建築確認申請とは?必要な理由や流れ、費用について解説!
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建築確認申請とは?必要な理由や流れ、費用について解説!

2022年7月28日

建築物を建てるときに必要な「建築確認申請」。建設業界に勤めている方や興味のある方は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。とはいうものの、建築確認申請を実際にしたことがない方はどんなことをするか理解が難しいかもしれません。そこで当記事では、「建築確認申請」の一連の流れや、費用、必要書類など網羅的に解説しています。

 


 

建築確認申請とは?

「建築確認申請」とは、新しい建築物を建てるときに必要な申請です。その概要は、建物が建築基準法やその他の各種条例を守っているかどうかを判断する審査です。
建築確認申請の手続きとしては、「自治体」か「民間の指定確認検査機関」に申請書を提出し、確認してもらいます。そして、建築確認申請を無事に終えた証として、検査済証が発行されます。この検査済証を入手して、ようやく工事が着工できます。

 

建築確認申請はなぜ必要?

この申請が必要な理由は、建築前の設計図や計画を見て、建築基準法やその他各種条例などの法律に違反していないかを確認するためです。
建築確認申請の制度がないと、そもそも建築基準法などの法律がある意味がなくなり、好き放題に設計できてしまいます。その状態を防ぐために建築確認申請で「建物自体が合法であるかどうか」を調べています。

 

建物を建てるときの流れ

建物を建てる時の流れは以下の通りです。

  1. 建築確認申請の申込み
  2. 自治体による確認後に建築確認済証を交付
  3. 工事着工
  4. 建物の完成後に「完了検査」を申請
  5. 完了検査・検査済証の交付

 

① 建築確認申請の申し込み

まずは、建築確認申請を「自治体」もしくは「指定確認検査機関」に提出します。
建築確認申請で必要な書類は後ほど解説します。建築家や施工業者が代行する場合が多いです。

 

② 自治体による確認後に建築確認済証を交付

建築確認申請の確認完了後、確認済証が交付されます。確認済証によって、工事着工前の段階では図面や計画が建築基準法に違反していないことの証明になります。

 

③ 工事着工

建築確認済証が交付されてから、工事に着工します。工事によっては「中間検査」が必要で、この検査は、建物が完成してしまうと見えないような天井裏・壁の中・床下などの確認を目的としています。

 

④ 建物の完成後に「完了検査」を申請

建物が完成したら「完了検査」の申請をしましょう。新たに建てられた建物は完了検査を受けることが義務付けられています。これは「建築基準法第7条第1項」によって定められています。また、完了検査の申請は建築工事終了後、4日以内に行います。

 

⑤ 完了検査・検査済証の交付

完了検査の申請をしたら、申請後7日以内に完了検査を受けます。この「完了検査」で新しく建てた建物が、建築基準法等の法律に準じて作られた建物なのかを実際の建物を見て検査します。「完了検査」を終えて、検査済証の交付を受けることで完了です。

 

建築確認申請の必要書類

「建築確認申請」での必要書類は、申請する地域、建物、計画内容等によって違いがあります。そこで以下では、「すべての建物で必要になる書類」に焦点を当てて紹介します。

< 書類関係 >

申請書類の種類 書式 部数
確認申請書 第二号様式 2部
建築計画概要書 第三号様式 1部
委任状 1部
建築工事届 第四十号様式 1部
受付表 1部
構造・省エネ適合判定が必要な場合は、適合判定通知書の写し(併せて申請書類・図書の提示が必要です) 1部

 

< 基本図面 >

申請図面の種類 部数
付近見取図 2部
配置図 2部
各階平面図 2部
床面積求積図 2部
敷地面積求積図 2部
2面以上の立面図 2部
2面以上の断面図 2部
仕上表(使用建築材料表) 2部
シックハウス検討書 ※24時間換気計算、有効換気量が確認できるカタログ 2部
耐火構造等の構造詳細図(耐火リスト等) 2部
法チェック図 ※採光・換気・排煙、防火区画等 2部

 

< 構造関係図書 >

申請図面の種類 部数
基礎伏図 2部
各階床伏図 2部
小屋伏図 2部
2面以上の軸組図 2部
構造詳細図・構造標準図 2部
部材断面表 2部
使用構造材料一覧表 2部
地盤調査報告書(地盤改良検討書) 2部
構造計算書 2部
安全証明書(ルート1の場合) 2部
その他計画に応じて建築基準法施行細則第1条の3で定める図面 2部

 

< 設備関係図書 >

申請図面の種類 部数
電気設備図 2部
給排水設備図(衛生設備図) 2部
昇降機(小荷物専用昇降機)図面 2部
消火設備図面 2部
避雷設備図面 2部
浄化槽の仕様書及び構造詳細図(建築地によっては浄化槽調書) 2部
その他計画に応じて建築基準法施行細則第1条の3で定める図面 2部

