2021年9月7日
建設業界の中でも、現場を指揮する「施工管理」は特殊な仕事です。その中でも経験の浅い新人さんは、仕事内容がつかめず不安を抱く方もいるのではないでしょうか。
そこで当記事では、施工管理者として業務経験のある筆者が「新人施工管理者の仕事内容」について詳しく解説します。
これから施工管理者を目指す方や建設業界に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
まず施工管理とは、工事現場を管理する仕事です。設計者の考えた図面に対し、どのように制作したらよいか検討して協力会社を統率します。その際、以下4つの項目を管理しなければなりません。
・工程管理:着工〜竣工までの工事スケジュールを管理
・品質管理:制作物のクオリティや施工方法を管理
・原価管理:工事原価(工事に必要な費用)の管理
・安全管理:安全な工事環境の管理
施工管理では、制作物の一連のフローを担当します。幅広い知識と様々な経験が必要になる仕事なので、新人管理者がいきなり重要な仕事を任されることはあまりありません。まずは先輩管理者の仕事を見て、どんなことを行っているか観察しましょう。
新人の施工管理者の仕事は、上記の管理項目のサポートから始まります。
例えば工程管理の場合は、先輩管理者が組んだスケジュールを基に各協力会社との日程調整などを任されるでしょう。また安全管理であれば、搬出入時のトラック誘導や現場の清掃業務などを行います。
つまり、新人施工管理者の仕事は先輩管理者の「補佐」として、負荷の少ない業務から徐々に任されて行くのです。まずは先輩管理者が「どんなことを業務しているか」を観察して、スキルや経験を問わない仕事は率先して引き受けるようにしましょう。
新人施工管理者の主な業務は「先輩管理者の補佐」そして「スキルや経験を問わない管理」になります。施工管理者は、協力会社や職人に対し様々な指示を出します。常に判断を迫られる仕事であるため、経験の浅い新人管理者はまず「補佐」として行動しましょう。
また、現場ではスキルや経験を問わない業務も数多くあります。出来る仕事は自発的に引き受けて、先輩管理者や協力会社との信頼関係の構築を目指しましょう。
以下では、新人管理者の業務内容を、具体的に6つ紹介します。
建設現場では様々な素材が現場で加工されるため、ほこりや廃棄物が出ます。新人管理者はまず、これらの清掃から始めましょう。「最初の仕事が現場の清掃…」とネガティブに感じる方もいるかもしれませんが、新人管理者にとって「現場清掃」は最も重要な仕事といっても過言ではありません。
機材が散らかった現場は、作業効率を著しく低下させます。現場環境を整えるだけで、現場がスムーズに進むことはよくあるのです。だからこそ新人の施工管理者は「管理者」として「次の作業の準備」ととらえて掃除をしましょう。
つまり「どのような準備をしたら効率よく作業が行えるか」を考えて掃除をすることが大切です。
建設現場では、様々な職人さんが出入りします。作業員の管理も、施工管理の仕事です。作業員が安全に作業出来るよう現場環境を整え、設備などのチェック業務を行います。その中でも新人管理者は「新規入場者の管理」を担当しましょう。
「新規入場者の管理」は、現場入場する職人さんの情報を確認し、現場ルールなどを伝達する仕事です。例えば溶接や電気工事を行う職人が入場する場合は、資格証をチェックが必須になります。
また、保険加入の状況や雇用主との関係性の確認も必要です。これらのチェックは作業員の安全管理をする上で、非常に重要な仕事となります。確認すべき項目が分かっていれば、新人管理者でも出来る業務ですので、先輩管理者からポイントを聞いた上で担当しましょう。
現場では毎日たくさんの写真を撮影します。完成形はもちろんのこと、施工方法がわかる写真や使用部材のメーカー、さらに寸法など細かな部分まで写真に収めています。これは竣工後に提出する資料であるため、現場の写真撮影は非常に重要な仕事です。
