生コンはコンクリートと何が違う?原材料やメリットを解説
特徴
違い
メリット

生コンはコンクリートと何が違う?原材料やメリットを解説

2022年12月13日

建築やインフラに欠かせないコンクリート。コンクリートは鋼材とともに現代の建築・土木工事には不可欠な構造材料であり、強度と価格の面や施工の安易さから、広く使用されている建築資材の一つといえます。
その中でも生コンクリートは、セメント、水、砂、砂利などを混ぜ合わせ、現場へと運ばれる段階で固まらないコンクリートのことで、通常のコンクリートとは少し種類が異なります。
そこで今回は「生コンクリート」について、特徴や原材料など詳しく解説します。建設業界に勤めている方や転職を検討中の方は必見です。

 


生コンとは

そもそも生コンクリート(生コン)とは、コンクリートが固まる前の状態のことです。コンクリートは、セメント・砂・砂利に混和剤と呼ばれる薬品を混合し、水を加えて練り混ぜて固めますが、固まる前のまだ軟らかい状態が「生コン」になります。
コンクリートのメリットは、形の自由度が高い点にあります。生コン(固まる前)の状態であれば、自由な形を作ることができます。さらに耐火性や耐久性が高く、耐圧縮性なども優れている素材です。英語のコンクリート(concrete)には、「様々なものがくっついて固まったもの」という意味がありますが、色々な素材が混ざり合うことでより強固な建築資材になります。

 

コンクリートの特徴

日本は世界でも有数のセメント生産国のため、コンクリートやセメントが使われることが増えています。コンクリートは水を混ぜ合わせることで固まりますが、乾燥させて固まるものではなく、化学変化によって凝固します。
なお、コンクリートにも種類があり、24時間で固まるものもあれば、それより少ない時間で固まるものもありますし、24時間以上必要になるものもあります。
コンクリートが固まる時間を24時間とすると、生コンはそれまでの間でしか見ることのできない建築材なのです。

 

生コン誕生の歴史

生コンが世界で使われ始めたのは、1903年のドイツの建設業者と言われています。その後、アメリカが生コンを産業として発展させ、1913年メリーランド州ボルチモアにおいて世界初の生コンの工場が創業されました。
日本において生コンが使われ始めたのは、1948年12月に東京コンクリート工業(株)が設立されたことがきっかけです。元は1923年の関東大震災直後に、生コンが現場に運ばれ使用されたのが発祥とも言われています。

 

コンクリートとセメントは何が違う?

コンクリートとセメントの違いは原料にあります。セメントはコンクリートの原料で、石灰石などを焼成し、細かく粉砕して粉状にしたものをセメントと言います。
そしてコンクリートは、セメントに砂・砂利・水を加えて混ぜてドロドロにして、それを固めたものになります。ちなみにドロドロの状態のコンクリートが生コンです。

 

コンクリートとモルタルは何が違う?

コンクリートによく似ているものに、モルタルがあります。モルタルは、セメントや石灰に砂をいれて水で練って作ったものを指します。コンクリートに比べて強度が劣るものの、主にブロックやレンガなどを積む時の目地としての利用やコンクリートの表面部分の仕上げなどに最適な資材です。

 

生コンを使うメリット

生コンが登場してから、建設現場はどのように変わっていったのか…。以下では生コンを使うメリットについて解説します。

品質を保てる

まず一つ目は「品質が保てる」ということです。コンクリートは資材の分量だけでなく、混ぜる速さや混ぜる時の力加減などが重要になります。これらが異なってしまうと、コンクリートの品質に大きく関わる恐れがあります。さらに、練り合わせる時間や気候もバラバラになると、コンクリートの品質を一定に保つことは難しいでしょう。
しかし生コンは工場で機械によって配合と練り合わせを行うため、コンクリートの品質を一定にすることが可能です。

 

現場での作業がスムーズ

二つ目は「現場での作業がスムーズ」であることです。現場でコンクリートを自分の手で作ろうとすると、箱型の容器やスコップ、バケツ、資材を運ぶ台車など多くの道具を揃える必要があります。さらに練り合わせる作業では場所が必要になり、他の工事の進捗を妨げることになるかもしれません。
しかし生コンは工場で配合して練られてから現場へ届けられるので、道具や場所が不要になりますので、現場での作業がスムーズに進められるでしょう。

 

人材コストを削減できる

三つ目は「人材コストを削減できる」ことです。コンクリートを配合し、人力で練り合わせるとなると労力がかかり、さらに資材の配分などの知識も必要になるでしょう。
しかし生コンは専門の工場で機械を用いて練り合わせるため、人材のコストが削減できます。また、現場搬入の際も工場からミキサー車で現場へ届けられるため、搬入の手間も減り、現場への負担が軽くなるでしょう。現場で作るよりもはるかに負担が軽減できます。

 

生コンの原材料

最後に生コンの原材料について解説します。生コンは主に、セメント、水、混和剤、砂や砂利で作られています。

セメント

セメントはコンクリートの主要部材と言える資材です。コンクリートにセメントを配合する目的としては、結合材としての働きです。水や溶液が混ぜ合わされたとき、時間が経つにつれ強度を増し硬化を開始します。より強硬な資材を作る上でもセメントは欠かせない存在なのです。
ちなみに、セメントには「気硬性セメント」と「水硬性セメント」の2種類がありますが、その中で生コンクリートに用いられるのは、水硬性セメントになります。

 

混和剤

混和剤を使うと、配合する水の分量やセメントの量を減らすことができます。水やセメントの配合量を減らすことができると、工事コストを抑えることができます。
また、セメントの硬化や乾燥の時間を短縮させることができ、水密性や強度向上、耐久性の向上を図ることも可能です。

 

砂や砂利

生コンに配合する砂や砂利は、生コンの品質を決める重要な原材料です。粒の大きさによって種類が分かれ、粒径が5mm以上の「粗骨材」と、5mm以下の砂の「細骨材」に分類されています。

 

まとめ

生コンとは、コンクリートが固まる前の状態のこと。コンクリートは、セメント・砂・砂利に混和剤と呼ばれる薬品を混合し、水を加えて練り混ぜて固めますが、固まる前のまだ軟らかい状態が「生コン」です。生コンを使うことで、品質が保たれ、かつ人的コストが削減できるというメリットがあります。
建設業界に勤めている方や転職を検討されている方は、ぜひ知識として覚えておくと良いでしょう。

 


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