりました。
今回の事例では、当時合格とされていた該当者は合格取り消しになり、さらに3年間の受験資格剥奪となりました。

施工管理技士の資格は、建設業界の中でも試験難易度の高い国家資格であり、資格を取得すると主任技術者や監理技術者といった様々な権限が与えられます。施工管理の職務において高い能力を証明する資格だからこそ、今回の事例には厳しい処遇がくだされました。

 

不正受験を防ぐために大切なこと

上記のような実務経験年数を偽った不正受験が発覚したことにより、国土交通省では令和2年8月に「技術検定不正受検防止対策検討会」を設置し、下記の再発防止措置が検討されました。

① 受検者や証明者の理解不足・認識不足

  1. 証明者による受検者経歴等の根拠資料の保有の周知徹底
  2. 所属企業ごとに実務経験の証明を求める方法への見直し
  3. 「受験の手引き」の記載内容の改善
  4. チェックリストの活用

②受検者・証明者による虚偽・不正

  1. 受検申請書類の電子申請化と既存データベースとの連携
  2. 試験問題の見直し
  3. 実務経験の証明に関する立入検査の実施
  4. 企業名公表
  5. 企業へのペナルティの明確化

※参考元:技術検定不正受検防止対策検討会 【提言】

 
不正受験を防ぐために大切なのは、受験者側が「受験要項を正しく理解し、その上で受験する」ことと、企業側が「受験希望者である社員をチェックし、不正受験させないように徹底する」ことです。不正に取得した資格は、対象者と企業の両方にとってデメリットでしかありません。受験資格を正しく把握した上で受験することを心がけましょう。

 

2級土木施工管理技術検定の受験資格と試験内容

上記では不正受験の事例とリスクを紹介しましたが、ここでは2級土木施工管理技術検定の受験資格と試験内容について紹介します。改めて試験の概要を把握しましょう。

受験資格

2級土木施工管理技術検定の受験資格は、最終学歴と経験年数が関係します。大学卒業者や専門学校を卒業し「高度専門士」の方の場合、1年もしくは1年6ヶ月以上の実務経験を有する方が受験資格を得られます。指定学科卒業者の場合は2年以上の実務経験で受験が可能で、指定学科以外の卒業者は3年以上の実務経験が必要です。

また、短期大学卒業者や高等専門学校卒業専門者、もしくは専門学校を卒業し「専門士」の方は、3年もしくは4年6ヶ月以上の実務経験を有する方が受験資格を得られます。この場合も指定学科の卒業者であれば3年以上の実務経験で受験が可能ですが、それ以外の方は4年6ヶ月以上の実務経験が必要となります。

2級土木施工管理技士の試験は、経験年数が浅くても受験資格が得られます。だからこそ、受験資格がない期間こそ焦らずに試験に備えて勉強するようにしましょう。

参考:「2級土木施工管理技術検定」一般財団法人 全国建設研修センター

 

試験内容

2級土木施工管理技術検定の試験は、第一次検定と第二次検定の2種類があります。この2つの試験をどちらも合格することで、2級土木施工管理技士になれるのです。
試験は年2回実施され、前期は第一次検定のみで、後期は第一次検定と第二次検定の両方が行われます。第一次検定の合格率は60%~70%程度と高い一方で、第二次検定は30%~40%程度です。経験を記述しなければならない第二次検定は難易度が高いため、合格率が下がる傾向にあると言えるでしょう。

参考:「試験の合格率」総合資格学院

【第一次検定】

2級土木施工管理技術検定の第一次検定では、出題はすべて四肢択一のマークシート方式で、出題にそって正解を解答します。出題数は61問ありますが、その中から40問を選択して回答します。そのためわからない問題があっても、他の問題を答えることができればまったく問題がありません。
出題されるテーマは土木工学等や施工管理法、その他法規などの様々な分野から出題されます。2級とはいえど、国家資格である施工管理技士を背負う以上、幅広い知識が必要になるのです。そのため勉強をする際には、苦手な分野も時間をかけてインプットしましょう。2級は出題数が少ないからこそ、網羅的に勉強することが大切です。

 

【第二次検定】

2級土木施工管理技術検定の第二次検定は、テーマに沿ってご自身の経験を述べる記述式です。そのため学科で試された知識に加え、施工管理者としての経験が試されます。また、出題数が限られているため、一つの問題で的確に回答することが重要です。とくに経験を踏まえて答える経験記述問題においては、伝えるべき要点を抑えて簡潔な回答を心がけましょう。

 

