建設業界におけるゼネコンの役割・魅力は?上位26社売上高ランキング
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建設業界におけるゼネコンの役割・魅力は?上位26社売上高ランキング

2020年11月20日

建設業界におけるゼネコンの影響力は、その売上高からもわかるように大きなものがあります。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、業界再編の動きも出てきました。それに伴い、ゼネコンの役割や魅力にも変化が生じています。

この記事では、ゼネコンの概要や役割、魅力、新たな動向、ゼネコン上位26社の売上高ランキングについて解説します。最後まで読むことで、大手ゼネコン各社の規模や最新動向の概要について知ることができます。

 


建設業界におけるゼネコンとは

ゼネコンの概要やスーパーゼネコン、準大手ゼネコン、中堅ゼネコン、ゼネコンのピラミッド構造について解説します。

ゼネコンとは

ゼネコンは、「general contractor」の略で、直訳すると「総合請負業」となります。
総合請負業とは、建設業界における建設会社として各種土木や建築工事を元請会社として発注者から直接請負う企業を指し、請負った工事一式の全体を取りまとめ、完工した建設物の引渡しや維持管理などを担っています。

 

スーパーゼネコン:5社

日本の総合建設業の中で、直近の売上高(完成工事高)が1兆円を超えている企業を、「スーパーゼネコン」といいます。2020年3月末時点での売上高が大きい順に並べると以下になります。
・鹿島建設
・大林組
・大成建設
・清水建設
・竹中工務店


スーパーゼネコンは、建設工事の受注を営業の中心とし、会社内に研究開発部門、技術部門、設計部門などを所有します。建設に特化した環境で、基礎研究から応用研究、施工技術、設計技術などの幅広い知見や調査研究力、技術力などを有しています。

 

準大手ゼネコン:10社

準大手ゼネコンの明確な定義はありませんが、スーパーゼネコンを除き、年間売上高が概ね3,000億円を超える建設会社を「準大手ゼネコン」といいます。2020年3月末時点での売上高が大きい順に並べると以下になります。
・長谷工コーポレーション
・戸田建設
・フジタ
・五洋建設
・熊谷組
・三井住友建設
・前田建設工業
・安藤ハザマ
・西松建設
・東急建設


準大手ゼネコンは、スーパーゼネコンと同様に、会社内に研究開発部門、技術部門、設計部門などを所有します。また、海岸工事やトンネル工事といった専門分野に、高い技術力を有する建設会社もあります。

 

中堅ゼネコン:11社

中堅ゼネコンについても明確な定義はありません。スーパーゼネコン・準大手ゼネコンを除き、年間売上高が概ね1,000億円を超える建設会社を「中堅ゼネコン」といいます。2020年3月末時点での売上高が大きい順に並べると以下になります。
・奥村組
・鴻池組
・東亜建設工業
・福田組
・大豊建設
・東洋建設
・鉄建建設
・淺沼組
・東鉄工業
・飛鳥建設
・銭高組


中堅ゼネコンも、スーパーゼネコンや準大手ゼネコンと同様に、会社内に研究開発部門、技術部門、設計部門などを所有します。また、河川工事や鉄道工事といった専門分野に高い技術力を有する建設会社もあります。

 

建設業界におけるゼネコンのピラミッド構造

日本国内に約47万社ある建設会社の内訳は、スーパーゼネコン5社をトップにして、何層ものピラミッド構造となっています。その構造の概要を下表にまとめます。

請負種別 内訳
元請 スーパーゼネコン 鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店(5社)
準大手ゼネコン 長谷工コーポレーション、戸田建設、フジタ、五洋建設、熊谷組、三井住友建設、前田建設工業、安藤ハザマ、西松建設、東急建設(10社)
中堅ゼネコン 奥村組、鴻池組、東亜建設工業、福田組、大豊建設、東洋建設、鉄建建設、淺沼組、東鉄工業、飛鳥建設、銭高組(11社)
地方中堅ゼネコン 建設会社(約2万社)
下請 専門工事会社
2次下請(孫請) 専門工事会社
3次下請(ひ孫請) 労務作業員・技能労働者

 
スーパーゼネコンに続いて、準大手ゼネコン、中堅ゼネコンが続き、中小規模の地方ゼネコンと合わせて約2万社が元請となります。その下請として、基礎工事や建て方工事、配管工事、内装工事、電気工事などを請負う専門工事会社があり、さらにその下請けとして、細かい作業などを請負う専門工事会社があります。

 

建設業界におけるゼネコンの役割・魅力・新たな動向

建設業界におけるゼネコンの役割、魅力、IT投資や業界再編などの新たな動向について解説します。

建設業界におけるゼネコンの役割

建設業界におけるゼネコンの役割は、建設コンサルタントが主に設計を担う土木構造物や、建築設計事務所が主に設計を担う建築構造物などを施工することです。道路や橋、トンネル、ダム、河川堤防、海岸防潮堤といった社会インフラを支えるものが土木構造物となり、商業施設、物流施設、官公庁舎、オフィスビル、学校、ホテル、マンションといった身近な建物などが建築構造物となります。
街づくりを支えるこれらの土木構造物や建築構造物の施工が建設業界におけるゼネコンの役割です。

 

