積算業務とは?仕事内容ややりがい、資格を解説
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積算業務とは?仕事内容ややりがい、資格を解説

2021年12月14日

建設業界特有の仕事である「積算業務」。建設業界ではビルの建設やインフラ整備など、毎年様々な工事が行われており、その建設費は数千万〜数十億円にも及びます。そのため設計初期の段階で「工事費がいくらか」を把握することと、積算業務が重要になります。
そこで今回は、積算業務の仕事内容ややりがいについて解説します。建設業界に興味のある方や、工事関係者をサポートする仕事がしたい方は必見です。

 

積算業務とは

積算業務とは、設計図や仕様書から材料や数量を算出し、工事費の見積もりを算出する仕事です。
先ほど説明した通り、工事費は金額が高く、数千万円以上がほとんどです。そのため予算内に収まっている設計プランなのかを確認するために、積算業務が必要になります。
そのため積算担当者は、設計図から計算する「概算予算書」や、正式図面から計算する「見積書」を作成します。どちらも図面の解読力や、制作物に対する想像力などが必要になるでしょう。

ただし、最近では積算用のソフトを導入している企業も多くあり、未経験から積算業務の仕事ができる場合も増えています。
しかしながら業務を行う上では、建築資材の相場、建築工事の工程、工法、専門用語などの知識が必要なので、専門性の高い仕事と言えるでしょう。未経験からでも転職は可能ですが、最低限の業界知識は必要になります。

 

積算の業務内容

積算業務は主に下記の仕事を行います。

設計図、仕様書の読み込み

まず一つ目は「設計図、仕様書の読み込み」です。現場面積や施工部材の数量、使用素材の使用量などを把握するために、図面や仕様書を読み込みます。重要なのが「図面に描かれていないことまで想像する力」です。
積算した結果は、クライアントやプロジェクト関係者と共有するため、積算漏れがあると自社の利益損失に直結するでしょう。
だからこそ最初の積算時点で「どのような費用が発生するか」を想像して積算することが重要です。図面に描かれていないことも想像できる力があると、積算の精度が格段に向上するでしょう。

 

使用部材の算出

二つ目は「使用部材の算出」です。現場面積やロス率を踏まえて、使用部材を算出します。概算予算書の場合はあまり細かく算出しませんが、通常の見積書では部材1本単位で算出するケースがほとんどです。部材はもちろんのこと、副資材などの施工に必要な材料もあわせて積算しましょう。

 

工法の予測および人件費の算出

三つ目は「工法の予測および人件費の算出」です。「どのような施工をするか」によって、工事費が大きく異なります。
また作業の時間帯(日中あるいは夜間)によっても人件費が変動します。そのため現場条件や図面から工法を予測し、その工法に見合う金額を検討しなければなりません。そのためには工事日数や必要人員の把握が必要なので、現場経験のない方は必ず制作側と擦り合わせを行いましょう。

 

概算予算書および見積書の作成

四つ目は「概算予算書および見積書の作成」です。算出した内容を予算書や見積書の形式にまとめます。このときに重要なのが「特記事項を明記すること」です。とくに予算書の段階では、推測で金額を設定する場合もあるでしょう。その際は必ず「特記事項」として見積もり条件を明記しなければなりません。とくに自社が元請の場合、クライアントの多くは工事知識のない方になるでしょう。見積もりの精度が把握できない場合がほとんどなので、積算条件は細かく記載する必要があります。

 

仕様変更の提案

そして五つ目は「仕様変更の提案」です。提示した見積書がクライアントの予算をオーバーしていたとき、設計プランを見直す必要があります。基本的にプランの見直しは設計者の仕事ですが、積算担当者としての目線でアドバイスをすると、打ち合わせが円滑に進みます。予算オーバーをしている場合は、工事金額を下げるための提案を積極的に行いましょう。

また他にも一般的な工事相場や人件費相場に関する知識や、施工に関する知識も重要です。積算業務は基本的にデスクワークですが、現場監督ができる技量は必要になります。積算未経験者であれば、まずは現場経験を積むことをオススメします。

 

積算業務のやりがいとは

建設業界の「積算業務」にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。以下では3つのポイントを紹介します。

