志望動機
仕事内容

未経験から建築設計への転職はできる?転職時のポイントを解説

2022年1月20日

建設業界は専門性が必要な業界ですが、その中でも「設計者」は、知識や経験・資格などが問われる仕事です。
とくに設計未経験の方は「設計者になるためには、どのように経験を積んだらよいのか」と頭を抱える方も多いのではないでしょうか?
そんな方にオススメなのが「建築設計として転職をすること」です。多くの企業では現在、設計者の人手不足が課題となっているため、未経験の場合でも積極的に採用を行っている企業もたくさんあります。
そこで当記事では「未経験から建築設計への転職」と題して、転職時のポイントについて解説します。建築分野に興味のある方は必見です。

 

建築設計とは

そもそも建築設計とは、建築物を建設するにあたって、その意図に即して構造や材料、工費などの計画をたて、その内容を図面にする仕事です。簡単にいうと街中のビルや商業施設、さらにはマンションなどの住宅の設計プランを考案する人を指します。
建築設計には主に「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つの役割があり、この3つを総括した呼び名が「建築設計」となります。

業界未経験の方が混同してしまう言葉として「土木設計」があります。街中のビルや住宅を手がける建築設計に対し、土木設計は橋梁、道路、ダムなどのインフラ設備に特化した設計を指します。
建築設計と土木設計では設計対象物が異なるので、覚えておくとよいでしょう。

また、一人前の建築設計者として活躍するためには、設計士としての資格が必要です。
一級・二級建築士や構造設計一級建築士、設備設計一級建築士など、専門とする分野によって必要な資格が異なります。どの資格を受験する際も「経験年数」が問われるので、未経験者の方が受験できる資格ではありませんが、受験を視野に入れて経験を積むとよいでしょう。

 

建築設計の業務内容

建築物を設計する「建築設計」には、先ほども解説したように以下3つの役割があります。

意匠設計

意匠設計とは、建築物におけるデザインを決定する設計者です。
建築主から要望を聞き、間取りや必要面積を落とし込みます。そのため構造設計や設備設計よりもデザインに対する決定権が強い特徴があります。建築物のコンセプト作りや外観イメージなども考案する仕事なので、「ゼロから何かを作り出すことが好きな人」にオススメです。
また、意匠設計者は、構造設計者や設備設計者の意見を取り入れ、プロジェクトを推進する「リーダー」でもあります。そのためリーダーシップやスケジュール管理能力なども重要になるでしょう。

 

構造設計

構造設計とは、建築物の設計に問題がないか「構造」の観点から検討する設計者です。
意匠設計者が設計したプランに対し、建物の強度や安全性に関わる部分を検証します。構造計算を行い、建物の強度に問題があった場合は改善プランを提案することが主な仕事です。建築設計の中でも非常に重要な役割になるため、構造設計に関する知識や実績のある方にオススメです。
また、構造設計者には、問題があった際に解決策を考案できる「提案力」も必要になります。

 

設備設計

設備設計とは、建築物を利用する人が内部で快適に過ごすために必要な設備(空調、音響、光、それに伴う配線・配管など)を検討する設計者です。
設備設計者は、クライアントや意匠設計者が考える「建物の使い方」に合わせて設備を設計していきます。とくに設備機器の選定は、予算が大きく関係する部分です。クライアントの意図と予算感を両立させるためにも、コストマネジメントや積算能力が必要といえるでしょう。
また、最新設備の提案を求められることも多く、設備関係の勉強は必須となります。最新機器の勉強が継続できる方にオススメです。

 

未経験でも建築設計への転職が可能な理由

一人前の建築設計になるためには「建築士」などの資格が必要ですが、多くの企業では、設計未経験者の方も積極的に採用しています。
そこで以下では、未経験者の方でも転職が可能な理由を解説します。

業界全体での人手不足

一つ目は「業界全体が人手不足」であることです。建設業界は慢性的な人手不足であるため、多くの企業では自社教育の制度が整っています。そのため未経験者の方でも積極的に採用を行っています。
さらに、雇用形態の幅も広がっており、アルバイトとして経験を積んだあとで正社員に雇用する企業も増えてきました。
様々な働き方ができるので、未経験者の方でも働きやすい環境といえるでしょう。

 

経験者の採用が難しい

二つ目は「経験者の採用が難しい」ことです。多くの設計者は、企業で経験を積んだあと独立する人が多く、経験者の採用自体が難しい傾向にあります。そもそも応募する人が少ないので、企業側は未経験者を積極的に採用している傾向にあるのです。

 

人材の高齢化

三つ目は「人材の高齢化」です。構造設計や設備設計は設計職の中でも特殊な仕事です。そのため人材が高齢化している企業が多く、若手を育成するために未経験者でも採用活動を行っています。割と大きな企業でもこのような事態が起こっているので、構造設計や設備設計の知識を学びたい方にはオススメです。

 

建築設計に役立つ資格

建築設計は未経験でも転職可能ですが、以下の資格を持っていると転職時の交渉が有利になります。設計の実務経験のある方で、建築設計に転職を希望する方はぜひ取得するとよいでしょう。

