建築設計とは?意匠・構造・設備の3つを徹底解説
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建築設計とは?意匠・構造・設備の3つを徹底解説

2022年1月18日

人々の暮らしを支えている建設業界。そのなかでも「建築設計」は、私たちが普段使っているビルや商業施設の設計を手がける仕事です。
この建築設計は、「意匠・構造・設備」という3つの設計に分かれることをご存知でしょうか。
今回は「建築設計とは」と題して、意匠設計・構造設計・設備設計の3種類について解説します。建築設計に興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

 


 

建築設計とは

建築設計とは、建築物を設計するためのプランを考案し、そのプランの作図を行う職種です。
建物の設計には「意匠」「構造」「設備」の3つの要素があり、建築設計はこの3つの総称です。これらの設計は複数人で行う場合が多く、基本的には設計者の中でも「意匠設計」「構造設計」「設備設計」というように分業して行います。
なお、一級建築士などの資格を目指す方はこれらすべての知識が必要になるため、建築設計者を目指す人は、まずは幅広く学習した上で自身の得意分野を伸ばすとよいでしょう。

また、建築設計の他にも「土木設計」があります。これは橋梁、道路、ダムなどのインフラ設備に特化した設計で、建築設計とは設計対象物が異なります。
建築設計はあくまでもビルや商業施設などの「建築物」を設計する仕事なので、混同しないようにしましょう。

 

建築設計の仕事内容

建築設計は、意匠設計・構造設計・設備設計の総称であることを解説しました。そこで以下ではそれぞれの仕事の特徴について解説します。

意匠設計

意匠設計は、建築物におけるデザインを決める役割を担います。クライアントの要望を聞き、建築物のコンセプト作りや外観・内観イメージを考案します。
デザインに関する決定権が強いため、プロジェクトの旗振り役としての役割もあります。クライアントからの提案や、構造・設備設計者の意見を聞き入れ、プランをまとめる「リーダーシップ力」が重要になるでしょう。
また、様々な人との打ち合わせがあるので、コミュニケーション能力も試される仕事です。

< 意匠設計の仕事内容 >

意匠設計の仕事は主に以下の通りです。

  • デザインプランの考案
  • デザインパースの作成
  • コンセプト作り
  • 意匠図の作成
  • 全体の設計マネジメント
  • 意匠サンプルの手配など

 
デザインに関する仕事がメインなので、業務内容は多岐に渡ります。
また多くの場合、意匠設計者が設計監理を行うため、業務期間は最後(竣工)まで携わります。

 

構造設計

構造設計は、建物の強度や安全性を検証する役割を担います。意匠設計者が考えたプランに対し構造計算を行い、建築物の設計をブラッシュアップします。
とくに日本は災害の多い国なので、地震や台風などの天災を加味した設計にしなければなりません。そのため多くの企業では、意匠設計者と別に「構造設計者」をたて、ダブルチェックを行っています。
また、万が一不備があった場合は改善プランが求められるため、設計の中でも幅広い知識が必要な役割といえるでしょう。

< 構造設計の仕事内容 >

構造設計の仕事内容は主に以下の通りです。

  • 構造計算
  • 計算結果の取りまとめ
  • 施工方法の指示
  • 改善案の計画・提案

 
構造設計の主な仕事は、構造計算に基づく施工方法の指示です。計算強度を保つために使用する部材や部品などを図面に記載し、構造に関わる施工方法を細かく指示します。
また、構造計算の結果、強度に不足がある場合はデザインの改善提案なども行います。建物の安全性は人の命に関係するため、責任感を持って取り組める方に向いている仕事といえるでしょう。

 

設備設計

設備設計は、建築物を利用する人が内部で快適に過ごすために必要な設備(空調、音響、光、それに伴う配線・配管など)を検討する役割を担います。建築物の演出に関係するため、意匠設計者と一緒に進めることが多いです。
とくに照明や音響は、最新システムを求められるケースが多いため、最新設備を理解し、適切な提案が求められます。

< 設備設計の仕事内容 >

  • 設備のプロット図の作成
  • 配線図や回路図の作成
  • 最新設備の提案
  • 意匠設計との調整

 
設備の選定はクライアントの予算と密接に関係します。そのため予算を把握し「設備にいくら投資できるか」を逆算して提案しなければなりません。
意匠設計者と調整をして、クライアントの要望にマッチするプランを考案しましょう。

 

建築設計に役立つ資格

最後に建築設計に役立つ資格を紹介します。

一級建築士・二級建築士

一級建築士と二級建築士は、国土交通大臣から認可を受けた国家資格で、級によって担当できる物件の規模が異なります。
二級建築士が携われる建物は、一般的な戸建て住宅など小規模なものに限られます。そのため幅広く業務を行いたい方は、一級建築士の資格取得を目指しましょう。
なお、どちらの資格も受験するために実務経験が必要になりますので、まずは受験資格の有無を確認しましょう。

 

建築CAD検定試験

建築CAD検定試験は、建築設計におけるCADスキルを測る試験です。主に建築一般図を作成する実力や、図面のトレース技能が試されます。
建築設計ではプラン考案など高度な仕事もありますが、設計者の第一歩はやはり「作図能力」です。CADのスキルの高い人は作業効率も上がるため、複数の物件に携われるようになるでしょう。
建築士の資格は受験するために「実務経験」が必要でしたが、この試験は未経験の方でも受験可能です。資格は准1級・2級・3級・4級で構成されているので、自身のスキルに合わせて挑戦しましょう。

 

1級建築施工管理技士・2級建築施工管理技士

建築施工管理技士とは、建築の施工管理に関する国家資格です。設計者が現場管理をすることはありませんが、この資格を有していると「施工に関する知識をもった設計者」として重宝されます。
工事関係者との打ち合わせや現場確認がスムーズになる場合もありますので、施工分野の知識を深めたい方にはオススメの資格です。

 

まとめ

建築設計には「意匠設計」「構造設計」「設備設計」と3つの役割があり、それぞれやりがいが異なります。そのためまずは幅広い知識をつけて、どの分野に興味があるのかを考えてみるとよいでしょう。
そして、建築設計は座学よりも、実際に手を動かした方が効率よく学べますので、建築設計が学べる職場に転職してみることもオススメします。

 

 


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