【建設/資格】1級造園施工管理技士とは?試験内容や取得方法を解説
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【建設/資格】1級造園施工管理技士とは?試験内容や取得方法を解説

2020年11月17日

街にあふれる緑や公園の木々、商業施設の植栽などは、「造園施工管理技士」が管理しています。
あらゆる分野にて緑化が進む現在、造園工事の需要は急増しており、工事を管理する「造園施工管理技士」の存在が求められているのです。
この「造園施工管理技士」になるためには、現場での経験はもちろんのこと、国家資格である「1級・2級造園施工管理技士」の資格が必要になります。

この記事では、「造園施工管理技士」の仕事内容や重要性、そして管理者の中で最も工事権限のある「1級造園施工管理技士」の試験について詳しく解説します。

 

造園施工管理技士とは

造園施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」のうちの一つで、造園分野の施工管理者を指します。
業務内容は多岐にわたり、公園や高層マンション、道路などのさまざまな場所で行われる緑化工事の総監督として、施工管理、工程計画、資材調達、安全管理などを行います。
造園施工管理技士になるためには、国家資格である1級造園施工管理技士もしくは2級造園施工管理技士の資格を取得しなければなりません。1級を取得すると、工事現場に配置しなければならない主任技術者や監理技術者として業務に携わることができます。これは大型案件の責任者として現場を管理できることを意味し、自身の業務可能範囲が大きく広がるチャンスになると言えるでしょう。
また、2級の場合は監理技術者にはなれないものの、専任技術者や主任技術者として現場管理に携わることができるため、造園分野で施工管理者を目指す方は取得した方がよい資格の一つです。

 

造園施工管理技士の重要性

以前は個人邸の仕事が多かったものの、現在では公共施設や大型不動産開発などの案件が多いとされています。特に都市部においても緑化工事の需要は急増しているため、造園業界は今後さらなる需要拡大が見込まれるでしょう。
その一方で、造園施工管理技士は不足しているのが現状なため、多くの企業において募集が行われています。
造園施工管理技士が増加することはより多くの施設の緑化を進める促進剤となり、社会全体が自然豊かな状態になることを意味するのです。
造園施工管理技士の資格を取得すると、幅広い案件に施工管理者として携わることができます。ここで培う経験は造園業界で働く上で非常に役立つものであり、同業界で転職する際も有利になるでしょう。
様々な場所を緑あふれる空間にするためには、現場の職人たちを束ねる造園施工管理技士の存在が必要不可欠なのです。

 

1級造園施工管理技士の受験資格

1級造園施工管理技士になるためには、一般財団法人全国建設研修センターが行う「1級造園施工管理技術検定試験」に合格しなければなりません。1級造園施工管理技士の受験資格は下記の通りです。

〈1〉第1次検定

次のイ、ロ、ハ、ニ、ホのいずれかに該当する者

区分 学歴等 受験に必要な実務経験年数
指定学科卒業後 指定学科以外卒業後
大学
専門学校「高度専門士」
3年以上 4年6ヶ月以上
短期大学
高等専門学校
専門学校「専門士」
5年以上 7年6ヶ月以上
高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
10年以上 11年6ヶ月以上
その他 15年以上
技能検定合格者 10年以上
高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
8年以上※1
専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者 高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
8年以上 9年6ヶ月以上
その他 13年以上
2級合格者
表引用元:一般財団法人全国建設研修センター 受験資格

※1:その実務経験に指導監督的実務経験1年以上を含み、かつ5年以上の実務経験の後専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む

 
上記実務経験年数のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。

 

〈2〉第2次検定

次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する者

イ.1級造園施工管理技術検定・第1次検定の合格者 ※〈1〉ホに該当する者として受検した者を除く

 

ロ.1級造園施工管理技術検定・第1次検定において、〈1〉ホに該当する者として受検した合格者のうち〈1〉イ、ロ、ハ、ニまたは次のⅰ、ⅱのいずれかに該当する者

※実務経験は、その試験の合格発表日より計算してください。

区分 学歴等 受験に必要な実務経験年数
指定学科卒業後 指定学科以外卒業後
2級合格後3年以上の者 3年以上
2級合格後5年以上の者 5年以上
2級合格後5年未満の者 高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
9年以上 10年6ヶ月以上
その他 14年以上
専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者 2級合格者 合格後3年以上の者 3年以上
合格後3年以上の者 短期大学・高等専門学校
専門学校(「専門士」に限る)
7年以上
高等学校・中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
7年以上 8年6ヶ月以上
その他 12年以上

 

ハ.第1次検定免除者

(1) 令和2年度1級造園施工管理技術検定の学科試験合格者
(2) 技術士法(昭和58年法律第25号)による第2次試験のうち、技術部門を建設部門、農業部門(選択科目を「農業農村工学」とするものに限る。)、森林部門(選択科目を「林業・林産」又は「森林土木」とするものに限る。)又は総合技術監理部門(選択科目を建設部門に係わるもの、「農業農村工学」、「林業・林産」又は「森林土木」とするものに限る。)に合格した者で、第1次検定の合格を除く1級造園施工管理技術検定・第2次検定の受験資格を有する者(技術士法施行規則のいち部を改正する省令(平成15年文部科学省令第36号)による改正前の第2次検定のうち技術部門を建設部門、農業部門(選択科目を「農業土木」とするものに限る。)、林業部門(選択科目を「林業」又は「森林土木」とするものに限る。)又は総合技術監理部門(選択科目を建設部門に係わるもの、「農業土木」、「林業」又は「森林土木」とするものに限る。)とするものに合格した者を含む。また、技術士法施行規則の一部を改正する省令(平成29年文部科学省令第45号)による改正前の第2次検定のうち技術部門を建設部門、農業部門(選択科目を「農業土木」とするものに限る。)、森林部門(選択科目を「林業」又は「森林土木」とするものに限る。)又は総合技術監理部門(選択科目を建設部門に係わるもの、「農業土木」、「林業」又は「森林土木」とするものに限る。)とするものに合格した者を含む。)

