住宅メンテナンスの重要性とタイミングを場所別に解説
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住宅メンテナンスの重要性とタイミングを場所別に解説

2022年12月19日

住宅は築年数と共に風雨による劣化損傷や老朽化により、徐々に傷み始めます。そのため、定期的に的確なメンテナンスを行うことが重要です。メンテナンスを行うことにより住宅の長寿命化を図ることができ、資産価値の維持へとつなげることができます。
この記事では、住宅メンテナンスの重要性や種類、タイミング、費用について解説します。
住宅メンテナンスのタイミングや費用を知ることで、リフォームの資金計画を立てやすくなり、事前準備もしやすくなりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 


住宅メンテナンスの重要性

住宅に対してメンテナンスをタイミング良く行うことで、長寿命化や売却する際の価格向上を図ることができます。

こまめなメンテナンスで長寿命化

住宅の中でも外気に接する外壁や屋根は、直射日光や風雨に晒され、劣化損傷が一番生じやすくなります。
外壁や屋根をこまめにメンテナンスすることで長寿命化を図ることができ、長期間快適に過ごすことができます。

 

売却価格の向上

築年数が古く、適度なメンテナンスが施されずに劣化損傷が至る所に見られる住宅は、売却しようとしても買手が敬遠し、売却価格の下落を招きます。
外壁や屋根、内装、設備・器具などのメンテナンスをしっかり行い、住宅全体のコンディション(住み心地)が良好に保てていれば、資産価値を維持することができます。

 

住宅メンテナンスの種類

住宅メンテナンスの種類には、日々の掃除やDIY、業者による修繕工事があります。

日々の掃除

日々の掃除とは主に、床掃除や拭き掃除、庭掃除などです。日々の掃除により、外装や内装の汚れなどを点検でき、劣化や損傷箇所を早期に見つけることができます。
また、劣化や損傷の度合いが小さい段階で補修できますので、その分補修費用も抑えることができます。

 

DIY

DIY(Do It Yourself)は、自身で何かを作り、修理することです。
例えば、外壁を高圧洗浄機で綺麗にすることや、部屋の壁紙の傷やはがれた箇所を貼替えなどして修理することです。修理費用は材料代だけで抑えることができますので、コストを抑えたい場合に最適です。

 

業者による修繕工事

例えば、屋根瓦の割れなどの修繕工事や外壁の飛来物による損傷の修繕工事などを行う場合は、専門業者に修繕工事を依頼します。
長期にわたって家屋の健全な状態を維持することができますが、修繕工事費用は高くなります。

 

住宅メンテナンスで重要な場所

住宅メンテナンスで重要な場所として、外壁塗装や屋根塗装、水道設備、壁・床などの内装が挙げられます。

外壁の塗装

外壁は直射日光や台風による風雨に晒されます。見た目の変化が無くても、外壁を構成する建材の内側から劣化していく場合があります。長年風雨に晒されると建材の中に湿気がたまり、機能が徐々に低下していくため、外壁を構成する建材を長持ちさせるために、塗装が必要となります。
ただし、新築時に施された塗装は、永久には保ちません。年月の経過と共に劣化していくため、外壁の状態を見極めながら定期的に塗装を施す必要があるでしょう。

 

屋根の塗装

屋根も外壁と同様に、直射日光や台風による風雨に晒されます。長年風雨に晒されると、新築時に施された塗装が徐々に剥げ落ち、劣化損傷が進行します。そのため、年月の経過と共にタイミング良く塗装するのが良いでしょう。

 

水道設備

キッチン・浴室・洗面・トイレなどの水回り設備や給湯器、水道管なども経年劣化に備える必要があります。
例えば、以下のような現象が出始めます。

  • 蛇口を回しても水の出の勢いが弱い
  • 水道管から水漏れが生じる
  • 給湯器の故障によりお湯が出なくなる

 

壁や床

壁や床も経年劣化に備える必要があります。家族構成や日頃の手入れの良し悪しによっても、寿命は大きく異なります。例えば、年少の子供がいる場合、床・壁に対する傷や汚れの度合いが酷くなるケースもあるため、そのような場合はメンテナンスのタイミングを早める必要性が生じます。

 

住宅メンテナンスのタイミング

一般的に住宅メンテナンスは、以下のタイミングで必要になります。

  • 新築から築10年以上経過した段階
  • 第2段階として築20年以上経過した段階
  • 第3段階として築35年以上経過した段階

適度なメンテナンスを施すことなく放置し続けると、劣化損傷が酷くなり、修繕工事費用が高くついてしまいます。
築10年、築20年、築35年経過した際に、点検・確認を行い、不安要素をタイミング良く取り除くことにより、住宅の長寿命化へとつなげることができます。

