木造住宅の耐用年数はどれくらい?寿命を伸ばすためのポイントも解説
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木造住宅の耐用年数はどれくらい?寿命を伸ばすためのポイントも解説

2022年12月20日

木造住宅の法定耐用年数は22年と規定されています。しかし、22年しか住宅に住むことができないという意味ではなく、あくまでも税制上の規定でしかありません。
そこで今回は、住宅の耐用年数の種類や期間、寿命を延ばすためのポイントについて解説します。
法定耐用年数の意味や適切な時期に適切なメンテナンスを行なえば、木造住宅の長寿命化を図れるということがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

 


住宅の耐用年数は4種類

住宅の耐用年数には、法定耐用年数物理的耐用年数経済的耐用年数期待耐用年数の4種類があります。

法定耐用年数

住宅の法定耐用年数は、新築時から資産価値を喪失するまでの期間を言います。また、毎年少しずつ経費処理することを減価償却と言います。
例えば、耐用年数が10年の減価償却資産の場合、10年をかけて減価償却費を計上します。
減価償却費の効用は、法定耐用年数の期間、利益から必要経費と同様に差し引くことができ、課税所得を抑え税金を少なくすることができます。
金額が同じ減価償却資産でも、法定耐用年数が短ければ毎年の減価償却費は多くなります。逆に法定耐用年数が長ければ、毎年の減価償却費は少なくなります。

 

物理的耐用年数

物理的耐用年数は、建物の構造材が化学的要因や物理的要因により劣化を伴う耐用年数で、工学的な見地により決定される年数です。建築業者や木材の種類、天候、メンテナンスの良し悪しにより化学的要因や物理的要因は異なりますが、一般的には木造住宅で65年程、コンクリート造で120年程とされています。

 

経済的耐用年数

経済的耐用年数は、不動産市場で売買される価値がある期間です。不動産価値は、立地・築年数・利回り・間取り・設備・外観・メンテナンスなどの要因により変化します。経済的耐用年数は、需要があるほど長くなり、需要が無ければ短くなります。
木造中古住宅の経済的耐用年数は、欧米と比較して日本国内での需要が低いため、短くなる傾向にあります。

 

期待耐用年数

期待耐用年数は、通常の使われ方や維持管理で使用可能な耐用年数です。
期待耐用年数が使用される背景として、中古住宅需要の低さを改善し需要喚起をする目的があります。
期待耐用年数が使用されるまでは、リフォームやリノベーションによる住宅としての価値向上が耐用年数に反映されませんでしたが、期待耐用年数の導入により、中古住宅の価値が正当に評価されるようになりました。

 

木造住宅の耐用年数はどれくらい?

木造建物の耐用年数は、使用する木材の樹齢と太さにより決まります。例えば、法隆寺や薬師寺東塔は、両方とも樹齢1000年以上の檜が使われており、太さ50~60cmクラスの柱が何本も使われています。そのため、1300年以上の築年数が経っている現在でも威容を放ちながら建っています。
また、茅葺屋根の家でも太さ20cm以上の大黒柱が使用されている場合、築100年以上も使われている家が少なからずあります。

ここでは、住宅がどれくらいの期間保つのかを解説します。

法定耐用年数は22年

木造住宅の法定耐用年数は22年です。上記で解説したように、住宅の寿命とは関係ありません。ちなみに、木造・合成樹脂造の建物で用途別の耐用年数は、下表の通りです。

用途 耐用年数
事務所用のもの 24年
店舗用・住宅用のもの 22年
飲食店用のもの 20年
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの 17年
公衆浴場用のもの 12年
工場用・倉庫用のもの(一般用) 15年

※参考元:「耐用年数(建物/建物付属設備)」国税庁

 

また、木造以外の構造の住宅耐用年数は、下表の通りです。

建築構造 耐用年数
木造 22年
軽量鉄骨プレハブ造(鉄骨肉厚3mm以下) 19年
軽量鉄骨プレハブ造(鉄骨肉厚3mm超4mm以下) 27年
重量鉄骨造(鉄骨肉厚4mm超) 34年
鉄筋コンクリート造 47年

※参考元:「耐用年数(建物/建物付属設備)」国税庁

 

本当の耐用年数は30年?