 

1級造園施工管理技士の試験内容

1級造園施工管理技士の試験内容は、「第1次検定」と「第2次検定」に分かれています。

第1次検定

四肢択一式:2時間30分
第1次検定の合格ラインは全65問中、正答率60%以上となっています。
試験内容は2級造園施工管理技士と同じく、造園原論、造園材料、植栽、造園施設、土木工学、関連工事、測量・設計図書、施工管理、法規など幅広い分野から出題されます。
中でも重要とされている項目は「施工管理」で、他の項目の出題数が2〜10問程度に対し、施工管理は20〜25問ほどあります。これは、施工管理技士として最重要とされる「施工管理」の知識に受験者が長けているかを判断するためであり、施工管理の正解率は学科試験合格率に直結すると言っても過言ではありません。
普段の業務ではあまり触れない専門外の知識や用語などが問われる可能性があるため、実務経験の長い施工管理者であっても、試験対策は必ず行うようにしましょう。

 

第2次検定

記述式:2時間
文章記述・穴埋め・穴埋め選択・計算問題などが出題され、合格ラインは全3問中正答率60%以上となっており、この試験では、施工管理者としての発想や判断の適性を問われます。
試験内容は経験記述問題が1問、その他記述問題が2問となっています。1問目の経験記述問題では、施工管理(工程・安全・品質管理)について指定されたテーマに基づき、実際に担当した現場概要や発生した問題点、そしてその対処策を記載します。この回答において重要なのは「具体性」です。上記の回答ポイントに対して、どのような知識を使い現場を推進したかを数字や用語などを織り交ぜながら具体的に記述しましょう。
また、その他の記述問題では、造園工事から1問、施工管理から1問出題されます。これらの問題は1問目の経験記述とは異なり、正解を簡潔に回答することが重要です。

第2次検定は記述の内容が多く時間との勝負になります。経験記述問題に関しては、予め想定できる回答を準備し、記載する内容の要点を暗記しましょう。そうすることで、第2次検定の突破率が上がり、1級造園施工管理技士の資格取得に繋がります。

 

1級造園施工管理技士の合格率

1級造園施工管理技士の合格率は、下記の通りです。
第1次:37.0%、第2次:39.6%
引用元:資格の王道 造園施工管理技士

1級造園施工管理技士は国家資格であり、決して難易度の低い試験ではありませんが、実務経験を3年以上積んだ経験者のみが受験できる試験であるため、日々の経験を活かしながら対策を行えば合格する可能性は高くなるでしょう。

 

1級造園施工管理技士の試験日程

令和3年度の1級造園施工管理技士の試験日程は下記の通りになります。

【申込受付期間】

令和3年5月6日(木)~5月20日(木)

 

【試験日】

第1次検定

令和3年9月12日(日)

第2次検定

令和3年12月5日(日)

 

【合格発表日】

第1次検定

令和3年10月14日(木)

第2次検定

令和4年3月2日(水)

 

どんな試験勉強方法があるのか

国家資格である1級造園施工管理技士を取得するためには試験対策は必須です。その勉強方法として有力なのが、下記2つの方法になります。
・通信講座を利用
・ネット動画や市販教材を利用して独学


まず一つ目は「通信講座」です。通信講座のメリットは、基礎知識から試験対策まで幅広いカリキュラムを行いながら対策ができる点です。また試験前に模擬テストを行い、問題に慣れるための練習を行う学校も多く、資格取得の勉強方法としては最適と言えるでしょう。
一方で通信講座のデメリットは、費用がかかる点です。費用を抑えて資格を取得したい方は、二つ目の「独学」をおすすめします。独学の場合、市販のテキストやネット動画を使いながら試験対策を行います。費用は基本的にテキスト代のみのため、出費を最小限に抑えられる点が最大のメリットと言えるでしょう。
一方でデメリットは、すべて自分で調べなくてはならないため、疑問や不明点が出た際などに時間がかかってしまう点です。
どちらの方法においても、根気強く勉強を行うことが大切です。試験日から必要日数を逆算し、試験対策を始めましょう。

 

まとめ

1級造園施工管理技士は、近年需要が急増している造園業にとって非常に重要な資格です。
大型案件に携わりたい方や現場において重要な役割に着きたい方は、まずは実務経験年数を重ね自身のスキルを磨き、受験資格の取得目処が立った際には試験対策をしっかり行っていくことをおすすめします。
造園技術のエキスパートとして、緑ある空間を生み出していきたいと考えている方は、ぜひ1級造園施工管理技士を目指してみましょう。

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