現場管理費とは?各項目について解説
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現場管理費とは?各項目について解説

2021年8月6日

建設工事では工事原価として「純工事費」と「現場管理費」があります。その中でも現場管理費は、工事を管理する様々な費用で構成されています。
現場管理者になると、現場の安全管理や品質管理だけでなく、これらの費用も管理しなければなりません。つまり、現場管理者にとって「どのような項目が現場管理費に含まれているか」を理解しておくことが重要なのです。

そこで今回は「現場管理費とは」と題し、現場管理費の項目を詳しく解説します。現場管理者として活躍されている方や、これから現場管理者を目指す方はぜひ最後までご覧ください。

 

現場管理費とは

現場管理費とは、工事を管理するために必要な費用のことを指します。工事現場では、現場を進めるにあたり様々な費用が発生します。自社職員の人件費や協力会社への外注費はもちろんのこと、役所への申請費や道具費、さらには図面の用紙代なども必要です。
そのため、現場での発注権限を有している人はもちろんのこと、工事現場に携わる方は「現場でどのような費用が発生するのか」を理解しなければなりません。
現場管理者として現場の品質管理や安全管理ができるようになると、原価管理も任されるようになります。現場管理費が削減できれば企業の利益率アップに直結するので、原価管理を任される管理者は以下の項目を抑え、余計な費用は削減を心がけた方が良いでしょう。

 

現場管理費に含まれる項目

現場管理費には以下17つの項目が含まれています。
– 1:労務管理費
– 2:安全訓練等に要する費用
– 3:租税公課
– 4:保険料
– 5:作業員の給料手当
– 6:退職金
– 7:法定福利費
– 8:福利厚生費
– 9:事務用品費
– 10:通信交通費
– 11:交際費
– 12:補償費
– 13:外注経費
– 14:工事登録等に要する費用
– 15:動力、用水光熱費
– 16:公共事業労務費調査に要する費用
– 17:雑費

その詳細を順番に解説していきます。

① 労務管理費

労務管理費とは、工事現場で元請企業が臨時に直接雇用する現場雇用労働者と、下請負契約に基づいて働く現場労働者の労務管理に用いる費用のことを指します。
労務管理費には賃金以外の作業員にかかる様々な費用が含まれます。その内容が下記の5つです。
・募集及び解散に要する費用(赴任旅費及び解散手当を含む。)
・慰安、娯楽及び厚生に要する費用
・直接工事費及び共通仮設費に含まれない作業用具及び作業用被服の費用
・賃金以外の食事、通勤等に要する費用
・労災保険法等による給付以外に災害時に事業主が負担する費用

つまり賃金以外の作業員に関わる費用だけでなく、人員を募集するための費用や作業服、作業道具なども含まれます。

 

② 安全訓練等に要する費用

安全訓練等に要する費用とは、現場労働者の安全・衛生に要する費用及び研修訓練等に要する費用を指します。
協力会社を集めた安全大会の開催費や、現場管理者の質を高める研修訓練などが含まれます。

 

③ 租税公課

租税公課とは、固定資産税や自動車税、軽自動車税等を指します。ただし、機械経費の機械器具等損料に計上された租税公課は除外されます。
他にも工事契約書等の印紙代、申請書、謄抄本登記等の証紙代などの租税公課や諸官公署手続き費用などが含まれます。

 

④ 保険料

保険料とは、自動車保険、工事保険、組立保険、法定外の労災保険、火災保険、その他の損害保険の保険料を指します。
ただし、この中で機械器具等損料に計上された保険料は除外されます。

 

⑤ 作業員の給料手当

作業員の給料手当とは、給料や賞与、その他手当を指します。
具体的には現場従業員の給料、諸手当(危険手当、通勤手当、火薬手当等)及び賞与が含まれます。
ただし、本店及び支店で経理される派遣会社役員等の報酬及び運転者、世話役等で純工事費に含まれる現場従業員の給料等は除外されます。

 

⑥ 退職金

退職金とは、退職する際に雇い主などから退職者に支給される金銭を指します。他に「退職手当」「退職慰労金」などとも言います。
具体的には、現場従業員に係る退職金及び退職給与引当金繰入額が該当します。退職金は定年退職するときに支払われるイメージが強いかもしれませんが、自己都合での退職や解雇を受けたとき、従業員が死亡した場合も支給の対象となります。

 

⑦ 法定福利費

法定福利費とは、会社が福利厚生のために支出する費用のうち、法令および政令によって会社に費用負担が義務付けられている費用を指します。
具体的には、現場従業員及び現場労働者に関する労災保険料、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料の法定の事業主負担額、建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額などが含まれます。

 

⑧ 福利厚生費

福利厚生費とは、従業員の福利厚生を目的として利用される施設や制度にかかる経費科目を指します。
現場従業員に係る慰安娯楽、貸与被服、医療、慶弔見舞等の福利厚生、文化活動等に要する費用がこれに該当します。
企業によっては提携している娯楽施設のサービスが受けられたり、社員旅行が計画されたりします。

 

⑨ 事務用品費

事務用品費とは、会社の業務において使用される、事務処理に必要なデスク周りの消耗品を購入する経費を指します。
ペンや図面を印刷するコピー用紙や事務用消耗品、さらには新聞や参考図書等の購入費などはこの事務用品費に含まれます。
建設現場の場合、図面や書類などが多いため、数多くの事務用品を使用します。

 

⑩ 通信交通費

通信交通費とは、名前の通り通信費および交通費や旅費を指します。
具体的には、車関係の費用(任意保険、駐車料金、車検、ガソリン代、定期点検費用)や定期代、バス代、タクシー代、さらには固定電話や携帯電話の使用料、インターネット接続料、切手やハガキ代、宅配便代なども含まれます。

 

⑪ 交際費

交際費とは、来客者への対応費用を指します。具体的には以下に該当したものを交際費と呼びます。
– 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
– 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
– カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
– 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
– 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

 

⑫ 補償費

補償費とは、工事施工に伴って通常発生する物件等の毀損の補修費及び騒音、振動、濁水、交通等による事業損失に係る費用を指します。
ただし、臨時にして巨額なものはこれに該当しません。

 

⑬ 外注経費

外注経費とは、工事を専門工事業者等に外注する場合に必要となる経費を指します。
例えば現場監督を外部へ依頼した場合や、自社が請け負う工事の一部を協力会社に依頼するときなどに発生します。

 

⑭ 工事登録等に要する費用

工事登録等に要する費用とは、名前の通り工事実績の登録等に要する費用を指します。

 

⑮ 動力、用水光熱費

動力、用水光熱費とは、現場事務所や作業員宿舎、倉庫の水道光熱費などを指します。

 

⑯ 公共事業労務費調査に要する費用

公共事業労務費調査に要する費用とは、公共事業労務費調査を実施するために必要な費用を指します。

 

⑰ 雑費

雑費とは、上記に属さない諸費用全般を指します。

 

まとめ

以上、現場管理費について解説しました。今回紹介した通り様々な項目がありますが、施工管理者はこれらを念頭に入れて原価を組み立てるようにすると良いでしょう。
また、これらの原価を管理できる施工管理者は様々な企業で期待され、昇進や転職にも有利にはたらきますので、キャリアアップやスキルアップにもつなげることができるでしょう。

 

 


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