ゼネコンに役立つ資格12種を徹底解説
メリット
難易度
キャリアアップ
スキル

ゼネコンに役立つ資格12種を徹底解説

2021年8月6日

ゼネコンは建設現場において、監督・指導する上で様々な専門知識が必要になります。主に建築(意匠・構造・設備)や施工管理(工程・品質・原価・安全・環境)、建材(コンクリート・鉄筋・鉄骨)などが当てはまります。
周りから技術者としての技能を客観的に判断されるようになり、信頼性に対する効果を与えるためには様々な資格を取得することが必要です。

そこで今回は、ゼネコンに役立つ資格12種類を解説します。自身のキャリアアップやスキルアップにとってどの資格が必要かを判断する材料となりますので、ぜひ最後までご覧ください。

 


 

一級建築士

ここでは、一級建築士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 建築士は、商業ビルやオフィスビル、高層マンション、一般住宅などの建物の設計・施工管理などを行う技術者です。設計・施工管理は法律上建築士のみに認可された独占業務であり、一級建築士は国家資格です。
建築士法で規定されている建築士は、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があります。
一級建築士は、全ての建築物の設計・工事監理が可能です。国土交通省が実施する試験に合格すると、国土交通大臣の免許を受けることができます。
難易度 ★★★★★
難易度:難関、合格率:10%~12%
受験資格有:学歴要件その他、学習期間目安:1年以上
役に立つ職種 【建築設計事務所の場合】

  • 意匠設計:建物外観や内部デザイン
  • 構造設計:建物の基礎・柱・梁・床・屋根といった主要構造部の力学解析
  • 設備設計:空調や照明、上下水道、ガス管、電気設備などの設計・管理
  • 工事管理

【ゼネコンなどの建設現場の場合】

  • 現場監督などの指導・管理業務
  • 建築物に関する調査

 
建築士法が改正され、令和2年3月1日より、国家試験を受験するための条件が大幅に緩和されました。それにより、受験時での実務経験が無くても受験が可能となり、合格後に実務経験を満たした時点で免許が取得できるようになりました。
(例)大学の建築学科:規定科目の単位を取得し卒業 → 一級建築士の受験が可能

 

1級建築施工管理技士

ここでは、1級建築施工管理技士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 1級建築施工管理技士は、建築工事の施工計画の作成や施工管理(工程・品質・原価・安全・環境)などを行い、工事全体を円滑に進捗させる技能の国家資格です。
建築施工管理技士には、1級と2級の2種類があります。1級有資格者の場合、取扱うことができる建設現場の規模に制限はありません。
特定建設業7業種である建築・土木・鋼構造物・舗装・管工事・電気工事・造園工事を扱うには、営業所ごとに専任技術者や監理技術者が必要ですが、1級建築施工管理技士であれば、建築・鋼構造物に就任可能です。
難易度 ★★★★
難易度:やや難関、受験資格有:学歴要件その他
役に立つ職種 建設会社:建設現場における監理技術者・主任後術者
建築設計事務所:工事監理

 
1級建築施工管理技士は、専門知識以外にも現場をまとめる「コミュニケーション能力」や「リーダーシップ」が必要になります。そのため計画性があり、マルチタスクを得意とする人に向いています。

 

建築設備士

ここでは、建築設備士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 建築設備士は、建築士のアドバイス・指示に従い、給排水設備や電気・空調設備などの専門分野において、設計・計画を担当する国家資格です。
建設現場では、設備工事の管理・指導を行います。
建築設計事務所では、建築物の設計や工事監理を請け負う場合、建築士法では契約時の交付書面に業務従事者となる建築設備士の氏名記載が義務付けされています。
難易度 ★★★★
難易度:やや難関、合格率:15%~20%
受験資格有:学歴要件その他
役に立つ職種 建設会社、建築設計事務所、不動産会社、建築設備メーカー、ビル管理会社など

 
以前は、建築設備士の資格有効期間は5年と定められ、資格取得後5年ごとに建築設備士更新講習が義務付けされていましたが、現在は資格有効期間が無制限となり、義務付けされた定期更新講習は廃止されました。

 

