テコレップシステムを解説!超高層建築の革新的な閉鎖型解体工法
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テコレップシステムを解説!超高層建築の革新的な閉鎖型解体工法

2024年12月6日

高さ100mを超える超高層建物の解体工事に役立つのが、複数の受賞歴もある新技術「テコレップシステム」です。閉鎖型解体工法として知られる技術で、従来の「壊す」から「分解・再生」に意識を向けた解体工法の視点の違いも特徴です。
今回は、進化し続ける「テコレップシステム」について解説します。



 

テコレップシステムの基本

「テコレップシステム」は、「Taisei Ecological Reproduction System」という名称で、 大成建設株式会社が2010年に開発した、超高層の建築物に対する新しい解体工法です。
2012年に「第14回 国土技術開発賞」で最優秀賞を受賞し、2013年には「超高層建物の閉鎖型解体工法の開発」という名称での「日本建築学会賞(技術)」や、「第5回 ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」を受賞しました。
「旧グランドプリンスホテル赤坂(赤プリ)」の解体工事に「テコレップシステム」が使われたことも話題となった出来事です。

 

テコレップシステムの概要

日本には、数多くの超高層建物があります。常に先端技術を駆使しながら長期間使われることを想定して建設された建物ではありますが、近年、老朽化や再開発のために建て替える必要性が目立ってきました。
ただし、超高層のため、工事には危険も伴い、環境への影響や、実績が少ないことによる未知の分野などさまざまな課題があります。そこで注目されているのが、超高層の建築物解体技術「テコレップシステム」です。
「テコレップシステム」は、閉鎖型解体工法として、仮囲いで帽子を被せるように建物の上部を包みながら、まるで録画の巻き戻し再生のように解体していくのが特徴です。

 

技術革新としてのテコレップシステム

「テコレップシステム」は、世界初の超高層建物閉鎖型解体工法として知られる新技術です。これまでに蓄積された技術を組み合わせ、機械化施工や自動化施工の技術の導入、電力の再利用に役立つ回生ブレーキの導入など、画期的な方法が注目されています。
建築物をただ「壊す」のではなく、「分解する」及び「再生する」という視点からの工法で、反復作業が可能で安全性がある、天候の影響を受けにくい、解体材の飛散や粉塵の大幅改善、景観の維持など、多数のメリットが期待できる技術です。

 

テコレップシステムの施工プロセス

従来の解体工法は、建物の最上階からブレーカーなどで解体し、粉々になった部材を、クローラークレーンで荷下ろしする、といった方法で行われます。こういった解体工法を超高層建物で行うと、強風で粉塵が広範囲に飛散する、解体した部材が落下する危険性がある、といったさまざまな懸念があるため、そのための対策が必要です。
テコレップシステムの施工プロセスは、このような懸念を解決するための工夫が盛り込まれており、最上階部分を有効活用するところがポイントです。

閉鎖型解体工法の施工手順

テコレップシステムはまず、閉鎖空間を作るところから始まります。従来の解体工法では、建物の周りに仮設足場や防音パネル等はあっても、建物の上部は開放されていることが多いため、従来と大きく違う特徴です。
閉鎖空間は、解体する建物の最上階躯体を活かして構築します。具体的には、利用する部分の補強などを行い、建物の外周に吊り下げ型の養生足場を設置し、屋根に天井走行クレーンやテルハを設置する、閉鎖空間を支える仮設柱を設置する、といった手順で行われます。これは、既存の建物に仮設のキャップを被せるようなもので、「テコレップキャップ」とも呼ばれるものです。
仮設柱の内部にはジャッキがあり、解体が進むごとにジャッキダウンして高さが下がっていきます。最終的に1階まで閉鎖空間が下がり、最後に閉鎖空間の解体を行い、工事完了となります。

 

安全性と効率性の確保

従来の解体工法では、壊した部材を建物の外側から降ろしていくため、飛来落下の危険がありました。また、超高層建物の最上階といった高層では、作業自体が高所のため危険な作業となります。
テコレップシステムの解体工法では、全ての作業を内部で行うため、外部足場の盛替えをする必要がなく、解体部材の荷下ろしも内部で行えることから、高所での危険な作業を行うことなく、従来より大幅に安全性が向上しています。
また、建物の既存部分を活用することで仮設材の節約につながるほか、天候の影響や、騒音や粉塵などによる苦情も受けにくいため、作業が中断される可能性が低減します。従来よりも工期短縮につながり、効率性の向上が期待できます。

