ゼネコンとは?特徴や定義、仕事内容を解説
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準大手ゼネコン
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サブコン
仕事内容

ゼネコンとは?特徴や定義、仕事内容を解説

2021年7月6日

よくニュースで耳にする「ゼネコン」という言葉。聞き慣れている割には「どんな企業を指すのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。このゼネコンは、単なる工事業者ではなく、日本の建設業界を支える重要な企業を指します。

そこで当記事では、ゼネコンの定義や特徴、さらには様々な種類について詳しく解説します。ゼネコンに興味のある方や、ゼネコンへの転職を検討されている方は必見です。

 


 

ゼネコンとは

そもそもゼネコンとは、General Contractor(ゼネラル・コントラクター)の略語です。General(総合)とContractor(請負人・契約者)という要素を組み合わせた企業で、総合建設業を営む企業を指します。
工事全体のマネジメント業務を行うことが多く、複数の下請業者によって施工される大規模で複雑な工事を得意とします。そのため会社規模も大きく、建設業界の知識がない方でも聞いたことのある社名が多いでしょう。

建設業法の分類によると、建設工事には「土木一式工事」や「建築一式工事」があり、さらに27業種に細分化されています。この土木一式工事もしくは建築一式工事といった、大規模な工事を担当できる会社がゼネコンです。
しかし、ゼネコンと呼ばれるための「定義」は特にありません。ゼネコンになるためには、会社の規模や仕事内容、さらには資金力など総合的にみて判断されています。

 

ゼネコンの定義

ゼネコンは様々な分野のエキスパートがそろった大きな組織です。上記で説明した通り、ゼネコンと呼ばれるための明確な「定義」はないものの、1つの会社で「設計・施工・研究」が行われていることが重要になります。
以下ではそれぞれの役割について、詳しく解説していきます。

設計

ゼネコンにおける「設計」は、建設物のデザインや機能性を考慮し、そのイメージを形に落とし込む仕事です。これには「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つの設計業務があり、設計者の知識や経験で行う業務が異なります。
– 意匠設計:建設物のデザインや配置、間取りや仕上げなどを設計する業務
– 構造設計:建設物の安全性能を満たすために、土台や柱、梁などの骨組みを設計する業務
– 設備設計:上下水道などの衛生設備や電気設備、空調設備を設計する業務

一言で「設計」といっても、その業務は上記のように細分化されています。そしてこれらの知識を有する人が協力しあってひとつの建設物の図面を作成するのです。

ゼネコンは会社規模の大きな建設業者です。競合他社との差別化を図るためには「設計力」が特に重要で、クライアントや利用者から常に注目されます。
ゼネコンにとって設計業務は川上の仕事だからこそ、建築主の要望を具現化するためのひらめきや知識が問われるでしょう。
また、ゼネコンで設計業務をするためには「一級建築士」もしくは「二級建築士」の資格が必要になります。資格がなくても業務に携われますが、あくまで設計士の補佐的な役割になるため、自分の手で設計したい方は上記のような資格は取得することをオススメします。

 

施工

ゼネコンにおける「施工」は工事現場全体を統括する仕事です。ゼネコンは土木一式工事もしくは建築一式工事の元請業者として下請け業者の統率と現場管理を行います。
仕事内容は主に「工程管理」「品質管理」「原価管理」「安全管理」「環境管理」の5項目の管理です。
– 工程管理:完成までの工事計画をスケジュールに落とし込み、実際に管理する業務
– 品質管理:製作物や施工方法をチェックし、品質に問題ないか管理する業務
– 原価管理:下請け業者への支払いや工事原価を管理する業務
– 安全管理:現場中に事故が起こらないように作業員を指導・管理する業務
– 環境管理:建設予定地の周辺環境を調査し、具体的な環境対策を考察する業務

施工と聞くと、単に「つくるだけ」というイメージを持ちやすいかもしれませんが、ゼネコンの施工は作るだけではなく、その前後の過程も業務に含まれます。計画段階の施工検証や建設物が竣工した後はメンテナンス業務も発生するので、総合的な知識が必要になるでしょう。

また、ゼネコンではJV(ジョイントベンチャー)と呼ばれる、複数の企業が共同で施工に携わる仕組みがあります。そのため施工者は、自社が管轄する業者の管理に加えて競合他社との協力性なども問われるでしょう。
ゼネコンの施工管理としてステップアップを図るためには「1級施工管理技士」もしくは「2級施工管理技士」の資格が必要になります。特に1級を取得すると大規模工事の責任者として現場配置されるため、施工者として出来ることが広がるでしょう。
なお、上記で紹介した「建築士」の資格も同等の役割を有しているので、そちらもオススメです。

 

