ツールボックスミーティング(TBM)とは?由来や目的、効果的に行うコツを解説
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ツールボックスミーティング(TBM)とは?由来や目的、効果的に行うコツを解説

2023年11月24日

最近、建設現場では「ツールボックスミーティング」という言葉を耳にすることが増えたのではないでしょうか。 Tool Box Meetingの頭文字をとって「TBM」と言われることもあります。直訳すると、道具箱という意味になりますが、建設現場における「ツールボックスミーティング(TBM)」は少し意味が異なります。そこで今回は、ツールボックスミーティングについて、目的や効果的に使うコツを解説します。

 


 

ツールボックスミーティングの概要

ツールボックスミーティング(TBM)とは、現場作業などで危険を回避するために行われるミーティングのことを指します。日本語では「危険予知訓練」と呼ばれており、建設現場などで作業前に行われています。簡単にいうと、現場で行う作業の打合せのひとつで、ツールボックス(道具箱)の近くで行われることから、このように呼ばれるようになりました。現場作業における危険予知活動(KYK)と一緒に行われることが多く、ツールボックスミーティングと合わせて「TBM-KY」と呼ばれることもあります。主に現場作業で用いられる言葉ですが、上記に限らず仕事を行う上で大きな間違いを起こさないために、プロジェクトの参加メンバーで問題点などをミーティングすることも「ツールボックスミーティング」と呼ばれています。
基本的には、作業を開始する前の5~10分程度で行われていますが、必要に応じて昼食後の作業再開時や作業の切替え時に行われることもあります。

ツールボックスミーティングの目的

建設現場におけるツールボックスミーティングでは、作業開始前や作業の再開時などに、作業リーダーを中⼼に作業内容や範囲、安全衛⽣のポイントなどを話し合い、互いの行動を把握することでより安全な作業環境をつくります。
工事現場では、ちょっとした作業のトラブルが大きな怪我に繋がることも多く、常に慎重に作業を行わなければなりません。また、建設現場の場合は複数の工種の作業員がそれぞれに作業を行うため、他者の作業を踏まえた上で工事を進めることが大切です。今までの作業でトラブルがあれば、その情報を作業員全員に周知することで事故発生を抑制することができます。
ツールボックスミーティングは作業前の定例として開催されることが多く、些細な情報共有も可能になります。作業員の安全を守るためにも必要不可欠な時間なのです。

 

ツールボックスミーティング(TBM)と危険予知活動(KYK)の違い

上記でも触れた通り、ツールボックスミーティング(TBM)は、危険予知(KY)活動と一緒に行われることが多々あります。この2つの活動はセットで行われることが多く、それぞれの特徴には以下のような点があります。

ツールボックスミーティング(TBM) 工事における作業工程の再確認などを行う活動
危険予知活動(KYK) 工事現場の危険事項を洗い出し作業前に再確認する活動

 
基本的には職長が中心となって、その日の作業の範囲、段取り、分担などを確認し、全員で安全衛生のポイントなどを話し合います。いずれも作業前に行うことで、作業員の意識が高まり安全に作業が行えるようになります。

 

ツールボックスミーティングの基本は4ラウンド法

ツールボックスミーティングでは、基本的に4ラウンド法が採用されています。

【4ラウンド法】

1R:現状把握「どんな危険がひそんでいるか」
イラストシートの状況の中にひそむ危険を発見し、危険要因とその要因が引き起こす現象を想定して、出し合い、チームのみんなで共有する。

 

2R:本質追究「これが危険のポイント」
発見した危険のうち、これが重要だと思われる危険を把握して○印、さらにみんなの合意で絞り込み、◎とアンダーラインを付け「危険のポイント」とし、指差し唱和で確認する。

 

3R:対策樹立「あなたならどうする」
◎印を付けた危険のポイントを解決するには、どうしたら良いかを考え、具体的な対策案を出し合う。

 

4R:目標設定「私たちはこうする」
対策の中からみんなの合意で絞り込み、※印を付け「重点項目」とし、それを実践するための「チーム行動目標」を設定し、指差し唱和で確認する。

※参考元:日常的な安全衛生行動

 
4ラウンド法では、危険に対する解決策を4つのラウンド(段階)にわけて考えます。そうすることで、限られた時間の中で考えるべきポイントが明確になり、スムーズにミーティングが行えます。

 

ツールボックスミーティングを効果的に行うコツ

ツールボックスミーティングは、作業員が情報を共有し、互いの作業や進捗を知るための貴重な時間です。効果的なツールボックスミーティングを行うためには、以下のコツを押さえておくことが大切になります。

① 作業を開始する前に行う

作業開始前に行うことで、その日の作業で意識すべきことが明確になり、安全な現場作業を送ることができます。作業終了後に次の日の準備として行うことも可能ですが、1日経ってしまうと意識が薄れてしまったり、作業員が入れ替わったりすることもあるので、必ず作業前に行うようにしましょう。

 

② 要点を押さえ、短時間で済ませる

現場の最重要仕事は作業であるため、ツールボックスミーティングは要点のみに絞り、短時間で済ませるように心がけましょう。目安としては、作業前の5〜10分で行うことが多いです。ツールボックスミーティングは繰り返し行われるため、時間を節約することで生産性が向上します。

 

③ 進行役は全員に発言の機会を与える

ツールボックスミーティングの進行役は、参加者全員に発言の機会を与えることが大切です。進行役は職長が行うことが多いですが、職長だけが話すよりも実際に作業を行う人々が会話した方がより細かな視点で議論できます。参加者全員で話し合うことで、作業員の安全に対する意識が高まるようになります。

 

外国人労働者とのツールボックスミーティングで必要なこと

建設現場では外国人労働者も活用していますが、日本語が話せない労働者の場合、会話の内容が理解できないこともあります。そのような時は、下記のポイントを意識してフォローするようにしましょう。

外国人労働者の母国語を使うようにする

職長や作業員の中で外国人労働者の母国語が話せる場合はその人が進行役となり、日本語と外国語の両方を使ってツールボックスミーティングを行うようにしましょう。ツールボックスミーティングは、作業員全員が同じ情報を共有することが最も重要です。外国人労働者を抱えている会社は必ず配慮するようにしましょう。

 

経験値の高い外国人労働者にサポートしてもらう

建設現場でのチームには在日経験の長い外国人労働者と経験の浅い外国人労働者を混在させ、経験の長いメンバーを通訳兼用として使うことも有効です。ツールボックスミーティングは、日本人の職長が日本語で進め、経験の長い外国人メンバーが双方の通訳となることで、意思疎通がしやすくなります。

 

まとめ

ツールボックスミーティング(TBM)とは、現場作業などで危険を回避するために行われるミーティングで、作業内容や範囲、安全衛⽣のポイントなどを話し合う活動です。危険予知活動(KYK)と一緒に行うことで、作業環境がより安全になるため、作業前の5〜10分を使って実施するようにしましょう。

 


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