サブコンとは?ゼネコンとの違いや種類を解説
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サブコンとは?ゼネコンとの違いや種類を解説

2021年7月6日

サブコンは、建設工事の中の専門的分野を部分的に請け負う会社を指します。ニュースでよく耳にする「ゼネコン」とは異なり、ふだんあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、サブコンはゼネコンと同じく日本の建設業界を支えている重要な存在です。

そこで当記事では「サブコン」をテーマに、ゼネコンとの違いやサブコンの種類を詳しく解説します。建設業界に興味のある方は必見です。

 


 

サブコンとは

そもそもサブコンとは、Sub Contractor(サブ・コントラクター)の略語です。専門工事業者としてゼネコンの下請工事を行う建設業者を指します。ゼネコンが受注した土木一式工事や建築一式工事の中で発生する専門的な工事がサブコンの仕事です。
サブコンの主な業務は、電気工事や空調設備工事、衛生設備工事、さらには防災工事といった特殊なものが多くあります。ゼネコンは、それぞれの工種に特化したサブコン業者を抱えることで、質のよい施工を提供しているのです。

サブコンは特殊工事の下請け業者であり、その分野の「専門家」です。つまり、サブコンにも作業を管理する「施工管理者」と、実際に作業する「作業員」がいます。施工管理者と作業員はそれぞれ役割が異なるので、サブコンの中でも様々な職種があることを覚えておくと良いでしょう。

 

ゼネコンとサブコンの違い

前章でも触れた通り、ゼネコンとサブコンは役割が異なります。以下ではそれぞれの違いについて解説します。

建設業界のピラミッド構造

日本の建設業界は「ピラミッド」のような形で、トップの業者を下請け業者が支える構図になっています。発注者を頂点に元請から下請、下請から孫請と工事の依頼が行われます。ゼネコンとサブコンの関係はまさに、ピラミッドの構図と同じなのです。

この構図により、ゼネコンは難易度の高い特殊工事を遂行でき、サブコンは大規模な工事を受注できるようになります。この関係性はお互いにとってメリットであるため、今後も引き続きこの体制で工事が行われるでしょう。

 

ゼネコンとサブコンの役割

建設業界における位置付けが異なる以上、ゼネコンとサブコンはそれぞれ役割が異なります。

【ゼネコンの役割】

– 現場全体の安全管理
– 全体の工程管理
– 現場全体の品質管理
– 原価管理 など

ゼネコンの役割は工事全体の統括管理です。そのため幅広い視野で現場に携わり、工事全体のスケジュールをはじめとし、現場の安全・品質管理などの管理業務を担います。
しかし、サブコンにも現場を監督する施工管理者が配置されているので、ゼネコンは下請業者の施工管理者の統率が重要となります。

 

【サブコンの役割】

– 担当工事の安全管理
– 担当工事の工程管理
– 担当工事の品質管理
– 原価管理

サブコンの役割は、ゼネコンよりも細分化されています。サブコンの仕事はゼネコンのように担当工事の安全、工程、品質を管理しますが、担当工事を中心に管理するためゼネコンよりも業務範囲は狭まります。しかしその分専門性が問われるため、専門知識や経験は重要視されます。
また、サブコンの管理者はゼネコンへの報告・連絡が多くなるため、コミュニケーション能力も重要になるでしょう。

 

サブコンの種類

専門工事業者として下請工事を行うサブコンには、「電気設備」「空調設備」「衛生設備」「消防設備」の4つの種類があります。以下では、これらを順番に解説します。

電気設備工事

電気設備工事とは、建設物件内で電気を使用可能にする工事を指します。ゼネコンが担当する現場では、まだ建物が完成していない新装物件も多く、何もない状態から電気が使用できるようになるまでのインフラ整備や、照明器具・コンセントの設置などの工事を行います。
具体的な業務内容は下記の通りです。
– 高圧配管路から建物内への電気の引き込み
– 建物の使用場所に電気を送電する幹線設備の工事
– コンセントや照明の配線と設置
– 電気や空調などの設備機器を監視・制御する設備の設置

上記で挙げた工事は、電気をエネルギーとして使う「強電工事」ですが、他にも電気を「信号」として使う「弱電工事」もあります。ただし電話やインターネットなどの通信情報設備の設置工事は、別の専門業者が担当することが多いです。

