建物の出来栄えに大きく影響する「型枠（かたわく）工事」。トンネルや橋などのインフラ整備にも欠かせない重要な工事です。しかしながら、カタチとして見える工事ではないため、あまり馴染みがないと感じる方も多いでしょう。そこで今回は「型枠工事」について、工事の流れや施工中の注意点を詳しく解説いたします。建設業界の仕事について興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

型枠とは

建築現場で重要な役割を果たす「型枠」は、建物の構造物やコンクリートなどを形作るための仮設の枠組みを指します。これは、建物の出来栄えや耐久性に直接影響する重要な要素となります。

型枠の組み方は建物の出来栄えに影響する

型枠の構築方法や正確な設置は、最終的な建物の外観や耐久性に大きな影響を与えます。型枠の正確な設置は、建物の壁や柱、梁などの形状を決定し、コンクリートの流れや配筋に影響します。また、型枠の正確さは建物の美観や耐久性にも関わります。設計図に基づき正確に組まれた型枠は、建物の品質と完成度を高めます。だからこそ、型枠工事は建設工事の中でも非常に重要とされており、この工事に携わる方は幅広い知識と確かな施工技術が求められます。

施工に携わるのはどんな人？

型枠の施工には、建築の専門知識や技術が求められます。建築業界では、型枠工や大工がこの作業に携わります。彼らは、図面に基づき木材や鉄骨を組み合わせ、建物の形状に合わせて型を作り上げます。精密な測定や構築技術が求められ、建築プロジェクトの品質を支える重要な存在です。

一般的な木造建築に使う部材

木造建築では、型枠に使われる部材には木材が一般的に使用されます。例えば、2×4（ツーバイフォー）と呼ばれる材料を使った「木造枠組壁工法」です。これは、厚み2インチ、幅4インチの木材の寸法を指し、構造の骨組みを形成するのに適しています。また、ボードや合板などの材料も型枠の作成に使用されます。型枠は、建物を形成するための重要な役割を果たすだけでなく、建築の品質や安定性に大きく影響します。正確で丁寧な型枠作業は、建物の完成度を高めるために欠かせません。

標準外の型枠を使うケース

標準的な型枠以外にも、建築プロジェクトに応じてさまざまな特殊な型枠が使用されます。それぞれの特性や使われるケースについて見てみましょう。
 

化粧打ち放し型枠

化粧打ち放し型枠は、コンクリートの表面を美しく仕上げるための型枠です。コンクリート表面を露出させ、打ち放し仕上げにする場合に利用されます。建物の外壁や内装で、コンクリートの風合いや質感を生かすために採用されることがあります。美しい外観や質感を重視する場合に使用されますが、施工が一般的な型枠よりも緻密さを要するため、技術と手間がかかることがあります。
 

システム型枠

システム型枠は、組み立てや解体が容易で効率的な型枠システムです。金属製やプラスチック製のパーツを組み合わせて使用し、再利用が可能な特徴があります。大規模な建築プロジェクトや建設期間の短縮が求められる場合に採用されます。効率的な施工やコスト削減を可能にし、環境にも配慮された型枠システムです。
 

特殊形状型枠

特殊形状型枠は、建物の特殊な形状やデザインに合わせて作られる型枠です。円形や曲線形、非対称な形状など、通常の直線的な形状以外の建物に必要な型枠です。建築物の特徴的なデザインや機能を実現するために採用され、設計や施工上の課題を解決するために重要です。ただし、特殊形状を作るためには高度な技術や詳細な計画が必要です。

工事の流れに沿って型枠の組み方をチェック

建築工事では、型枠の組み立てはコンクリート構造物を形成する重要なプロセスの一つです。この段階では、正確で順序立てられた作業が求められます。正確な手順で施工することで、型枠の組み立てはスムーズに進み、建物の構造や品質に影響を与える重要な段階となります。型枠の組み立てが正確かつ順序立てられていることが、建築プロジェクトの成功に直結します。以下では、型枠の組み立て手順を工事の流れに沿って見ていきましょう。

手順①拾い出し

工事現場において、使用する材料や部品を選定し、必要なものを選別・確保します。型枠に使用する木材や金具、ネジなどの材料を厳密に選別し、必要な長さや形状に切断します。この段階では、材料の品質や寸法の正確さが重要です。正確な寸法を維持することが、後の工程に影響を与えます。
 

