消防設備士とは?仕事内容や年収、試験概要を解説
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消防設備士とは?仕事内容や年収、試験概要を解説

2022年11月10日

消防設備士とは、様々な建物に設置されている消防設備を点検・整備する仕事です。消防設備はさまざまな場所に設置されていて、その点検をすることで人々の安全を整えています。
とはいうものの、消防整備士は特殊な仕事なので「消防設備士の資格を取りたいけれど、種類がたくさんあって違いが分からない」 「どのような資格が必要なの?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。
そこで今回は消防整備士について、仕事内容や年収を詳しく解説します。

 


消防設備士とは?

そもそも消防設備士とは、建物に設置されている消防設備を点検・整備する仕事です。消防設備には、消火器・火災報知器・スプリンクラーなどがあり、それらの点検・整備・工事を行うには「消防設備士」という国家資格が必要になります。
資格には乙種と甲種の2種類があり、それぞれ担当できる業務が異なります。乙種の場合、消防設備の点検・整備のみを独占的に行うことができ、 甲種は消防設備の点検・整備に加えて工事も行うことができます。さらに乙種と甲種に加えて「1類・2類・3類・4類・5類・6類・7類(※甲種は1類~5類まで)」という種類もあり、取得する種類によって扱える消防設備が異なる点が特徴です。

分類 甲種 乙種 工事及び整備(点検を含む)の対象設備
1類 屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備
2類 泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
3類 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
4類 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備
5類 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
6類 消火器
7類 漏電火災報知器

 

消防設備士の仕事内容

消防設備士の仕事内容は主に、消火設備の点検と整備です。例にあげると、火災のときに自動警報器やスプリンクラーが作動するか、屋内消火栓設備が適切に設置されているかなどの確認を行います。万が一の事態に備えて人々の命や財産などを守る、非常に重要な仕事です。
また、資格の種類によっては工事も請け負うことができます。消防設備士には「乙種」と「甲種」の2種類があり、甲種を取得すれば点検と整備に加え、新設や改修などの工事も行えるため様々な業務を担うことができます。

消火設備の点検・整備は定期的な実施が法律で定められているため、今後も一定の需要がある仕事と言えるでしょう。実際の点検業務を担う企業への就職だけではなく、消防設備士の資格を活かした仕事への転職も可能です。資格を取得することで、キャリアの選択肢が広がる仕事といえます。

 

消防設備士の年収

消防設備士の年収は、甲種は平均約400万円、乙種は平均約300万円と言われています。なぜ甲種と乙種で年収が異なるかというと、担当できる業務に差があるからです。乙種が担当できる業務は点検と整備のみであることに対し、甲種の場合「工事」も可能になります。また、消防設備士は資格区分が13個あるため、資格区分が多ければ多いほど年収も高くなると言われています。資格区分が多い甲種所有者は年収が高くなる傾向にあるので、年収アップやキャリアアップを目指す方は、幅広い業務に携われるように資格取得をすることをオススメします。
また「電気工事士」の資格を取得した上で、消防設備の設置工事ができると一気に仕事の幅が広がります。さらに高みを目指したい方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

消防設備士の資格の種類

それでは、消防設備士の資格について説明します。消防設備士の資格には「乙種」と「甲種」の2種類があり、さらに1類から7類まで種類があると先ほど解説しました。
それぞれの特徴は下記の通りです。

乙種と甲種の違い

乙種 消火設備の点検と整備を行える資格
甲種 消火設備の点検と整備に加えて工事も行える資格

 

1類〜7類の違い

1類 消火栓やスプリンクラーなどの水系消防設備を点検・整備・工事するために必要な資格
2類 泡消火設備を点検・整備・工事するために必要な資格
3類 二酸化炭素や窒素などのガスや、粉末を用いて消火する設備を点検・整備・工事するために必要な資格
4類 火災報知設備の点検・整備・工事をするために必要な資格
5類 建物内で火災が起きた際、避難するときに使用する避難器具を点検・整備・工事をするために必要な資格
6類 消火器を点検・整備するための資格
7類 漏電火災警報器を点検・整備するための資格

 
様々な資格があり「どれを受験したら良いか…」と迷う方は、「乙種6類」「甲種4類」がオススメです。

まず乙種6類を取得すると消化器の点検が可能になります。 数ある消防設備の中でも圧倒的な設置数を誇るため、仕事の需要が多いという特徴があります。消防設備関係の点検・工事関係の仕事をする方には重要な資格のひとつです。
また、「甲種4類」で扱える火災報知設備も、消火器と同じく設置数の多い設備です。ただし火災報知器は点検や設備だけではなく設置工事も行う必要があるので、工事ができる甲種を取得することをオススメします。
甲種4類は受験資格の定めがないので、経験の少ない方でも挑戦しやすい資格と言えるでしょう。

 

消防設備士の試験概要

続いて消防設備士の試験概要を説明します。

試験日程

試験日程は、乙種・甲種ともに受験する都道府県によって異なります。首都圏では月1回、地方では2~3ヶ月に1回行われています。
詳しくは消防試験研究センターにてスケジュールを確認しましょう。

