単管足場の特徴や組み方を紹介!主要部材の名称と構造もわかりやすく解説
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特徴
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単管足場の特徴や組み方を紹介!主要部材の名称と構造もわかりやすく解説

2023年3月3日

建設現場でよく見かける「足場」とは、高所作業における作業員の足掛かりのために、仮に組み立てた構造物を指します。足場には、単管足場、くさび緊結式足場、枠組足場など様々な種類がありますが、その中でも今回は「単管足場」について紹介します。組み立ての柔軟性が高く狭い場所でも設置可能といった様々な特徴がある、単管足場。今回は主要部材の名称と構造も踏まえて解説します。

 


 

単管足場とは

そもそも足場は、作業員が地上や床上からの作業が困難な場合に、高所の作業を安全に効率よく行うために設置します。施工完了時に解体されるものの、建築、土木、電気、管工事など多くの工事に関係しています。その中でも「単管足場」は、単管とつなぎ止め金具(クランプ)を組み合わせて作る足場を指します。単管の直径は48.6mmで、鉄パイプのような見た目をしています。枠組足場と比べて付属品が少なくシンプルな構造で、低層階や狭いスペースでも利用できるのが特徴です。
一方で単管足場のデメリットとしては、他の足場に比べて「組み立てに時間がかかること」や「強度面が他と比べて高くない」ということが挙げられます。とはいうものの、足場の形状の自由度が高く、他の足場が使えない狭い場所でも組み上げることができるため、多くの現場で使われています。

単管足場の特徴

上記でも触れた通り、単管足場はシンプルな構造で、多くの現場で使われています。他にも以下のようなメリットがあります。

  • 付属品が少なくて、組み立てがシンプル
  • 枠組足場を低層階や狭いスペースでも利用可能
  • 足場の形状を柔軟にアレンジ可能
  • 部材が安価でホームセンターでも購入可能

 
上記の特徴があるため、単管足場は主に「低層の外壁塗装用の足場」として使用されます。また、組立が簡単で部材がホームセンターなどでも購入できるので、DIYで使われることも多いです。

 

単管足場の安全基準

単管足場を設置する際は、下記の単管足場に関する安全基準について確認しましょう。

<労働安全衛生規制 第571条>

  1. 建地の間隔は、けた行方向を一・八五メートル以下、はり間方向は一・五メートル以下とすること。
  2. 地上第一の布は、二メートル以下の位置に設けること。
  3. 建地の最高部から測って三十一メートルを超える部分の建地は、鋼管を二本組とすること。ただし、建地の下端に作用する設計荷重(足場の重量に相当する荷重に、作業床の最大積載荷重を加えた荷重をいう。)が当該建地の最大使用荷重(当該建地の破壊に至る荷重の二分の一以下の荷重をいう。)を超えないときは、この限りでない。
  4. 建地間の積載荷重は、四百キログラムを限度とすること。

 

単管足場の組み方

続いて、単管足場の組み方について解説していきます。

敷板の設置

まずは、足場が沈下したり滑ったりしないように、地面に敷板や敷角を設置します。その上に固定ベースを設置します。

 

支柱の組立

固定ベースを基準とし、まずは縦方向の単管パイプの支柱を組み立てます。支柱と支柱を連結させるときは、根がらみ(床束を固めるために用いられる横木のこと)を使用します。

 

枠の組み上げ

単管パイプをジョイント金具(クランプ)を使って組み上げます。注意すべきポイントは、クランプの「締め付けトルク」です。標準値を意識して、なるべく均一に締めることで、枠組みがより安定します。枠組み完成後は、足場板を単管に固定します。

 

壁繋ぎでの固定

建物の外壁から足場を組んでいる単管は、壁繋ぎを使って固定します。筋交いを設置する際は枠外へ斜めに固定するようにして補強しましょう。

 

単管足場の部材の名称

以下では、単管足場の部材について解説します。

単管パイプ

単管パイプとは直径48.6mmの鉄パイプのことで、「普通管」と「ライト管」の2種類があります。

普通管 ライト管
直径 48.6mm 48.6mm
厚さ 2.4mm 1.8mm
重さ 2.73kg/m 2.08kg/m

 
ライト管は比較的新しい製品で、強度が高く、軽量で取り回しが良い特徴がありますが、普通管よりも価格が高いというデメリットもあります。

 

クランプ

クランプとは、単管パイプ同士をつないで固定する連結器具です。交差角度が直角に固定されている「直交クランプ」と、交差角度を自由に調節可能な「自在クランプ」などがあります。使用用途や場所に合わせて様々なクランプを使用します。

 

固定ベース

固定ベースとは、単管パイプを固定するための土台です。地面に固定ベースを設置すると、単管パイプが自立します。挿しこむだけでも使用可能ですが、ピン加工やダボ加工がされているものもあり、その方が連結の強さがより担保できます。

 

単管ブラケット

ブラケットは、柱や壁面などの垂直部分に取り付ける、直角三角形近似形状の物で垂直荷重を負担する部材です。その形状から「固定型」「伸縮型」「張り出し型」などの種類があります。そしてブラケットの先端は、足場板等の脱落防止用の脱落防止板または手すり柱受けが必要です。

 

ジョイント

ジョイントとは、単管パイプを直線上につないで固定するための緊結具です。ピン・ダボ加工がされた単管同士で使用します。このジョイントには「エンド取り付け金具」や「コーナーL継ぎ金具」「コーナーY継ぎ金具」など様々な種類があります。

 

足場板

足場板とは、工事現場で作業する際の作業床のことを指します。高所で作業する際に用いられることが多く、作業員の体重を支えられる必要があるため強度が求められます。足場板の材質には、金属製(スチール、アルミ)、木製(合板、杉)などが挙げられます。

 

単管足場と枠組足場の違い

最後に、単管足場と枠組足場の違いについて解説します。混同しないように、それぞれのポイントをしっかり押さえましょう。

枠組足場とは

枠組足場とは、ジャッキ・筋交・鋼製布板などの部材を組み立てる仮設足場を指します。足場工事の中で最も使用されるタイプの足場で、構成部材は、建枠・ジャッキベース・交差筋違・脚注ジョイント・アームロック・鋼製布板・階段枠・梁枠・壁つなぎ・手すり柱・手すり・手すり枠などを使用して組み立てます。基本的に枠組足場は、地上から45メートルまで使用が可能なので、主に大きなビルなどの外壁で使用します。

 

単管足場と枠組足場の違いとは

単管足場と枠組足場は、使用する部材や組み上げ方が異なります。そのため、足場の使用用途に合わせてどちらを選ぶか考えたほうが良いでしょう。
単管足場の特徴は、付属品が少なくシンプルな構造で形状のアレンジが効く点ですが、その一方で単管足場と比べると強度はやや劣ります。また、枠組足場は構成する部材が単管足場よりも多い分安定性が増し、地上から45メートルほどの建物にも使用可能です。そのため、単管足場は低層の外壁の塗装工事などで使用されることが多く、枠組足場は高層建築などで使用することが前提の足場なので、建築物の外壁面に沿って設置されます。

 

まとめ

単管足場は、単管とつなぎ止め金具(クランプ)を組み合わせて作る足場です。枠組足場と比べて付属品が少なくシンプルな構造で、低層階や狭いスペースでも利用できるのが特徴です。足場には様々な種類があるので、それぞれの特徴を踏まえて、現場にあった足場を選ぶようにしましょう。

 


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