地鎮祭はいまどきやらない?地鎮祭の準備や費用相場、当日の流れを紹介
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概要

地鎮祭はいまどきやらない?地鎮祭の準備や費用相場、当日の流れを紹介

2023年5月25日

注文住宅の設計や資金繰りが決まりいよいよ着工となった段階で、地鎮祭を執り行います。しかし、初めて経験する方が多いため、「どんな準備をすればよいのか?費用相場は?地鎮祭の流れは?」と不明なことも多いかと思います。そこで今回は、地鎮祭の概要や準備するもの、費用相場、服装、当日の流れについて解説します。地鎮祭は安全・繁栄を祈願し、新生活を踏み出す大切な儀式であることがわかりますので、建設業界にこれから従事される方はぜひご覧ください。

 


 

地鎮祭とはどんな儀式?

地鎮祭とは、戸建て住宅をはじめとした建築物や土木構造物を建設する際、着工前に執り行われる儀式で、建築予定地で、建築主や神主、施工会社、工事関係者などが集い行います。その歴史は古く、日本書紀にも記される伝統的な儀式です。地鎮祭を執り行う主な目的は次の通りです。

  • 建築予定地に鎮座する神様に、建築許可を得ること
  • 工事の安全を祈願
  • 建築後の建築主(住人)の繁栄と安寧を祈願

 

地鎮祭はいまどきやらない?

地鎮祭を執り行うか否かは、建築主が決定します。全く行わない場合もあれば、簡易的に建築予定地の周囲に塩をまくだけで済ませる場合もあります。建築主が行わない場合でも、工事の安全を祈願する目的で施工会社や工事関係者のみで行うこともあります。

 

地鎮祭の準備

地鎮祭の様式としては「神式」「仏式」「キリスト教式」などありますが、神式で行われるのが大半です。地鎮祭の準備として、まず日程を決める必要があります。

日程調整

地鎮祭の日程を決める際のポイントは以下の3つです。

  • 建築工事着工前の縁起の良い日を選択(六曜における「大安」「友引」「先勝」)
  • 建築工事着工前の10日前後の日に設定
  • 時間帯は11時~13時頃に設定

これだけではありませんが、このような日時に設定するのがベターです。少なくとも、建築主、神主、施工会社の日程調整が必要なので、早めに連絡・相談をしておくのがよいでしょう。

■ 神主の手配

建築主が懇意にしている神主がいる場合はその神主に依頼しますが、建築主が知っている神主がいない場合は、施工会社が建設予定地近くの神社の神主や施工会社が普段依頼している神主を手配する場合が多くなります。

■ 雨天の場合

当日が雨天の場合は延期しないことが多いです。雨天の地鎮祭は、邪気を払い土地を浄化するとされ、縁起が良いとされています。その際、天気予報などで事前に雨天になることがわかっていれば、施工会社に依頼してテントを張るなどの準備をしておくことをオススメします。

 

お供物

お供物としては、以下などがあります。

  • 奉献酒
  • 祭壇に設置するお供物(主に食べ物)

■ 奉献酒

奉献酒は、神様へのお供物の一つで、清酒2升(1升瓶2本)を準備します。奉献酒の金額の目安は3,000円~5,000円です。ただし、地域によっては清酒1升の場合もあります。地域差がありますので、事前に神主や施工会社に確認しておくとよいでしょう。
また、奉献酒には「のし」を付けます。のしの表書きは、以下のように記入します。

  • 水引の上部に「奉献酒」もしくは「奉献」と記入
  • 水引の下部に建築主の氏名をフルネームで記入

■ 祭壇に設置するお供物(主に食べ物)

祭壇に設置するお供物は地域差があり、神社によっても異なりますので、事前に誰が準備するのかを確認する必要があります。

お供物 お供物の内容
米(1合) 洗米して乾燥
塩(1合) 敷地のお清め用
榊(さかき) 地鎮祭の玉串奉奠の際、土地の神様への捧げものとして使用
参加者人数分以上を準備
海の幸 鯛(尾頭付き)、昆布、スルメ など
野菜 地面の上にできる野菜:なす、きゅうり など
地面の下にできる野菜:ニンジン、芋 など
果物 りんご、ぶどう、みかん、いちご など

 

のし袋

のし袋は、玉串料を入れる紙袋です。(玉串料については後記参照)のし袋には、紅白の水引を用いていて、水引が取り外しできるものを選びましょう。水引の種類として、蝶結びの水引と淡路結びの水引があります。水引が印刷されているのし袋は、謝礼金が1万円以下の場合に使用するものですので注意が必要です。
のし袋の表書きは、以下のように記入します。

