トラス構造の種類とメリット・デメリットを解説!身近な例も紹介
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トラス構造の種類とメリット・デメリットを解説!身近な例も紹介

2022年11月17日

トラス構造は、ドームの屋根構造を有する建築物や大きなアーチを有する橋梁など、大きな構造物に採用されるケースが比較的多くあります。他の構造と異なり、軸力だけが発生し、曲げモーメントが発生しないという特徴があります。
この記事では、トラス構造の種類やメリット・デメリット、身近なトラス構造の例について解説します。
トラス構造の特徴により、意匠性の高い構造物が建設可能であることがわかりますので、建設関連に従事されている方はぜひ最後までご覧ください。

 


トラス構造とは

トラス構造は、細長い部材同士を三角形に繋ぎ合わせた構造です。部材同士はピン接合といわれる形式にてつながっています。
ピン接合は、部材同士の接合部を一体化させずに蝶番のように回転する接合部となり、曲げモーメントが発生しないという特徴があります。その特徴は、地震力の負担をさせたくない小梁などに利用することができます。

 

トラス構造がなぜ強いのか

トラス構造は、三角形が基本になります。三角形は、その他の四角形・五角形などの多角形と比較して、一番強い形となります。部材の両端がピン接合された三角形なので、外力を加えても曲げモーメントは発生せず軸力しか発生しないため、トラス構造が強いといわれています。

 

トラス構造の種類

トラス構造には、主にプラットトラス構造ハウトラス構造ワーレントラス構造といった種類があります。
それぞれの違いを解説していきます。

プラットトラス構造

プラットトラス構造は、上弦材※1・下弦材※2・鉛直材※3で構成され、斜材※4が逆八の字に配置されたトラス構造で、水平スパンに最適です。
斜材は簡素化することが可能なため、効率の高い設計ができるのも特徴のひとつです。

※1 上弦材:トラス上部を構成する部材
※2 下弦材:トラス下部を構成する部材
※3 鉛直材:トラス上部と下部の内側を構成する鉛直部材(束材)
※4 斜 材:トラス上部と下部の内側を構成する斜めの部材

 

ハウトラス構造

ハウトラス構造は、上弦材・下弦材・鉛直材で構成され、斜材が八の字に配置されたトラス構造です。
斜材に圧縮力、鉛直材に引張力が作用し、プラットトラス構造とは逆になります。

 

ワーレントラス構造

ワーレントラス構造は、上弦材・下弦材・斜材が正三角形を構成するトラス構造です。鉛直材が無いため、部材の本数を減少できるのが特徴です。
ちなみに、ワーレントラス構造に鉛直材を加えると、プラットトラス構造になります。
他のトラス構造と比較して剛性が高く、使用する鋼材を減らせるため、構造上有利となります。

 

サッシ設置工事

柱と柱の間にサッシの設置工事を行います。掃き出し窓や腰窓など、高さ設定の異なるサッシの取付け作業があり、木材で高さ設定の調整などを実施します。
サッシ設置工事が終わったら、外装下地検査を受けます。検査は、JIO(日本住宅保証検査機構)が行いますが、検査に合格すれば外壁工事が可能になります。
サッシ以外にも玄関ドアも設置され、日々の工事終了時に工事用キーで戸締りされます。

 

ベランダ防水工事

ベランダがある場合、屋根材取付けなどの作業と並行して、ベランダ部分も防水工事を施します。
ベランダの防水工事に不具合があると、1階屋根部分に雨漏りが発生する可能性が高くなりますので、慎重に工事を行う必要があります。

 

トラス構造のメリット

トラス構造は、橋梁やドームなどの土木構造物や大型建築物に採用される構造の一つです。
採用される理由としては、主に以下などのメリットがあるからです。

  • 強度が大きい
  • 細い部材で構造物を建設できる
  • 軽量化できる
  • 見た目がおしゃれ

 

強度が大きい

トラス構造は、多角形の中で一番強度が大きいとされる三角形で構成された構造です。
また、部材同士がピン接合により構成されますので、外力が働いても軸力しか発生せず、曲げモーメントは発生しないという特徴があります。
曲げモーメントは、曲げる力のことです。曲げモーメントが発生する箇所には、梁が曲がろうとする力が作用し、補強する必要があります。
しかし、トラス構造は曲げモーメントが発生しませんので、引張力や圧縮力といった軸力だけを考慮すれば良く、同じサイズの部材で構成された場合、より強度が大きくなる構造となります。