積算した予算内で工事が完工できたとき

限られた予算内で成果を出すことは重要になります。とくに建設業界は金額が大きいため、少しの積算ミスでも大きな損害を与えてしまうこともあるでしょう。しかし自身が積算した予算内で工事が完工できると、所属企業に利益をもたらします。提示予算の通りに工事が進められると、積算担当としての楽しさを感じるはずです。

 

工事アイデアが採用されたとき

積算した金額が予算をオーバーしているとき、仕様変更などで工事金額を調整します。基本的に設計者が行う仕事ですが、積算目線でプランを提案すると設計者より高い評価が得られます。別案件のパートナーとして声がかかることもあり、より密接な関係を築くことができるでしょう。設計者と積算者では発想が異なるので、仕様変更のアイデアは積極的に提案することをオススメします。

 

プロジェクトの要である業務に携わることができる

建設業界では「予算」に合わせて設計プランを決めていきます。そのため積算の内容によっては、よりハイグレードなプランへの変更や、設計ランクを下げることもあります。だからこそ見積書は、プロジェクトの要であり指針です。重要なフェーズの責任者として、程よい緊張感を持って業務に携われるでしょう。責任重大な仕事ですが、プロジェクトが軌道に乗ると達成感も味わえるはずです。

 

積算業務に向いている人

積算業務は、建設業界の職種の中でも特殊です。そこで以下では「積算業務に向いている人」の特徴を5つ紹介します。

❏ 数字に強い人

一つ目は「数字に強い人」です。積算業務は必要な部材を割り出して、すべて計算しなければなりません。面積計算や部材の数量の割り出しなど、簡単な計算を日々行います。理系である必要はありませんが、数字に慣れていて計算作業が苦ではない方にオススメです。

 

❏ 目標に向けて試行錯誤することが好きな人

二つ目は「目標に向けて試行錯誤することが好きな人」です。積算業務は、見積書の作成だけでなく、仕様変更や金額調整のアイデア出しなども行います。提案力や知識も必要ですが「クライアントの目標数字を意識して行動できるかどうか」は重要になるでしょう。

 

❏ 現場知識のある人

三つ目は「現場知識のある人」です。上記でも説明した通り、積算では「図面に描かれていないこと」も想像する力が必要になります。そのためには実際の現場で見たこと、学んだことが重要になります。現場未経験の方でも積算業務は行えますが、実際の現場を見ている人とそうでない人では、積算の精度が異なるでしょう。

 

❏ 細かい作業が得意な人

四つ目は「細かい作業が得意な人」です。工事が進むにつれて、見積もりの内容も変更されます。その度に図面を見返して、見積書を修正しなければなりません。場合によっては何度も繰り返して行わなければならないので、細かい作業が苦ではない方にオススメです。

 

❏ 最後までやり抜くことができる人

五つ目は「最後までやり抜くことができる人」です。積算は担当する人によって計算方法や考え方が異なります。そのため担当物件を別の人に引き継ぐケースはあまりありません。担当物件を最初から最後までやり切る力が必要になります。

 

積算に必要な資格

最後に積算業務に必要な資格について説明します。これらの資格を有していると転職しやすくなるので、取得することをオススメします。

建築積算士(建築積算士補)

建築積算士とは、図面などの情報をもとにしながら工事費を算出するためのスキルを証明する資格です。以前は国土交通省が認定する資格でしたが、行政改革の一環で民間資格となり、2001年からは公益社団法人日本建築積算協会が認定する資格となりました。17歳以上の方は受験できるので、業界経験のある方は挑戦してみるとよいでしょう。

 

建築コスト管理士

建築コスト管理士とは、建築積算士の上位資格の位置づけで、コストマネジメント業務に関する高度な専門知識および技術など、資格豊富な経験と実績を有する専門者を指します。平成18年4月に創設された資格で、建築積算士と同じ日本建築積算協会が主催する資格制度です。

 

まとめ

積算業務は、設計プランを円滑に進めるために必要不可欠な仕事です。また積算担当者の作成した見積書や予算書は、工事着工までの重要な指針となるでしょう。図面読解力や現場での経験値が必要になりますが、未経験者でも転職が可能な職種ですので、検討されている方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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