 

空調設備工事

空調設備工事とは、空調設備の新規取り付けや配管工事、古い設備の更新工事、そして既存空調設備のメンテナンスや保守点検を行う工事を指します。ゼネコンの新装現場では何もない状態から設備工事が開始するので、各作業のスピードや他の工種との調整が重要になります。
また、空調設備工事は空調機器や換気設備など天井躯体から吊って固定する機器が多く、施工方法を誤ると大事故が発生する工種です。そのため施工方法を熟知している職人や、細部まで管理できる管理者の存在が重要になります。
業務内容は下記の通りで、空気に関する様々な工事を行います。
– 空調機器の設置
– 換気設備の設置
– 排煙設備の設置
– 上記に伴うダクト工事
– 上記の保守やメンテナンス

これは建物内の温度を快適に保ち、空気の流れを調節するために行われます。とくに商業施設や人が多く集まる場所では、空調の存在は非常に重要です。夏場や冬場は空調によってその場の居心地が左右されるため、電気工事同様に必要不可欠な工事と言えるでしょう。

 

衛生設備工事

衛生設備工事とは、建物内の水に関わる工事を指します。主に水の供給・排水設備を整える仕事で、トイレや飲食店の厨房設備、さらにはお風呂など様々なエリアを担当します。
基本的に水の供給方法は、受水槽に貯められている水を給水ポンプで汲み上げる方法と、高架水槽から各エリアに供給する2種類の方法があり、工事条件によって使い分けます。
また、他にも排水工事や以下のような工事を担います。
– 給水設備機器の設置
– 水の供給に必要な配管工事
– 汚水を排出する排水設備の設置工事
– ガス設備の設置工事
– 衛生器具の設置工事

衛生設備工事では、建物内に水を供給するところから建物外に排水するまでの工事を一貫して行います。衛生設備工事はトラブルが起きた際の損害が大きいので、建設工事の中でも危険度が高く認識されています。万が一建物内で漏水が発生すると、サービスの停止だけでなく家具や商品の破損や電気設備の故障など様々なトラブルが予測でき、場合によっては工事のために営業を停止する必要もあるでしょう。

 

防災設備工事

防災設備工事とは、建物内で火災が起きた際、消火活動に必要な設備を設置する工事を指します。とくにゼネコンが担当する大規模な現場では、様々なシステムと連動させた防災設備が多くあります。そのため防災に関する専門的な知識に加えて、電気系統やシステム系統の知識も重要になるでしょう。
防災設備工事の業務内容は下記の通りで、物件の特性によってこれらの工事を行います。
– 火災警報器や非常警報設備の設置工事
– スプリンクラーの設置工事
– 室内・室外消火栓の設置
– 消火器設備の設置
– 金属製避難はしご、救助袋の設置
– 排煙設備の設置工事

これらの消防設備は消防法に基づき、適切な設備を設置しなければなりません。そのため物件エリアを管轄する消防との調整や消防検査の対応、消防書類の作成など上記以外にも様々な仕事があります。

 

サブコンの業界情報

国のインフラを整える建設業界は今後も活躍が期待されています。とくに元請業者となるゼネコンは都市開発やビルの建設など様々な仕事を行っており、ゼネコンに付随するサブコンも同じく仕事が多くあります。
しかしながら上記で紹介した通り、現在の建設業界はピラミッド構造です。そのためゼネコンの需要が減ってしまうと、その下請であるサブコンの需要も同じく低下します。このようにサブコンは建設業界の波を受けてしまうため、景気によって左右されることも想定できるでしょう。
とはいうものの、サブコンやゼネコンの仕事は重要なインフラ工事です。他社との競争が激しくなったとしても、国が発展し続ける以上、仕事が無くなることはないと言えるでしょう。

 

まとめ

「サブコンで安定して働きたい」と考える方は、様々な物件に携わり自身の経験を積み、資格取得や様々な挑戦をするとよいでしょう。とくに専門工事に関する資格を取得している方は昇給や昇進、さらには大手企業への転職がしやすくなります。ステップアップを考えている方は、まずは資格取得に挑戦して自身の価値を高めていくとよいでしょう。

 

 


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