CADオペレーターになるには?使える資格5つと勉強方法を解説
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CADオペレーターになるには?使える資格5つと勉強方法を解説

2021年10月6日

CADスキルは、建設業界だけでなく様々な業界で求められており、とくにCADオペレーターは図面作成の専門家として注目されている仕事です。
そこで今回は、CADオペレーターの仕事内容や必要な資格などについて紹介します。作図関係の仕事を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

CADオペレーターとは

CADオペレーターとは、設計士やデザイナーの考えたデザイン案を、CADソフトを使って図面作成・修正する仕事です。CADとは、「Computer Aided Design(コンピューター支援設計)」の略称で、コンピューターを用いた設計および設計手段を指します。
現在はソフトを使った作図が主流ですが、もともと作図は「手書き」で行われていました。つまりCADオペレーターは、時代の変化にあわせて生まれた職業なのです。
現代では2D図面だけでなく3Dを使った作図も多くなり、いろいろな作図ソフトが誕生しています。そのためCADオペレーターは日々アップデートされる情報を収集して、自分のスキルを磨き続ける必要がある仕事と言えるでしょう。

CADオペレーターの仕事内容

CADオペレーターは技術職なので、「普段どんなことをしているかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで簡単に「CADオペレーターの仕事内容」について紹介します。

① クライアントとの打ち合わせ

まず一つ目は「クライアントとの打ち合わせ」です。CADオペレーターの依頼者は、設計者もしくは工事関係者が多く、依頼者によって作図内容が異なります。
たとえば設計者の場合は意匠図を中心とした作図が多いですが、工事関係者の場合は施工図を依頼されることもあるため、CADオペレーターは自身の得意分野を意識してクライアントを選定する必要があるのです。
そのため、クライアントとの打ち合わせでは依頼内容に加えて、納期・使用ソフトの指定・成果物のイメージなどを詳しく確認するようにしましょう。

 

② 作図

次に二つ目は「作図」です。一から図面をおこす場合もあれば、すでに描かれた図面の手直しの依頼もありますので、打ち合わせの内容によって必要範囲の作図を行いましょう。
また、作図は限られた時間で図面を作成することが重要です。フィードバックをもらい、修正する時間もあるので納期を優先して行動しましょう。

 

③ 検証箇所の抽出

そして三つ目は「検証箇所の抽出」です。作図をしていると「ここの収まりが決まっていない」や「仕上がりに矛盾がある」というように、様々な問題箇所に気づく場合が多々あるため、その際は図面で注釈を入れ、クライアントが議論しやすいようにまとめる必要があります。
ただ言われたことを描くだけではなく、プロの作図屋として気づいたことは図面にメモをしておくようにしましょう。

 

CADオペレーターにとって重要な3つのスキル

CADオペレーターになるためには、様々な知識と経験が必要になります。以下ではCADオペレーターにとって重要な「3つのスキル」を紹介します。

✓ CADに関する資格

まず一つ目は「CADに関する資格」です。CADには「CAD利用技術者試験」や「建築CAD検定試験」など数多くの資格があります。CADオペレーターの仕事は無資格でも問題ありませんが、資格を取得しておくことで自身のアピールポイントにもなります。
CADオペレーターとして転職を考えている方や、新規クライアントの開拓をしている方は、ぜひCADに関する資格を取得することをオススメします。

 

✓ 業界に必要なCADソフトの経験

次に二つ目は「業界に必要なCADソフトの経験」です。使用するCADソフトは業界によって異なります。建設・製造・インテリアなど、ご自身がメインとする業界に合わせて、適切なソフトを使用しましょう。
使用するソフトが違うとデータが開けないこともあるので、数種類使えた方がベターです。

 

✓ 最新ソフトの知識

そして三つ目は「最新ソフトの知識」です。担当している業界の動向にあわせて、最新のソフトに関する知識をつけておくようにしましょう。
実際にソフトを導入するとコストがかかってしまいますが、中にはお試し版を扱うメーカーもありますので、新技術にふれて常に知識をアップデートしておくとよいでしょう。

