2023年3月6日
建設業を行う業者が取得する建設業許可には、「特定建設業」と「一般建設業」の2種類があります。特定と一般では、請け負うことができる業務範囲が異なるため、建設業に従事する方は2種類の違いを把握しておかなければなりません。そこで今回は「特定建設業と一般建設業の違いは?」と題して、それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
建設業法第3条では「建設業を営む者は、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければならない」と定められており、原則的に「特定建設業」もしくは「一般建設業」を取得しなければなりません。その理由は、建設業が専門性の問われる仕事だからと言えるでしょう。
建設工事は、小さなメンテナンスからビルの新築などの大規模なものまで様々な工事を行います。また、仕事の特性上「専門的知識」が重要になるため、軽微な工事を請け負う場合をのぞいて「許可」が必要なのです。
建設業の許可は、以下の区分に従い国土交通大臣または都道府県知事が行います。大臣許可と知事許可の違いは、営業所の所在地で区分されます。営業を行う区域や建設工事を施工する区域に制限はなく、建設工事の施工は全国どこでも行うことが可能です。
また「営業所」とは、本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。上記以外の場合も、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する場合も「営業所」扱いになります。ただし、単に登記上本店とされているだけで、実際には建設業に関する営業を行わない店舗や、建設業とは無関係な支店、営業所等は、ここでいう営業所には該当しません。
特定建設業と一般建設業との違いは、下請けを出す際に建設業者が発注者から直接工事を請け負っている「元請」であるかどうかです。ただし発注者から注文を受けて自ら施工する場合は、一般・特定どちらでも制限はありません。
また、下請として請け負っている場合も特定建設業許可を取得する必要はありませんが、自社が元請として下請業者に発注する場合は、特定建設業許可が必要になります。
特定建設業許可とは、建設工事1件につき4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を下請けに出そうとする建設業者(元請業者)に取得が義務付けられている許可資格です。
たとえば、発注者から2億円の工事を請け負った元請業者Aが下請業者Bに7,000万円の下請契約を結ぶ場合、Aの元請会社は特定建設業の許可を取得しなければなりません。つまり、特定建設業とは、直接工事を請け負った建設業者が取得するものになります。
その一方で、下請業者Bが別の会社Cに3,000万円の下請契約を行う場合は、業者Bは特定建設業を取得する必要はありません。
一般建設業許可とは、原材料込みで500万円以上(税込)の工事を請け負う場合に必要になる許可です。500万円(税込)未満の工事や、建築一式工事であれば1500万円(税込)未満・金額にかかわらず木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事であれば、建設業許可自体が必要ありません。
続いて、特定建設業の取得要件について解説します。特定建設業許可は、大規模な工事を行える許可であるため、一般建設業許可よりも厳しく設定されています。
特定建設業許可を得るためには、本社や本店に「経営業務管理責任者」を配置しなければなりません。そして経営業務管理責任者は、以下のような経歴も必要になります。
また、特定建設業許可を取得するためには、各営業所に専任技術者を常駐させる必要があります。専任技術者とは、許可を受ける建設工事についての専門的な知識や経験を持つ人のことです。
特定建設業では、財産的基礎要件として次の4つのすべてに該当しなければなりません。
「欠格要件に該当しない」とは、下記の3つに該当する企業を指し、これは誓約書で証明する必要があります。
特定建設業許可を得ることで、一般建設業許可よりもメリットに感じる部分が増えてくるでしょう。そこで以下では、特定建設業許可を得るメリットについて解説します。
特定建設業を取得するメリットがある一方で、デメリットになる部分もあります。
特定建設業と一般建設業は、仕事の規模や関わり方が異なります。そのため建設業界へ就職や転職を検討中の方は、このような部分にも注目して企業を選んでみるとより自分が思い描いている働き方ができるはずです。