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建設業界での女性進出が進んでいる?実態を解説

2021年4月7日

建設業界と聞くと、「男性社会」というイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。
建設業界は力仕事が多く、とくに建設現場ではパワーのある男性が中心になります。そのため建設業界に従事する女性は事務仕事がメインでした。
しかし最近では職種における男女の垣根がなくなってきており、女性を積極的に雇用する企業が増えています。
営業や設計だけでなく女性の施工管理者も増えており、今後はさらなる活躍の場が期待できるでしょう。

そこで当記事では「建設業界の女性進出」と題して、建設業界で働く女性の実態について解説します。
企業の取り組みや女性が活躍できる職種などを詳しく紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

 

建設業界への女性進出の実態

近年、建設業界では「女性の積極採用」が行われています。なかには目標を数値化したり、自社制度を整備する企業も増えてきました。
そこで以下では、平成27年に国土交通省が発表した「建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査」を参考に、建設業界への女性進出の実態を解説します。
参考:建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査

採用や登用に関する数値目標について

女性の採用や登用に積極的な企業が増えてきており、なかには数値目標を設定して取り組む企業もあります。国土交通省の調査によると、女性の採用・登用率を「数値化している」との回答は全体の16.4%、さらに「現在は設定していないが今後設定する予定である」との回答は59.6%にも及びました。つまり、全体の7割以上の企業が女性の採用・登用に前向きで、何かしらの目標が必要と捉えているのです。

しかしながら23.4%の企業は「設定していないし、今後も方針を立てる予定はない」と回答しています。この背景は「女性にフォーカスする必要はない」という男女平等の意図のもと、スキルや経験に応じて採用活動をしたいという企業側の意思の現れでした。
現場監督のように体力が重視される仕事でも、本人の希望やスキルがあれば女性の採用も十分に考えられます。現在は男女の垣根がなくなりつつあるため、今後はさらに女性の採用・登用が増えていくでしょう。

 

継続就業に関する自社の制度の導入状況

女性は男性よりもライフチェンジによって、働く時間が制約されることがあります。とくに妊娠・出産期間は休職する必要があるため、継続就業に関する制度は重要と言えるでしょう。
継続就業に関する制度の導入状況を見ると「産前・産後休業制度を設けている」と回答した企業が全体の 94.5%と、非常に高い数値が確認できました。
さらに「育児休業制度を設けている」という企業が 全体の86.8%、そして「介護休業制度を設けている」という企業が全体の 82.3%と非常に高く、ライフチェンジにあわせて働き方が選べるようになっています。
また最近では仕事とプライベートの両立を図るために、短時間労務制度を設けている企業も増えています。建設業界はハードな印象があるからこそ、企業側は手厚いフォローを行い、従業員のライフワークバランスを整えているのです。

 

出産/育児休業/復帰した女性の人数

国土交通省の調査によると、出産者のうち育児休暇を取得した者の割合は「技術者で 99.1%、技能者で 90.9%、事務系職員で98.8%」と高数値であることがわかりました。
また復職した割合は「技術者で 65.4%、技能者で 54.5%、事務系職員で 68.0%」となっています。この数値は、建設業界が産休や育休などの休暇が取得しやすい環境であることを意味しています。

さらに半数以上の女性職員が復帰している点を考えると「子育てをしながら続けたい」という強いやりがいを感じられる職業であることが想像できるでしょう。とくに建設業界は技術職なので、経験やスキルのある方は復帰もしやすく、休職していた分の穴埋めがしやすい傾向にあります。

 

建設業界で働く女性の実状

建設業界では主に、営業・施工管理・設計・バックオフィスの4職種があります。各職種に従事する女性を参考に、ご自身が働くイメージを膨らませましょう。

◆営業

営業は、クライアント側との連絡窓口となり、スケジュールや費用を調整しプロジェクトを推進します。
商業施設やマンションなどは「女性目線」が重要視される分野であるため、女性の営業担当者が消費者目線で意見を求められる場合も増えています。
営業職として転職を希望する方は「自分だったらどんな空間が嬉しいか」を純粋に考えてみるとよいでしょう。

 

◆施工管理

施工管理は工事現場の進捗を把握し、現場の指揮を執る役割を担います。
建設業界の職種の中で、女性の採用に多くの課題を抱えているのがこの職種と言えるでしょう。その理由として、男性の割合が多いという点が挙げられます。やはり現場に携わる職人は圧倒的に男性が多いため、孤独や働きにくさを感じてしまう人もいるでしょう。
しかし、最近では施工管理においても女性の採用が活発になってきており、今後は女性の割合の増加が期待されている職種です。

 

◆設計

設計は、デザインプランを考える「設計士」と、デザイナーが考えた図面をより詳細に書き起こす「CADオペレーター」という2種類の役割があります。どちらも女性従業員の多い職種で、ときには女性目線が求められることも多いでしょう。
また設計は上記の中でも、最もリモートワークがしやすい職種です。CADオペレーターの場合は打ち合わせの回数も少ないので、自宅作業がしやすい傾向にあるため、子育てと仕事の両立がしやすく、働くママから人気を集めている職種です。

 

