安全書類(グリーンファイル)とは?種類や書き方を解説
作成方法
書類作成
特徴

安全書類(グリーンファイル)とは?種類や書き方を解説

2021年9月7日

建設現場では安全な環境を整えるために、様々な工夫が施されています。その中のひとつが、グリーンファイルと呼ばれる「安全書類」です。工事体制や工事内容、作業員に関する申告は、適切な環境下で工事が行われているか確認する材料になります。しかしこの安全書類は数多く存在するので、「どんなものがあるかイマイチわからない…。」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「安全書類の種類」について詳しく解説します。書き方に関する補足も記載しているので、施工管理者や建設事務に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

安全書類とは

安全書類とは「建設現場の安全を守るために必要な書類」です。労務安全書類やグリーンファイルとも言います。これは工事の体制や作業員、作業内容の把握のために作成される書類です。
様式は全国建設業協会から出されている「全建統一様式」や各ゼネコンが用意されている場合もあります。ただし記入する内容は共通しており、どの現場でも提出が求められます。そのため書類作成者は「書類の種類」や「各書類の内容」を把握しておきましょう。

安全書類を作成する目的は、万が一事故が起こった際「責任の所在を明確にするため」です。管理者と作業員の関係性を明らかにすることで、作業員の安全や権利を保証します。また現場での事故などを未然に防ぐこともあり、作業員の命や権利を守る役割があります。
施工管理者や建設事務員であれば、現場ごとに書類を作成することになります。それぞれの書類の意味を理解した上で作成しましょう。

 

安全書類の種類

安全書類は、主要なものだけで20種類以上が存在します。また、提出期限は書類ごとに異なります。
さらに、全体を管理するゼネコンによって必要な書類は異なるので、着工前に必ず確認しましょう。以下では「安全書類の種類」について、より詳しく解説します。

安全書類 主要9種類

ゼネコンの管理体制によって、提出すべき安全書類が異なります。
以下9種類は、提出を求められることが多い書類です。施工管理者や建設事務の方は、把握しておきましょう。

作業員名簿

作業員名簿は、作業員の氏名や住所などの個人情報を記入する書類です。元請が作業員の個人情報と、雇用状況を把握するために必要になります。
また、作業員の資格有無の確認を行う役割もあります。たとえば、現場で溶接を担当する溶接工や電気工事を担当する電気工は、資格証の提出が必須です。この書類は、一次下請以下の協力会社が作成するものなので、契約関係に応じて作成しましょう。

 

工事安全衛生書

工事安全衛生書は、工事を安全に進めるため「どのような行動や心がけをしていくか」を証明する書類です。工事期間や工程を記載し、その期間内に「どのようなリスクの発生が予測されるか」をまとめます。このリスクに対し「体制」と「段取り」を工事責任者が検討し、すべての作業員に周知させるための書類なのです。
起こりうる危険をすべて把握し、どのような措置をとるか一人で予測するのは難しいと言えますので、この書類を基に関係者でミーティングを行うことで、解像度の高い安全検討が行えます。

 

新規入場時等教育実施報告書

新規入場時等教育実施報告書は、下請業者の作業員が安全衛生教育を受けた後に現場に入場することを元請に報告するための書類です。
現場では毎日、様々な作業員が出入りします。その作業員1人ひとりに現場ルールを伝え、了承してもらわなければなりません。つまり、この書類は「現場ルールを理解しました」という意思表示の証になります。書類の中にある「受講者氏名」は、作業員の直筆サインをもらいましょう。

 

安全ミーティング報告書

安全ミーティング報告書は、現場で起こりうる危険な作業を洗い出し、その対策をまとめた書類です。
この安全ミーティング報告書を作成することで、万が一事故が起きてしまった際に、現場の安全管理を証明する材料になります。「細かな部分まで、いかに目を光らせることが出来るか」が管理者としての腕の見せどころになります。
なお、この安全ミーティング報告書は危険予知(KY)活動と言われることもありますので、セットで覚えておくとよいでしょう。

 