  • 水引の上部に「玉串料」と記入
  • 水引の下部に建築主の氏名をフルネームで記入

 
また、中袋には以下のように記入します。

  • 表面に漢数字で金額を記入
  • 裏面に住所、氏名を記入

 

近隣への手土産

地鎮祭、直会(なおらい)終了後、近隣住民に対して着工前の挨拶回りの際に手土産品を準備します。タオルや菓子となりますが、一般的には施工会社が準備します。今後、近所付き合いが始まりますので、手土産品は準備しておいた方がよいでしょう。

 

玉串料

玉串(たまぐし)料は神主への謝礼金で、初穂料と言われる場合もあります。玉串料は地域や神社によって異なるため、事前の確認が必要です。玉串料の目安は2万円~5万円です。

 

地鎮祭の費用相場

地鎮祭の費用相場は、主に以下の通りです。

  • 玉串料:20,000円~50,000円
  • 奉献酒:3,000円~5,000円

上記以外にも、神主が遠方から車で来られる場合は別途「車代」として5,000円~10,000円を包むようにするとよいでしょう。

 

地鎮祭の服装

地鎮祭では、建築主の服装に特に決まりはありません。ただし、神主は正装で地鎮祭を執り行いますので、建築主もフォーマルな服装が基本となります。ラフな格好は慎み、清潔感のある服装で地鎮祭に参加するようにしましょう。

  • 男性:スーツ
  • 女性:スーツやブラウス、ジャケット
  • 学生:学生服

など

 

地鎮祭当日の流れ

地鎮祭当日は、神主もしくは施工会社が建築予定地で以下の対応をします。

  • 適当な箇所に4本の竹としめ縄で囲った祭場を設置
  • 祭場の中に簡易な祭壇を設置

祭壇上にお供物を配置し、祭壇前に椅子を並べて参加者全員が集まるのを待ちます。予定時刻になったら参加者は祭壇前に集まり椅子に座り、地鎮祭を開始します。

 

地鎮祭の流れ

地鎮祭の流れを下表にまとめました。

儀式項目 儀式内容
1 修祓(しゅばつ)の儀 参加者は起立し、神主がお祓いをして清めます。
2 降神(こうしん)の儀 参加者は起立し、低頭して神様をお迎えます。神様をお迎えしたら着席します。
3 献饌(けんせん) 神主が土地の神様にお供物を奉納します。
4 祝詞奏上(のりとそうじょう) 神主が工事の安全、建築主の繁栄を祈り、祝詞を読みます。参加者は起立し、低頭して祈ります。
5 四方祓(しほうはらい) 神主が土地の周囲をお祓いします。
6 地鎮(じちん)の儀 建築主が「エイエイエイ」と3回掛け声をかけて、鍬で砂山を崩す動作をします。
7 玉串奉奠(たまぐしほうてん) 玉串(榊)を土地の神様に、神主・建築主・施工会社代表の順に捧げます。榊を祭壇に置くときは、茎を祭壇に向けて丁寧におきます。
8 撤饌(てっせん) 神主がお供物を片付けます。
9 昇神(しょうじん)の儀 土地の神様が帰ります。参加者は起立し神様を見送ります。
10 神酒拝戴(しんしゅはいたい) お神酒を参加者全員で戴きます。
11 直会(なおらい) 地鎮祭後の飲食会です。(戸建て住宅の場合、行わない場合が大半です。)

 
儀式に要する時間は、30分~40分程度となります。

 

地鎮祭終了後

地鎮祭終了後、近隣住民への挨拶を行います。着工後は、建築資材の運搬車両や重機などの搬入・搬出により、騒音・振動・粉塵などが発生するため、近隣住民に迷惑をかけることを事前に連絡しておきます。事前に挨拶回りをしておくことで、トラブルが生じた場合でも穏便に対応できる可能性が高くなります。

 

まとめ

地鎮祭の概要や準備するもの、費用相場、服装、当日の流れについて解説しました。地鎮祭を執り行う目的としては、以下の通りです。

  • 建築予定地に鎮座する神様に、建築許可を得ること
  • 工事の安全を祈願
  • 建築後の建築主(住人)の繁栄と安寧を祈願

 
近隣住民の方々との交流のきっかけにもなりますので、できれば地鎮祭は執り行ったほうがいいと言えるでしょう。

 


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