◆バックオフィス

バックオフィスは事務仕事や経理・総務・人事など、会社の運営に関わる仕事です。上記の中でも残業が少なく、仕事とプライベートの両立がしやすい特徴があります。
さらにバックオフィスは女性が多い職種なので、能力や経験次第ではステップアップも十分に可能です。
部署によって仕事内容が大きく異なるため、ご自身のスキルややりたいことに合致する部署を探してみるとよいでしょう。

建設業界の働き方は、複数の人がチームを組み、協力しながら働きます。そのため女性特有の体調不良や子育てで仕事が難しい場合は、同じチームメイトがフォローしてくれる場合もあるでしょう。
「どんな働き方をしたいか」が具体的であれば、企業側に相談してみるとよいでしょう。

 

女性の採用を目指す企業が取り組むべきこと

現在注目を集めている建設業界ですが、やはり「男性社会」のイメージはまだ強く、イメージチェンジを検討している企業も多いでしょう。
そこで以下では、女性採用を目指す企業が取り組むべきことを解説します。

各種制度の導入

まず一つ目は「各種制度の整備」です。産休や育休などの休暇制度は、女性が長期的に働く上で必須条件となります。上記で解説した通り、現在では多くの企業が産休や育休制度を取り入れているものの、その実態が伴っていない企業も少なからず存在します。
そのため企業側は制度の導入だけでなく、実際にその制度が利用されているかについても確認が必要です。その中でも女性従業員へのアンケート調査は効果的です。調査をもとに会社制度をアップデートすることで、女性従業員の満足度は向上し、職場環境が改善されます。

 

職場環境の整備

二つ目は「職場環境の整備」です。とくに建設現場は男性目線の職場環境であったため改善が進んでいます。たとえば「女性専用トイレ」や「女性専用の更衣室」は以前まで存在しておらず、女性の施工管理者は現場近くのコンビニなどで着替えを行っていました。これを問題視しているゼネコンでは現在、女性の施工管理者への配慮を積極的に行い、女性が働きやすい現場環境を整備しています。
また、導入する制度によっては助成金が受け取れる場合もあり、企業の負担をかけずとも対策が可能になるでしょう。

 

女性が活躍できる職種

建設業界は「職種」によって働き方が大きく異なります。そのため別の業界から転職を希望する方にとっては「どんな職種がよいのか」イマイチ検討がつかないという方も多いのではないでしょうか。
そこで以下では、女性が活躍できる職種を5つ紹介します。ぜひ転職活動の参考にしてみてください。

①建築士

まず一つ目は「建築士」です。建築士は、建築物の設計を担当する人で、建物のデザインや構造などあらゆる設計に携わる仕事です。とくに商業施設のような多くの女性が訪れる施設では女性目線の設計が求められており、女性建築士の活躍が期待されています。
しかし建築士になるためには国家資格を取得する必要があるため、設計未経験の方には難易度の高い仕事になるでしょう。「設計未経験だけど設計に携わりたい!」という方は次にご紹介するインテリアコーディネーターがオススメです。

 

②インテリアコーディネーター

二つ目は「インテリアコーディネーター」です。これは家具やカーテン、照明など、内装や什器を考えて提案する仕事で、商品の幅広い知識や色合いのセンスなどが問われます。
何かを組み合わせて世界観を作ることが好きな方や、純粋にインテリアが好きな方にはオススメの仕事です。
建築士のように建物の設計はできませんが、簡単な表層変えの提案は可能なので、ご自身の興味のある分野を勉強するとよいでしょう。

 

③CADオペレーター

三つ目は「CADオペレーター」です。これはCADソフトの操作を専門的に行う職種を指します。具体的な仕事は、設計士やデザイナーなどの指示に従い、CADソフトを駆使して図面を修正・調整・製作することがメイン業務となります。
建設業界では1mmの誤差も許されない世界だからこそ、CADオペレーターの正確性は非常に重要です。ときには作図スピードを求められることもあるので、作図経験のある方や業界経験者にオススメの仕事です。

 

④営業

四つ目は「営業」です。上記で紹介した職種は業界経験者向けであり、未経験の方が挑戦するには少しハードルが高いでしょう。しかし営業であれば、業界未経験の方でも十分に転職が望めます。
建設営業のメイン業務は「物件推進」です。業界知識に加え、リーダーシップや判断力が必要になるため、建設業界に深く関わりたいと考えている方には最適の職種と言えるでしょう。

 

⑤建設事務

そして五つ目は「建設事務」です。建設業界の中でも最も女性が多く、ライフワークバランスが取りやすい職種です。営業同様、業界経験を問わない企業が多いので、未経験の方でも十分に転職が望めます。仕事内容も現場事務・オフィス事務・総務・経理など幅広い職種があるので、身につけたいスキルに合わせて応募するとよいでしょう。
建設業界で働く人は多忙な日々を過ごしているので、自ら気づいて行動できるような行動力のある方が向いている仕事です。

 

まとめ

建設業界では現在、女性従業員が働きやすい環境を考え、あらゆる取り組みを行っています。今後はさらに働きやすい環境が整備され、ライフワークバランスを保ちながら仕事に注力できるでしょう。

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