新築工事の流れを解説!戸建住宅完成までの工程を期間別に紹介
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新築工事の流れを解説!戸建住宅完成までの工程を期間別に紹介

2022年11月16日

戸建住宅の新築工事は、着工から竣工までの工事期間として、建築構造や規模の違いにより約3ヶ月~6ヶ月を要します。建築主としても、最低限の確認ができるように、工事の流れや種類について把握しておきたいものです。
そこで今回は、新築工事の流れとして、着工準備から基礎工事、建方工事、屋根工事、外壁工事、造作工事、竣工・引渡しまでを詳しく解説します。

 


新築工事の流れ① 着工準備

まずは戸建住宅の基本計画を確定し、資金計画の目途が立ったら建築請負契約を締結します。その後、行政機関などに建築確認申請を行い、許可を取り着工準備へと進みます。
着工準備として、地盤調査や地鎮祭、地縄張り、地盤改良工事、丁張り・仮設工事を行います。

地盤調査

戸建住宅を建築する前に、地盤強度を把握するための地盤調査を行います。一般的には、ハウスメーカーや工務店を通して地盤調査の専門会社に依頼します。その調査結果により、地盤改良工事の有無や基礎工事の形式を決定します。

 

地鎮祭

建築予定地で地盤調査前後の良き日を選定して、地鎮祭を執り行います。地鎮祭は、工事期間中の安全祈願などを目的として、土地を鎮めるために行います。ハウスメーカーや工務店を通して地鎮祭を依頼すると、神主や祭壇、テント張りなどの段取りを全て行ってくれます。
地鎮祭後、近隣に対して挨拶回りを行い、工事による騒音発生や工事車両通行に対するお詫びの気持ちを込めて、粗品を添えて報告します。

 

地縄張り

地縄張りは、敷地内において建物が建つ正確な位置を示すために行うものです。設計図面通りに麻紐やビニール紐を使用して建物の位置を敷地内に描きます。
地盤改良工事が必要な場合、補強材を埋め込む工法を採用する際は、地縄張りを行うことで穴を開ける位置の目安となります。また、基礎工事を行う際の位置決めにもなります。

 

地盤改良工事

地盤改良工事は、地盤調査の結果、地盤が軟弱と判断され改良する必要がある場合に実施されます。
地盤改良工事の工法には、いくつか種類があります。必要な地盤強度や工事予算を鑑みて、設計者や工事担当者のアドバイスを参考に建築主が決定します。
比較的多く採用される工法は、建物の通し柱が位置する箇所を中心として、直径60cmほどの穴を地中深く掘り、補強材を埋め込む摩擦杭の方式です。通し柱が位置する箇所は建物の角にあたり、建物荷重が一番大きくかかるからです。

 

丁張り・仮設工事

地盤改良工事を行った場合、地面が掘り返されますので、再度地縄張りを行い、建物の位置を確定した上で丁張りを行います。
丁張りは、建物を建築する際に基礎高さの目印として用いるもので、木杭を地中に埋込み水平の板を取り付け設置します。その後、地縄張り・丁張りの周辺に仮囲いや仮設トイレ設置などの仮設工事を行います。

 

新築工事の流れ② 着工~1ヶ月

着工準備が終わったら、基礎工事、配管工事、足場組みへと進みます。

基礎工事

基礎工事は、根切り・地業・防湿シート張り・捨てコンクリート・配筋工事・コンクリート打設の順に進めます。
根切りは、建物の基礎を地盤下に設置するために地盤を掘り起こす作業です。
地業は、地盤掘削後に地縄張りの範囲内で砕石を敷き詰め、機械で砕石を締め固める作業です。
地業の範囲内に防湿シートを張ることにより、地面の湿気が建物床下に上がってこないようにし、その上に捨てコンクリートを薄く平らに打ちます。
捨てコンクリートの上に、基礎を造るための基準線を描き、配筋工事を行います。配筋工事の完了後、検査機関による配筋検査が行われ、鉄筋径や数量・間隔などが点検されます。建物荷重を支える箇所の大事な検査となるため、手抜き工事が無いかなど、厳しく点検する必要があります。
配筋検査完了後、配筋の周辺に型枠を設置し、基礎と土台を緊結するためのアンカーボルトを設置します。
建物内の給排水管が建物の外部へ抜けるように、コンクリート打設前に配管工事を施します。
型枠ができたら、コンクリートミキサー車に積載した生コンクリートを型枠内に流し込みます。
通常は基礎の底盤部分と立ち上げり部分の2回に分けて、生コンクリートを打ち込みます。
生コンクリートを打ち込んだ後、降雨時にコンクリートが雨にあたらないように養生シートをコンクリート部分に被せます。
コンクリートを1週間ほど乾燥させ、コンクリート強度が出るのを見計らって型枠を外します。

 

配管工事

基礎完成後に、建物内外部の給排水管の配管工事を行います。
配管工事は、建物の水回り設備に供給する水道管や、そこから出る排水を排出する排水管を前面道路に設置された公共の水道本管や下水道本管と連結する工事です。

 

足場組み

基礎の上に土台を設置し、事前に埋め込んだアンカーボルトと緊結します。土台設置後、大引き・根太・床束などを設置し、床下工事を行います。
足場組みは基礎の外側周辺で行います。戸建て住宅の場合、径48.6mmの鉄パイプにより足場が組まれます。