 

テコレップシステムは環境配慮型解体工法

テコレップシステムの特徴でもある「分解・再生する」という考え方は、環境への配慮にもメリットになります。閉鎖型解体工法だけでなく、環境配慮型解体工法の側面も今後の解体工事において魅力となる部分です。

 

水盛・遣り方

建物の位置や高さを決める際に必要な「水盛・遣り方(みずもり・やりかた)」は、直接仮設工事にあたります。近年では、レーザーを活用した機器がよく使われますが、水平の基準を割り出し、杭や板などで囲い、建物の位置を確認する作業です。また、建物の外周を縄で囲む「地縄張り」も、仮設工事の一部です。

 

環境への配慮

テコレップシステムは、CO2排出量の削減や省エネルギーを心掛けた解体方法であるほか、部材の再利用にも注目し、建築物の循環が目指されています。
中でも特徴的な方法が「荷下ろし発電」です。これは、回生ブレーキによって、解体時の荷下ろしの力を電気に換えて蓄電池に貯めておき、巻き上げの際にこの電力を利用するという方法です。また、余った電力は、照明や仮設機械などに使うことができます。
加えて、特殊な機器で鉄筋コンクリートを切断する「カッター工法」を組み合わせることで、従来の施工よりも最大で約85%のCO2排出量削減が期待されています。
環境への配慮では、周辺環境への配慮もポイントです。テコレップシステムは、騒音や粉塵の飛散を抑制できることもメリットで、テコレップキャップによって、解体工事の騒音レベルが20dB低減、風速3mの場合の粉塵の飛散量が90%低減、といった数値も挙げられています。

 

テコレップシステムの事例

テコレップシステムが最初に活用されたのは、2011年に行われた「大手町フィナンシャルセンター解体工事」です。105mの高さの建物で、全閉鎖を行いました。
次に行われたのが、大きな話題となった「グランドプリンスホテル赤坂地上部解体工事」です。こちらは140mの高さの建物の全閉鎖で、2012年~2013年にかけて行われました。
その後、「赤坂ツインタワー」の66m部分の一部閉鎖や、「JXビル」の84mの一部閉鎖においても、テコレップシステムが活躍しています。

 

テコレップシステムの将来性

テコレップシステムは画期的な解体工法ではありますが、鉄筋コンクリート造の超高層建物は、躯体重量があるため屋根などの既存部分を利用するのが難しいという課題がありました。そこで生まれたのが「テコレップ‐Lightシステム」です。
 

技術の進化と可能性

テコレップシステムは、既存建物の最上階躯体を屋根として使う方法から、既存建物の最上階の床や柱など全てを利用する方法へと、登場した後も技術が進化しています。その後に開発された「テコレップ‐Lightシステム」によって、それまで難しかったRC造(鉄筋コンクリート造)の超高層建物にも閉鎖空間を作れるようになったのです。
「テコレップ‐Lightシステム」は、従来の既存屋根を使う代わりに、軽量屋根フレームユニットを使うのが特徴です。これは、既存屋根よりも重量が軽い軽量屋根フレームと、ジャッキ架台が一体化されたもので、より短時間で閉鎖空間を作ることができます。
さらに、解体する建物の既存柱を活用したジャッキシステムが加わったことも特徴です。これらの開発によって、工期の短縮やコストの削減がより期待できるようになりました。

 

持続可能な環境配慮型社会への貢献

「テコレップ‐Lightシステム」もまた、環境配慮型解体工法を引き継ぎ、軽量屋根フレームユニットは、閉鎖蓋と防音パネルと共に完全閉鎖空間を作ることができます。これによって、粉塵や騒音を従来よりも90%以上抑えることができるのです。

このように環境を配慮した構築は、大成建設グループの方針である「持続可能な環境配慮型社会の実現」のひとつともいえるでしょう。構造物の設計から解体までのさまざまな場面で、環境負荷の低減につながる資機材や工法を適用することなどを目的にしたガイドラインも制定し、積極的に取り組んでいます。テコレップシステムにおいても、持続可能な環境配慮型社会に役立つ今後の発展が期待できるでしょう。



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