2022年5月16日
田畑や空き地などに建物を建てる場合、建物に適した土地に変えるための工事が必要になります。そのときに発生する工事が「造成工事」です。あまり耳にしない言葉ですが、空き地を活用する際には非常に重要な工程になります。
そこで今回は「造成工事」について、工事の流れやポイントなどを解説します。活用されていない土地を所有している方や、土地を購入して家を建てようと考えている方は必見です。
そもそも造成工事とは、建物が建てられる状態にするために土地を整備する工事です。たとえば山地や森林・農地などの土地を宅地として活用する場合、建物が建てられるよう整備しなければなりません。また、傾斜のある土地を活用する場合は、平坦に整えるなどの工夫が必要です。
このように、今後使われる土地の用途に合わせて土地を変える工事を「造成工事」といいます。
造成工事のメリットとしては「土地の区画や形を変え、目的に合った利用ができる」点にあります。造成工事は形の変更はもちろんのこと、高低差を変えたり軟弱な地盤を強化したりできます。比較的大掛かりな工事にはなりますが、土地の将来的な利用方法を考えると不可欠な工事と言えるでしょう。
造成工事の種類はいくつかあり、それによって工期や費用が異なります。多くの場合は5~10日ほどで完了しますが、敷地の広さによっては1〜2ヶ月かかることもあります。
また、金額に関しては土地の条件(傾斜の有無など)や施工場所によって異なりますので、予算を組みたい方は早めに見積もり依頼することをオススメします。
以下では、造成工事が必要な土地を3つ紹介します。
変形している土地や、五角形になっている土地の場合は整備が必要です。
たとえば住宅を建てる際にはムダが多くなるため、造成工事により使いやすい形に変更した方が良いでしょう。とくに住宅の場合は、利用しやすいように四角形に整えられることが多いです。元の土地の形で特別な目的がない限り、整備した方が土地を有効活用できます。
土地の中で高低差がある場合は、土地をならして整える必要があります。
たとえば山の斜面に小屋を作るときは、床の面が平行になるように土地を調整します。盛土や切土をして土地をならし地盤改良をすることで、山の斜面にも建物が建てられるようになるのです。
他にも地盤が弱い土地の場合は、土地を補強しなければなりません。
田畑のように、地面の土がやわらかくふかふかとしている場合は、土地の耐久性に欠けます。このような状態で家を建ててしまうと、家の重みで地盤沈下が起こり、家が傾く原因となるでしょう。
造成工事を行うことで建物の強度が変わり、地盤沈下のような大きなトラブルが防げます。地盤が弱い土地に建物を建てる際は造成工事が必須と言えるでしょう。
造成工事には、大きく6つの工程があります。以下では造成工事の流れについて解説します。
一つ目は「地盤調査」です。地盤調査とは、構造物などを立てる際に必要な地盤の性質を把握するために、地盤を調査することです。地盤調査をすることで地盤の強度が把握できるため、構造物の検証がスムーズになります。
また、調査結果に基づき今後必要になる工事を検討していきます。
二つ目は「整地・地ならし」です。整地とは、建物の建設もしくは解体工事を行う場合に、土地を平らにして地固めをする工程を指します。重機を用いて土地に圧力をかけて踏み固める「粗整地(あらせいち)」や、その他にもコンクリート・アスファルト舗装など、整地にも様々な種類があります。
三つ目は「伐採・伐根」です。工事する土地に木がある場合は、伐採したり、根を取り除いたりします。山の斜面などを開拓して建物を建てる際などは必要な工程です。
四つ目は「地盤改良」です。地盤改良とは、そのままの状態では直接基礎が不可能な場合において、必要な支持力を得るために行う工事を指します。工法は様々で、地盤の状態や建設物によって手段が異なります。
五つ目は「盛土・切土・土留め」です。土盛や土留めは、土地が道路よりも低い位置の際に行われる工事です。その一方で切土は、土地が道路よりも高い位置のときに行われます。高さを調整することで、斜面に建物を建設することも可能です。
六つ目は「残土の処分」です。これは工事中に発生した土を処分することです。不要な土を処分することで、現場がスッキリと整備されます。
最後に造成工事に関する工事のポイントを紹介します。
冒頭でも説明した通り、造成工事は土地の条件や工事内容、敷地面積で金額が異なります。とはいうものの、費用を抑えるポイントはいくつかあります。たとえば住宅の造成工事であれば、固定資産税が安くなる時期を狙って工事することをオススメします。固定資産税の優遇は、毎年1月1日時点で住宅が建っている土地に適用されます。そのためスケジュールを調整して、1月1日までに住宅が建つようにすると良いでしょう。
また、数社の見積もりを比較することで、費用が抑えられることもあります。相見積もりを依頼して、見積もりにムダがないかを確認しましょう。
「出来るだけ安い会社にお願いしたい」という方も多いかもしれませんが、あまり安すぎる業者は避けるようにしましょう。というのも、業者の対応が雑である場合、近隣住民や周辺の環境に迷惑がかかります。
また、産業廃棄物を不法投棄する悪徳業者や、手抜き工事する業者なども残念ながらゼロとは言いにくい状況です。造成工事は特殊な工事だからこそ「業者に全ておまかせできる」と思うくらい、信頼できる業者を探すようにしましょう。金額だけで判断しないことをオススメします。
建設に関する法律はたくさんあり、把握していない方も多いでしょう。しかし造成工事を行う際は、以下の法律には目を通しておくと良いです。
たとえば農地を開拓して住宅を作る場合など、用途が変わるときは都市計画法を確認しましょう。
都市計画法とは、想定した理想の都市の姿をもとに開発や整備を進めるための法律で、土地の用途は都市計画法に基づいて決められています。用途が変わる工事を行う際は、都市計画法に基づいて許可が必要です。
宅地造成等規制法は、市街地や市街地予定エリアで崩落や土砂の流出といった災害が起きないよう、工事する内容や場所を規制するための法律です。許可が降りれば、宅地造成工事規制区域内でも工事が可能です。許可が必要なことを覚えておきましょう。
造成工事は、条件が悪い土地や未使用の土地を、建物が建てられる状態にするために整備する工事です。大掛かりな工事ではあるものの、造成工事をすることによって土地の活用方法が大きく広がります。
また、土地の性質によっては造成工事をしなければならない場合もあるので、活用されていない土地を所有している方や、土地を購入して家を建てようと考えている方は業者に相談することをオススメします。一番信頼できる業者に工事を依頼し、予算や工期を調整した上で造成工事を行いましょう。