受験資格が緩和され、新たに「技士補」が登場

令和3年度より「施工管理技士補(技士補)」の制度が創設されました。施工管理技士補とは、責任者である施工管理技士の補助が行える資格です。創設された背景には、「主任技術者や監理技術者など、責任者の役割を担える人材が不足している」点と、「業界全体で高齢化が進んでいるため、若手を積極的に登用する必要がある」点があり、建設業界に従事する人員を強化する目的があります。
この施工管理技士補には、施工管理技士と同様に1級と2級があり、2級の場合は2級土木施工管理技術検定の一次検定合格者が「施工管理技士補」として認定されます。1級では監理技術者補佐として現場に立つことができますが、2級の場合は上記のような権限は与えられません。しかし、2級土木施工管理技術検定を再受験する際は一次検定が免除されたり、何度でも2級土木施工管理技術検定の二次検定が受験できるというメリットが得られます。
また、2級土木施工管理技術検定の一次検定は、未経験者でも受験が可能とされているため、業界未経験者の方でも資格取得に挑戦ができます。未経験で施工管理に転職する方は、2級土木施工管理技補の資格を取得すると転職活動が有利に進められるでしょう。

 

2級土木施工管理技士は求職時も有利に

2級土木施工管理技士の資格は、1級と比較すると業務の権限が少ないため「取得するメリットはあるの?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし、2級土木施工管理技士の資格は、実務だけでなく求職時にも有利に働くため、転職を検討されている方にもオススメできる資格です。

① 即戦力として扱われる

2級土木施工管理技士の資格を取得すると、主任技術者になることができるため即戦力として扱われます。転職後も比較的大きな現場を任されたり、話題性がある物件を担当したりすることもあるでしょう。とくに、1級土木施工管理技士の受験資格がない若手施工管理者で、転職をきっかけにステップアップしたいと考えている方は取得することをオススメします。初めて接する社内メンバーやクライアント、設計事務所に対しても、自身のスキルを証明しやすくなるためコミュニケーションを円滑にとることができます。

 

② 条件交渉の際に有利になる

2級土木施工管理技士は国家資格のひとつなので、自身のスキルの証明になります。そのため、転職時の条件交渉が有利になり、希望年収や希望する業務内容に沿って話が進む可能性が増えます。また、企業によっては資格取得者に絞って求人を出していることもあるので、2級土木施工管理技士の資格を有していると応募できる企業が増えます。1級の場合、受験資格が厳しいため、若手施工管理者では受験が難しいですが、2級であれば比較的若手でも受験することが可能です。また、施工管理職への転職に限らず他の職種への転職の際にも好印象になるので、受験資格がある方は2級土木施工管理技士の資格取得に挑戦することをオススメします。

 

2級土木施工管理技士になるためには

2級土木施工管理技士の資格を取得すると、数多くメリットがあります。そこで最後に2級土木施工管理技士になるために必要なことをお伝えします。

✓ 様々な知識をインプットする

一つ目は「様々な知識をインプットする」ことです。2級土木施工管理技士の試験では、ふだん見慣れない言葉や数字なども覚えなければなりません。一見実際の現場から離れていると感じる知識も、インプットすることを心がけましょう。その知識がいずれ役立つ日が来ることを想像して勉強すると、試験対策が楽しくなるはずです。

 

✓ 様々な現場で経験を積む

二つ目は「様々な現場で経験を積む」ことです。2級土木施工管理技士の実地試験では、現場経験を踏まえて回答する問題があります。そのため2級土木施工管理技士になるためには、様々な現場に関わり施工管理としての経験を積むことが大切です。現場は参考書や問題に載っていないリアルな知恵を入手できる場所だからこそ、時間をかけて多くの知見を吸収しましょう。
現場経験が豊富の施工管理者は緊急事態が発生しても臨機応変な対応が取れるため、心強い管理者となります。

 

✓ 資格取得後のビジョンを想像する

三つ目は「資格取得後のビジョンを想像する」ことです。資格取得がゴールになってしまうと、せっかくの資格を活かせず施工管理者としての成長が止まってしまいます。
そこで、2級土木施工管理技士になって、どんなことがしたいか今一度考えましょう。ビジョンが明確になると試験対策のモチベーションも上がるので、効率の良い試験対策ができるはずです。

 

まとめ

2級土木施工管理技士の資格を取得することで若手管理者でも様々な仕事に携われ、さらに自身が成長するきっかけにもなるでしょう。
それに加え、最近では2級土木施工管理技士の資格保有者は1級の受験資格が緩和されたので、さらにスキルアップを図りたい方にもオススメの資格と言えますので、受験を検討している方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 


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