2021年4月7日
事務職は会社を支える重要な役割です。事務職がきちんと機能すると実働部門の生産性向上につながるため、事務職を重要視している企業は多くあります。
特に建設会社の場合、各協力会社との契約書や支払い処理、そして国が定める施工管理台帳などの工事書類がたくさんあるため、事務職の存在は必要不可欠なのです。
しかし「建設業」は特殊な業界だからこそ、転職希望者の中には「建設会社の事務仕事に不安を感じる」という方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では「建設会社の事務職」について詳しく深堀りし、建設事務を希望する転職者に役立つ情報を発信します。
さらに仕事内容や役立つ資格なども記載しているので、建設業界に興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
建設業界は専門性が高く、特殊な業界であるため「事務職でも業界知識がないと業務に支障をきたすのでは」と身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし事務職にとってもっとも重要なのは「事務処理能力」であるため、業界知識がなくても建設事務への転職は十分に可能と言えるでしょう。
以下では、建設事務の仕事内容などを詳しく紹介いたします。実際の様子を把握し、仕事のイメージを膨らませましょう。
「事務職」と聞くと、経理や総務など会社全体の事務を想像する方が多いのではと想定しますが、建設会社の場合事務職といっても様々な役割があり、建設事務の大まかな種類は以下の通りになります。
・総務
・経理
・営業事務
・現場事務
まず他の会社と同じように、予算管理を行う「経理」や、物品管理・保守などを行う「総務」があります。これらの共通点は「会社全体に関わる仕事が多いこと」です。そのため業務範囲も広く、「会社運営のサポート」という位置付けで仕事を行います。
その一方で「営業事務」や「現場事務」は、会社の運営というより「会社の事業に関わる人々のサポート」という位置付けになります。特に建設業の場合、工事書類や契約書などの書類が多く、これらすべてをプロジェクト担当者が処理するのは物理的に厳しいため、事務職が営業職や現場管理職の事務処理を代行し、担当者がプロジェクトに集中できる環境を整える必要があるのです。
よって、会社全体に関わりたい場合は「経理」や「総務」を志望するのがオススメですが、働く人々を最前線でフォローしたい方は「営業事務」や「現場事務」がオススメです。
事務職といっても様々な役割があり、それに伴い給料や勤務地が異なる企業も多いので、まずは「どんな事務仕事をしたいのか」を考えてみましょう。
続いて、建設事務の「仕事内容」を確認しましょう。主な仕事内容は以下の通りです。
まず一つ目は「部門電話・メールの対応」です。多くの企業では部門ごとの代表電話や代表アドレスがあり、これらの対応は事務職の仕事になります。特に電話対応においては会社の評判を左右する重要な役割であるため、事務職員は「ビジネスマナー」を把握する必要があります。
また、入社後すぐに任される仕事でもあるため、不安な方は入社前までに勉強しておくと良いでしょう。
二つ目は「仕事環境の整備」です。業務で使う文房具の補充やコピー機など社内機器の点検なども事務職の仕事になります。そのため従業員に支障が出る前に対応する「気配り」が重要です。
三つ目は「帳票処理や請求管理」です。クライアントや協力会社への支払手続きや経費精算などの管理業務も事務職の仕事になります。
多忙な従業員は後回しにしがちなので、締め切りのアナウンスを積極的に行うなど、従業員に代わってスケジュールの管理をするようにしましょう。
最後に「来客対応やその他業務フォロー」も事務職の仕事になります。
総務や経理の場合は、社内外イベントの企画・開催や、株主総会の準備なども行います。
このように、基本的に事務職は事業に携わる人のサポートがメイン業務となるため、従業員の要望に合わせて業務内容が異なる企業が多くあります。
転職活動を行う際には、面接前に具体的な仕事内容を問い合わせておくと良いでしょう。
建設事務は、様々な業務を同時並行で行う必要があります。参考までに一日の流れをご紹介します。
【参考例】
9:00〜9:30 | 朝礼 |
9:30〜12:00 | 事務処理・電話対応・メール対応など |
