鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とは?木造・鉄骨造・RC造との違いを解説
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鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とは?木造・鉄骨造・RC造との違いを解説

2022年12月9日

建設業界で耳にする「SRC造」という言葉は、鉄筋鉄骨コンクリート造のことです。S造(鉄骨造)やRC(鉄筋コンクリート造)とは、建物の作り方や特徴が大きく異なります。
そこで当記事では「SRC造とは?」と題して、建物構造の特徴や他の構造との違いを解説します。建設業界に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

 


鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とは?

そもそもSRCとは、Steel Reinforced Concreteの略です。鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた「鉄骨鉄筋コンクリート造」を指します。頑丈なつくりになることから、高層ビルやタワーマンションなど、大規模な建物に用いられています。
SRC造はH形鋼などの頑丈な鉄骨の柱の周りに、鉄筋を組んでコンクリートを施工します。そのためRC造(鉄筋コンクリート造)よりも細い柱や梁で、強度の高い構造物をつくることが可能です。鉄骨を使わないRC造よりも耐久性が高い構造といえるでしょう。

SRC造の法定耐用年数は、47年とされています。法定耐用年数とは、国税庁が建物の減価償却期間として、昭和40年に規定したものです。しかし現代の技術進歩は著しく、定期的にメンテナンスが行われていれば、実際のSRC造の寿命はその2倍は問題ないといわれています。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)のメリット

SRC造は、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた工法です。そのメリットは一体何があるのか、SRC造のメリットを解説します。

耐震性が高い

一つ目は「耐震性が高い」ということです。SRC造は、他の構造の中でもトップクラスの耐震性能を誇ります。構造の中に鉄筋と鉄骨、コンクリートを加えることで、地震の揺れによる変形に強い構造となっています。RC構造と比べて鉄骨を多く配置するので、柱の断面を細くする事が可能になり耐震性は高くなります。

 

耐火性が高い

二つ目は「耐火性が高い」ということです。鉄骨や鉄筋の周りをコンクリートで覆っているため、火災に強い構造になります。耐震性に加え耐火性も高く、鉄骨鉄筋コンクリート構造は、鉄骨構造(S造)と鉄筋コンクリート構造(RC造)の良いところ取りをしたような構造と言えるでしょう。

 

防音性能が高い

三つ目は「防音性能が高い」ことです。RC造と同様、SRC造は防音性の高い構造になります。コンクリートを流し込んで造られるため、隙間ができにくく防音性能が高いのが特徴です。一般の木造や軽量鉄骨などと比較するとRCやSRCの防音性能はかなり高いため、賃貸などでも人気があります。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)のデメリット

耐震性や耐火性、防音性の高いSRC造ですが、一方で以下のようなデメリットもあります。メリットと同様にデメリットも押さえておきましょう。

コストが高い

一つ目は「コストが高い」ことです。SRC造は、鉄筋や鉄骨、コンクリートなど様々な建材を使います。建材費に加えて施工手間もかかるため、トータルの建設費が高くなる点がデメリットです。
また、他の構造よりも工程が複雑であり、工事期間が長期化しやすく人件費がかかるため、コストの削減は難しい工法といえるでしょう。

 

設計の自由度が低い

二つ目は「設計の自由度が低い」ことです。SRC造では「鉄骨」を使うため、使用する場所によっては間取りなどに制限がかかります。RC造のような自由な設計はできないため、個性的な間取りがよい場合は物足りない部分もあるでしょう。

 

工事の時間がかかる

三つ目は「工事の時間がかかる」ことです。一つ目のデメリットでも紹介した通り、SRC造は様々な建材を使って工事を行うため、他の構造よりも工程が複雑になります。そのため工事に時間がかかり、ある程度工事期間を確保しなければなりません。特にコンクリートの硬化は天候や気温で左右されるため、工事時期によってはさらに日数が伸びることもあります。

 

他の建物構造との違い

上記ではSRC造の特徴を紹介しましたが、以下ではその他の構造について紹介します。それぞれの特徴を押さえて、理解を深めましょう。

木造との違い

木造(W造)は、柱や梁などの主要構造部を木材で構築している建物構造です。
木造のメリットは、コストも抑えられる点と、短期間で施工できる点です。使用する木材の種類によって異なりますが、基本的に木造は鉄筋に比べて建築コストが低くなります。日本の気候とも合うため、戸建て住宅などでよく採用されています。

 

鉄骨造との違い

鉄骨造(S造)とは、柱や梁などの主要構造部を鉄骨で構築している建物構造です。S造には、厚さ6㎜未満の鉄骨材を使用する「軽量鉄骨造」と、厚さ6㎜以上の鉄骨材を使用する「重量鉄骨造」の2種類があります。
S造のメリットは、目的に合わせて柔軟に対応できる点と、RC造やSRC造と比較して低コストで建設できる点にあります。重量鉄骨造は間取りを自由に設計でき、大きな建築物も実現可能です。その一方で軽量鉄骨造はコストが抑えられ、短納期で仕上げることができます。
また、S造はRC造やSRC造と比較しても、低コストで建設できます。工期が短く済むので、短期間での建設も可能です。

 

鉄筋コンクリート造(RC造)との違い

鉄筋コンクリート造(RC造)とは、柱や梁などの主要構造部を鉄筋コンクリートで構築している建物構造です。鉄筋とコンクリートで形成するため比較的自由に設計でき、耐久性や耐震性にも優れている工法で高層ビルやマンションなどで使われています。
RC造のメリットは、耐火性・耐震性が高く、かつメンテナンス性が高いことです。主要材料のコンクリートは不燃材料であるため、高い耐火性を有しています。地震や経年劣化によりクラック(ひび割れ)が生じることはありますが、補修剤で簡単にメンテナンスが可能です。
さらにSRC造とは異なり、デザインの自由度が高い特徴もあります。柱をなくした空間や意匠性の高い外観なども実現可能です。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)に関してよくある質問

最後に、SRC造に関するよくある質問をまとめました。SRC造の建物に興味のある方はチェックしましょう。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の耐用年数はどれくらい?

SRC造の耐用年数は「47年」とされています。そもそも耐用年数とは、法律で定められた使用可能年数のこと。
戸建住宅で一般的な木造が「22年」なので、SRC造は耐久性の高い構造と言えるでしょう。とはいうものの、 耐用年数はあくまでも目安であるため、期間を超えて住んでも問題はありませんが、より長く安全な住まいを探している方はSRC造の方が良いかもしれません。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)はうるさい?

先ほども述べた通り、SRC造では「コンクリート」を使用しています。そのためSRC造やRC造は隙間ができにくく、遮音性の高い構造になります。壁の内側にあるコンクリートは、外部からの音も内部から外に漏れる音も防ぐため、静かな環境を好む方はSRC造やRC造がオススメです。
ちなみに防音については、音を遮る「遮音」と、音を吸収する「吸音」に分けられますが、コンクリートは密度が高いため、特に「遮音性能」に優れている素材になります。

 

まとめ

SRC造とはSteel Reinforced Concreteの略で、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた「鉄骨鉄筋コンクリート造」を指します。耐震性や耐火性が高く、高層ビルやタワーマンションなど、大規模な建物に用いられている工法です。
他にも、W造やRC造などさまざまな工法があるので、合わせて覚えるようにしましょう。特に建設業界へ転職を検討している方は、このような基本的な構造は勉強しておくことをオススメします。

 


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