外壁の塗装

外壁塗装のタイミングの目安は、下表の通りです。

仕様 メンテナンススケジュール
築10年~築20年 築20年~築35年 築35年~築50年
塗装仕上げ 表面塗装 表面塗装・増貼り 表面塗装
タイル仕上げ タイル洗浄・目地打替え タイル洗浄・目地打替え タイル洗浄・目地打替え
サイディング・ALC 目地打替え・塗装 目地打替え・塗装
増貼り・貼替え
目地打替え・塗装
付属品(化粧カバー、縦樋等) 表面塗装 塗装・交換 表面塗装

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

✓ 築10年~築20年

外壁の多くは、サイディングというパネル化した建材製品が使用されています。塗装してコーティングすることで、耐久性が上がります。
また、塗料の違いによって以下のように耐久性は増しますが、その分費用も高くなります。

  • アクリル:5年~7年
  • ウレタン:8年~10年
  • シリコン:12年~15年

サイディングのパネルとパネルの継ぎ目にはシーリングを施しますが、約10年経過すれば、ひび割れなどの傷みが生じますので、同じタイミングで打ち直しをする必要もあるでしょう。

✓ 築20年~築35年

築20年~築35年経過すると、木造・鉄骨造ともに法定耐用年数を超過するため、家屋については資産価値が無くなってしまいます。
外壁については、以下なども念頭に置く必要があるでしょう。

  • 古いサイディングに新しいサイディングを重ねる増貼り
  • 古いサイディングを新しいサイディングに貼替え

 

屋根の塗装

屋根塗装のタイミングの目安は、下表の通りです。

仕様 メンテナンススケジュール
築10年~築20年 築20年~築35年 築35年~築50年
スレート瓦・鋼板屋根 表面塗装 増貼り・葺替え 表面塗装
シート防水 増貼り 増貼り・葺替え 増貼り
化粧カバー・軒天・軒桶等 表面塗装 塗装・交換 表面塗装
トップライト シーリングの打換え等 シーリングの打換え・交換 シーリングの打換え等

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

✓ 築10年~築20年

屋根の雨漏りは、築10年経過すると対策が必要になるケースもあります。屋根勾配、瓦の有無・形状などにより、作業内容や工程が異なります。

✓ 築20年~築35年

瓦の部分的な割れや瓦を留める漆喰の崩れなどが生じ、メンテナンスを行う必要があります。瓦と下地の両方の劣化・損傷が酷い場合、瓦などの葺替えが必要です。

 

水道設備

水道設備メンテナンスのタイミングは、下表の通りです。

部位 メンテナンススケジュール
5年 10年 15年 20年
キッチン 本体(幅2550) 本体・各機器の部品点検・交換 レンジフード、ガス、IHコンロなどの機器本体の単体及び同時点検・交換 本体・各機器の部品点検・交換 キッチン本体の交換
レンジフード
ガス・IHコンロ
食洗機
浄水器・整水器
トイレ 便器・タンク 点検・部品交換 点検・部品交換 点検・部品交換 便器本体の点検・交換
温水洗浄便座 部品点検・交換 本体点検・交換 部品点検・交換
洗面 洗面台(幅750) キャビネットの部品点検・交換 本体点検・交換 キャビネットの部品点検・交換 本体点検・交換
浴室(ユニットバス) 本体(1坪) シーリング材・ドア点検・補修 シーリング材・ドア点検・補修 ユニット本体点検・交換 シーリング材・ドア点検・補修
換気扇・その他 換気扇点検・部品交換 換気扇点検・部品交換 換気扇点検・部品交換
給排水器具 混合水栓 機能部点検・部品交換 本体点検・交換 機能部点検・部品交換 本体点検・交換
給湯器 本体(24号) 点検・部品交換 本体点検・交換 点検・部品交換 本体点検・交換
エコキュート

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

✓ 築10年~築20年

給湯器の故障が生じるようになり、水道管からの漏水が生じる時期でもあります。

✓ 築20年~築35年

水回り設備(キッチン・浴室・洗面・トイレなど)の交換時期に入ります。

 