手順②型枠の加工

選別された材料を基にして、型枠の組み立てに必要な加工を行います。ここでは、木材を必要な形状や寸法にカットしたり、金具を取り付けたりする作業が含まれます。正確な寸法を保つために、精度の高い切断や穴あけ、取り付け作業が重要です。これにより、後の工程での組み立てがスムーズに行えます。
 

手順③墨出し

建物の基準となる位置や高さをマーキングするための作業です。建物の設計図面に基づいて、基準となる墨付けを行います。基準を正確に設定することで、コンクリートの流し込みや型枠の組み立て位置を正確に定めることができます。正確な墨付けは建物全体の垂直や水平を保つために不可欠です。

手順④型枠の組み立て（建て込み）

型枠の組み立ては、拾い出し、加工、墨出しの後に行われます。木材や金具を使用し、設計図面に基づいて型枠を立て込みます。この段階では、型枠のパーツを正確な位置に取り付け、固定する作業が含まれます。型枠の組み立ては建築の骨組みを形成する重要な作業です。

手順⑥型枠の解体

コンクリートが硬化したら、次は型枠の解体作業です。コンクリートが十分に硬化し、強度を持っていることを確認した後、型枠を解体します。解体する際には、慎重に行い、建物のコンクリート部分を傷つけないように注意します。型枠解体後、表面仕上げなどの後工程に移ります。
 

手順⑦躯体の完成・引き渡し

型枠解体後、建物の構造体が完成します。コンクリートが固まり、躯体が完成した段階で、建物は次の工程に進みます。内部の仕上げや外装工事、設備工事などの後工程を経て、建物の完成に近づいていきます。最終的には、竣工検査や引き渡しが行われ、建物が利用可能な状態になります。
 

型枠工事に関する注意点

型枠解体後、建物の構造体が完成します。コンクリートが固まり、躯体が完成した段階で、建物は次の工程に進みます。内部の仕上げや外装工事、設備工事などの後工程を経て、建物の完成に近づいていきます。最終的には、竣工検査や引き渡しが行われ、建物が利用可能な状態になります。

型枠工事に関する注意点

建築の現場での型枠工事は、安全性を確保するために注意が必要な作業です。事故やケガを防ぐために、作業員全員が作業中に起こりうるリスクを理解し、安全に対する意識を高め、適切な対策を実施することが必要になります。以下に、型枠工事における注意点を見てい 

材料搬入時は通行人等の安全にも配慮

型枠工事に必要な材料の搬入時は、現場周辺の安全を確保することが重要です。重い材料や機材の運搬中は、通行人や近隣住民の安全を確保するために注意が必要です。十分な標識やバリケードを設置し、作業エリアを適切に区切ることで、事故や怪我のリスクを最小限に抑えましょう。

脚立や足場を使う場合は転落に注意

型枠工事では、高所での作業が必要となることがあります。脚立や足場を使用する際は、転落や落下を防ぐための安全対策が重要です。適切な設置と点検、安全帯の装着など、高所作業時の安全を確保するための基準を守ることが必要です。安全な高所作業環境を整えることで、事故を未然に防ぎましょう。

丸ノコや釘打ちといった工具によるケガに注意

型枠工事では、木材の切断や取り付けに丸ノコや釘打ちなどの電動工具が使われます。これらの工具を使用する際は、十分な安全装置の確認や保護具の着用が必要です。また、作業中は周囲の作業員との連携や確認を行い、予期せぬ事故やケガを防ぐための注意が重要です。
 

現場内の建築部材は常に安全な状態で管理

建築の現場では、大量の建築部材が使用されます。これらの部材は、安全に保管され、適切な位置に配置される必要があります。不適切な保管や部材の散乱は、作業員や通行人に危険をもたらす可能性があります。常に整頓された状態を保ち、安全に配慮した作業環境を維持しましょう。

まとめ

型枠工事とは、建物の構造物やコンクリートなどを形作るための仮設の枠組みを作る工事であり、建設物の出来栄えを左右する重要な工事です。精度の高い型枠を作るためには、建設に関する幅広い知識を有し、正しい手順で作業を行う必要があります。
また、建築の現場での型枠工事は、安全確保のために注意が必要な作業です。品質管理だけでなく、施工中の安全管理にも気を配り、作業員一人ひとりが意識して作業を行わなければなりません。型枠工事の仕事を行うためには上記の様々なスキルが必要になりますが、そのスキルを身につけることで専門性の高い業務を行うことができます。型枠工事をはじめ、建設業界への転職をご検討中の方はお気軽にご相談くださいませ。皆さまからのお問い合わせを心よりお待ちしております。