木造の法定耐用年数は22年ですが、あくまでも税制上の規定であり、物理的耐用年数とは異なります。
木造住宅の耐用年数は約30年といわれますが、建物自体の耐用年数ではなく、ライフスタイルの変化や設備の寿命、耐震化への対応などによって異なります。
例えば、築30年経過すると以下のようなケースが考えられます。

  • 子供が巣立ち夫婦二人だけとなり、現状では広すぎて使い勝手も悪くなり、間取り変更などのリノベーションをするよりも建替えを選択するケース
  • 屋根や外壁、水回り設備(キッチン・浴室・洗面・トイレなど)の全面的な修繕工事が必要になり、リフォームするよりも建替えを選択するケース
  • ホームインスペクターに住宅診断をしてもらった際、耐震性に問題点があることを指摘され、耐震改修工事をするよりも建替えを選択するケース

 

メンテナンス次第で100年以上住むこともできる

国土交通省による公表資料によると以下のようになります。

  • フラット35基準の木造住宅:50年~60年
  • 劣化対策等級3の木造住宅:75年~90年
  • 長期優良住宅認定の木造住宅:100年超

 
骨組みや基礎軸組みが適切に施され、メンテナンスが行き届き、リフォームがタイミング良くされれば、木造住宅でも築100年以上経過した場合でも居住できます。
ハウスメーカーやパワービルダーは、100年住宅を謳う住宅商品や60年間保証を付ける木造住宅を提供していますし、技術革新によりどんどん長期化する傾向にあるといえるでしょう。

 

木造住宅の寿命を延ばすためのポイント

木造住宅の寿命を延ばすためのポイントは、的確なリフォーム、こまめな掃除、定期的なメンテナンスです。これらをしっかりと行えば、寿命を延ばすことができるといえます。

リフォームをする

家屋の外側においては、外壁や屋根・雨樋など風雨に晒される箇所の劣化損傷のリフォームを早期に行うことが大切です。
例えば以下などを点検します。

外壁 サイディングのパネルとパネルの隙間のコーティングが損傷していないか、外壁表面にひび割れが生じていないかなどを点検
屋根 瓦が割れていないか、ずれていないかなどを点検
雨樋 ひび割れが生じていないか、壊れていないかなどを点検

 
いずれも雨が降ったときに破損箇所から雨水が浸水し、家の内部の劣化・損傷を進めてしまいますので、早期のリフォームが重要となります。

 

こまめに掃除する

住宅の寿命を延ばすことにおいて、日頃のこまめな掃除は重要になります。特に水回り設備は腐食による劣化や損傷が起こりやすいため、点検しながらの掃除は有効的です。劣化や損傷を見つけた場合はそのままにせず、早期に修繕工事を行うようにしましょう。
また、庭掃除の際は外壁や屋根、雨樋などの点検も重要になりますのでおさえておくと良いでしょう。

 

定期的なメンテナンスを行う

素人では点検できない箇所や損傷しているかどうかの判断がつかないケースが多々あるため、専門業者による定期的な診断やメンテナンスもおすすめです。
ハウスメーカーや工務店による家屋の定期診断は積極的に受けるようにし、劣化損傷の早期発見に努めることが大切です。また、設備メーカーの保証期間などを確認しながら、不具合が生じた際はすぐに設備メーカーに点検を依頼するようにしましょう。

 

まとめ

住宅の耐用年数の種類や期間、寿命を延ばすためのポイントについて解説しました。
一般的な木造住宅においても、的確なリフォーム、こまめな掃除、定期的なメンテナンスをしっかり行えば、50年~60年ほど居住し続けることが可能であることが理解できたのではないでしょうか。
木造住宅で長期にわたって快適な住生活を送るためにも、日頃から家屋の外装・内装・設備のまめな手入れをおすすめします。

 


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