橋梁工事の手順や橋梁工法の種類を分かりやすく解説!
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橋梁工事の手順や橋梁工法の種類を分かりやすく解説!

2022年8月1日

わたしたちの生活を支えるために必要な「橋」を適切に維持管理するために必要なのが、橋梁(きょうりょう)工事です。「橋梁工事」といっても、さまざまな工法や橋の種類があります。
そこで当記事では、橋梁工事の手順や工法の種類を解説します。橋をつくる「橋梁工事」に興味のある方や土木関係の仕事に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

 


 

橋梁工事とは

橋梁(きょうりょう)工事とは、簡単にまとめると「橋を架ける工事」です。
現代において河川や海を渡るために「橋梁」は必須の建造物です。河川や海は移動の障害になるものの、橋があれば自由に行き来が可能です。つまり橋は私たちの生活になくてはならない存在であり、そのライフラインを支える工事が「橋梁工事」です。
とはいうものの、「橋梁」にはいろいろな構造があり、使う材料も異なります。それぞれに特徴があるので、土木関係の仕事を検討されている方は押さえておくとよいでしょう。

橋梁の構造

橋梁は「上部構造」「下部構造」で分かれています。
上部構造は、人・電車・車などが渡る部分を支える「床」「床組」「桁」などを指し、下部構造は上部構造を支えるための「躯体」「基礎」などを指します。この構造の違いによって、工法や使う材料が異なります。

 

構造別の種類

橋梁には、様々な構造があります。そこで以下では代表的な種類を解説します。

桁橋(けたばし・けたきょう) 両端の橋脚から流した「橋桁」によって橋面を支える方式で作られた橋。長い橋よりも短い橋に適している。
トラス橋 桁をトラス構造(部材同士を三角形につないだ構造)にしている橋。施工に手間はかかるが強度があり、意匠性がある。
アーチ橋 上向きに弓のように反った曲線を描いている橋。下向きに掛かる力で支えており、美しい景観が特徴のひとつ。観光名所などに多々あり。
ラーメン橋 ドイツ語の「Rahmen=骨組み」に由来する橋で、「橋桁」「橋脚」「橋台」を結合することで、高い耐震性能がある。
斜張橋 高く立てた塔からケーブルを斜めに張り、橋桁を支える構造の橋。デザイン性の高さも特徴のひとつ。
吊橋 ケーブルの張力で支える橋。塔の間に張られたメインケーブルから、ハンガーロープと呼ばれるものを垂らして橋桁を支える構造。

 

材料別の種類

橋梁は、材料によっても種類が違います。そこで以下では、材料別の種類について解説します。

木橋 木材を用いて作られた橋
石橋 石やれんがなどを用いて作られた橋
鋼橋 鉄や鋼材を用いて作られた橋
コンクリート橋 コンクリートを用いて作られた橋
複合橋 別々の材料を組み合わせて作られた橋

 
材料ごとに強度・施工費・後期の短さなど、さまざまな違いがあります。

 

橋梁工事の手順

橋梁工事は、橋の土台を作る「下部工」と、橋の本体を作る「上部工」の2工程があります。以下では、それぞれの工程を解説します。

下部工の工事手順

橋の土台を作る「下部工」の工事手順は以下の通りです。

  1. 基礎工事:橋を倒れないように支える「杭」を地中に打ち込む。
  2. 土留め工:掘削したときに土がこぼれないようにするため、打ち込んだ杭を囲むように矢板を設置。
  3. 掘削・支保工:地面を掘削し、支えとなる桁・梁を設置。
  4. 橋脚構築工:埋め戻し杭の上に、鉄筋と土台の型枠を組み立てる。型枠の中にコンクリートを流し込んで橋脚を作る。コンクリートが固まったら型枠を外し、その上に桁橋を構築する。
  5. 埋め戻し:掘り起こした穴を埋め戻す。

 

上部工の工事手順

人や車などが渡る橋の本体を作る「上部工」の工事手順は以下の通りです。

  1. 橋桁架設工:橋桁を橋脚の上に乗せる。
  2. 床版工・橋梁付属物工:桁橋の上に道路の床板と側壁を作る。
  3. 舗装工:床板の上を車などが走行できるように舗装する。
  4. 設備工:標識や照明といった設備を設置する。

 
工法や使用する材料によりけりですが、大まかに上記のような工程を経て上部工も完成します。

 

橋梁工法の種類

橋梁工事の工法は、地形や周囲の環境を加味したさまざまな種類があります。地域の状況や運搬状況、作業員の安全性などを加味した上で最適な橋梁工法を決定します。
そこで以下では、代表的な橋梁工法である「ベント工法」「フローティングクレーン工法」「ケーブルエレクション工法」「送り出し工法」について紹介します。

ベント工法

ベント工法は「少ない設備」と「短い工期」で終わらせられるのが特徴で、最も一般的な架設工法です。比較的に低予算で施工できることも大きな特徴と言えるでしょう。
手順としては、移動式トラックで「ベント」と呼ばれる仮の設備を立てて、橋桁を支えます。その後、運ばれてきた橋桁をトラックで吊り上げて、ベントの上に乗せます。乗せた橋桁をボルトや溶接で連結して後にベントを解体して完了です。

 

フローティングクレーン工法

フローティングクレーン工法は、大きな河川や海などに橋を架ける際に使われる工法です。
手順としては、まず「浜出し」と呼ばれる作業から始めます。「浜出し」は現場の近くで部材を組み立てて台船に積み込むことで省略されることもあります。フローティングクレーンで橋桁を吊り上げ、架設位置まで運搬し、橋桁を設置します。
フローティングクレーン工法のメリットとしては、施工期間が短く、高所での作業が減ることにより安全性が高いことが挙げられます。

 

ケーブルエレクション工法

ケーブルエレクション工法は、桁下に川がある場合や谷間になっている場合など、ベントが設置できない場合に使われる工法です。ベントの設置が困難な場所にも橋を架けられるのが、ケーブルエレクション工法の最大のメリットと言えるでしょう。
手順としては、左右に鉄塔設備を移動式クレーンなどで設置します。その後、「直吊り設備」と「ケーブルクレーン」を準備します。準備ができたらケーブルクレーンで架設部材を吊り込み、直吊り設備の受け梁で支えながら架設していきます。架設完了後、「直吊り設備」「ケーブルクレーン」「鉄塔設備」を解体して終了です。
このケーブルエレクション工法を行うためには、設備の知識、風量計算、高度な技術などが必要になります。それほど難易度の高い工事であるということを覚えておくとよいでしょう。

 

送り出し工法

送り出し工法は、河川、道路、鉄道などがあり桁下にトラッククレーンが設置できないときに使われる工法です。架設現場に隣接して、橋桁と手延機(送り出す機械)を組み立てるだけのスペースが必要になります。また、送り出した先で手延機を解体する場所も必要です。
手順としては、まず隣接した場所で「ベント」を組み立て、その上に「主桁」と「手延機」を組み立てます。その後、組み立てた「主桁」を送り出し装置で所定の位置まで送り出します。送り出し終わったら、手延機を解体して終了です。

 

まとめ

橋梁工事は「橋を架ける工事」であり、私たちの生活を支える重要な工事のひとつです。橋梁工事の仕事に携わるためには専門的な知識が必要になりますが、経験者しかできない狭き門ではありませんので、興味のある方はぜひ未経験からでも工事に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 


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