下水道工事とは?工事の流れや費用、メリットについて解説
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下水道工事とは?工事の流れや費用、メリットについて解説

2022年5月20日

下水道工事は、日常生活に無くてはならない重要なインフラ設備を構築する工事です。下水道工事のおかげで、汚れた水を浄化し川や海へ綺麗な水を放流することができ、自然環境を保つことができています。そこで今回は、下水道工事の概要や工事の流れと作業期間、費用相場、メリットについて解説します。

 


 

下水道工事とは?

下水道は、住宅などから出る生活排水や工場から出る産業排水、農場から出る農業廃水などを公共下水管へ流し、排水処理場にて綺麗な水に浄化し河川や海に放流します。
下水道工事は以下などに必要となります。

  • 汲み取り式トイレの水洗化
  • 浄化槽から公共下水道への切り替え時
  • 建物の新築時
  • 中古建物の増改築時

 
下水道は大きく分けて3つの施設(排水設備、下水道管、処理施設)から成ります。

排水設備: 住宅や事業所、工場などからの汚水を下水道管(汚水管)に流す設備
雨水を下水道管(雨水管)に流す設備
下水道管: 汚水を集めて浄化センターへ流す管(汚水管)
雨水を集めて川や海へ流す管(雨水管)
処理施設: 汚水を綺麗に浄化し、川や海へ放流する施設

※出典:「下水道のしくみと役割」埼玉県朝霞市公式ホームページ

 
また、下水道工事の主な施工方法は3つ(開削工法、推進工法、シールド工法)あります。

開削工法

下水道工事では、ショベルカーなどの重機で土を掘削し、下水道管を汚水が流れる勾配になるよう調整しながら設置し、土砂で埋め戻しを行います。

※出典:「下水道工事の施工方法」盛岡市上下水道局公式ホームページ「みずの輪」

 
工事手順は以下の通りです。

  1. 道路表層・基層部分であるアスファルト混合物を切断して取り壊し、重機や人力により下水道管を埋設する深さまで掘削する
  2. 道路を掘削する際、土砂が崩れないように山留を設置する
  3. 下水道管を設置するための基礎を造り、下水道本館を敷設し埋め戻し作業を行う
  4. 掘削した舗装部分を仮復旧し、歩行者や自動車の通行を可能にする
  5. 全ての下水道管を設置し、舗装工事が終われば完了

 

推進工法

下水道管を埋設する位置が地表面からかなり深い場所や川や水道管、ガス管、通信ケーブル管、共同溝などの障害物の下部になる場合、用いられる工法です。

※出典:「下水道工事の施工方法」盛岡市上下水道局公式ホームページ「みずの輪」

 
工事手順は以下の通りです。

  1. 推進工法を行うための立坑といわれる立穴を造る
  2. 推進機や下水道管を立坑最下部に設置し、推進機により下水道管を水平方向へ推し出し、下水道管を設計通りの長さ・勾配に設置する
  3. 立坑から推進機を取り出し上部にマンホールを設置し、立坑内を埋め戻して仮復旧工事を行い、舗装工事をして完了

 

シールド工法

下水道管が大口径になる場合(幹線下水道)や長距離になる場合に用いられる工法です。

※出典:「トンネル施工方法の紹介」独立行政法人水資源機構

 

下水道工事の流れと作業期間

下水道本管の設置工事の流れと、下水道本管への接続工事の作業期間について解説します。

主な流れ

下水道工事を行う場合、共用年数や現場状況、地元要望などを踏まえた上で工事場所を特定し、設計業者を入札により決定・委託します。

① 現地調査・設計、家屋調査

設計業者は、現地調査においてレーダー探査などを行い、地下埋設物(水道管・ガス管・通信管など)の有無を確認します。その調査結果を基に、下水道工事の経済性・施工性・安全性を検討しながら、下水道管の埋設位置・工事方法を決定し、施工図面を作成します。
また、下水道工事による近隣家屋に対する影響の有無を工事後に点検・確認できるために、工事沿道の家屋などを事前調査します。例えば、家屋の柱・庭の塀の傾きや外観の写真を撮影し、下水道工事前後の変化の有無を点検できるようにします。