ゼネコンの魅力

ゼネコンの魅力としては、
・超高層ビルや電波塔といった地上数百メートルにもなる建築物を施工可能とする技術開発
・津波・高潮・洪水などに耐えうる防潮堤・堤防の技術開発
・地下鉄や地下高速道路といった超深度構造物の技術開発
・IoT・AI・5Gなどを活用した建設機械のリモート操作化・無人化の技術開発

などの基礎研究が挙げられます。

 

ゼネコンの新たな動向

これまでの大手ゼネコンの動向は、海外事業強化のために、海外の建設会社のM&Aを積極的に行っていました。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響による建設工事の延期・中止に伴い、その矛先が変りつつあります。
上記の「ゼネコンの魅力」でも触れましたが、建設工事のIoT、AI化は日進月歩の分野です。それに伴い、IT分野への投資やITベンチャー企業のM&Aを積極的に行っています。特にスーパーゼネコンでは大林組、準大手ゼネコンでは安藤ハザマが顕著であり、マスコミでも報道されています。
今後、ゼネコンはIoT・AI・5Gなどの先端技術の導入具合により、業界再編もあり得ると言えるでしょう。

 

建設業界におけるゼネコンの売上高ランキング

スーパーゼネコン5社、準大手ゼネコン10社、中堅ゼネコン11社の計26社を売上高順に並べ比較していきます。

スーパーゼネコン:5社

スーパーゼネコン各社の売上高と従業員数を売上高の高い順に並べると下表の通りになります。

順位 建設会社名 売上高 従業員数
1 鹿島建設 2兆796億円 8,080人
2 大林組 1兆9,228億円 9,026人
3 大成建設 1兆5,432億円 8,579人
4 清水建設 1兆4,829億円 10,688人
5 竹中工務店 1兆2,604億円 7,757人
スーパーゼネコン5社合計 8兆2,889億円 44,130人
スーパーゼネコン5社平均 1兆6,578億円 8,826人
※参照元:各社有価証券(2022年3月末時点)

 
上表より2022年3月末時点でのスーパーゼネコン5社の売上高合計は約8.2兆円でした。日本国内の建設会社が約47万社あることを考えると、圧倒的なシェアを誇り、建設業界に対する影響力の大きさが分かります。

 

準大手ゼネコン:10社

準大手ゼネコン各社の売上高と従業員数を売上高の高い順に並べると下表の通りになります。

順位 建設会社名 売上高 従業員数
6 長谷工コーポレーション 9,097億円 2,433人
7 戸田建設 5,015億円 4,175人
8 フジタ 4,729億円 3,494人
9 五洋建設 4,582億円 3,667人
10 熊谷組 4,252億円 4,338人
11 三井住友建設 4,032億円 5,420人
12 前田建設工業 3,657億円 3,256人
13 安藤ハザマ 3,402億円 3,341人
14 西松建設 3,237億円 2,794人
15 東急建設 2,580億円 3,012人
準大手ゼネコン10社合計 4兆4,583億円 35,930人
準大手ゼネコン10社平均 4,458億円 3,593人
※参照元:各社有価証券(2022年3月末時点)

 
上表より準大手ゼネコン10社の売上高合計は約4.4兆円でした。準大手ゼネコン全体の特徴として建築工事と土木工事の割合を比較すると、建築工事の占める割合が約65%と高い傾向にあります。

 

中堅ゼネコン:11社

中堅ゼネコン各社の売上高と従業員数を売上高の高い順に並べると下表の通りになります。

順位 建設会社名 売上高 従業員数
16 奥村組 2,424億円 2,123人
17 鴻池組 2,320億円 1,920人
18 東亜建設工業 2,198億円 1,555人
19 福田組 1,798億円 2,096人
20 大豊建設 1,565億円 1,049人
21 東洋建設 1,525億円 1,521人
22 鉄建建設 1,515億円 1,823人
23 淺沼組 1,354億円 1,273人
24 東鉄工業 1,147億円 1,856人
25 飛鳥建設 1,176億円 1,195人
26 銭高組 1,019億円 901人
中堅ゼネコン11社合計 1兆8,041億円 17,312人
中堅ゼネコン11社平均 1,640億円 1,574人
※参照元:各社有価証券(2022年3月末時点)

 
上表より中堅ゼネコン11社の売上高合計は約1.8兆円でした。中堅ゼネコン全体の特徴として建築工事と土木工事の割合を比較すると、建築工事の占める割合が約52%となり、概ね半々となります。

 

まとめ

以上、ゼネコンの概要や役割、魅力、新たな動向、ゼネコン上位26社の売上高ランキングについて解説しました。
今後のゼネコン再編の鍵を握るのは、IoT・AI・5Gの導入による建設工事の無人化です。建設業界は支出の中に占める人件費の割合が高い業界であるため、それらの導入程度によっては、ゼネコンの勢力図に変化をもたらす可能性があります。
現時点でスーパーゼネコン5社は揺るぎない位置を占めています。しかし、1994年に誕生したamazonや1998年に誕生したgoogleがIT業界を席巻し、売上高は100兆円に迫ろうとしています。同様に、国内建設業界におけるゼネコン市場においても、スーパーゼネコンを脅かすゼネコンが今後浮上してくる可能性があると言えるでしょう。

 


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