 

CADオペレーターにおすすめの資格5選

上記でもお話しした通り、CADオペレーターには知識と経験が必要です。ポートフォリオが豊富な方は経験を証明できますが、まだ実績の少ない方にとっては難しいかもしれません。
そこで以下ではCAD知識を証明する5つの資格について紹介します。これからCADオペレーターに転職したい方やスキルアップを図りたい方にオススメです。

CAD利用技術者試験

「CAD利用技術者試験」は、CADに関する知識やスキルを明確化し評価するための試験です。CAD初心者の方から、実際に仕事で使用している人まで幅広い受験者がいます。
試験は以下の種類に分かれており、ご自身のスキルや目的に合わせて受験が可能です。
・二次元CAD利用技術者試験基礎
・二次元CAD利用技術者試験 1級(建築、機械、トレース)、2級
・三次元CAD利用技術者試験 1級、準1級、2級

※二次元CAD利用技術者試験の1級は、建築・機械・トレースの中から選択になります。

【受験資格】

– 2級:指定なし
– 1級・準1級:2級合格者

2級試験に関しては、受験資格の指定は特段ありません。実務経験や最終学歴は問われないので、未経験者にも受験しやすい資格といえるでしょう。
一方で準1級以上の試験は、2級合格者のみが受験できます。そのためCAD経験のある方もまずは2級の受験が必須となりますので、段階を踏んでスキルを身につけていきましょう。

 

【受験料】

■ 二次元CAD利用技術者試験
– 基礎:4,400円(税込)
– 2級:6,050円(税込)
– 1級:16,500円(税込)※ただし過去の1級合格者は11,000円(税込)

 
■ 三次元CAD利用技術者試験
– 2級:7,700円(税込)
– 準1級:11,000円(税込)
– 1級:16,500円(税込)

 

【試験内容】

■ 二次元CAD利用技術者試験基礎
– 試験方法:筆記50問
– 合格点:7割以上の正答で合格

 
■ 二次元CAD利用技術者試験 1級(建築、機械、トレース)、2級
<2級>
– 試験方法:筆記60問
– 内容:CADシステムに関する知識および製図
– 合格点:CADシステム分野・製図分野が各5割以上、および総合が7割以上

<1級>
– 試験方法:実技および筆記25問
– 筆記内容:製図の知識
– 実技内容:各選択分野における実技
– 合格点:実技試験・筆記試験が各5割以上、および総合が7割以上

 
■ 三次元CAD利用技術者試験 1級、準1級、2級
<2級>
– 試験方法:筆記60問
– 内容:3次元CADの概念・3次元CADの機能と実用的モデリング手法など
– 合格点:各分野5割以上、および総合7割以上の正解

<準1級>
– 試験方法:実技
– 内容:CADリテラシー、形状認識能力、2次元図面からのパーツモデリング能力
– 合格点:各分野5割以上、および総合7割以上の正解

<1級>
– 試験方法:実技
– 内容:CADリテラシー、形状認識能力、アセンブリモデリング能力、2次元図面からのパーツモデリング能力
– 合格点:各分野5割以上、および総合7割以上の正解

 

建築CAD検定試験

「建築CAD検定試験」とは、全国建築CAD連盟(AACL)が主催しているCAD検定です。CADソフトを使い、製図するスキルを問う試験になります。
この検定は、難易度の低い順に、3級、2級、準1級の3段階に分けられています。

※4級もありますが、これは高校生が対象です。社会人は受験できません。

【受験資格】

3級から準1級までは、学歴・経験年数の規定はありません。どなたでも受験可能です。

 

【受験料】

– 2級・3級:10,500円(税込)
– 準1級:14,700円(税込)

 

【試験内容】

<3級>
– 試験方法:実技 2時間/4題
– 内容:参考図をもとに完成図を作成
– 合格点:200点満点中の150点以上

3級では、建築図面の要素を取り出して作成した参考図をもとに、完成図を一定時間内に作成します。試験問題の指示に対して、作図方法を判断する能力が必要で、正確に描くためのCADスキルも試されます。