12:00〜13:00 | 昼食 |
13:00〜14:00 | 部門ミーティング |
14:00〜18:00 | 事務処理・職場環境の整備・電話対応・メール対応など |
基本的に会社勤務の事務職の場合は、1日の間で自分の業務を終わらせる「マルチタスク型」の業務スタイルになります。自分で考えた予定で仕事ができるため、「業務スケジュールを自分でコントロールしたい人」に向いています。
ただし、事務職は従業員の急な依頼などにも臨機応変に対応できなければならないため、余裕をもった行動を心がけましょう。
「現場事務」の場合は上記に加えて、現場管理者の昼食手配や打ち合わせの議事録作成など社内事務とは異なる業務が発生することもあります。
また、現場稼働時間に合わせて勤務時間も異なりますので、事前に詳細を確認しておくと良いでしょう。
「残業」については、事務職の場合ほとんど発生しない企業が多いです。裏を返すと、時間内に決められた業務を終わらせる必要があるため、事務職にとって「時間管理」は非常に重要なスキルの一つになります。
ただし月末や月初めは業務量が多くなり、残業が発生することもありますので、月の終わりや始まりは忙しくなることを念頭に置いておきましょう。
建設業界は、人々の暮らしを支えるインフラの一つです。業界としての将来性は安定しており、今後も伸び続けることが予想できます。
しかし、建設業界は現在「人手不足」や「現場労働者の高齢化」が問題視されており、職人や施工管理職を中心に人材が不足している状態です。そのため、現在建設業に従事している人の負担は大きく、これらの負担を減らす必要があるのです。
事務職は直接的に事業と関わることはありませんが、事務職が行う日々の業務は従業員の負担を軽減する働きを有しています。
「建設に興味があり、ものづくりのサポートがしたい方」や「働く人を支える仕事がしたい方」は、やりがいを感じられる仕事であると言えるでしょう。
また、建設業界には様々な役割があるため、入社後のジョブチェンジがしやすい傾向にあります。たとえば作図スキルを身につけることで、図面修正などを行う「CADオペレーター」に転籍できたり、英語や外国語が得意であれば海外案件の「通訳業務」なども担当できるでしょう。
事務職は残業が少ない分、他の職種よりも仕事と勉強を両立しやすい環境にありますので、スキルアップを希望する方にとっては働きやすく将来性のある職種と言えるでしょう。
事務職は、建設会社以外でも募集の多い職種です。そのため転職を検討されている方は「なぜ建設会社がいいのか」という企業を選ぶ理由を考える必要があります。
そこで、建設事務として働くメリットとデメリットをまとめました。以下を参考に、志望理由を考えてみましょう。
・安定した業界で働くことができる
・通常の事務職よりも給料の高い企業が多い
建設事務として働くメリットは「安定した業界であること」と「通常の事務職よりも給料の高い企業が多いこと」です。
建設業界は現在、都市開発やIoT化の推進なども積極的に行っているため、今後も更なる需要が期待される業界と言えるでしょう。
また建設業界は、他の業界に比べて平均年収が高い業界でもあるため、事務職の給料も平均値より高い傾向にあります。
企業によっては総合職と同じ条件で事務職を募集している企業もありますので、希望年収に合致した会社を見つけやすいでしょう。
・男性が多い職場
・短期で雇用されにくい
一方でデメリットとして挙げられるのが、「男性が多い職場であること」と「短期で雇用されにくいこと」です。
やはり建設業界は男性が多い職場であるため、男性ばかりだと萎縮してしまう方にはデメリットに感じるかもしれませんが、最近では女性従業員の採用に積極的な企業も増えているため、少しずつ改善傾向にあります。
また建設業界は長期案件が多いため、基本的に短期的な雇用は少ないでしょう。そのため、最低でも1年半〜3年は働く意識をもって応募したほうが良いですが、企業によっては現場事務の単発業務などもあるので、短期希望の方は企業に相談することをオススメします。
建設事務は、様々な仕事を同時に行う必要があるためハードワークと言えます。
以下では建設事務に向いている人の特徴を5つご紹介します。
先ほど紹介した通り、事務職は様々な業務を並行して取り組む必要があります。そのため、複数のことを同時に行える「マルチタスク型」の人が向いていると言えるでしょう。