※参考元:[確認申請] 必要書類チェックシート

 
書類の種類が多いですが、施工業者が代わりに行う場合もあります。

 

建築確認にかかる費用

建築確認にかかる費用は自治体によって異なりますが、一般的には床面積の広さによって変わります。
そこで以下では、「建築確認」「中間検査」「完了検査」の項目で、かかる費用について紹介します。

建築確認

<表1>

床面積の合計 金額
30㎡以内のもの 5,600円
30㎡を超え100㎡以内のもの 9,400円
100㎡を超え200㎡以内のもの 14,000円
200㎡を超え500㎡以内のもの 19,000円
500㎡を超え1,000㎡以内のもの 35,000円
1,000㎡を超え2,000㎡以内のもの 49,000円
2,000㎡を超え10,000㎡以内のもの 146,000円
10,000㎡を超え50,000㎡以内のもの 249,000円
50,000㎡を超えるもの 474,000円

※東京都都市整備局関係手数料条例の第七の一の項又は十四の二の項に掲げる区分に応じて算出する床面積の合計に応じた金額

<表2>

床面積の合計 金額
1,000㎡以内のもの 156,000円
1,000㎡を超え2,000㎡以内のもの 209,000円
2,000㎡を超え10,000㎡以内のもの 240,000円
10,000㎡を超え50,000㎡以内のもの 319,000円
50,000㎡を超えるもの 587,000円

※東京都都市整備局関係手数料条例の第七の一の二の項又は十四の三の項の建築基準法第6条の3第1項ただし書の規定に基づく審査(ルート2主事が行う審査)を部分の床面積に応じた金額

<表3>

確認を受けた建築物の計画の変更をして、建築物を増築する場合(同一敷地内において移転する場合を除く。) 計画変更に係る部分の床面積に2分の1を乗じて得た面積(床面積が増加する部分は、当該増加する部分の床面積)
建築物を同一敷地内において移転し、その大規模の修繕・大規模の模様替え・用途変更をする場合(下に掲げる場合を除く。) 移転、修繕、模様替え、用途の変更に係る部分の床面積に2分の1を乗じて得た面積
確認を受けた建築物の計画の変更をして建築物を同一敷地内において移転し、その大規模の修繕・大規模の模様替え・用途変更する場合 計画の変更に係る部分の床面積に2分の1を乗じて得た面積

 

中間検査

床面積の合計 手数料
30㎡以内のもの 9,900円
30㎡を超え、100㎡以内のもの 11,000円
100㎡を超え、200㎡以内のもの 15,000円
200㎡を超え、500㎡以内のもの 21,000円
500㎡を超え、1,000㎡以内のもの 36,000円
1,000㎡を超え、2,000㎡以内のもの 49,000円
2,000㎡を超え、10,000㎡以内のもの 115,000円
10,000㎡を超え50,000㎡以内のもの 186,000円
50,000㎡を超えるもの 383,000円

※参考元:建築基準法関係申請手数料 | 東京都都市整備局

 
条件や申請を出す先によって、今回紹介した金額とは多少誤差が出てきます。詳しくは担当部署の方に確認してみてください。

 

建築確認申請の注意点

最後に、建築確認申請の注意点を紹介します。

確認後は間取りや設備の変更が不可

建築確認が終わったあとに、間取りの変更や設備の変更は基本的にはできません。変更を認めてしまうと、建築確認していても結局建築基準法を守っていない建物ができてしまうからです。
もし建築確認後に間取りや設備を変更したい場合には、改めて建築確認の申請が必要になります。

 

検査済証は再発行できない

検査済証は基本的に再発行できません。万が一失くしてしまった場合には「建築計画概要書」か「台帳記載事項証明書」でも代用できます。どちらも市区町村役場で発行してもらえるので、検査済証を紛失した場合には相談してみてください。

 

建築確認申請が不要な場合もある

実は、建築確認申請が不要な場合もあります。
たとえば、木造2階建て以下の住宅工事(延べ面積500㎡で増築なしの場合)や、木造2階建て以下の住宅以外で外壁塗装やちょっとした変更工事など、主要構造部分に関わらない工事の場合は確認申請が不要です。
また、建築基準法による「建築物」に該当しない場合も同じく不要になります。ただし、不要かどうかの判断は担当部署の方に問い合わせが必要ですので注意しましょう。

 

まとめ

建築確認申請は、建物が建築基準法やその他の各種条例を守っているかどうかを判断する審査ということを解説しました。とくに建物の設計をしている方にとっては重要な申請になるので、ポイントを押さえて実務に活かしましょう。
これから建設業界に転職される方も、一度は耳にする言葉なので概要を把握しておくことは大切です。申請の意図や流れなどは事前に理解を深めておくと良いでしょう。

 


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