 

細い部材で構造物を建設できる

トラス構造は、細い部材で構造物を建設できるメリットがあります。
上記でも説明したように、引張力や圧縮力といった軸力だけが発生し、曲げモーメントが発生しないため、曲げモーメント・軸力が発生する構造と比較すると断面形状を効率的なサイズに設定することが可能となり、細い部材で構成することができるのです。

 

軽量化できる

トラス構造は、軽量化できるというメリットもあります。曲げモーメントが発生する構造と比較するとトラス構造は細い部材で構成することができるため、その分軽量化が可能です。
また、構造的な安定性が極めて高いという特徴もあるため、ドームなどの屋根構造の建築物でトラス構造を採用する場合が多々あります。細くて軽い部材で大きな屋根を構成することができるので、耐震性も高くなります。

 

見た目がおしゃれ

トラス構造で造られた建築物や橋梁などの土木構造物には、見た目がおしゃれな構造物が多くあります。
トラス構造は、様々な大きさの三角形の部材を組み合わせることで、曲線を描く構造物を造ることができます。そのため、デザイン性が高く、おしゃれに演出でき、高い意匠性を有します。
大きな曲線を描いたアーチ状の構造物を造ることができるため、デザインを求められた建築物や橋梁などに多数採用されています。

 

トラス構造のデメリット

トラス構造のデメリットは、主に以下などです。

  • 費用が高額になりがち
  • 組み立てに手間がかかる
  • ある程度の高さが必要

 

費用が高額になりがち

トラス構造は、費用が高額になりがちというデメリットがあります。
三角形の部材を組み合わせて構造物を造りますので、非常に複雑な構造となります。
部材には、上弦材・下弦材・斜材・鉛直材などの様々な部材を準備する必要があり、それぞれの部材は大きさが異なる場合もあります。部材同士を交錯させるため接合部が複雑化し、他の構造と比較して工事費が高くなってしまいます。

 

組み立てに手間がかかる

トラス構造は、組立てに手間がかかるというデメリットがあります。
上記の「費用が高額になりがち」と同じ理由になりますが、上弦材・下弦材・斜材・鉛直材などの様々な部材を準備する必要があります。それぞれの部材は大きさが異なる場合もあり、部材同士を交錯させますので、接合部が複雑化します。
したがって、トラス構造は他の構造と比較して組立てに手間がかかってしまうのです。

 

ある程度の高さが必要

トラス構造を採用する場合、ある程度の高さが必要になります。
高さを出すことにより各部材に作用する軸力を小さく抑えるという特徴があるため、トラス構造は梁が非常に高くなります。
そのため、梁の高さを確保できる橋梁などには採用できますが、一般的な建築物の場合、階高に制限があるため採用できない場合が多くなります。

 

身近なトラス構造

トラス構造が用いられた身近な建設物として、東京スカイツリーや東京ゲートブリッジなどがあります。それぞれ解説していきます。

東京スカイツリー

東京スカイツリーは、東京都墨田区に位置する日本一高い電波塔で、その高さは634mにもなります。
デジタル放送の開始やより遠方に電波を届けるために、それまで活躍してきた東京タワーよりも高い電波塔が必要になり、建設されました。

 

東京ゲートブリッジ

東京ゲートブリッジは、東京湾を横断する橋であり、レインボーブリッジの南東、羽田空港の北等に位置します。羽田空港に離発着する飛行機の影響により高さ上限は98.1mに制限され、橋の下を航行する船舶の影響により桁下高は54.6mに制限されています。その制限の中で建設するために、トラス構造が採用されました。全長は2,618mあり、船舶用の航路幅は310mあります。

 

まとめ

トラス構造の種類やメリット・デメリット、身近なトラス構造の例について解説しました。
トラス構造の最大の特徴は、三角形の部材により構成され、ピン接合でつながれており、軸力だけが発生し曲げモーメントが発生しないことです。そのため、大小の三角形の組合せにより、アーチ状の優雅な曲線を描くことができ、デザインに優れた建築物や橋梁などを建設することが可能です。
全国各地にトラス構造が採用された建築物や橋梁などが建設されていますので、その特徴などを思い出しながらご覧になられると、より楽しめるかもしれないですね。

 


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