 

受験料

受験手数料は乙種3,800円甲種5,700円(非課税)です。

 

試験方法

消防設備士の出題形式は、筆記試験がマークシート式(四肢択一)、実技試験が記述式です。合格基準は、合計60%以上の得点かつ各科目で40%以上の成績と定められています。

また、試験には筆記と実技があり、とくに実技試験では実務に近い問題が出題されます。

  • 鑑別:消火設備の写真やイラストを見て、装置の名前や使い方を記述する
  • 製図:建屋の平面図に配線を書き込んだり系統図から電線本数を答えたりする問題

※製図は甲種のみです。

 

試験地

乙種・甲種の試験会場は、各都道府県にある消防試験研究センターの指定場所です。受験票に記載されているため、届き次第、試験会場は必ず確認しておきましょう。

 

受験資格

乙種には受験資格はありませんが、甲種には下記の条件があります。

<甲種の条件>

  1. 他の類の甲種消防設備士
  2. 乙種消防設備士の免状を得た後、2年以上消防用設備の整備の経験を有する者
  3. 技術士の第2次試験に合格した者
  4. 電気工事士(第1種・第2種)
  5. 電気主任技術者(第1種~第3種)
  6. 消防用設備の工事の補助者として、5年以上の実務経験を有する者
  7. 専門学校卒業程度検定試験(機械・電気・工業化学・土木または建築の部門に関するもの)の合格者
  8. 管工事施工管理技士(1級・2級)
  9. 高等学校の「工業」の教員職員免許を有する者
  10. 無線従事者(アマチュア無線技士を除く)の免許を受けている者
  11. 一級建築士または二級建築士
  12. 配管技能士(1級・2級)
  13. ガス主任技術者
  14. 給水装置工事主任技術者
  15. 消防行政にかかる事務のうち、消防用設備等に関する事務について3年以上の実務経験を有する者
  16. 消防法施工規則の一部を改正する省令の施行(昭和41年)の前において、消防用設備等の工事について3年以上の実務経験を有する者
  17. 昭和41年前の東京都火災予防条例による旧制度の消防設備士

【学歴】

  1. 次に掲げる学校において、機械、電気、工業化学、土木または建築に関する学科(課程)を修めて卒業した者
    • 大学、短大、高等専門学校(5年制)
    • 高等学校または中等教育学校
    • 外国に所在する学校で、日本における大学、短大、高等専門学校(5年制)または高等学校に相当するもの
    • 旧制大学、旧制専門学校、高等師範学校、実業学校教員養成所、旧制専門学校卒業程度検定試験合格者
  2. 次に掲げる学校において、機械、電気、工業化学、土木または建築に関する科目を15 単位以上修得した者(単位制ではない学校の場合は授業時間で換算)
    • 大学、短大、高等専門学校(5年制)、専修学校
    • 学校教育法第134条第1項に定める各種学校
    • 大学及び高等専門学校の専攻科
    • 防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校
    • 職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業訓練大学校、職業訓練短期大学校、中央職業訓練所
  3. 理学、工学、農学または薬学のいずれかに相当する専攻分野の名称を付記された修士または博士の学位を有する者

 

合格基準

科目ごとの成績が40%以上でかつ、試験科目全体の成績が60%以上とされています。

 

合格率

合格率は、甲種では30%前後、乙種では40%前後と言われています。難易度は比較的低めですが、試験対策をしっかり行えば独学でも合格は狙えます。

 

消防設備士の勉強方法

最後に、消防設備士の資格取得に向けた勉強方法について紹介します。

テキストや講習で学ぶ

まずは受験級に合わせたテキストを購入し、何度も繰り返して勉強しましょう。反復して勉強することで回答のスピードアップだけでなく記憶の定着に繋がります。
テキストを選ぶ際に気を付けて欲しい点としては、 最新版の物を選ぶという事です。 消防法などはまれに改正されることもあるので、 新しい情報が記載されている最新版のテキストを購入してください。

 

動画教材で学ぶ

動画教材は、通勤時間が長い方、テキストだけでは記憶の定着が難しい方にオススメの勉強法です。仕事をしながらテストに挑む方など、隙間時間を有効に活用したい方にもぴったりな教材と言えるでしょう。
また、動画教材を使って反復すればテキストを読み返す必要がなくなるため、テキストでの学習が苦手な方にも最適です。

 

資格取得に必要な勉強時間はどれくらい?

消防設備士は甲種と乙種でレベルが異なるので、受験する資格によって必要な勉強時間が異なります。消防設備士乙種に合格するには、一般的に60〜70時間程度が必要とされていますが、甲種の場合は3ヶ月ほど見積もった方が良いでしょう。ご自身のペースにあった勉強計画を考えるところから初めてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

消防設備士は、建物に設置されている消火器・火災報知器・スプリンクラーなどの消防設備を点検・整備する仕事です。そしてこれらの点検・整備・工事を行うには「消防設備士」という国家資格が必要になります。
この資格を取得すると、キャリアアップはもちろんのこと転職活動にも有利になりますので、検討されている方はぜひチャレンジしてみましょう。

 


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