事務職は新しい仕事を急に振られることも多いため、優先順位を整理し業務を行う必要があります。そのため、一つのことを集中的に行う「シングルタスク型」の方は、自分の計画にはない業務が発生したときに臨機応変な対応ができるように心がけましょう。
基本的に事務職は「従業員のフォロー」を行う仕事です。そのため、誰かの役に立つことが好きな方には向いている仕事と言えるでしょう。
特に営業事務や現場事務の場合は従業員のフォローが中心の仕事なので、繁忙期の際は事務仕事もあわせて増加します。その際に「これは私の業務外だから対応しない」と仕事を選別しまうと従業員との関係性が崩れてしまう可能性があるため、事務職として従業員のバックアップを行う事務職は「困っている人を助ける精神」を持つことが重要です。
建設会社は、建物や橋・道路など様々なものを作ります。事務職が直接ものづくりに関わることはありませんが、自社が手がける事業に興味を持つことは大切です。そのため「ものづくりに興味のある人」は建設事務に向いていると言えるでしょう。
特に現場事務は施工現場に常駐する場合が多く、ものづくりの最前線で仕事をします。実際に建物が出来ていく様などを間近で見ることができるので、ものづくりに興味のある方にはオススメの仕事です。
建設事務は、契約書や工事書類の作成などを行います。体制が大きくなればなるほど工事額も大きくなるため、細かな確認作業や修正業務などが発生します。そのため数字に強く、細かな確認作業が得意な人は向いていると言えるでしょう。
さらにExcelやWord、PowerPointなどのOffice系のソフトが使えると依頼できる仕事が増えるため、重宝される人材となるでしょう。これらのソフトは基本操作を理解していれば業務に支障はないので、苦手な方は入社前に勉強することをオススメします。
現場や営業を担当する従業員は仕事上のトラブルも多く、場合によっては部門の士気が下がることもあります。そのようなときに明るく前向きな言葉掛けができる方は、社員として重宝されるでしょう。
事務職は、縁の下の力持ちのような存在です。だからこそ自分の業務と直接関係のない場合でも、悩んでいる従業員への気配りができる人にはぴったりの仕事と言えます。
建設事務と聞くと「専門的な資格が必要なのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。そこで以下では、建設事務に役立つ資格やスキルを5つご紹介します。
これは建設業に関する会計知識やスキルを証明できる資格であり、この資格を取得することで「即戦力となる人材」という印象を企業に与えることが出来ます。
特に、建設業の経理としてスキルアップを検討されている方には役立つ資格です。
これは建設業の経理に関係する会計知識や会計処理能力が問われる試験で、会計業務を行う方にとっては取得すべき資格の一つです。専門用語の多い建設業界での会計知識を持っている証明になるため、転職にも有利な資格と言えるでしょう。
これから勉強する方は2級以上の取得をオススメします。
これは建設業の経理に関係する会計知識や会計処理能力が問われる試験で、会計業務を行う方にとっては取得すべき資格の一つです。専門用語の多い建設業界での会計知識を持っている証明になるため、転職にも有利な資格と言えるでしょう。
これから勉強する方は2級以上の取得をオススメします。
建設業に特化していない資格でも「簿記」は事務職にとって強みになる資格です。
建設業界にこだわりのない方や将来的に違う業界へ転職する可能性のある方にオススメの資格です。
事務作業において重要とされている、Excel・Word・PowerPointやメール操作などの基本的なPCスキルは必須となります。これらの操作に不安のある方は事前に勉強しておきましょう。
事務職は多くの社員とコミュニケーションをとり、従業員の業務を円滑に進めるサポートを行うため、受動的な姿勢よりも能動的な姿勢が好まれます。
社内の問題を自ら探し、解決策を提案するコミュニケーションスキルは事務職にとって重要と言えるでしょう。
建設事務は様々な業務を並行して対応するため、臨機応変な判断ができる柔軟な方や世話好きの方に最適な職種です。
今回ご紹介した資格やスキルを有していない場合でも、経歴によっては建設業界への転職が十分に望めますので、志望する企業に事前に相談することをオススメします。