1級管工事施工管理技士

ここでは、1級管工事施工管理技士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 管工事施工管理技士は、管工事における施工管理の専門的な国家資格です。
管工事は、空調設備や冷暖房設備、上下水道設備、吸排気ダクト、ガス管、浄化槽などの配管工事を指します。
管工事施工管理技士は、1級と2級の2種類があり、それぞれ以下に従事できます。

  • 1級:一般建設業の主任技術者・監理技術者、特定建設業の専任技術者
  • 2級:一般建設業の主任技術者・専任技術者
難易度 ★★★
難易度:普通、第1次検定合格率:30%~50%、第2次検定合格率:50%~60%
受験資格有:実務経験年数
役に立つ職種 建設会社、ガス会社、上下水道会社、配管工事会社、設備会社など

 
2021年度4月より1級の受験資格が緩和され、2級の第2次検定合格者が1級の第1次検定を受験する場合に限り、受験資格が不要となりました。

 

1級電気工事施工管理技士

ここでは、1級電気工事施工管理技士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 電気工事施工管理技士は、戸建住宅の電気配線工事から、ビルなどの大規模建築物の電気工事、鉄道・信号の電気設備など、全ての電気工事に携わる国家資格です。
主に電気工事に関する施工計画作成や施工管理(工程・品質・原価・安全・環境)を担います。
電気工事の職種において建築業許可を取得することで、有資格者は、専任技術者や監理技術者に就任可能です。
電気工事施工管理技士には、1級と2級の2種類があり、それぞれ以下に従事できます。

  • 1級:一般建設業の主任技術者・監理技術者、特定建設業の専任技術者
  • 2級:一般建設業の主任技術者・専任技術者
難易度 ★★★
難易度:普通、第1次検定平均合格率:45.6%、第2次検定平均合格率:63.3%
受験資格有:学歴要件その他
役に立つ職種 建設会社、電気工事会社、電力会社、設備会社など

 

消防設備士

ここでは、消防設備士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 消防設備士は、公共施設・マンション・オフィスなど人が多数集まる大型施設において、消防・防災設備の工事・点検・整備をするための国家資格です。
消防設備士の資格が無ければ、消防・防災設備の工事・整備・点検をすることはできません。
消防・防災設備とは、消火器・自動火災報知機・ガス漏れ検知器などの警報設備・スプリンクラー・屋内消火栓・救助袋・金属製避難はしごなどを指します。
消防設備士は、甲種と乙種の2種類があります。

  • 甲種消防設備士:工事・整備・点検が可能
  • 乙種消防設備士:整備・点検が可能
難易度 ★★
難易度:やや簡単、合格率:40%前後、受験資格無
学習期間目安:2か月以上
役に立つ職種 消防署、消防設備工事会社・点検会社、ビル管理会社、マンション管理会社、消防設備メーカー

 
消防設備士は、資格取得後も定期的に講習受講する義務付けがされており、費用もかかります。

 

電検3種

ここでは、電検3種の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 電検は、電気主任技術者試験の略称で国家資格です。
電気主任技術者には、1種から3種まであり、電検3種は第3種電気主任技術者になるための資格です。主に工場やビルなどの事業用電気工作物において、高圧電気の管理・保全を担います。
電検の資格には、第1種・第2種・第3種電気主任技術者の3種類があり、日本の電気設備の90%は電検3種でカバーが可能です。

  • 電検1種:全ての事業用電気工作物
  • 電検2種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
  • 電検3種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物
難易度 ★★★★
難易度:やや難関、合格率:9%前後、受験資格無し
学習期間目安:10か月以上
役に立つ職種 ビルや工場などの高圧電気設備の管理・保全
一般的に電検3種有資格者は、65歳までは職に困らないと言われています。現場での経験が豊富であれば、70歳以上でも再就職が可能です。

 
よく似た資格に、電気工事士があります。
電検3種は電気を保安・監督するための資格であり、電気工事をするための資格ではありませんので注意しましょう。

 

コンクリート主任技士

ここでは、コンクリート主任技士の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 コンクリート主任技士は、コンクリートの製造・工事・研究における計画・施工管理・指導を行うことのできる資格で、コンクリート技士の上級資格にあたります。

