2021年6月2日
建設業界の転職の際、建設に関わる資格を有しているとアピールポイントになります。中でも施工管理や技術系の仕事を希望する方は「1級建築施工管理技士」を有していると希望の企業に就職しやすくなるでしょう。この1級建築施工管理技士は2級に比べて難易度が高く、現場裁量権の高い技術者の証となります。
そこで今回は「1級建築施工管理技士」に着目して、1級建築施工管理技士を受験するにあたり、効率のよい勉強方法や試験について解説します。
そもそも建築施工管理技士とは、建設業法で定められた「施工管理技術検定」の1級または2級に合格した者のことを指します。これは国家資格の一つで、取得すると現場管理者としてのスキルを証明することができます。
施工管理技士の資格を取得しスキルを積むと大規模工事の総監督を担当できるため、施工管理としてスキルアップを目指す方にはオススメの資格です。
その中でも1級建築施工管理技士は管理できる工事の規模に上限がないため、大規模な建設工事現場に携わることができ、主に中小規模(請負金額4,000万円以下)の工事を担当する2級建築施工管理技士とは異なり、あらゆる分野の仕事が担当できる資格です。
現在施工管理者が不足しているからこそ、1級建築施工管理技士の資格を保有している方は貴重な存在ですので、施工管理でスキルアップを図りたい方や現場作業から管理者へ転職したい方はぜひ資格取得に挑戦すると良いでしょう。
建築施工管理技士の試験内容は主に「学科」と「実地」の2種類があり、この2つの試験を合格することで、施工管理技士になります。その中でも1級は出題範囲が広く、2級とは時間配分が異なります。
そこで以下では、1級建築施工管理技士の学科試験と実地試験の特徴について解説します。
1級建築施工管理技士の学科は午前と午後の二部構成で、それぞれ2時間30分、2時間00分と長丁場の試験になります。出題はすべて四肢択一のマークシート方式で、出題にそって正解もしくは間違いを選択して解答します。
出題内容は建築学(環境工学、各種構造、構造力学、施工共通、躯体工事、建築材料、仕上げ工事)、施工管理法、法規です。現場でよく使用する重要事項はもちろんのこと、業種によっては初めて聞くような言葉も出題されるため、現場経験の豊富な方でも勉強は必要になります。とくに1級建築施工管理技士は幅広い知識を問われるので、ご自身の専門とは異なる知識も備えるようにしましょう。
ちなみに1級建築士の資格保有者は第一次検定を免除され、第二次検定(実地試験)からの受験となります。
1級建築施工管理技士の実地は、計3時間の筆記試験になります。問題にあわせて自身の経験や勉強したことを書き起こす記述方式で、自分の経験を元にテーマに沿った作文をする経験記述と、穴埋め問題・計算問題等があります。その中でも経験記述は配点が全体の25%と高く、最も重要視される問題なので注力して勉強しましょう。
合格ラインは出題数に対し60%以上の正答となります。学科試験よりも管理者としての経験値や知識を試されるため、自身の経験を棚卸しするいい機会にもなるでしょう。
なおこの実地試験は学科試験合格者のみが受験可能ですので、はじめて受験される方は、まず学科試験に注力することをオススメします。
1級建築施工管理技士の合格率は、学科試験の場合36%〜42%、実地試験の場合33%〜45%です。1級建築施工管理技士の試験の場合、受験資格は指定学科を卒業の上3年以上の実務経験が必要になります。つまり3年以上の実績を有する方が受験しても、試験の合格率は4割弱ということになるため、試験の難易度は非常に高いということがわかります。
一方で1級建築施工管理技士の学科試験や実地試験は、試験対策用のテキストの取扱いも多く、ご自身でも自習しやすい試験です。さらにご自身の知識や経験を組み合わせて勉強すると独学でも合格が期待できるでしょう。
ただ業種によっては現場でふだん使わない専門用語を勉強する必要があるので、少ない時間でも勉強を積み重ねるようにしましょう。試験は年に1度だけなので、計画的に勉強をはじめることをオススメします。
参考:「1級建築施工管理技士 試験の合格率」総合資格学院
1級建築施工管理技士の資格を保有していると、転職をせずともステップアップが図れます。施工管理技士として、将来のキャリアを考えている方には最適の資格と言えるでしょう。
しかしながら施工管理技士の試験には、受験資格やその他重要な情報が何点かあります。以下では勉強する前に覚えておくべきことについて解説します。
1級建築施工管理技士の受験資格は、最終学歴と経験年数によって異なります。
まず大学卒業者もしくは専門学校を卒業し「高度専門士」の方の場合、3年もしくは4年6ヶ月以上の実務経験を有する方が受験資格を得られます。
指定学科卒業者の場合は3年以上の実務経験で受験が可能ですが、指定学科以外の卒業者は4年6ヶ月以上の実務経験が必要です。
また短期大学卒業者や高等専門学校卒業専門者、もしくは専門学校を卒業し「専門士」の方は、5年もしくは7年6ヶ月以上の実務経験を有する方が受験資格を得られます。この場合も上記と同じく、指定学科の卒業者であれば5年以上の実務経験で受験が可能ですが、それ以外の方は7年6ヶ月以上の実務経験が必要です。
