2020年10月19日
ゼネコンは大規模な建築作業を行う業種であることから、年収が高いというイメージを持たれていますが、実際のところ本当に年収は高いのでしょうか。
今回はゼネコンの年収について解説します。ゼネコンの年収が高い理由を始め、20代や管理職の年収などにも触れているのでぜひ参考にしてみてください。
ゼネコンの仕事はとてもハードと言われていますが、年収はどれくらいなのでしょうか。さまざまな観点からゼネコンの年収に迫っていきます。
ゼネコンはGeneral Contractorの略称です。Generalは「全般の」という意味があり、Contractorは「請負人」という意味を表します。
したがって、ゼネコンは総合請負者をさし、一般的には総合建設会社として知られています。建築する建物の種類はさまざまあり、具体的にはオフィスビル、マンション、学校などです。中には、ダムや上下水道施設など日常生活ではあまり目にしない建造物まで手掛けることもあります。大規模なプロジェクトになると、数千人が協力して事業を遂行するケースも珍しくありません。
スーパーゼネコンの一つとして知られる清水建設の20代の新卒採用情報を見てみましょう。
総合職で採用される大卒の初任給は24万円です。この金額をベースに考えると、1年間で24万円×12ヶ月=288万円は最低もらえることが分かります。
賞与は年2回とされているので、20代の年収は300万~400万円ほどだと推定されます。一般的な20代の年収と比較してみると、極端に高いわけではないようです。
大手転職求人サイトでは、ゼネコンの部長候補を求める社名非公開の求人が多く見受けられます。実際にあった建設事業に関する求人から年収を紹介します。
会社や募集概要としては、売上高は150億円程度、社員数は120名ほどで、募集年齢は45歳~55歳、雇用形態は正社員です。また、期待するポジションや役割は部長候補としています。
具体的な業務内容は、各部署との打ち合わせや設計のマネジメント業務、図面の作成などです。一級建築士の保有や5名以上のマネジメント経験を必須としています。こちらの条件においては年収が800万~1,200万円となっています。
このように、ゼネコンで管理職を務めるまでに至れば、年収が1,000万円を超えるケースがあるということが分かります。
ゼネコンの中には年収が1,000万円を超える会社が多く、最大手だけでなく準大手や中堅の年収も1,000万円に追随しています。
なぜ、ゼネコンの年収が高い傾向にあるのか、理由は以下の通りです。
建設業界ではバブル時代に大量採用を実施していた関係で、現在のゼネコンで働く社員の平均年齢が高い傾向にあります。年齢が高いほど給与が高くなるのが一般的であるため、業界全体の平均年収も高くなっていると考えられます。
建築工事では、足場を組み立て高い場所で作業を行ったり、重機を操作して重いものを動かしたりと、危険な場面が多く見られます。実際に、ゼネコンの社員は現場に勤務しているだけで月3万円ほどの現場手当がもらえるなど、現場作業のリスクが高い分、報酬が高く支払われています。
大規模なプロジェクトになれば、発注者や設計者、作業員など多くの人々と調整を行いながら工事を進めることになります。現場監督であれば、トラブルの発生に対応しないわけにはいきません。したがって、勤務時間外の残業も必然的に増えることになるため、その分年収も高くなるという訳です。
Yahoo!ファイナンスで記載されているデータ(2020年8月時点)をもとにゼネコンの平均年収を大まかにランキング化してみました。
年収の情報を分析しやすいように、従業員数や設立年、在籍する社員の平均年齢も記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
順位 | 企業名 | 平均年収 | 設立年 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 鹿島建設 | 1,134万円 | 1930年 | 7,887人 | 44.2歳 |
2 | 大林組 | 1,057万円 | 1936年 | 8,829人 | 42.6歳 |
3 | 大成建設 | 1,010万円 | 1917年 | 8,507人 | 43.0歳 |
4 | 清水建設 | 1,006万円 | 1937年 | 10,384人 | 42.9歳 |
5 | 前田建設工業 | 928万円 | 1962年 | 3,161人 | 43.1歳 |
6 | 三井住友建設 | 859万円 | 1941年 | 2,798人 | 46.2歳 |
7 | 熊谷組 | 804万円 | 1938年 | 2,578人 | 44.5歳 |
8 | 飛鳥建設 | 795万円 | 1947年 | 1,190人 | 45.9歳 |
9 | 東洋建設 | 788万円 | 1929年 | 1,294人 | 43.2歳 |
上記の表を見ると、設立年が古いほど平均年収が高い傾向が読み取れます。ただ、東洋建設のように古くから存続している企業でも、平均年収が低めになっているケースもあります。
また、従業員数が多い企業も平均年収が高い傾向にあります。本記事の表でランクインしている企業のうち、従業員数が5,000人以上を超えるゼネコンは、年収1,000万円以上に至っています。
平均年齢と平均年収の関係については特に相関関係が読み取れませんでした。ゼネコンの平均年収を予測する際には、従業員数や設立年に注目してみると良いかもしれません。
ゼネコンの年収は高い傾向であることが分かりましたが、一概に決めつけることはできません。
また、年収が高いことがデメリットになっているという見方もあります。ゼネコンの年収に関して注意したい点をご紹介します。
ゼネコンはスーパーゼネコン、準大手ゼネコン、中堅ゼネコンに分けられます。
スーパーゼネコンは、日本の建設大手企業の中で完成工事売上高が上位である企業をさします。具体的な企業は下記の通りです。
・鹿島建設
・大林組
・竹中工務店
・大成建設
・清水建設
ゼネコンの年収が高いというイメージは、スーパーゼネコンが生み出していると言っても良いでしょう。
準大手ゼネコンや中堅ゼネコンになると若干平均年収は下がりますが、平均年収の幅は、準大手ゼネコンが800万円~950万円、中堅ゼネコンが780万円~950万円ほどです。
したがって、準大手や中堅でも平均年収が1,000万円に近く、高収入が得られる可能性は十分にあると言えるでしょう。
年収が高いイメージのあるゼネコンですが、年収が高い分激務の可能性が高いと想定できます。ゼネコンは職種によってそれぞれの担当者が個別にいると思われがちですが、それは大手ゼネコンに多く見られ、中堅ゼネコンでは人手不足が問題視されています。
中堅ゼネコンの若手社員は非常に激務な企業が多く、若手社員が現場を見回り、会社に戻って書類整理を行い、遅くまで残業をするという事が多くなる傾向にあります。
また、残業だけでなく出張なども多いため、プライベートの時間がなかなか取れないという問題も懸念されています。
ゼネコンの年収についてさまざまな観点から解説しました。ゼネコンの年収が高いというのは本当であるということが分かったのではないでしょうか。
ただ、平均年収が1,000万円を超える企業はスーパーゼネコンがほとんどであるため、1,000万円以上の年収を獲得したいのであれば、可能な限りスーパーゼネコンへの就職を目指してみるのが良いでしょう。