2022年5月17日
土木設計とは、土木工事に関するプランを考え、工事監理を行う仕事です。とはいうものの、建設の仕事は多岐にわたるため「そもそも土木はどんなことをするの?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は「土木設計」をテーマに、仕事内容や年収などを解説します。建設業界への転職を検討されている方や、土木分野に興味のある方は必見です。
そもそも土木工事とは、木材・鉄材・石材などを用いて、さまざまな場所で行う工事のことで、主に道路、鉄道・河川・港湾などのインフラ整備を行います。
「建築」や「建設」と混同している方も少なくありませんが、これらとは意味が少し異なります。
先ほどもお伝えしたとおり「土木」の場合、道路や橋、歩道橋、ダムなど人が生活するのに必要または生活を便利にするために行う工事です。
その一方で建築は、建築基準法によると「建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転すること」を指します。つまり屋根や柱があり、人が安全に利用できる場所を作ることが建築の目的です。
社会生活を営むために必要な建造物(橋、道路など)を作ることが「土木」であり、建築物を作ることが「建築」になります。ちなみに「建設」は、土木と建築を合わせた総称です。建設の中に、土木分野と建築分野が含まれています。
土木の内容を理解したところで、土木設計の仕事内容について説明します。土木の設計対象は道路や橋など多岐に渡りますが、設計の仕事で見ると以下の2つに分けられます。
概略設計とは主に、比較検討を行って大まかな構造を決める設計を指します。
たとえば「橋をつくる」となると、様々な検証が必要になります。形状、構造、材料などを検討し、大まかなイメージを固める仕事です。プロジェクト全体の大枠を決めることで、細分化した仕事を依頼する際にイメージの共有がしやすくなります。
概略設計では、クライアントの要望と予算の折り合いが重要になります。そのため柔軟な発想に加えて、幅広い知識や経験が必要になるでしょう。
また、デザイン案などを提案する機会もあるので、プレゼン能力も必要になります。コミュニケーションが得意な人に向いている仕事です。
詳細設計は、概略設計で決まった大枠に沿って、ものが成立するように詳細を詰めていく設計です。概略設計を元にmm単位で調整を行い、工事の基となる図面を作成します。
たとえば道路やトンネルなどのカーブは、曲率も重要になります。これらの詳細部分を詰めて、図面の精度をあげる仕事です。
詳細設計は概略設計に基づき詳細を詰める仕事なので、設計意図を汲み取った発想が重要になります。
また、検討の際には細かい部分までチェックしなければいけないので、細部までこだわりを持って仕事に臨める人が向いています。
さらに、「こんな問題が発生しそう」という危険予知能力も必要と言えるでしょう。
土木設計の仕事はどのくらいの収入なのか……。気になる「年収」について紹介します。
土木設計の年収は企業によって様々ですが、平均的には550万円から600万円といわれています。サラリーマンの平均年収が420万円ほどなので、それよりも高い年収であると言えるでしょう。
なぜ土木設計の年収が高いかというと、やはり「技術職」であることが一番の理由です。
土木設計は国を支えるインフラのひとつであり、責任ある仕事です。物件の主担当となるためには国家資格も必要になりますし、多くの努力が必要です。また、業界としても需要が高く、必要とされている人材です。そのため比較的高い水準で雇っている企業が多く見られます。
ただし、企業や保有資格によって年収は異なるので、転職を希望する方は転職エージェントに相談することをオススメします。
土木設計としてステップアップをするためには「資格の取得」は必須項目です。そこで以下では、土木設計に役立つ資格を紹介します。
土木施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」資格のひとつで、土木工事の施工管理を行う仕事および資格取得者を指します。
この資格は主に施工管理者に向けた試験ではありますが、現場のことを熟知し、協力会社とコミュニケーションが取れる設計者は心強いため設計者としても重要な資格になります。
試験は1級と2級に分かれており、試験難易度によって担当できる工事規模が異なります。理想なのは1級を取得することですが、設計者であれば2級でも十分に評価されるでしょう。
技術士は、科学技術分野における高等の専門的応用能力を有する、優れた技術者に与えられる国家資格です。21の分野に分かれており、その中でも建築部門は受験者の多い部門になります。
試験は2回に分かれており、第一次試験(筆記試験)はマークシート形式の択一式問題、第二次試験は筆記試験と口頭試験の2つで構成されています。
第一次試験の合格率は高いものの、第二次試験の合格率は10%ほどと低くなります。合格難易度が高い分、取得すると転職などのキャリアアップに有利に働くでしょう。
土木設計は少し特殊な仕事なので、営業や施工管理とは異なるスキルが必要です。そこで以下では、土木設計として求められる能力を3つ紹介します。
まず一つ目は「柔軟な発想」です。設計の仕事は0から1を生み出す仕事です。概略設計・詳細設計ともに「柔軟な発想」は求められる能力です。
現場の状況やクライアントの要望、予算などを加味して、最善の提案をしなければなりません。型にハマった考えではなく、その都度変化していくことが求められます。
二つ目は「問題解決能力」です。計画した内容と、現場の状況が適合するとは限りません。その問題に対して、どのようにアプローチをするかが設計者の腕の見せどころになります。
また、予算の都合上調整しなければならない場所が出てきたときは、プランを再度検討しなければなりません。再度アプローチをするためには、知識や経験を駆使して、課題や問題を楽しむ力も必要になります。
三つ目は「スケジュール管理能力」です。土木設計は長期間のプロジェクトではあるものの、各フェーズの締め切りがあります。その中でも公共工事の場合、期限を過ぎてしまうと予算が通らないことも出てくるかもしれません。
設計者はプロジェクトの管理者でもあるので、スケジュールを意識した行動は必要になります。ふだんから締め切りを意識して行動できる人や、逆算した行動が取れる人には向いている仕事と言えるでしょう。
土木工事とは木材・鉄材・石材などを用いて、さまざまな場所で行う工事を指し、土木設計はその設計者です。道路、鉄道・河川・港湾などのインフラ整備を中心に仕事を行うので、人々の暮らしを支えたい方や、生活をよくするサポートがしたい方にオススメです。