持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届

持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届は、重機やクレーン車といった現場で使用する建設機械を管理するための書類です。
その際、該当する車両を運転する運転者の名前と必要な免許・資格を記入が必要になります。合わせて資格証のコピーも入手しておきましょう。

 

持込機械等(電気工具・電気溶接機)使用届

持込機械等(電気工具・電気溶接機)使用届は、作業で使用する機械の安全性を管理するための書類です。
この書類は、使用する機械が定期的にチェックされていることを宣言するものになります。この書類の提出がない場合、機械の持ち込みは原則できませんので、必要に応じて忘れずに申請しましょう。

 

工事・通勤用車両届

工事・通勤用車両届は、工事現場に入場する工事車両をまとめた書類です。複数の業者が混在する現場では、この申請を基に搬出入の時間が割り振られます。
また、通勤車の申請も必要なケースがあるので、工事現場ごとに書類をチェックしましょう。

 

有機溶剤・特定化学物質等持込使用届

有機溶剤・特定化学物質等持込使用届は、危険物や有害物を使用する際に申請する書類です。
使用日時や使用材料を申請し、元請に作業許可をもらう必要があります。工事条件で作業時間が決められている場合が多いので、事前に確認しておきましょう。

 

火気使用届

火気使用届は、現場で火気作業が発生する際に申請する書類です。
火気作業は事故を引き起こす危険があるため、元請に周知しなければなりません。作業日時や作業内容を申請し、元請に許可をもらう必要があることを念頭に入れておきましょう。

 

安全書類 その他12種類

上記で紹介した他にも、様々な書類もあります。工事規模や工事体制によって提出内容が異なるので、工事現場ごとに都度確認しましょう。

・労務・安全衛生管理事項引受確約
元請の指示に従う旨を確約する書類です。工事安全衛生書とともに元請に対して提出します。

・労働基準監督署提出書類報告書
労働基準監督署へ必要書類を提出した旨を証明する書類です。

・安全帯使用の確約書
高所作業にて安全帯を使用する旨を確約する書類です。

・脚立の単独使用の確約書
脚立の単独使用が発生する際、作業員に指導を行った上で使用する旨を確約する書類です。

・建設業法・雇用改善法等に基づく届出書(変更届)
元請業者から工事を請け負った下請業者(1次)が、更に下請(2次)に出す場合に、元請業者へ提出する書類です。
もし再下請業者が更に下請(3次)に出す場合は、同じように「建設業法・雇用改善法等に基づく届出書(変更届)」を作成する必要があります。

・下請負業者編成表
一次下請負業者が二次下請負以下の業者の契約の流れをまとめた書類です。

・有資格者一覧(技能講習)
保有資格を工種ごとにまとめた書類です。合わせて資格証のコピーが必要になります。

・年少者就労報告書
満18歳未満の作業員を現場に配置する際、自社責任で就労させることを報告する書類です。

・高齢者就労報告書
高齢者(65歳以上)の作業員を、自社責任で就労させることを報告する書類です。

・外国人就労に関する誓約書
外国人建設就労者である作業員を、自社責任で就労させることを報告する書類です。

・免許・技能講習修了証貼付台紙
免許・技能講習修了証を有している作業員の資格証コピーを申請する台紙です。

・職長教育修了証貼付台紙
職長教育修了証を有した作業員の資格証コピーを申請する台紙です。

 
これらの書類は元請に対し、必要に応じて提出します。書類の意図に該当しない場合(例「年少者を就労しない」など)は、提出する必要があるかどうか元請に確認しましょう。
また、これらの書類は元請の管理体制によってフォーマットや提出方法が異なります。必ず元請から指示があるので、その指示に従って作成しましょう。

 

まとめ

安全書類(グリーンファイル)は、作業員の命と権利を守る重要な書類です。種類が多く不備が生じやすいため、安全書類を作成する際はスケジュールに余裕を持たせるとよいでしょう。
これらの書類は着工前〜竣工の間、提出が適宜求められます。各書類の締め切り日は現場によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

 

 


SHARE