<2級>
– 試験方法:実技 5時間
– 内容:建築一般図を2面作成
– 合格点:250点満点中の195点以上

2級では、建築知識をもとにCADシステムを使って作図する実力が重要になります。一定時間内に建築一般図を2面作成しなければなりません。

<準1級>
– 試験方法:実技 4時間10分(設定10分、計画30分、作図3時間30分)
– 内容:建築一般図を4面作成
– 合格点:ボーダーラインなし

※なお準1級は全ての課題図面を完成させているかが合否の判断になるため、合格点はありません。一部分でも未完成の箇所があればそこで不合格となります。

準1級では、自らの建築製図知識とCADの経験を駆使し、建造物の特性を理解した適切な判断を行って課題を完成させます。

 

CAD実務キャリア認定制度

「CAD実務キャリア認定制度」とは、CADの経験者やCAD教育の受講者を対象とした、CAD利用に関する実務的な技術・技能の成果を認定する資格です。
この資格の特徴は、合否は無く、スコア制であることです。採点は990点満点として点数で認定されます。
この試験には以下の3種類がありますので、自身の目的に合わせて選びましょう。
– 3次元CADトレーサー認定試験
– 3次元CADアドミニストレーター認定試験
– CADアドミニストレーター認定試験

【受験資格】

規定はありませんが、試験実施における環境条件として、インターネットに接続できることが必須です。

 

【受験料】

– 3次元CADトレーサー認定試験:13,600円(学生割引:9,500円)
– 3次元CADアドミニストレーター認定試験:10,500円(学生割引:6,300円)
– CADアドミニストレーター認定試験:7,300円(学生割引:5,300円)

 

【試験内容】

■ 3次元CADトレーサー認定試験
– 試験方法:事前課題+実技90分
– 事前課題:試験日1週間前、Web 試験ページより事前課題をダウンロードし、試験日当日までに課題を作成
– 内容:3Dモデリングの知識および機械製図知識など
– 合格点:スコア制

■ 3次元CADトレーサー認定試験
– 試験方法:事前課題+実技90分
– 事前課題:試験日1週間前、Web 試験ページより事前課題をダウンロードし、試験日当日までに課題を作成
– 内容:3Dモデリングの知識および機械製図知識など
– 合格点:スコア制

■ 3次元CADアドミニストレーター認定試験
– 試験方法:事前課題+実技90分
– 事前課題:試験日1週間前、Web 試験ページより事前課題をダウンロードし、試験日当日までに課題を作成
– 内容:3Dモデリング知識及び技能・簡単な部品組み立て技能・2次元化技能
– 合格点:スコア制

■ CADアドミニストレーター認定試験
– 試験方法:実技90分
– 内容:図形の基礎知識・図形の作図能力・CADの操作技能
– 合格点:スコア制

 

オートデスク認定資格プログラム

「オートデスク認定資格プログラム」とは、全世界共通で実施している認定資格制度です。
オートデスクとは、AutoCADやFusion360などといった様々なCADソフトを開発している会社です。この資格を取得すると、オートデスク社のCADソフトが使用可能であることを証明できます。先ほど紹介した資格とは異なりますが、転職活動に有利になる資格のひとつです。
プログラムは下記の2種類があります。
・プロフェッショナル
・ユーザー

【受験資格】

規定はありませんが、プロフェッショナルの場合は、ユーザー資格保有者および400時間のソフト使用経験のある方が推奨のようです。

 

【受験料】

各オートデスク認定試験センターへの問い合わせが必要です。
https://www.myautodesk.jp/certification/faq.html

 

【試験内容】

■ ユーザー
– 試験方法:筆記+実技 35問、75分
– 内容:基本的な作図スキル、オブジェクトの作成、高度な作図編集機能など
– 合格点:正解率70%以上

■ プロ
– 試験方法:実技35問、120分
– 内容:オブジェクトの作成、作図・修正、他作図テクニックを問う問題
– 合格点:正解率80%以上

 
全世界で20万人以上のユーザーが取得しており、各地で試験会場があるので受験しやすい資格です。

 