壁や床

壁・床などの内装材のメンテナンスのタイミングは、下表の通りです。

メンテナンススケジュール 内装仕上げ材
築10年以上 部分補修・貼替え
築20年以上 部分補修・貼替え
築30年以上 部分補修・貼替え
築40年以上 部分補修・貼替え
築50年以上 部分補修・貼替え

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

壁や床などの内装においても、築10年以上経過するとクロスに汚れや変色が目立つようになり、傷や剥がれなども生じる時期です。できれば10年ごとに点検し部分補修や貼替えを行うと、家の中を綺麗に維持することができます。
DIYで張り替えても良いですし、内装業者に依頼して長く保たせる工事を施すのも良いでしょう。

 

住宅メンテナンスの費用

分譲マンションは、住宅メンテナンスとして主に共用部分に対し、管理費・修繕積立金があります。
戸建て住宅の場合、自身で修繕費用を積み立てるか、リフォームローンなどの融資を利用するなどして用立てる必要があります。
建物や設備などの劣化や損傷に備えるためにも、メンテナンス費用の目安を知っておくことは大切です。

ここではモデルケースとして、延床面積145㎡、2階建てで、一般的な仕様が用いられている戸建て住宅を想定します。
◆算出条件◆

  • 屋根面積:120㎡(勾配屋根)
  • 外壁面積:170㎡

 

外壁の塗装

外壁塗装のメンテナンス費用の目安は、下表の通りです。

仕様 メンテナンススケジュール
築10年~築20年 築20年~築35年 築35年~築50年
塗装仕上げ 60万円~80万円 60万円~250万円 60万円~100万円
タイル仕上げ 5万円~70万円 5万円~70万円 5万円~70万円
サイディング・ALC 2万円~200万円 30万円~250万円 20万円~200万円
付属品(化粧カバー、縦樋等) 15万円~25万円 15万円~150万円 15万円~25万円

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

 

屋根の塗装

屋根塗装のメンテナンス費用の目安は、下表の通りです。

仕様 メンテナンススケジュール
築10年~築20年 築20年~築35年 築35年~築50年
スレート瓦・鋼板屋根 60万円~80万円 140万円~180万円 60万円~80万円
シート防水 130万円~150万円 130万円~170万円 130万円~150万円
化粧カバー・軒天・軒桶等 30万円~40万円 30万円~165万円 30万円~40万円
トップライト 5万円~20万円 5万円~40万円 5万円~20万円

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

住宅の周りに足場を組んで外壁塗装を行う場合、足場だけで20万円~40万円の費用を要しますので、屋根塗装も同時に行った方が効率的といえるでしょう。

 

水道設備

水道設備メンテナンス費用の目安は、下表の通りです。

部位 メンテナンススケジュール
5年 10年 15年 20年
キッチン 本体(幅2550) 1万円~5万円 20万円~120万円 1万円~5万円 100万円~300万円
レンジフード
ガス・IHコンロ
食洗機
浄水器・整水器
トイレ 便器・タンク 1万円~3万円 1万円~3万円 1万円~3万円 20万円~40万円
温水洗浄便座 1万円~5万円 10万円~15万円 1万円~5万円
洗面 洗面台(幅750) 1万円~5万円 15万円~30万円 1万円~5万円 15万円~30万円
浴室(ユニットバス) 本体(1坪) 5万円~15万円 5万円~15万円 100万円~250万円 5万円~15万円
換気扇・その他 1万円~5万円 5万円~15万円 1万円~5万円
給排水器具 混合水栓 1万円~3万円 5万円~15万円 1万円~3万円 5万円~15万円
給湯器 本体(24号) 1万円~4万円 30万円~70万円 1万円~4万円 30万円~70万円
エコキュート

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

 

壁や床

壁・床などの内装材のメンテナンス費用は、下表の通りです。

メンテナンススケジュール メンテナンス費用(目安)
築10年以上 1万円~/箇所
築20年以上 1万円~/箇所
築30年以上 1万円~/箇所
築40年以上 1万円~/箇所
築50年以上 1万円~/箇所

※参考元:「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド」住宅産業協議会

 

まとめ

以上、住宅メンテナンスの重要性や種類、タイミング、費用について解説しました。
住宅メンテナンスを定期的に行い、補修・修繕工事などを的確に行えば、住宅寿命を延ばすことができます。特に、傷みが酷くなりやすい外壁や屋根の早期メンテナンスは重要になります。
住宅に異常を発見した場合や気になる点が生じた場合、専門業者に点検・確認を依頼し、早期に補修・修繕工事をされることをおすすめします。

 


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