新人管理者は写真を通して、工事の進捗を適宜記録しましょう。多くの企業では、工事写真をリアルタイムで共有し、現場に常駐しない上司や技術部門へ報告を行っています。つまり、現場にいない人が見ても要点がわかるように写真を撮影しなければなりません。日時や概要を書いたホワイトボードと一緒に撮影するなど、自分なりに工夫することが大切です。
はじめはどのような写真撮ったらよいかわからないと思うので、必要な写真を確認するとよいでしょう。
工事中に最も発生する業務が、現場の段取りと言えるでしょう。
現場を効率的に進めるためには「何日の何時に呼んだらよいか」が鍵です。ただし段取りを組むためには、施工管理者としての経験値が必要です。そのため、新人の施工管理者は先輩管理者に段取りをヒアリングし、協力会社への連絡業務を担当しましょう。
このような調整を担当すると「いつ職人さんが来るのか」が頭に入ってきます。安全管理で解説した「新規入場の管理」がしやすくなるので、積極的に引き受けましょう。
施工管理の仕事は、重要な意思決定から雑務まで様々です。だからこそ新人の施工管理者は、先輩管理者のサポート役として、自分に出来そうなことは能動的に引き受けましょう。
建設現場では「見て覚える」「やって覚える」といった風潮があります。ただ指示を待つだけではなく、自ら気づいて行動することが大切です。
ただしひとつだけ注意点があります。それは「勝手に行動しないこと」です。実は新人管理者の勝手な判断で、現場に大きな損害を与えることはよくあります。行動することは大切ですが、行動する前の「提案」は忘れずに行いましょう。
建設現場では、数多くの書類を作成しなければなりません。作業に関する「作業届」や「火気・危険物の使用届」、さらには「工事完了報告書」など様々です。これら書類作成にはスキルや経験は要りません。だからこそ新人管理者が必ず担当しましょう。
ここで重要なのは、先ほどと同じく「勝手に提出しないこと」です。書類の不備は、会社の信頼問題に影響します。不備を無くすためにも、慣れないうちは先輩に確認してもらった上で提出するようにしましょう。
また、書類の提出期限も重要です。提出が遅れると、予定していた作業が中止することもありますので、提出期限を把握した上で書類作成に挑みましょう。
仕事の全体像を把握したところで、次に新人管理者としての「マインド」について解説します。以下5つを参考に、管理者として重要なスタンスを今一度確認しましょう。
建設現場は、時間との勝負です。わからないことがあれば遠慮せずに、すぐ質問をしましょう。
ただ注意すべき点があります。それは「質問の意図を明確にすること」です。漠然とした質問では、その分回答も抽象的になってしまいます。質問の意図をまとめた上で、先輩管理者に確認しましょう。
現場は日々変化するため、よく問題が発生します。ときには新人の施工管理者でも判断を迫られることもあるかもしれませんが、そのときは焦らず先輩管理者に相談しましょう。
軽率に判断したことで、後で大きな損害となることは多々あります。わからないことを「わからない」と言い切ることは、新人にとって重要な仕事のひとつです。
現場では実際に体を動かして、様々な体験をします。机上で勉強するよりも、多くのことを吸収する機会です。
だからこそ新人のうちは、勉強の一環として様々な挑戦をしましょう。ときには失敗し、先輩から指摘されることもあるかもしれませんが、失敗こそ糧にして、自身の経験を積みましょう。
現場ではたくさんの方との出会いがあります。先輩管理者はもちろんのこと、職人さんとも積極的に交流しましょう。
職人さんはその分野のプロですので、先輩管理者も知らないような細かな情報を持っている方々です。技法や素材のことなど、気になることはどんどん質問しましょう。
積極的な新人が一人いると、現場の雰囲気も活気が出て明るくなります。
「施工管理者としてステップアップをしたい」と考えている方は、ぜひ資格取得をオススメします。施工管理者の場合「施工管理技士」という国家資格があります。新人の施工管理者 は、まず「2級」の取得を目指しましょう。
新人の施工管理者は、先輩のサポートやスキル・経験を問わない仕事からスタートします。様々な現場で経験を積んでから現場を任される流れなので、経験のない方でも挑戦しやすい職種と言えるでしょう。