 

② 説明会やお知らせ文の配布

発注者は、設計業者の設計図を基にして工事費用の算出を行い、入札により工事業者の選定を行います。工事業者が決まったら、下水道工事沿道の住民に対して工事内容の説明会やお知らせ文の配布を行い、周知徹底を図ります。

 

③ 工事着手

下水道工事をするにあたり、現地調査において把握した地下埋設物(水道管・ガス管・通信管など)がある場合、それらの仮設や防護・移設などを行います。公共汚水桝を設置する場合、事前に設置申請証を提出し、桝の設置個所を確認します。左記の事前準備が整ったら、下水道工事に着手します。
工事内容は、設置する下水道管の目的や周辺環境により異なります。下水道管埋設工事と併行して住宅や事業所、店舗などに汚水桝を設置します。

 

④ 完了検査

仮設や防護・移設した地下埋設物などを元の状態に復旧し、道路の舗装復旧工事を行い工事は完了します。
工事完了検査は、工事内容が客観的判断により法令などの技術基準に適合しているか否かの確認を行います。完了検査は、現地において発注者・検査員・工事業者の三者で行われるのが一般的です。
桝の検査においてはふたを開けなければならないため、自動車や通行人の出入りが多い場合、注意が必要となります。

 

⑤ 供用開始

完了検査を無事に通過すると正式に下水道工事の完成となり、下水道法第9条に規定される「共用開始の告示」を行います。

下水道法第9条(供用開始の公示等)
公共下水道管理者は、公共下水道の供用を開始しようとするときは、あらかじめ、供用を開始すべき年月日、下水を排除すべき区域その他国土交通省令で定める事項を公示し、かつ、これを表示した図面を当該公共下水道管理者である地方公共団体の事務所において一般の縦覧に供しなければならない。公示した事項を変更しようとするときも、同様とする。

 

⑥ 排水設備接続工事

排水設備は、住宅や事業所などの敷地内に設置する排水管や桝などのことです。
以下などを速やかに下水道管へ流す役割があります。

  • 台所・洗面・浴室・トイレなどから生活排水として発生する汚水
  • 降雨の際、敷地内や雨樋を通して発生する雨水

 
敷地内に排水管や桝を設置し、下水道管へと接続する工事を行います。
公共下水道が整備され供用開始すると、下水道法第11条の3により、くみ取り便所が設けられている家屋は供用開始から3年以内に、し尿浄化槽が設けられている家屋はすみやかに排水設備工事を行う義務があります。
また、排水設備は、下水道利用者が自己の責任において設置・管理する必要があります。

 

作業期間

下水道管への接続工事は、配管状態や工事の種類、水洗トイレへのリフォーム工事の有無、浄化槽の撤去工事の有無により異なります。作業期間としては、以下の通りです。

  • 単純な工事の場合:3日~5日
  • 大規模工事の場合:7日~10日

 

下水道工事の費用相場

住宅を新築した場合、新たに下水道管への接続工事が必要になります。その際、公共下水道管の公共汚水桝の有無や位置を確認します。
住宅地のすぐ近くに公共汚水桝があれば、下水道管への接続工事は30万円~50万円となります。
しかし、公共汚水桝が道路の反対側に位置している場合や住宅地の前に無い場合、下水道管への接続工事は50万円~80万円となります。

 

下水道工事のメリット

下水道工事を行うメリットは、下記の通りです。

経費が不要 浄化槽が不要となるため、維持管理(清掃など)費や電気代(ブロアー)が不要
衛生的になる 浄化槽の簡易的な汚水処理水を道路側溝に流さなくてよいため衛生的
無臭になる 汲み取りが不要なため、嫌な臭いがしなくなる
使用しやすい 水洗トイレになり、年配者や幼児などが使用しやすい
管理しやすい 劣化・損傷や故障などに対応しやすい

 
公共下水道は日常生活を支える重要なインフラ設備であり、汚れた水を浄化する環境負荷減少設備でもあります。公共下水道が供用開始になる場合、積極的に下水道管への接続を図り、綺麗な水循環システムを維持することが大切です。

 


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