2020年11月19日
都市部を中心に緑化が進む現在、「造園施工管理技士」の存在が重要視されています。
造園施工管理技士とは、造園に関するあらゆる工事の責任者として、施工計画から現場管理までを行う、いわば造園分野におけるスペシャリストです。
この「造園施工管理技士」になるためには、一定の現場経験を重ねた上で1級・2級造園施工管理技術検定試験を受験し、国家資格である「1級・2級造園施工管理技士」の資格取得が必須となります。
この記事では、「造園施工管理技士」の業務内容やその必要性、そして若手管理者がまず目指すべき資格である「2級造園施工管理技士」の試験について詳しく解説します。
造園施工管理技士とは、行政や企業が発注する造園工事の施工管理を行う有資格者を指します。
造園施工管理技士の業務内容は、造園工事の総監督として、施工管理、工程計画、資材調達、安全管理などを担います。造園施工管理技士は、実際に作業を行う職人を束ねる造園のスペシャリストとして、様々な知識を活用しながら現場を推進しなければなりません。その管理者としての能力を計るべく国家試験の「1級・2級造園施工管理技術検定試験」が存在するのです。
この試験に合格した者は、「1級・2級造園施工管理技士」として大型案件の責任者などに推薦されます。また資格を保有することで、上記に加え自身のキャリアアップにも役立てることができます。
したがって、造園工事に携わる仕事をしている方は取得すべき資格の一つと言えるでしょう。
造園施工管理技士には1級造園施工管理技士と2級造園施工管理技士の2種類の資格があり、1級と2級では試験の難易度や取得後の権限などが異なります。
– 受験資格※:実務経験3年以上(及び1年以上の現場管理経験を有する者)
– 試験回数:年1回
– 試験内容:学科試験・実地試験(学科合格者のみ実地試験の受験が可能となる)
– 資格取得後:主任技術者・監理技術者として現場配置可能
※最終学歴によって受験資格は異なります。
– 受験資格※:実務経験1年以上
– 試験回数:年2回(前期:学科のみ、後期:学科・実地)
– 試験内容:学科試験・実地試験(後期受験であれば学科実地同時受験が可能)
– 資格取得後:主任技術者として現場配置可能
※最終学歴によって受験資格は異なります。
1級と2級の大きな違いは「資格取得後の現場の役割」です。
2級造園施工管理技士は、工事現場に必ず配置しなければならない「主任技術者」として現場配置が可能になりますが、1級造園施工管理技士は、2級造園施工管理技士と同じ役割に加え、「監理技術者」として現場配置が可能になります。これは、特定建設業許可が必要な工事において現場を総括する重要な役割であり、主任技術者よりも大規模な工事が担当できることを意味します。
近年では公共施設や商業空間、そして高層マンションなどあらゆる空間において緑化計画が行われており、造園業界の需要は増加傾向にあります。
特に、大規模な工事になればなるほど施工管理者の質は重要視されるため、その都度有資格者かどうか問われるでしょう。
自身のキャリアアップを考慮すると1級造園施工管理技士を目指すことをおすすめしますが、上記の通り、1級造園施工管理技士になるためには、最低3年以上の実務経験が必要になります。そのため、現時点において1級の受験資格がない方は、まず2級造園施工管理技士の試験から挑戦するとよいでしょう。
2級造園施工管理技士になるためには、一般財団法人全国建設研修センターが行う「2級造園施工管理技術検定試験」に合格しなければなりません。2級造園施工管理技士の受験資格は下記の通りです。
令和3年度の末日における年齢が17歳以上の者(平成17年4月1日以前に生まれた者)
次のいずれかに該当する者
実務経験年数は、学科試験日の前日までで計算してください。
学歴等 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
大学 専門学校「高度専門士」 |
1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
2年以上 | 3年以上 |
高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
3年以上 | 4年6ヶ月以上※1 |
その他 | 8年以上 | |
職業能力開発促進法による1級又は2級「造園」の技能検定合格者 | 4年以上※2 |
※1:高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学資格検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む。
※2:1級「造園」の資格を取得した者、又は、平成15年度までに2級「造園」の資格を取得していた者は、実務経験年数の記載は不要。
下記のいずれかに該当する方
(1) | 令和元年度2級造園施工管理技術検定の学科・実地試験の学科試験合格者 |
---|---|
(2) | 平成28年度以降の学科試験のみの合格者で、2級造園施工管理技術検定の学科・実地試験の受験資格を有する者 |
(3) | 技術士法による第二次試験のうち、技術部門を建設部門、農業部門(選択科目を「農業農村工学」(農業土木)とするものに限る)、林業部門及び森林部門(選択科目を「林業・林産」(林業)又は「森林土木」とするものに限る)又は総合技術監理部門(選択科目を建設部門に係わるもの、「農業農村工学」(農業土木)、「林業・林産」(林業)又は「森林土木」とするものに限る)の合格者で、2級造園施工管理技術検定の学科・実地試験の受験資格を有する者 |
(4) | 学校教育法による大学を卒業した者で在学中に施工技術検定規則(以下「規則」という。)第2条に定める学科を修め、かつ、卒業後1年以内に平成27年度までの2級造園施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む。以下同じ。)し、卒業した後4年以内に行われる連続する2回の2級造園施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で造園施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者 |
