2020年10月21日
1級管工事施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格の内のひとつです。管工事とは、冷暖房や空調設備工事、給排水工事、給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事といった、生活に密接した設備の設置や配管工事がメインとなる仕事です。
本記事では、配管工事のスペシャリストとして活躍できる1級管工事施工管理技士について、資格の基礎知識から受験資格の条件や試験内容、さらに資格取得方法などについて詳しく解説していきます。
建物内で快適な生活や活動を行うためには多くの設備が必要です。設備には用途に応じてさまざまなパイプやダクトが必要とされ、建物が大きくなるほど複雑な管工事の施工を行わなくてはなりません。
管工事施工管理技士は、管工事における専門的な知識を活かし、複雑な施工計画から工事の工程管理を行います。さらに、施工した工事が正確で高品質な状態を維持できるかなどを確認する品質管理や、ケガや事故が無いように現場作業員への注意喚起や安全対策を行う安全管理なども担います。
1級管工事施工管理技士の資格保有者は、建設業法における特定建設業と一般建設業の許可を受けた事業所の「監理技術者」や「専任技術者」として従事することができます。建設業法により、一般建設業の許可を受けている事業所は、工事の請負金額が4,000万円以上(建築一式の場合は6,000万円以上)の場合は監理技術者を置かなければならないため、1級管工事施工管理技士は大規模な工事に必ず必要な資格となります。
また、1級管工事施工管理技士の資格保有者を事業所に置くことで、事業所の経営事項審査において技術力を証明する事ができ、公共事業や大規模工事などの工事入札を行う際の入札資格にも影響します。したがって1級管工事施工管理技士の資格保有者は、管工事を行う建設会社にとって施工や企業運営を行う上で極めて重要な人材と言えるでしょう。
四肢択一式:2時間30分(午前の部)、2時間(午後の部)
・機械工学等:管工事の施工に必要な機械工学、衛生工学、電気工学および建築学に関する一般的な知識を有すること。冷暖房、空気調和、給排水、衛生等の設備に関する一般的な知識を有すること。設計図書に関する一般的な知識を有すること。
・施工管理法:管工事の施工計画の作成方法および工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する一般的な知識を有すること。
・法規:建設工事の施工に必要な法令に関する一般的な知識を有すること。
記述式:2時間45分
・施工管理法:設計図書で要求される設備の性能を確保するために設計図書を正確に理解し、設備の施工図を適正に作成し、および必要な機材の選定、配置等を適切に行うことができる高度の応用能力を有すること。
1級管工事施工管理技士の受験資格は次の通りです。
学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
大学 専門学校「高度専門士」 |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
5年以上 | 7年6ヶ月以上 |
高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
10年以上 | 11年6ヶ月以上※1 |
その他 | 15年以上 |
上記実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。
※1:高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む
区分 | 学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | ||
2級合格後の 実務経験 |
- | 5年以上 | |
2級合格後 5年未満の者 |
高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
9年以上 | 10年6ヶ月以上※1 |
その他 | 14年以上 |
上記実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。
※1:高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む
区分 | 学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | ||
2級合格後の 実務経験 |
- | 3年以上 | |
2級合格後 3年未満の者 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
- | 7年以上 |
高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
7年以上 | 8年6ヶ月以上※1 | |
その他 | 12年以上 | ||
2級資格のない者 | 高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
8年以上 | 11年以上※1 ※2 |
その他 | 13年以上 |
※1:高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む
※2:職業能力開発促進法による2級配管技能検定合格者、給水装置工事主任技術者は、9年6ヶ月以上となる
区分 | 学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | ||
2級合格後の 実務経験 |
- | 3年以上※1 | |
2級資格のない者 | 高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
8年以上※2 | - |
※1:3年以上の実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数を含み、かつ、専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数2年以上を含む
※2:8年以上の実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数を含み、かつ、5年以上の実務経験の後、専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数2年以上を含む
平成22年度から令和元年度までの合格率は、第1次検定が42.1%で、第2次検定が56.3%となっています。比較すると、第2次検定の合格率が第1次検定の合格率を上回っています。他の施工管理技士の試験に比べると第2次検定の合格率は高く、平均レベルの試験と言えるでしょう。ただ、第2次検定受験者が2級管工事施工管理技士の合格者であることや、受験者の実務経験年数の長さなどが影響しているものと考えられます。
試験は年に一回行われます。下記は令和3年度の受験申込受付期間から合格発表までの日程です。
令和5年5月8日(月)~5月22日(月)
令和5年9月3日(日)
令和5年10月5日(木)
令和5年 5月8日(月)~5月22日(月)
令和5年12月3日(日)
令和6年3月6日(水)
管工事施工管理技士は、私たちが快適に暮らせるための設備が適切に設置され、規定通りの動作や運転ができるように、設備の施工計画や工事の施工管理、設備の品質管理、作業員の安全管理といった幅広い業務を担います。
また、1級管工事施工管理技士の資格保有者は大規模な工事現場に多く携わることから、リーダーシップや倫理性、公平性といったスキルも必要とされます。大変やりがいのある仕事ですので、2級資格合格者や管工事の職務経験の長い方などはぜひチャレンジしてみてください。