2023年1月27日
「解体工事は知っているけど、はつり工事って何?」と思われる方が多いのではないでしょうか。聞きなれない言葉ですが、はつり工事は解体工事の中に含まれます。
そこでこの記事では、はつり工事の特徴や必要な道具、注意点などについて解説します。
はつり工事は、コンクリートやアスファルトを削る作業、切る作業、壊す作業、穴を開ける作業を指し、様々な建築物や土木構造物に対して行われます。
コンクリートを用いる建築物は数多くあり、例えば以下などです。
以前のはつり工事は、ノミをハンマーで叩いてコンクリートを壊していましたが、現在のはつり工事は、ハンマーの代わりに圧縮空気や油圧・電動モーターなどが付いた機械を使用して専用のノミを叩き、コンクリートを壊す手法となっています。
また、はつり工事の際は大量の粉塵や騒音が発生するため、養生を行いながら工事を行います。
主なはつり工事には、以下などがあります。
コンクリートはつり工事は、マンションなどの玄関ドアやサッシを建物躯体にはめる際、コンクリートの壁を削りながら正確に設置する工事です。
はつりこわし工事は、コンクリートを壊す作業で、クラッシャーによる粉砕作業と削岩機による壊し作業により、建築物躯体の一部を壊す場合に用いられる工事です。
はつり仕上げ工事は、コンクリート表面にデザインを施す作業で、特殊なノミを用いて削る作業とハンマーで叩く作業により、コンクリート表面に多彩な表現を演出することが可能です。
解体工事は重機を使用してすべての建物を壊す工事で、はつり工事はコンクリートやアスファルトに加工を施す工事となります。したがって、解体工事は建物全体を壊す工事であるのに対し、はつり工事は建物の一部分を壊し、デザインを施す工事となるため、工事範囲に違いがあります。
はつり工事に必要な道具として、タガネやチゼルがあります。どちらも工事対象物のコンクリートやブロックなどを削り割る作業に用いる工具です。タガネを英訳すると「chisel」チゼルになるのでほぼ同じものと考えていいのですが、あえて違いを説明します。
解体工事は建物全体を壊す工事であるのに対し、はつり工事は建物の一部分を壊し、デザインを施す工事となることを上記で解説しました。はつり工事が必要となるケースは様々ありますが、その一部を紹介します。
工事現場が住宅密集地の中や教育機関の隣接地にある場合は騒音を極力抑える必要があるため、はつり工事を行います。事前に近隣住民に対して工事内容を説明し、多少の騒音を出すことを理解していただき、注意しながら工事を進めることが大切です。
例えば、分譲マンションへの入居後に追加で配線を通したい場合はコンクリートの壁や天井、床の必要な箇所を削り、穴を開ける工事が必要となるため、はつり工事を行います。
工事現場の作業スペースが狭い場合は重機を使用することができないため、鉄筋コンクリートの壁を壊し、穴を開ける作業を人手で行う方法ではつり工事を行います。
鉄筋コンクリート造の新築住宅を建てる際の仕上げ工事として、外観や内観のデザイン性を施すためにはつり工事を行います。仕上げ工事となるため繊細な作業を要し、人手による作業が中心となります。
鉄筋コンクリート造のマンションや戸建住宅においてリノベーションを行う場合、はつり工事を行います。間取り変更をする際は壁や天井、床の一部を撤去しますが、以下の注意が必要です。
コンクリートやアスファルトで舗装された道路や駐車場は、修繕工事などの際にはつり工事を行います。通行車両が多い道路は表面部分に亀裂が入り割れやすいため、定期的に修繕工事を行う必要があります。コンクリートやアスファルトを剥がして舗装をし直すため、大型削岩機などの重機を使用するケースが多くなります。
建物全体を取り壊す場合は重機を使用して解体工事を行いますが、建物の一部を取り壊す場合は重機を使用できないケースもあるため、はつり工事を行います。重機を無理に使用して建物の一部を壊す際、建物の残す部分に悪影響を及ぼす可能性があるため、重機の使用の有無を見極める必要があります。
はつり工事の注意点は、騒音対策と工事コストになります。
はつり工事は、鉄筋コンクリート造建築物の躯体一部を削る・壊す・切る・穴を開ける作業を行うため、騒音や振動が発生します。重機を使用せずに人手だけではつり工事を行う場合でも、騒音や振動は発生します。そのため、事前に解体業者とも打ち合わせを行い、はつり工事の期間や時間帯、使用する重機や道具選定などを見極めることや工事現場周辺の自治会や近隣住民への配慮や理解を得ることが大切になります。
はつり工事費用の内訳は主に、重機使用料や人件費、騒音対策費用などです。はつり工事を行う現場のスペースが狭い場合は重機を入れることができず人手だけに頼る形となるため、作業時間が余計にかかり、工事費用も高くなる傾向にあります。
また、解体業者の中には重機や工具をレンタルして工事するケースもあり、その際はレンタル費が1日単位でかかる場合もあります。
はつり工事の見積り費用が高い場合、見積りの内訳を見ながら原因を確認し、省ける工事は省いて工事費用を下げましょう。そのためには、解体業者に対して細かい見積り内容を提示するよう指示する必要があります。業者の中には、「一式見積り」と言い、細かい見積り内容を提示せずに全体の金額だけを提示するケースがありますので、注意が必要です。
見積り内容を点検して納得し、いざはつり工事を行った際、想定外の工事が発生する場合があります。例えば、基礎部分のはつり工事を進めた際に思わぬ地中障害物が出てきたケースです。それらを取り除かないと工事を進められない場合は、その撤去工事が追加費用として加算されます。意外と想定外は起こりうるので、都度確認することを心がけるとよいでしょう。
解体工事は建物全体を壊す工事であるのに対し、はつり工事は建物の一部分を壊し、デザインを施す工事であり、工事現場における様々な状況に応じて必要な工事であることが理解できたのではないでしょうか。
ただ、騒音や振動を発生させる工事となりますので、マンションや戸建住宅のリノベーションやリフォームを検討する際は、はつり工事の注意点などに十分配慮しながら工事を進めるのがベストといえるでしょう。