研究

ゼネコンにおける「研究」は、耐震性を考慮した建設物強度の向上や効率的な施工を行うために工法や資材の研究開発を指します。建築素材や構造など幅広い知識を有し、その中でひとつの分野に特化して研究している専門職になります。そのため建設業界の研究職は、日々仮説と検証を繰り返し、独自の技術開発を実施しているのです。
とくに現場の仕事では「効率的な作業」が求められています。やはり近年では、作業員の人手不足や建築資材の高騰等の問題を抱えているため、限られた人数・時間での作業は必須です。そのためには、作業日数が削減できるような新工法や素材が重要になります。
よって、研究員の仕事はこれらにおける開発であり、ゼネコンを支える支柱のような役割を担っています。

 

ゼネコンの種類

ゼネコンは上記で説明した通り、各分野に秀でた専門チームを抱えている会社です。さらに会社の売上規模や取り組む仕事内容によってはゼネコンの中で種類が分けられ、以下の通りになります。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコンとは、ゼネコンの中でも売上規模が特に大きく、技術力に優れた企業を指します。スーパーゼネコンと呼ばれているのは、鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店の5社です。これら企業の共通点は連結売上高が1兆円以上、かつ土木や建築で海外でも事業を展開している点です。さらに、歴史が古く数多くの実績を重ねている点もスーパーゼネコンの特徴といえるでしょう。
 

【 大林組 】
大林組は1892年設立以降、東京駅や大阪城などの歴史的建造物をはじめ、様々な建物の制作に関わっている会社です。六本木ヒルズ森タワーや東京スカイツリーなど、時代のシンボルとなる建物を手がけてきました。また2020年3月期の連結決算は、売上高が2兆730億超えと、過去最高を記録しており、今後もさらなる企業成長が期待できます。

 

【 大成建設 】
大成建設は1873年設立以降、市街地再開発事業を強みに様々な事業を行なっています。東京都庁の第一本庁舎や横浜ランドマークタワー、さらには旧国立競技場と新国立競技場を手掛けています。また2020年3月期の決算では、連結売上高が1兆7,513億円、単体でも1兆4,095億円という数字を記録しています。

 

準大手ゼネコン

大手ゼネコンはスーパーゼネコンに準ずる規模のゼネコンを指します。大手ゼネコンとして位置づけられる会社が、長谷工コーポレーションや戸田建設、五洋建設、前田建設工業、三井住友建設、西松建設、熊谷組、東急建設、フジタ、安藤ハザマなどです。
大手ゼネコンを決める明確な基準はありませんが、多くの場合売上高3,000億円以上の企業を「大手ゼネコン」と呼びます。スーパーゼネコンより規模が縮小するものの、大手・中堅ゼネコンも国のインフラを支えている重要な企業なのです。
 

【 東急建設 】
東急建設は1959年設立以降、東京の人口集中という社会課題の解決を目指し、様々な都市開発を取り組んできました。多摩田園都市開発や渋谷再開発などに携わっており、現在の生活に溶け込んでいる案件が多々あります。
また、2020年の決算では連結売上高が3,221億円を記録しました。

 

【 戸田建設 】
戸田建設は1881年設立以来、日本の建設業界を支える中堅ゼネコンとして、様々な案件を手がけてきました。とくに医療と福祉分野での売り上げでは、スーパーゼネコン5社を上回る実績があり、建設業界の中でも一目置かれている存在です。
また、2020年の決算では連結売上高が5,187億円を記録しました。

 

サブコンとは

サブコンは、sub contractor(サブ・コントラクター)の略語です。ゼネコンの下請けとして、現場の土木・建築工事を請け負う建設業者を指します。基本的には各工種の専門工事を担当し、実際の現場作業などを行います。たとえば現場の「解体工事」や、足場を設置するための「仮設足場工事」などがサブコンの役割です。

サブコンはスーパーゼネコンや準大手ゼネコンの下請け業者となりますが、サブコンにはサブコンで現場監督がいます。サブコンの現場監督も各ゼネコンの現場監督と役割は同じで、自社が抱える職人さんを管理する仕事で、ゼネコン業者の指示をもとにより細部を管理することがサブコンの役割になります。
 

【 高砂熱学工業 】
高砂熱学工業は1923年の設立以来、空調設備の技術を主軸とした事業を行っています。空調設備の設計・施工や保守、その他環境制御システム等の設計施工に注力している会社です。2020年3月期では売上高3,209億円を記録しました。

 

まとめ

ゼネコンは様々な特色を持った総合建設企業です。また、職種によってまったく違った角度でプロジェクトに携わります。建設業界の知識を幅広く得たい方にはぴったりの業界といえるでしょう。それぞれの特色を押さえて、自分にあう企業を探してみてはいかがでしょうか。

 

 


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