さらに高校卒業者や専門学校卒業者の場合は、10年〜15年以上の実務経験が必要になります。詳しくは以下の参考サイトにてご確認ください。
参考:https://www.fcip-shiken.jp/ken1/index.html
受験者の経験によりますが、合格に必要な勉強時間は100時間〜400時間と言われています。これは、勉強時間を毎日2時間確保したとして、50日〜200日ほど必要になる計算です。1級建築施工管理技士は難易度の高い試験だからこそ、合格するためには計画的な勉強が必要といえるでしょう。
そのため現場経験の少ない方は半年前くらい、また現場経験が豊富な方は3ヶ月前くらいから勉強を始めることをオススメします。
学科試験の勉強は、いかに短期間で情報をインプットできるかが鍵となります。まずは問題集などを購入して、用語の確認や新しい知識を定期的にインプットするようにしましょう。
その一方で実地試験は、自分の経験を踏まえて学習した知識やご自身の知見を盛り込む練習が必要になります。ポイントとなる部分を何度もチェックし、書いて覚えるようにしましょう。
1級建築施工管理技士の試験は年に1回しかないからこそ、1回で合格したいと考える方も多いはずです。ご自身の経験値から必要な勉強時間を予測し、早めに勉強の計画を立てましょう。
1級建築施工管理技士の資格取得スクールでは、試験対策として模擬試験を行うことも多々あります。模擬試験では本番同様、時間内で質問に答える練習をします。
試験慣れしていない方の場合、緊張して回答を焦ることもあるかもしれませんが、模擬試験を通して試験問題文に慣れていると、緊張も和らぎリラックスした状態で臨むことができます。
しかし勉強が不足している状態で模擬試験をすると、かえって自信を無くしてしまうかもしれません。そのため模擬試験は、問題集や参考書である程度勉強してきた方にオススメの勉強法と言えるでしょう。
なおスクールによっては外部受験者を認めている場所もあるので、独学で勉強されている方も受験してみるとよいでしょう。
1級建築施工管理技士の資格を取得するためには、長期的な勉強が欠かせないことをお伝えしました。
以下では1級建築施工管理技士の試験に向けて、オススメの勉強法について紹介します。空いた時間を有効活用して勉強したい方や、独学で合格を狙う方は必見です。
まず一つ目は「参考書」や「過去問」を使った勉強法です。1級建築施工管理技士の参考書は毎年発行されており、去年の傾向を踏まえて様々な問題が掲載されています。試験対策を始める方はまず参考書を購入し、知識のインプットを積極的に行いましょう。1級建築施工管理技士の試験は出題範囲が広いので、普段使わないような用語も出題されますので、経験年数が豊富な方であっても必ず用語の勉強は行いましょう。
参考書で一通り勉強したあとは、過去問を使った勉強をオススメします。やはり知識をインプットしても問題に慣れていないと誤った回答をする可能性が高いため、問題に慣れるためにも過去問を積極的に利用すると良いでしょう。
二つ目は「苦手分野の勉強」です。とくに学科は幅広い知識を問われるため、苦手な分野も網羅する必要があります。つい苦手分野の勉強は後回しにしがちですが、施工管理技士の試験対策では時間をかけて勉強しましょう。
とくに数字系は他の分野と混同しやすいので、毎日反復して勉強することをオススメします。①で紹介した通り、参考書や過去問を使って数をこなすと良いでしょう。
三つ目は「動画を活用した勉強法」です。最近ではYouTubeなどの動画配信サービスで勉強する方も増えています。各スクールが提供する動画であれば、スクールで提供している知見や学習法などを知ることができ、効率のよい勉強方法が身につくでしょう。
また、YouTubeでは勉強法の他にもオススメのテキスト紹介や試験のコツなどを紹介しているチャンネルもあるので、様々な情報収集が可能です。勉強したい部分を絞って検索してみるとよいでしょう。
そして最後は「模擬試験の受験」です。①〜③までの勉強法を繰り返した仕上げとして、模擬試験に挑戦してみましょう。やはりテキストの文章で理解を深めていても、実際の問題となると答えられないケースが多々あります。1級建築施工管理技士に合格するためには、やはり模擬試験を通して、試験問題に慣れておく必要があるのです。
模擬試験は本番と同様に、時間をはかって回答していきます。時間内に問題を解く力が身につくので、最終仕上げとして挑戦すると良いでしょう。試験対策スクールによっては外部受験者を受け入れている場合も多いので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
1級建築施工管理技士の資格を取得すると、大規模な工事に携わるチャンスが訪れたり、キャリアアップの後押しにもなります。
建設業界は施工管理が不足しているので、有資格者の方は業界転職も有利に働くでしょう。ぜひこの機会に勉強を始めてみてはいかがでしょうか。