Vectorworks操作技能認定試験

「Vectorworks操作技能認定試験」とは、Vectorworksの操作技能の向上や社会ニーズに適った技能者の養成を目指し、操作技能を客観的に評価できる基準のひとつとしてVectorworksの国内総販売元であるエーアンドエー株式会社が主催し実施する操作技能認定試験です。
設計分野でよく使用されているVectorworksの資格を有していると、操作スキルを有していることが認められますので、Vectorworksをメインに使用する業界では有利なスキルです。

【受験資格】

規定はありませんが、自宅などのインターネット環境が整っている場所が必要となります。

 

【受験料】

3,300円

 

【試験内容】

■ ベーシック
- 試験方法:IBT択一選択方式、正誤方式、50分
- 内容:Vectorworks基礎、基本機能・作図に関する知識など
- 合格点:正解率70%以上

 

スムーズに資格を取得するための勉強法

これらの資格は、独学でも取得が可能です。ただし独学で試験対策を行う場合には、限られた時間で効率的に勉強する必要があるでしょう。
そこで以下では、オススメの勉強法について3つほど解説します。どれか1つだけに絞るのではなく、3種類の勉強法を組み合わせて、自分なりにアレンジしてみましょう。

テキストを使っての勉強&過去問対策

まずはテキストを使って、基本知識を勉強しましょう。ふだん使っているソフトでも知らない単語や技術が出てくることもあるでしょう。そのためCAD経験者の方でも最初から勉強し直すことをオススメします。
また、過去問は実際のテストに慣れる効果もあるので、同じ問題でも何度も反復して解くようにしましょう。過去問に慣れてきたら、時間をはかり実際のテストと同条件で解いてみます。そうすることで苦手箇所が鮮明に把握できます。

 

ソフトを使って操作しながら勉強する

次に、実際にソフトを操作しながら勉強を進めましょう。CADオペレーターの試験の多くは実際のモデリングスキルを問う実技がありますので、実際にソフトを操作しながら作図スキルを高めましょう。
また、テキストなどを使いながら課題を行うと、効率よく勉強が進みます。実際にCADオペレーターとして働いている方も、試験対策として練習しておくことをオススメします。

 

YouTubeなどの動画を見て勉強する

また、YouTubeなどを使った勉強方法もオススメです。テキストやソフトを使った学習方法では、机に向かって勉強する時間を確保しなければいけません。しかしYouTubeや音声データを使って勉強を行うと、通勤時間中や家事をしながらでも勉強できます。
ふだん忙しくて中々まとまった時間が取れない方は、YouTubeを使った勉強法を活用してみてください。

 

CADオペレーター関連の資格が活かせる職場とは?

最後に、CADオペレーター関連の資格が活かせる職場について紹介します。CADに関する資格を取得して、ご自身の希望する働き方を実現させましょう。
– 建築設計事務所
– ハウスメーカーの設計部
– 製造業の設計部
– 個人事業主(フリーランス)

やはりCADスキルは、建築系やハウスメーカーの設計部への転職が有利になります。ふだん使用するソフトが異なる場合であっても「CADの知識がある」というだけで好印象になるからです。
他にも自動車メーカーの設計部など、製造業系の仕事もありますので、ご自身の興味のある分野で探してみましょう。
また、CADオペレーターの仕事はPC環境が整っていればどこでも作業できます。そのため個人事業主として家で作業する人も少なくありません。
CADオペレーターは、ご自身のライフプランに合わせて働き方が選びやすい職種と言えるでしょう。

 

まとめ

CADオペレーターは、建設業や製造業など幅広い業界で重宝されています。また、リモートワークもしやすい職種であるため、将来的に独立を考えている方にもオススメです。
ただし「いきなり独立」となると、営業活動や実績作りに時間がかかってしまいます。そのためまずは企業で経験を積み、仕事の実績が増えてきてからの独立をオススメします。
今後も更なる需要が期待できる仕事なので、資格取得や勉強などを行い、自身のスキルを磨いていきましょう。

 

 


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