インフラを支えるトンネル工事とは?施工方法やおすすめの資格について解説
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インフラを支えるトンネル工事とは?施工方法やおすすめの資格について解説

2022年3月17日

社会インフラを支える建設工事の中に、トンネル工事があります。トンネル工事は、以下のように多岐にわたり用いられています。

  • 自動車や鉄道、舟といった交通網の整備
  • 上下水道や工業・農業用水などの通水管
  • 電線を設置する埋設配電管
  • 人だけが通る歩道専用

 
そこで今回は、トンネル工事の施工方法やおすすめの資格、トンネル工事の今後について解説します。

 

トンネル工事の主な施工方法3つ

トンネル工事の主な施工方法として、シールド工法やTBM工法、山岳工法があります。

① シードル工法

シールド工法は、シールド機などの各種機械を使用してトンネルを造る工法です。シールド機でトンネルを掘削直後に、トンネル壁面をセグメントで囲み造ります。

※出典:「トンネル施工方法の紹介」独立行政法人水資源機構

 
シールド工法の特徴は、主に以下の通りです。

  • 岩盤・砂・粘土などの様々な地質において、トンネルを建設可能
  • トンネルを掘削する際、シールド機や各種機器を使用して建設し、周辺環境に対する悪影響を阻止
  • 市街地が形成されている地下でも、安全に建設可能
  • 河川や湖沼などの地下水が豊富な箇所でも、安全に建設可能

※出典:「トンネル施工方法の紹介」独立行政法人水資源機構

 

② TBM工法

TBM工法は、シールド工法と同様に機械を利用してトンネルを掘削する工法で、掘削機械をTBM(トンネル・ボーリング・マシン)と呼びます。TBMでトンネル掘削後、セグメントで囲み造ります。

シールド工法は主に平地部のトンネル掘削を得意とするのに対し、TBM工法は山地部のトンネル工法を得意とする点が特徴となります。また、TBM工法は岩盤などの堅い地盤の掘削を得意とする工法です。

※出典:「トンネル施工方法の紹介」独立行政法人水資源機構

 

③ 山岳工法

山岳工法は、山地部において岩盤などの堅い地盤に対しトンネル掘削を得意とする工法です。
また、シールド工法やTBM工法のような機械を使用せず、直接岩盤などを重機・建機や人力、発破などで掘削する工法です。
山岳工法は地盤を見ながら掘削するため、障害物や地質の変化に対応しやすい点が特徴です。

※出典:「トンネル施工方法の紹介」独立行政法人水資源機構

 

トンネル工事の掘削作業員におすすめの資格

トンネル工事では、様々な専門技術が必要になります。そこで、掘削作業員におすすめの資格を解説します。

車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み用及び掘削用)

パワーショベル・トラクターショベル・スクレーパー・ブルドーザー・バケット掘削機などを運転する場合、車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・詰込み用及び掘削用)の受講が必要です。

● 取得方法

車両系建設機械の運転教習所へ申込み、学科講習・実技講習を受講した後、免許取得試験を完了すると免許証(修了証)を取得することができます。

● 取得期間

教習所での学科講習と実技講習で最長38時間(5日間)を要します。
ただし、優遇される受講条件(大型特殊自動車免許取得)に該当する場合、受講時間は、14時間(2日間)で取得することが可能です。
なお、重機・建機を一般道路(公道)にて運転する場合は大型特殊自動車免許が必要になりますので注意が必要です。

 

土木施工管理技士

土木施工管理技士を取得するとトンネル工事現場で施工管理が可能となり、現場の責任者として仕事に携わることができます。
土木施工管理技士は1級と2級に分類されます。建設現場の規模別、役職別で下表にまとめました。

資格 規模 役職
1級土木施工管理技士 大規模な土木工事の施工管理 主任技術者・監理技術者
2級土木施工管理技士 小規模な土木工事の施工管理 主任技術者

 

その他

「火薬類取扱保安責任者」や「発破技士」の資格を取得すると、岩盤をダイナマイトで発破して掘削する機械を操作できるようになります。トンネル工事以外にも、様々な工事現場で活躍できる資格のためオススメです。

 

トンネル工事の今後、ITの導入も

トンネル工事は、社会インフラ構築にとって無くてはならない工事であるため、需要の大きな仕事です。特に近年においては、政府が国土強靭化政策を打ち出していることもあり、自然災害復旧工事や老朽化に伴うメンテナンス工事など、公共機関からの発注額は増加傾向にあります。
しかし、トンネル工事を含む建設工事全体の課題として、労働者人口の減少や高齢化の問題を抱えています。それらの課題に対する対策として国土交通省は、「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し、3つの改革を公表・進捗させています。

長時間労働の是正

罰則付きの時間外労働規制の施行の猶予期間(5年)を待たず、長時間労働を是正し週休2日の確保を図ります。特に週休2日制の導入にあたっては、建設技能者の多数が日給月給であることに留意して取組を進めます。
また、週休2日を達成した企業や女性活躍を推進する企業など、働き方改革に積極的に取り組む企業を積極的に評価します。

 

給与・社会保険

技能・経験にふさわしい処遇(給与)が実現するよう、建設技能者の能力評価制度を策定します。
また、社会保険に未加入の建設企業は、建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築します。

 

生産性向上

i-Constructionの推進等を通じ、建設生産システムのあらゆる段階におけるICTの活用等により生産性の向上を図ります。
また、建設キャリアアップシステムを活用し、書類作成等の現場管理を効率化します。

 

まとめ

以上、トンネル工事の施工方法やおすすめの資格、トンネル工事の今後について解説しました。
今後益々必要とされ、発注額も増加の一途をたどるトンネル工事です。役立つ資格を取得することで、大いに活躍できる場が準備されていると言えるでしょう。

 

 


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