建築計画概要書とは?取得方法や他の証明書との違いについても解説
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建築計画概要書とは?取得方法や他の証明書との違いについても解説

2023年3月1日

建築物を新設するときは、工事が行われる前に建築基準法に適合していることを確認するため、「建築確認」が行われます。そして、その建築確認を申請する際に必要になるのが「建築計画概要書」です。そこで今回は「建築計画概要書とは?」と題して、取得方法や他の証明書との違いについて詳しく解説していきます。

 


 

建築計画概要書とは

建築計画概要書とは、建築計画の概略が記載された建築確認申請の際に提出する書類のひとつです。建築物の概要(建築物の建築主、建築場所、高さ、敷地・建築面積・延べ面積など)やその建築物の位置・配置を図示した図面などが記載されています。ときには「概要書」と呼ばれることもあり、審査が終了した後より一般にも公開されます。

 

建築計画概要書の利用

続いて、建築計画概要書の利用について解説します。

建築確認とは

建築確認とは、建築基準法第6条第1項に基づき、行政庁の建築主事又は民間企業の指定確認検査機関が建築物、建築設備、工作物の建築計画・築造計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを審査する行為です。
以下の建物を新築、増築、改築、移転(※増築、改築、移転の場合は、これらの部分の床面積が10平方メートル以内のものを除く)、大規模の修繕・模様替え、類似でない用途変更をする際には、工事着手前に建築確認を受ける必要があります。建築確認申請が必要な建築物を下表にまとめました。

法令 用途・構造 規模 工事種別
1号
下記用途に供する床面積の合計が200平方メートルを超える建築物
  • 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
  • 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(令19条参照)
  • 学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場
  • 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く)
  • 倉庫
  • 自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ
用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるもの 建築(新築・増築・改築、移転)大規模の修繕、大規模の模様替、特殊建築物への用途変更
2号 木造の建築物
  • 3階以上の階数を有すもの
  • 延面積が500㎡を超えるもの
  • 高さが13mもしくは軒の高さが9mを超えるもの
3号 上記1号~3号以外の全ての建築物 建築

※参考元:確認申請を要する建築物(建築基準法第6条第1項)

 

完了検査とは

完了検査とは、建築工事完了後に特定行政庁や指定確認検査機に申請する検査です。建築確認申請によって、建物が法令を遵守して設計されていることを確認しますが、完了検査では実際に図面に基づいて建築が行われたかどうかを確認します。完了検査に合格することで検査済証の交付を受けられ、建物を使用できるようになります。完了検査は、申請を受けた日から「7日以内に実施」と定められているので、注意しましょう。

 

建築計画概要書の役割

建築計画概要書では、建築物の情報やその建築物の位置・配置を図示した図面をまとめます。建物の概要が把握できるので、以下の情報が必要な場合はチェックしてみましょう。

  • 建築主・代表者・設計者・工事監理者・工事施工者などの氏名及び住所
  • 敷地面積や床面積
  • 建物自体の大きさ・高さ
  • 建物自体の概要及び見取り図
  • 配置図(敷地の形状や境界線・建物や道路の位置・道路の種類などを記載)

 

建築計画概要書の取得

建築計画概要書は、建物がある市区町村の役所で入手が可能です。例えば、東京都渋谷区の建物の建築計画概要書を入手する場合は、渋谷区役所の庁舎にて発行できます。閲覧は無料で、概要書の写し交付手数料は1部500円で発行できます。詳細は各自治体にお問い合わせください。

※参考元:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/kenchiku/kenchiku_gaiyosyo.html

また、建築計画概要書を入手する場合は、物件を特定するための情報が必要になるので、建築主、建築確認番号、建築確認年月日、建築物が建てられた時期などを事前に調べておきましょう。

 

他の証明書との違い

建築計画概要書とよく混同してしまうのが「台帳記載事項証明書」「建築確認申請書」などです。そこで以下では、これらの証明書との違いについて解説します。

台帳記載事項証明書との違い

台帳記載事項証明書は、建築基準法にかかる事務を処理するにあたって整備した台帳に記載した事項の一部を、別の様式により証明書として交付するものです。一言でまとめると「確認証や検査済証を紛失した場合の証明書」です。
建物の所有者が、確認済証と検査済証を保有していれば詳細を確認することができますが、建築物が建てられて相当の年数が経過する中で、建築確認済証や検査済証を紛失することも考えられます。原則として、確認済証や検査済証は一度発行されると紛失しても再発行できないので、そのときに台帳記載事項証明書が役立ちます。台帳記載事項証明書とは、紛失した確認済証や検査済証の代わりに発行してくれる証明書なので、確認済証と検査済証交付の記録が記載されています。

 

建築確認申請書と違い

建築確認申請書は、建物を建てる際、工事に着手する前にその計画が建築基準法などの法令等(建築基準関係規定)に適合するものであることを確認するための申請書類です。建物を新築・増築するときに提出する書類で、建物そのものが建築基準法や各種条例に沿ったものであるのか確認するための審査で使用します。申請の際に正本と副本を提出して、建物の計画が基準に適合する場合は、審査後に副本が確認済証と一緒に建築主や代理者へ返却されます。
建築確認では、「その建物が建築基準法に違反していないかどうかをチェックする書類」であるため、建築計画概要書よりもかなり細かい事まで記載されています。

 

まとめ

建築計画概要書は、建築計画の概略が記載された建築確認申請の際に提出する書類です。建築物の建築主、建築場所、高さ、敷地・建築面積・延べ面積などの建築物の概要やその建築物の位置・配置を図示した図面などが記載されています。建築計画概要書は各自治体から取り寄せが可能なので、必要な場合はご確認ください。

 


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