  • コンクリート技士は、主に実務
  • コンクリート主任技士は、管理・指示・指導
難易度 ★★★★★
難易度:難関、合格率:13%前後、受験資格有:学歴要件その他
役に立つ職種 建設会社、土木構造物の維持管理会社、コンクリート製造会社の試験員

 

免震部建築施工管理技術者

ここでは、免震部建築施工管理技術者の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 免震部建築施工管理技術者は、免震部施工に関する専門能力のある技術者として認定する資格です。
主に以下の業務を担い、適切な免震性能を確保し、建物使用期間中に免震機能が十分に発揮されるように管理指導します。

  • 免震工事に関する施工計画書立案
  • 免震部材などの品質管理
  • 免震部工事の施工管理
難易度 ★★
難易度:やや簡単、合格率:89%(5年間平均)
受験資格:建築業務経験4年以上、1級建築士か1級建築施工管理技士の有資格者
合格率は高いものの、受験資格のハードルも高いです。
役に立つ職種 建設会社(高層建築物)、建築設計事務所など

 

CFT造施工管理技術者

ここでは、CFT造施工管理技術者の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 CFT造施工管理技術者は、CFT造建物の施工品質確保のために施工計画作成と施工管理を行うための資格です。
難易度 ★★
難易度:やや簡単、合格率:2018年:67.5%、2019年:67%
受験資格:3年以上のコンクリート施工や技術に関する実務経験、かつ一級建築士、1級建築施工管理技士、コンクリート主任技士、コンクリート技士のいずれかの有資格者
合格率は高いものの、受験資格のハードルも高いです。
役に立つ職種 建設会社(構想建築物)、建築設計事務所など

 
CFT造は、コンクリート充填鋼管構造(Concrete Filled Steel Tube)といわれる構造で、円形もしくは角型の鋼管にコンクリートを流し込んで柱にする構造です。
鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)に続く第4の構造と呼ばれています。

 

JR工事管理者

ここでは、JR工事管理者の資格概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
資格概要 JR(Japan Railway)工事管理者は、鉄道工事においてレール(軌道)や架線などの構築物を工事するための品質管理などを担う専門的な現場監督となります。
JR工事管理者は、在来線と新幹線の2種類があります。
難易度
難易度:簡単、受験資格有:土木・建築等工事経験、学歴要件、有資格者など
講習会受講後に試験があり、他にも身体検査があります。
役に立つ職種 鉄道会社、建設会社、設備会社など

 

監理技術者

ここでは、監理技術者の概要、難易度、役に立つ職種を下表にまとめます。

項目 内容
概要 監理技術者の業務内容は、担当する建設工事の施工計画作成や施工管理(工程・品質・原価・安全・環境)、その他の技術上の管理、建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督となります。
また、監理技術者としての資格試験はありません。
難易度 取得に必要な1級国家資格の種類により難易度は異なります。
監理技術者になるための要件は2種類の方法があり、以下のいずれか一方となります。

  • 1級国家資格等を保有することにより、監理技術者になる方法
  • 実務経験の条件を満たすことにより、監理技術者になる方法
役に立つ職種 建設会社、設備会社など

 

次に、各指定建設業において監理技術者になるために必要な1級国家資格等を下表にまとめます。

指定建設業(7業種) 業種ごとに必要な1級国家資格等
土木工事業 1級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、技術士
建築工事業 1級建築施工管理技士、一級建築士
電気工事業 1級電気工事施工管理技士、第1種電気工事士、1級計装士、技術士
管工事業 1級管工事施工管理技士、1級計装士、技術士
鋼構造物工事業 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、一級建築士、技術士
舗装工事業 1級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、技術士
造園工事業 1級造園施工管理技士、技能検定造園技能士、技術士

 

まとめ

以上、ゼネコンに役立つ資格12種類を解説しました。建設現場においては、規模が大きくなるほど求められる技術の水準が上がります。
また、専門化・多様化・業際化しているため、1つの資格だけでは対応できない状況となっています。

上記に挙げた資格は、多数ある資格の中から主となるものを抜粋したものです。この中からいくつかの資格を取得することで、高度化・多様化している建設現場にも対応していくことができるでしょう。
自身のキャリアアップやスキルアップのためにも、上記の資格取得を目指すことをオススメします。

 

 


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