(5) | 学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業した者で在学中に規則第2条に定める学科を修め、かつ、卒業後2年以内に平成27年度までの2級造園施工管理技術検定の学科試験に合格し、卒業した後5年以内に行われる連続する2回の2級造園施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で造園施工管理に関し2年以上の実務経験を有する者 |
(6) | 学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業した者で、平成27年度までの2級造園施工管理技術検定の学科試験に合格した後、学校教育法による大学を卒業(短期大学又は高等専門学校在学中及び大学在学中に規則第2条に定める学科を修めたものに限る)し、短期大学又は高等専門学校を卒業した後6年以内に行われる連続する2回の2級造園施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で造園施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者 |
(7) | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で在学中に規則第2条に定める学科を修め、かつ卒業後3年以内に平成27年度までの2級造園施工管理技術検定の学科試験に合格し、卒業した後6年以内に行われる連続する2回の2級造園施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で造園施工管理に関し3年以上の実務経験を有する者 |
(8) | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、平成27年度までの2級造園施工管理技術検定の学科試験に合格した後、学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業(高等学校又は中等教育学校在学中及び短期大学又は高等専門学校在学中に規則第2条に定める学科を修めたものに限る)し、高等学校又は中等教育学校を卒業した後7年以内に行われる連続する2回の2級造園施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で造園施工管理に関し2年以上の実務経験を有する者 |
(9) | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、平成27年度までの2級造園施工管理技術検定の学科試験に合格した後、学校教育法による大学を卒業(高等学校又は中等教育学校在学中及び大学在学中に規則第2条に定める学科を修めたものに限る)し、高等学校又は中等教育学校を卒業した後8年以内に行われる連続する2回の2級造園施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で造園施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者 |
「実務経験」とは、造園工事の施工に直接的に関わる技術上のすべての職務経験をいい、具体的には下記に関するものをいいます。
・受注者(請負人)として施工を指揮・監督した経験(施工図の作成や、補助者としての経験も含む)
・発注者側における現場監督技術者等(補助者も含む)としての経験
・設計者等による工事監理の経験(補助者としての経験も含む)
なお、施工に直接的に関わらない以下の経験は含まれません。
・設計のみの経験
・造園工事の単なる雑務や単純な労務作業、事務系の仕事に関する経験
表引用元:一般財団法人全国建設研修センター 受験資格
2級造園施工管理技士の試験内容は、「第1次検定」と「第2次検定」に分かれています。
四肢択一式:2時間30分
・土木工学等: 造園工事の施工に必要な土木工学、園芸学、電気工学、機械工学および建築学に関する概略の知識を有すること。設計図書を正確に読みとるための知識を有すること。
・施工管理法: 造園工事の施工計画の作成方法および工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する概略の知識を有すること。
・法規: 建設工事の施工に必要な法令に関する概略の知識を有すること。
記述式:2時間
・施工管理法: 工事の目的物に所要の外観、強度等を得るために必要な措置を適切に行うことができる一応の応用能力を有すること。設計図書に基づいて工事現場における施工計画を適切に作成すること、または施工計画を実施することができる一応の応用能力を有すること。
2級造園施工管理技士の合格率は、下記の通りです。
第1次:48.9%、第2次:27.5%
※参照元:資格の王道 造園施工管理技士
2級の第1次検定は、1級よりも難易度が低く設定されているため、試験対策を確実に行えば独学でも合格が狙えます。
しかし第2次検定の場合、第1次検定のように分かりやすい正解はありません。自分なりに回答を考え、分かりやすく文章にしなければならない点を考慮すると、第1次検定よりも格段に難易度が上がるでしょう。
問題集の解答例を参考にし、自分なりにアレンジを加えながら試験対策をすることをおすすめします。
令和3年度の2級造園施工管理技士の試験日程は下記の通りになります。
令和3年3月3日(水)~令和3年3月17日(水)
令和3年6月6日(日)
令和3年7月6日(火)
令和3年7月13日(火)~令和3年7月27日(火)
令和3年11月21日(日)
・第1次検定のみ:令和4年1月14日(金)
・第1次検定・第2次検定:令和4年3月2日(水)
2級造園施工管理技士の資格を取得すると、各現場の主任技術者として様々な物件に携わり、今まで以上に貴重な経験を重ねることができるでしょう。
2級造園施工管理技士は、1級よりも短い実務経験で受験が可能なので、少しでも早くキャリアアップしたいと考える方にとっては最適な試験です。
近年需要が急増している造園業にとって、有資格者は重宝される存在です。造園施工管理にやりがいを感じている方や、緑あふれる空間が好きな方、そして職人をまとめるリーダーシップ力のある方などは、ぜひ2級造園施工管理技術検定試験に挑戦してみると良いでしょう。