2023年1月20日
建設業界では、現場監督や作業員など様々な人たちがチームを組んで仕事をしています。工事会社が契約を結ぶ際には「元請け」や「下請け」という形で発注の区分を明確にしています。しかし、あまり馴染みのない言葉でもあるため「下請けってなんだっけ?」「元請けや外注との違いは…?」と混乱する方もいるかもしれません。
そこで今回は「建設業における下請けとは」と題して、それぞれの違いに焦点を当てて解説します。
そもそも「下請け」とは、ある会社が引き受けた仕事の全部もしくは一部を、さらに引き受けて行うことで、建設業界やIT業界、広告業界やクリエイティブ業界でよく耳にする言葉です。このように、仕事の一部を行う企業を「下請け業者(会社)」もしくは「下請け」と呼んでいます。
仕事の流れを整理して説明すると、仕事には必ず依頼者である「クライアント=発注者」がいて、発注者から直接仕事を受ける企業が「元請け」に当たります。建設業でいう、ゼネコン企業などを想像してもらうとわかりやすいでしょう。そして、ゼネコンなどの元請けから仕事を依頼される企業が下請け企業なのです。
下請けにも、一次下請け、二次下請け、三次下請けなど様々な呼び方があります。
建設業界では下請け業者から更に別の下請け業者に仕事が発注されることも多く、一次請けから仕事を受注した人や企業は「二次下請け(二次請け)」と呼ばれます。 元請けとの契約の距離で呼び方が変わり、規模が大きな工事では五次請けまで請負が拡大することもあります。
建設業は専門的な知識を求められるため、下請け業者に依頼をして仕事を行います。とはいうものの、下請け企業にはメリットとデメリットが存在します。そこで以下では、メリットとデメリットについて紹介します。
建設業でよく耳にする「下請け」ですが、外注や元請け、孫請けという言葉と混同されていることもあるでしょう。そこで以下では、それぞれの言葉について説明します。
外注の場合、請け負った作業の指示はすべて自社で行います。下請け業者の場合は元請業者の指示に従って作業を進めるため、「指示系統」が異なります。ニュアンスとして「外部の専門家やプロに委託する」という考え方に近いでしょう。
元請けは、発注者と直接契約している状態で、下請けは元請けと契約している状態です。つまり、発注者と下請け企業には契約上の接点はなく、その状態に違いがあります。
孫請けは、下請け企業から依頼された企業を指します。発注者から直接依頼を受けているのが「元請け」で、その仕事の一部を元請けから依頼されているのが「下請け」となり、さらにその仕事を請けるのが「孫請け」です。二次下請け・三次下請けとも呼びます。
下請け企業にも様々なメリットがありますが、上記でも説明した通り「元請けに依存している」部分もあるため、いずれ元請けを目指しているという企業も少なくないでしょう。そこで以下では、下請けから元請になるためのポイントをお話しします。
一つ目は、Web集客です。建設業界ではコネクションが大切と言われていますが、SNSの時代になってから、インターネットからの集客も大いに見込めます。また、下請け業者の場合、実務が忙しく営業活動に注力できないという会社も多いと思いますが、Webから集客できるようになると、営業の人的コストを削減して集客できます。施工事例やスタッフ紹介など、自社の特色が伝わるページづくりが大切です。
二つ目は、取引先の幅を広げることです。工事業者と取引が多い場合は、設計業者ともつながりを作ってみたり、クライアントになりそうな企業に営業することもオススメです。下請け業者は元請け業者よりも対応が早くスムーズに工事ができることが多いので、取引先の窓口ができると様々な仕事が見つけやすくなります。
三つ目は、協力会社と連携することです。下請け業者が元請けになる場合、一番大切なのが「協力会社の確保」です。従来であれば、元請に任せていた協力業者への依頼などが発生するので、自社で完結できない工事を担当してくれる仲間を見つける必要があります。
実際に元請けとして工事を受けた時に困らないように、協力業者との連携は大切にしましょう。
建設業法第二十二条では、下請けの一括依頼を禁止しています。
一括下請けとは、受注した業者が手数料を取って工事を全て下請けにさせることです。工事を丸投げすることになると、施工責任が曖昧になり、手抜き工事や労働条件の悪化など様々な問題が予測されます。そのため一括下請けは禁止されているのです。
元請け、下請けに関わらず、工事に関係するすべての方は押さえておくべきポイントです。
下請け企業とは、ある会社が引き受けた仕事の全部もしくは一部を、さらに引き受けて行うこと。建設業ではよく耳にする言葉なので、元請けや外注と混同しないように押さえておきましょう。また、元請け業者と下請け業者では行う業務も異なるので「どんな働き方がしたいか」を考えて、仕事を選んでみてはいかがでしょうか。