 

新築工事の流れ③ 着工後1ヶ月~2ヶ月

基礎・土台ができ足場が組まれると、建方工事、構造工事、屋根工事、サッシ設置工事、ベランダ防水工事へと進みます。

建方工事

建方工事は、クレーン車などを使って土台の上に柱を立ち上げ、柱と柱の間に梁・桁を架けて母屋をくみ上げる工事です。
耐震補強や耐風補強のために柱と柱の間に筋交いを入れる箇所があるので、筋交いの設置個所が設計図面と照合し、正しい箇所に入っていることを点検・確認します。

 

上棟式

1階・2階の床板が設置され、屋根の構造材が組み上げられると、建築主が要望する場合は上棟式が執り行われます。
上棟式は、建物が安全無事故で完成することを願う儀式であり、工事関係者の労をねぎらう場でもあります。
上棟後、2階の壁面においても以下などの検査が入ります。

  • 筋交いが設計図面通りに配置されているか
  • 金具やボルトにより柱と梁を緊結できているか

 

屋根工事

屋根の骨組みの上に構造用合板を張り、その上に防水シートを張り施工します。

 

サッシ設置工事

柱と柱の間にサッシの設置工事を行います。掃き出し窓や腰窓など、高さ設定の異なるサッシの取付け作業があり、木材で高さ設定の調整などを実施します。
サッシ設置工事が終わったら、外装下地検査を受けます。検査は、JIO(日本住宅保証検査機構)が行いますが、検査に合格すれば外壁工事が可能になります。
サッシ以外にも玄関ドアも設置され、日々の工事終了時に工事用キーで戸締りされます。

 

ベランダ防水工事

ベランダがある場合、屋根材取付けなどの作業と並行して、ベランダ部分も防水工事を施します。
ベランダの防水工事に不具合があると、1階屋根部分に雨漏りが発生する可能性が高くなりますので、慎重に工事を行う必要があります。

 

新築工事の流れ④ 着工後2ヶ月~3ヶ月

屋根工事やサッシ工事が終わると、断熱工事、造作工事、外壁工事、足場外しへと進みます。

断熱工事

建物内部壁面に石膏ボードを貼る前に、電気工事士による建物内部のスイッチやコンセント設置などの電気工事を行います。電気工事が終わると、断熱工事に入ります。
建物外側に透湿防水シートを貼り、その内側と構造用合板との間にグラスウールなどの断熱材を隙間なく詰めます。その上から石膏ボードを貼り、内壁下地の完成となります。
また、断熱材は屋根の内側や床にも詰めます。その上から石膏ボードを貼り、下地工事の完成となります。
部屋内の天井・壁・床の下地工事が完成したら、石膏ボードの接続部分の隙間や凹凸などを処理した後にクロスを貼ります。なお、床の場合はクロス以外にもフローリングやタイルなどを貼ります。

 

造作工事

クロスやフローリング貼りと並行して、階段・手すり・棚・押入れなどの造作工事を進めます。ドアや襖、障子などの建具は、既製品であれば大工が設置しますが、オリジナル製品であれば建具屋の作業となります。
造作工事が終わると、照明工事や電気設備の設置、電気工事の最終調整に入ります。
照明器具やエアコンなどの設置が行われ、建物全体の電気を管理する配電盤も設置されます。
その後、水回り設備などが搬入・設置されます。ユニットバス・システムキッチン・洗面台・トイレ・換気扇・24時間換気システムなどの設備の取付けや電気配線・ガス配管などの調整を行います。

 

外壁工事

透湿防水シートが張られた外側に、外壁材(サイディング)の取付けを行います。外壁材の色を2色以上選択した場合は、設計図面通りに色の違う外壁材が配置されているかを点検します。

 

足場外し

屋根工事・外壁工事が終わり、階段などの造作工事が完成したら、足場を外します。足場は、足場専門会社が組立てから撤去までを行います。足場が無くなると、戸建て住宅のお披露目となります。

 

新築工事の流れ⑤ 完成

建物が完成したら、竣工検査、引渡しに進みます。

竣工検査

設計図面や仕様書などに基づき、工事責任者が建物全体を点検・確認します。万が一設計図面や仕様書と違っている場合、やり直しの工事を行います。
その後、検査機関による竣工検査を受け、合格すれば工事の完成となりますが、建築主や設計担当者、工事責任者が立会いのもと仕上がりを点検・確認し、不具合などが見つかった場合はやり直しの工事を行います。

 

引渡し

建築主による仕上がりの点検・確認が終わり、不具合の改善もでき、建築主が建物の仕上がりに納得できれば、鍵を渡され引渡しとなります。引渡しが完了したら、近隣への挨拶回りを行い終了です。

 

まとめ

新築工事の流れとして、着工準備から基礎工事、建方工事、屋根工事、外壁工事、造作工事、竣工・引渡しまでを詳しく解説しました。
検査機関による検査は、基礎の配筋検査、上棟後の中間検査、竣工検査があります。いずれも建物の品質に関わる大事な検査となりますので、時間の許す限り建築主も立ち会うようにするのがよいでしょう。
建築主が戸建て住宅を建てる場合、工事の最低限の流れを把握しておくことは後々建物に不備が発生するのを未然に防ぐ効果があります。
快適な住生活を送るためにも、最低限の工事の流れを把握しておくとよいでしょう。

 


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