一級建築士・二級建築士

一級建築士・二級建築士は、国土交通大臣から認可を受けた国家資格です。二級建築士よりも一級建築士の方が資格の難易度が高く、携われる業務の幅が広がります。
また、試験では構造設計や設備設計など、様々な知識が問われます。そのため受験資格として「実務経験」が必要になるのも特徴の一つです。
未経験者の方は受験できませんが、将来的に取得を目指すことをオススメします。

 

建築CAD検定試験

CADオペレーターとは、設計士やデザイナーの考えたデザイン案を、CADソフトを使って図面作成・修正する仕事です。
その中でも建築系の資格として「建築CAD検定試験」があります。これは建築一般図を作成する実力を測る試験で、与えられた建築図面を参考に、CADシステムを使って正しくトレースする技能を測る試験でもあります。
この資格は准1級・2級・3級・4級で構成されているので、自身のスキルに合わせて挑戦するとよいでしょう。

 

建築設計の志望動機のポイント

建築設計は知識や経験が問われる仕事のため、未経験者が応募する際は「志望動機」が重要になります。そこで未経験者が志望動機を考える際に、意識すべきポイントを解説します。

なぜ建設業界を志望したのか

一つ目は「なぜ建設業界を志望したのか」です。設計といっても内装やインテリアなど、様々な分野があります。その中でも「建築」を選んだ理由を明確に述べましょう。
とくに、衝撃を受けた建築物や、建築設計を目指すきっかけを記載すると面接官の記憶に残りやすくなります。具体例を盛り込んで、個性が伝わる志望動機を作成しましょう。

 

建築設計として、どんなことがしたいか

二つ目は「建築設計として、どんなことがしたいか」です。建築設計にも商業施設やオフィスビルなど、いろいろな案件があります。そのため自分がどんな分野に携わりたいかを考えて、その想いを伝えるようにしましょう。
そのために勉強していることや取り組んでいることがあれば、あわせてアピールすることをオススメします。

 

将来どんな働き方をしたいか

三つ目は「将来どんな働き方がしたいか」です。「実務経験を積んで、一級建築士の資格を取得する」や「部下のマネジメントをしたい」など、自身のビジョンがあれば志望動機に盛り込みましょう。
未経験の場合、本人のやる気や伸び代で判断されてしまうことが多いです。具体的な目標を話して、意気込みを伝えましょう。

 

どんな建造物に感銘を受けたか

四つ目は「どんな建造物に感銘を受けたか」です。施工事例を調べて、印象深かった物件について書くとよいでしょう。可能であれば、実際に行った感想を利用者目線で書くことをオススメします。
とくに業界未経験者の方は「建設業界に興味があること」をアピールする必要があります。面接の際は感想を2〜3件ほど伝えられるように準備しておきましょう。

 

自身の強み・アピールポイント

五つ目は「自身の強みやアピールポイント」です。前職の実績や経験、自身の強みなどを伝えてアピールしましょう。
とくに未経験者は「自身の強みを設計者としてどう活かすか」が大切になります。例えば人と話すことが得意な方であれば「クライアントとの信頼関係を築くことができる」や「チームの潤滑油のような役割になれる」などの強みがあります。ご自身の強みを考えて、活かし方をアピールしましょう。

 

建築設計に向いている人の特徴

最後に「建築設計に向いている人の特徴」をお伝えします。アピールポイントを考える際は、下記を参考にしてみるとよいでしょう。

建築物が好きな人

新しい建物や古い建物など、様々な建物を観察することが好きな人にオススメです。とくに意匠設計は、様々な手法を使ってデザインを提案しなければなりません。普段から建物が好きで、アイデア収集が楽しいと感じる人には向いています。
その一方で建築物に興味のない方にとっては難しい仕事と言えるでしょう。そもそも「建物が好き」であることは、建築設計を目指す方の必須条件です。

 

ゼロから何かを生み出すことが好きな人

設計者は常に創造者です。クライアントの意図を汲み取り、それをデザインに落とし込む「提案力」が必要になります。そのためゼロから何かを生み出すことが好きな人に向いている仕事と言えるでしょう。
なかには自分で考えるよりも「誰かが考えたものをより良くする」方が向いている方もいます。その方は建築設計の中でもCADオペレーターのような、細分化された仕事がよいかもしれません。自身の個性を理解して、適切な職種を選びましょう。

 

決断力のある人

建築設計は、クライアントの要望や施工側の意見を取りまとめる仕事です。ときには大きな決断をしなければいけないこともあるでしょう。
しかし設計者が優柔不断で判断ができないと、プロジェクト全体がストップしてしまいます。そのようなときに「正しい判断」ができる人は設計者に向いています。

 

人の意見を聞き入れることができる人

考えたプランとクライアントの意見が異なった際、両者が納得できる折衷案を検討することが大切です。自分の意見を押し通すのではなく、他人の意見を聞き入れることができる力は設計者として重要な資質になるでしょう。

 

スケジュール管理ができる人

複数の案件を同時に担当することがあります。そのため各案件の締め切りなどを把握し、締め切りに合わせて行動できる人は設計者に向いています。
その一方でスケジュール管理が苦手な方は、ミスが起こらないような対策が必要です。「カレンダーにこまめに記録する」など些細なことから始めましょう。

 

まとめ

建築設計には「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つの役割があります。どの職種にも設計補佐という立場があるので、設計未経験の方も転職が可能です。
そのためにまずは「どんな分野に興味があるか」を考えて、携わりたい方向性を探してみてはいかがでしょうか。

SHARE